!?
『 今週のスローガン
潔く散れ! 』
『 今週のスローガン
潔く散れ! 』
「………何だこのスローガン。ここは本当に病院か?」
『ペシミズム厭世病院という名も、それらしくありませんしね』
『ですがこのスローガンは、殺し合いのためのものとしてなら、合致しているとも思いますね』
『ペシミズム厭世病院という名も、それらしくありませんしね』
『ですがこのスローガンは、殺し合いのためのものとしてなら、合致しているとも思いますね』
赤黒い装飾に身を包んだニンジャ、そこに宿る2つの人格、星野愛久愛海(以後アクアと呼ぶ)と高遠遙一は今、ある病院の前にたどり着いていた。
ついでに言っておくと、彼(ら)の手には鞘に収まった刀が一本握られていた。
とは言っても、その刀は脇差並みに短いものであったが。
これは彼に対する支給品の一つだった。
もしもの急襲があった時に護身用として念のために装備していた。
その刀の銘は『ちゅんちゅん丸』と言った。
とは言っても、その刀は脇差並みに短いものであったが。
これは彼に対する支給品の一つだった。
もしもの急襲があった時に護身用として念のために装備していた。
その刀の銘は『ちゅんちゅん丸』と言った。
話を戻す。
アクアと高遠は確かに病院の前にいる。
けれども彼らがたどり着いたその場所は、病院としてはかなり違和感のある建物でもあった。
アクアと高遠は確かに病院の前にいる。
けれども彼らがたどり着いたその場所は、病院としてはかなり違和感のある建物でもあった。
この病院に掲げられている名前は『ペシミズム厭世病院』。
以前別の話でも解説したことだが、ペシミズムは悲観的、厭世的を表す言葉。
厭世的とは、自分が生きるこの世のことを良くないものだという見方をすることだ。
以前別の話でも解説したことだが、ペシミズムは悲観的、厭世的を表す言葉。
厭世的とは、自分が生きるこの世のことを良くないものだという見方をすることだ。
口の「忍」「殺」のメンポと覆面で顔をほとんど隠しているために少し分かりにくいが、目元だけでもアクアはかなり怪訝な表情をしていることが外からは見てとれた。
一応は元医者であるアクアにとっては、こんな名前とスローガンを掲げる病院の存在を受け入れ難かった。
全面的に、患者に対し「治るのは諦めてさっさと死ね!」と言って突き放しているかのような病院であった。
前々世(別に前世で死んだ訳ではない)で医者だった時、難病で若くして命を落とした少女を受け持っていたことがあるから尚更不快感があった。
高遠が言うように、スローガンは殺し合いに合わせたものだとしても、どちらにせよ最悪度合いは変わらないが。
一応は元医者であるアクアにとっては、こんな名前とスローガンを掲げる病院の存在を受け入れ難かった。
全面的に、患者に対し「治るのは諦めてさっさと死ね!」と言って突き放しているかのような病院であった。
前々世(別に前世で死んだ訳ではない)で医者だった時、難病で若くして命を落とした少女を受け持っていたことがあるから尚更不快感があった。
高遠が言うように、スローガンは殺し合いに合わせたものだとしても、どちらにせよ最悪度合いは変わらないが。
アクアが病院前でそんなことを考えていた、その時だった。
タブレットからアラームが鳴り、最初の説明でも予告されていた連絡の放送が始まった。
タブレットからアラームが鳴り、最初の説明でも予告されていた連絡の放送が始まった。
◆
『涙目のルカ…その身体の名はリョースケ』
「…………え?」
最初の一時間の内に死亡した者達について発表された。
そこで最後に紹介された者の、身体側の方を、アクアは知っていた。
そこで最後に紹介された者の、身体側の方を、アクアは知っていた。
しかしそいつは、もう何年も前に死んだはずの人物だった。
アクアがそいつと直接会ったのは、前々世も含めてたったの2回だ。
けれどもそいつは、星野アクアの人生に決して消えない大きな傷を残した。
そいつが自分の目の前で何をしたのか、その記憶がより鮮明に蘇る。
アクアがそいつと直接会ったのは、前々世も含めてたったの2回だ。
けれどもそいつは、星野アクアの人生に決して消えない大きな傷を残した。
そいつが自分の目の前で何をしたのか、その記憶がより鮮明に蘇る。
リョースケこそが、星野アクアの母である星野アイを、直接殺害した犯人だった。
そして彼は、かつてアクアが雨宮吾朗だった頃に崖の下に突き落として殺害した犯人でもあった。
アイが彼をリョースケと呼んでいたことも覚えている。
あの時、彼の行動によって倒れたアイが、その体から段々と失われていく体温の感覚の記憶も呼び起こされていく。
あの時、彼の行動によって倒れたアイが、その体から段々と失われていく体温の感覚の記憶も呼び起こされていく。
「な……んで、あいつ…が」
タブレットにリョースケの顔が映った時、アクアは動揺を隠せなかった。
『落ち着いてください。彼の肉体はもう死んだと、今伝えられたばかりでしょう』
「……あ、ああ、そうだったな」
「……あ、ああ、そうだったな」
高遠の言葉にアクアは少し落ち着きを取り戻す。
死んだはずのリョースケの肉体がここで呼ばれたということは、主催側が死んだ人間を蘇生する方法を持っていることの信憑性を少し上げることになる(実際に生きているところを見た訳ではないのでまだ確定はできない)。
蘇ったリョースケの肉体が既に再度死体になっているのであれば、これ以上気にする必要は無いはずだった。
リョースケは確かに実行犯だが、アイ殺害の黒幕は他にいるはずだから、これで話はおしまいのはずだった。
死んだはずのリョースケの肉体がここで呼ばれたということは、主催側が死んだ人間を蘇生する方法を持っていることの信憑性を少し上げることになる(実際に生きているところを見た訳ではないのでまだ確定はできない)。
蘇ったリョースケの肉体が既に再度死体になっているのであれば、これ以上気にする必要は無いはずだった。
リョースケは確かに実行犯だが、アイ殺害の黒幕は他にいるはずだから、これで話はおしまいのはずだった。
しかし、そうもいかなかった。
『とりあえず、配布されたらしい名簿を確認してみましょう』
高遠はアクアに次の行動をとるように促す。
高遠もまた、名簿の内容は気になっていた。
高遠もまた、名簿の内容は気になっていた。
「ああ……………は?」
名簿に目を通したアクアは、再び絶句することになる。
先ほど身体側が死亡者として発表されたリョースケが、精神側の名簿に参加者として名前が載っていたからだ。
先ほど身体側が死亡者として発表されたリョースケが、精神側の名簿に参加者として名前が載っていたからだ。
◆
『ふむ……精神側と身体側、どちらにも共通する名前は他にもあると』
『これらもそれぞれ同じ人物を指しているとなると、精神側のリョースケもあなたが知っている者である可能性は高そうですね』
「っ……」
『これらもそれぞれ同じ人物を指しているとなると、精神側のリョースケもあなたが知っている者である可能性は高そうですね』
「っ……」
身体側の名簿も確認した後、高遠はそんなことを言う。
その言葉にアクアは表情を少ししかめる。
その言葉にアクアは表情を少ししかめる。
『おや、どうしました?せっかく母親の直接の仇が生きているかもしれないことが分かったのに、あまり嬉しそうではありませんね』
「……………当たり前だろ。……身体は別人なんだから、殺そうとしたらその身体側の人も死ぬ。それに、黒幕は俺の父親だから……」
「……………当たり前だろ。……身体は別人なんだから、殺そうとしたらその身体側の人も死ぬ。それに、黒幕は俺の父親だから……」
高遠の言葉にアクアは少し考え込むような仕草を見せた後、少し早口気味に言葉を紡ぐ。
それはどこか、あまり考えをまとめないまま思い付きで喋っている、言い訳じみたもののようにも聞こえた。
それはどこか、あまり考えをまとめないまま思い付きで喋っている、言い訳じみたもののようにも聞こえた。
『前に話したことに続きますが、この殺し合いにおいて乗っている者を返り討ちにできるかどうかの是非、それを気にしている場合はないでしょう』
『たとえ、肉体の方は本来は乗るような者じゃなかったとしても』
『無関係の人間をもう1人分殺害してしまうかもだなんてことを気にしていたら、それこそ取り返しのつかないことになる可能性だってあります』
『むしろ…先に殺してあげることの方が、これ以上自身の肉体で人を殺すことのないよう、本来乗らない無関係な者にとっての救いにだってなるかもしれません』
『たとえ、肉体の方は本来は乗るような者じゃなかったとしても』
『無関係の人間をもう1人分殺害してしまうかもだなんてことを気にしていたら、それこそ取り返しのつかないことになる可能性だってあります』
『むしろ…先に殺してあげることの方が、これ以上自身の肉体で人を殺すことのないよう、本来乗らない無関係な者にとっての救いにだってなるかもしれません』
『それに件のリョースケ君とやらは自分の肉体を殺害されています』
『彼は好きなアイドルが子供を産んでいたとだけで殺しに行くほど短絡的な人物なのでしょう?』
『それならば、自分の肉体の蘇生のために殺し合いに乗る可能性が高いと考える方が自然ではないでしょうか?』
『彼は好きなアイドルが子供を産んでいたとだけで殺しに行くほど短絡的な人物なのでしょう?』
『それならば、自分の肉体の蘇生のために殺し合いに乗る可能性が高いと考える方が自然ではないでしょうか?』
「……お前、唆しているつもりか?」
高遠に対しアクアはそう答える。
その言葉には、高遠に対する不快感も含まれているようだった。
その言葉には、高遠に対する不快感も含まれているようだった。
『さあ。それよりも私は、あなたが本当に父親すら殺すつもりがあるのか少々疑問に感じてきましたがね』
高遠はそう、アクアを煽るようなことを言う。
『直接の仇に対してのその物言い…まるで、殺したくがないために、理由を探しているかのように感じましたよ』
「……俺に、どうしてもリョースケを殺せと言いたいのか?」
『そういう訳ではありません。こんな環境で復讐を優先して視野が狭くなってもらうのも困りますからね』
『私はただ、前にも言ったように、いざという時にどんな相手でも殺せるかという話をしたいのです』
『まあ、どうしても無理だと言うのならそんな時は私が変わってあげしょうか?』
「…お前みたいなのに任せられるか」
「……俺に、どうしてもリョースケを殺せと言いたいのか?」
『そういう訳ではありません。こんな環境で復讐を優先して視野が狭くなってもらうのも困りますからね』
『私はただ、前にも言ったように、いざという時にどんな相手でも殺せるかという話をしたいのです』
『まあ、どうしても無理だと言うのならそんな時は私が変わってあげしょうか?』
「…お前みたいなのに任せられるか」
高遠に対しアクアは悪態を吐き続ける。
けれども彼の言葉にはずっと、心の中の動揺も含まれていた。
けれども彼の言葉にはずっと、心の中の動揺も含まれていた。
アクアはずっと、自分でもリョースケをどうしたいのかが分かっていなかった。
リョースケについては少し言い方を変えてみれば、復讐することを諦めていた相手だ。
前にも書いたが、リョースケは本来もう既に死んでいたはずの者だからだ。
それがいきなり実は生きてこの殺し合いの舞台にいますだなんてことは、すぐには飲み込めなかった。
ずっと憎しみ続けていた顔も知らない父親と違い、憎悪の継続がこれまでは微妙に出来ていない相手だった。
前にも書いたが、リョースケは本来もう既に死んでいたはずの者だからだ。
それがいきなり実は生きてこの殺し合いの舞台にいますだなんてことは、すぐには飲み込めなかった。
ずっと憎しみ続けていた顔も知らない父親と違い、憎悪の継続がこれまでは微妙に出来ていない相手だった。
『まあ、あなたがリョースケ君をどうしたいかなんてことは別に今すぐ決める必要もありませんがね』
『今後必ず遭遇できる保証も無い、もしかしたら身体側と同じく会える前に死亡してしまう可能性も考えられますからね』
「………そうだな」
『今後必ず遭遇できる保証も無い、もしかしたら身体側と同じく会える前に死亡してしまう可能性も考えられますからね』
「………そうだな」
アクアはただそう返事する。
これについては確かに、高遠の言う通りではあった。
アクアがどう考えようと、リョースケには実際に会えなければ意味が無い。
だから高遠とこれについての話をするのは、もう終わりだ。
これについては確かに、高遠の言う通りではあった。
アクアがどう考えようと、リョースケには実際に会えなければ意味が無い。
だから高遠とこれについての話をするのは、もう終わりだ。
(………だが、僕はやはり、あいつのことは……)
高遠と話すのは終わりとは言え、考えるのを止めることはそう簡単にはできなかった。
アクアの中での感情の整理はまだついてない。
星野アイの死に関して、悪いのは全て自分の父親だという確信はある。
けれども、先ほどは殺したくないみたいな意味に捉えられることは言ったものの、実行犯であるリョースケのことを許せないという気持ちも、確かに存在はしていた。
時間をおいて考えて続けてると、やはりそんな気持ちが存在していることを自覚してきていた。
アクアの中での感情の整理はまだついてない。
星野アイの死に関して、悪いのは全て自分の父親だという確信はある。
けれども、先ほどは殺したくないみたいな意味に捉えられることは言ったものの、実行犯であるリョースケのことを許せないという気持ちも、確かに存在はしていた。
時間をおいて考えて続けてると、やはりそんな気持ちが存在していることを自覚してきていた。
かつてアイの子供に生まれ変わったばかりの頃は、前の自分を殺害したリョースケに対し感謝するような気持ちもあった。
けれども、それは全くの間違いだった。
彼がアイを殺害した今、そんな風に考えていた頃の自分は大馬鹿者だとアクアは思う。
けれども、それは全くの間違いだった。
彼がアイを殺害した今、そんな風に考えていた頃の自分は大馬鹿者だとアクアは思う。
アイを殺害した時、そっちが先に裏切ったからだ何だと言いながらも、アイが自分を覚えていたことを知ったら一目散に逃げ出した。
そして挙げ句の果てには自殺、完全に何もかもから逃げ去ってしまった。
リョースケがそんな彼自身の心の弱さで人を傷つけ、多くの人生を滅茶苦茶にしたのは、確かなことだった。
自分の父親が元凶であることには変わりないとは思うが、あんな行動をとることを最終的に決めたのはリョースケ自身だ。
そして挙げ句の果てには自殺、完全に何もかもから逃げ去ってしまった。
リョースケがそんな彼自身の心の弱さで人を傷つけ、多くの人生を滅茶苦茶にしたのは、確かなことだった。
自分の父親が元凶であることには変わりないとは思うが、あんな行動をとることを最終的に決めたのはリョースケ自身だ。
(もし奴が今もあの時と変わらないのだとしたら、俺は…)
アクアは最悪の可能性を思い浮かべる。
それこそ、高遠が言うようにリョースケが短絡的に動いて人を傷つけるようなことがあるとなると…
それこそ、高遠が言うようにリョースケが短絡的に動いて人を傷つけるようなことがあるとなると…
アクアがそんなことを考えている時、メンポの上に小さく見えるその右目には、小さな『黒い星』が現れているようにも見えた。
◆
『他に、名簿にあなたの知る名前はありますか?』
「……一応、1人いる。身体側にある黒川あかねという名がそうだ」
「……一応、1人いる。身体側にある黒川あかねという名がそうだ」
リョースケについての話を一通り終えた後、他に名簿から分かることについての話に移る。
高遠が知る者は1人もいなかったが、アクアは身体側のものに1人いた。
高遠が知る者は1人もいなかったが、アクアは身体側のものに1人いた。
『この方は一体どのような人で?』
「………表向きは一応、俺の恋人ということになっている」
「………表向きは一応、俺の恋人ということになっている」
アクアはそう含みを持たせた言い方をする。
『そんな言い方をすると言うことは、実際には違うということですか?』
「……彼女は、俺の復讐の役に立つと判断した。そのため手元に置くためにそういうことにさせてもらった」
『ほう、悪い男ですね。で、具体的にはどう役に立つと思ったのですか?』
「………彼女は人に対する分析力が高い。俺の母、アイについても俺以上に理解できているかもしれない。彼女を通じてアイのことをより知れれば、当時のアイがどんな動きや考え方をしていたか等も分かり、いつか俺の父親にも辿り着くかもしれないと思った」
「……だから、精神の方の無事はまだ分からなくとも、肉体の方も生還させてやりたい」
「たとえ、もしあかねの肉体が殺し合いに乗っていたとしても」
「……彼女は、俺の復讐の役に立つと判断した。そのため手元に置くためにそういうことにさせてもらった」
『ほう、悪い男ですね。で、具体的にはどう役に立つと思ったのですか?』
「………彼女は人に対する分析力が高い。俺の母、アイについても俺以上に理解できているかもしれない。彼女を通じてアイのことをより知れれば、当時のアイがどんな動きや考え方をしていたか等も分かり、いつか俺の父親にも辿り着くかもしれないと思った」
「……だから、精神の方の無事はまだ分からなくとも、肉体の方も生還させてやりたい」
「たとえ、もしあかねの肉体が殺し合いに乗っていたとしても」
アクアはそう、自身の希望を述べた。
『まあ確かに、元に戻った後の不足の事態に備えるといった点でも、なるべくそうした方が良いかもしれませんね』
『ですが、私にそこまでのことを話しても良かったのですか?』
「………下手な誤魔化し方をしたら、お前は変に突っ掛かってきそうな気がしたからな」
「それのせいで後から悪影響が出るのも困るし、話した方がマシかもしれないと判断した」
『ですが、私にそこまでのことを話しても良かったのですか?』
「………下手な誤魔化し方をしたら、お前は変に突っ掛かってきそうな気がしたからな」
「それのせいで後から悪影響が出るのも困るし、話した方がマシかもしれないと判断した」
アクアからしてみれば高遠のことはやはりいまいち信用しきれない。
先ほどからの口ぶりからしても、そもそも高遠は人を殺すことに対し抵抗が全く無いみたいだ。
しかし今は強制的に一心同体にさせられている身だ。
下手な隠し事が原因となっていつか余計なことをされるのも困る。
先ほどからの口ぶりからしても、そもそも高遠は人を殺すことに対し抵抗が全く無いみたいだ。
しかし今は強制的に一心同体にさせられている身だ。
下手な隠し事が原因となっていつか余計なことをされるのも困る。
『しかしまあ、そう上手くいきますかね』
『もしかしたら、黒川あかねの中身がそれこそ件のリョースケ君になっている可能性だってまだ考えられますからね』
『先ほどの連絡であった、組み合わせの分かる名簿を手に入れられれば、それに関する心配も解消されるとは思いますがね』
「だからと言ってそれを狙うために無関係な奴を殺すつもりは無いぞ」
『フフッ、冗談ですよ』
「………」
『もしかしたら、黒川あかねの中身がそれこそ件のリョースケ君になっている可能性だってまだ考えられますからね』
『先ほどの連絡であった、組み合わせの分かる名簿を手に入れられれば、それに関する心配も解消されるとは思いますがね』
「だからと言ってそれを狙うために無関係な奴を殺すつもりは無いぞ」
『フフッ、冗談ですよ』
「………」
冗談にしても質が悪いとアクアは思う。
とにかく、今のところは黒川あかねの中身は話の通じるまともな人物であることを祈るしかない。
とにかく、今のところは黒川あかねの中身は話の通じるまともな人物であることを祈るしかない。
◆
彼らは次に、配布された地図の確認を行い始める。
そしてそこにもまた、アクアにとって見逃せないものがあった。
そしてそこにもまた、アクアにとって見逃せないものがあった。
「苺プロダクション本社事務所……これは本物か?」
苺プロダクション、それはアクアが現在所属している事務所だ。
『本物か気になるのなら行ってみれば良いんじゃないですかね?』
『あなたが一番よく分かっているでしょうが……ここが先ほど知らされた「精神を入れ替える手段のある施設」では無いでしょうがね』
「……そりゃ確かにそっちの方も探しておきたいけどもな」
『あなたが一番よく分かっているでしょうが……ここが先ほど知らされた「精神を入れ替える手段のある施設」では無いでしょうがね』
「……そりゃ確かにそっちの方も探しておきたいけどもな」
苺プロダクションのことは気になるが、他にも気にしてしまうこともある。
先ほどの連絡で伝えられた精神と身体の入れ替えを可能とする施設、それがどこなのかはなるべく把握しておきたい気持ちはあった。
例えば、黒川あかねの肉体の件にしても、もし今の中身が問題のある人物でも、まだ話の通じる人物と交換させるという手が使えるかもしれないからだ。
なお、それをやるためには黒川あかねの肉体の人物を生け捕りにする必要があるが。
それに今の中身でも問題なさそうなら、自分はあまりその特殊な施設を探す意味が少なくなってしまう。
それを考えると苺プロダクションの方に向かってそこの現状を確認しに行った方がまだ良いかもしれない。
先ほどの連絡で伝えられた精神と身体の入れ替えを可能とする施設、それがどこなのかはなるべく把握しておきたい気持ちはあった。
例えば、黒川あかねの肉体の件にしても、もし今の中身が問題のある人物でも、まだ話の通じる人物と交換させるという手が使えるかもしれないからだ。
なお、それをやるためには黒川あかねの肉体の人物を生け捕りにする必要があるが。
それに今の中身でも問題なさそうなら、自分はあまりその特殊な施設を探す意味が少なくなってしまう。
それを考えると苺プロダクションの方に向かってそこの現状を確認しに行った方がまだ良いかもしれない。
『もしかしたら、リョースケ君も知っている施設として苺プロダクションの方に向かうかもしれませんしね』
『ですがやはり、私としても精神入れ替えが可能な施設については気になりますね』
『目の前の病院くらいは、少しくらい調べる時間もあると思いますがねえ…』
「……」
『ですがやはり、私としても精神入れ替えが可能な施設については気になりますね』
『目の前の病院くらいは、少しくらい調べる時間もあると思いますがねえ…』
「……」
アクアはここで少し迷う。
高遠の言う通り、目の前の変な病院を先に調べるか、それともすぐにでも苺プロダクションの方に向かうか。
精神を入れ替える施設とやらは、どこにあるかのヒントは全く無い。
探し出すには地図上に記された施設を片っ端から調べるしかない。
少なくとも、自分もよく知る苺プロダクションの中には無いことは断言できる。
だからそっちに向かう選択肢は、一旦は件の特殊施設のことを諦めることになる。
しかし距離的には、念のため病院の方だけでも調べても問題はなさそうな気もしてくる。
リョースケがもしプロダクションの方に向かうとしても、遅れて行っても出会える可能性はありそうな気はする。
もしもの時のための治療に使える道具を手に入れられるかもという意味でも、病院の方を先に調べる価値はありそうだ。
………こんな名前の病院にまともな医療器具があるかは、少し疑問に感じてしまうところもあるが。
高遠の言う通り、目の前の変な病院を先に調べるか、それともすぐにでも苺プロダクションの方に向かうか。
精神を入れ替える施設とやらは、どこにあるかのヒントは全く無い。
探し出すには地図上に記された施設を片っ端から調べるしかない。
少なくとも、自分もよく知る苺プロダクションの中には無いことは断言できる。
だからそっちに向かう選択肢は、一旦は件の特殊施設のことを諦めることになる。
しかし距離的には、念のため病院の方だけでも調べても問題はなさそうな気もしてくる。
リョースケがもしプロダクションの方に向かうとしても、遅れて行っても出会える可能性はありそうな気はする。
もしもの時のための治療に使える道具を手に入れられるかもという意味でも、病院の方を先に調べる価値はありそうだ。
………こんな名前の病院にまともな医療器具があるかは、少し疑問に感じてしまうところもあるが。
「俺は…」
アクアの次の目的地は…
◆
正直なところ、アクア君とはもっと別の出会い方をしたかったですね。
彼には迷いがある。
それも、自覚している分と、出来ていない分の両方が。
だからこそ、違う出会い方ができれば、良いプロデュースができる相手だったかもしれませんが…。
この環境ではあまり無茶をさせることは止した方が良いでしょう。
ですがせめて、リョースケ君との間の因縁は解消してあげたい気持ちもありますね…。
その方が今後殺し合いで生き残るための精神的余裕も生まれるでしょう。
そのための方法は、彼の手で復讐させるのがベストか、それとも別の方法が良いのか…。
彼には迷いがある。
それも、自覚している分と、出来ていない分の両方が。
だからこそ、違う出会い方ができれば、良いプロデュースができる相手だったかもしれませんが…。
この環境ではあまり無茶をさせることは止した方が良いでしょう。
ですがせめて、リョースケ君との間の因縁は解消してあげたい気持ちもありますね…。
その方が今後殺し合いで生き残るための精神的余裕も生まれるでしょう。
そのための方法は、彼の手で復讐させるのがベストか、それとも別の方法が良いのか…。
この舞台に金田一君がいないことも、少し残念ですね。
ま、もう少し様子を見てみましょうか。
ま、もう少し様子を見てみましょうか。
【一日目/F-7 ペシミズム厭世病院前/深夜】
【星野愛久愛海@【推しの子】】
[身体]:フジキド・ケンジ@ニンジャスレイヤー
[状態]:健康、高遠への不信感、リョースケに対する暗めの感情
[装備]:ちゅんちゅん丸@この素晴らしい世界に祝福を!シリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない。
1:すぐに苺プロダクションの方に向かうか、それとも先に病院を調べるか…
2:リョースケがあの時と変わらないなら、俺は…
3:あかねの肉体の無事は確保しておきたい。
4:復讐とは関係ない殺人が俺にできるのか……?
5:高遠はどうにも信用ならない
[備考]
※参戦時期はアニメ一期終了後です
※フジキドの参戦時期は少なくとも三部終了より前です。
※アクアの了承、もしくはアクアの意識が弱くなれば高遠が身体の主導権を握れます。
※アクアが聞こえるもの、見えるものは基本的に高遠と共有されます。
[身体]:フジキド・ケンジ@ニンジャスレイヤー
[状態]:健康、高遠への不信感、リョースケに対する暗めの感情
[装備]:ちゅんちゅん丸@この素晴らしい世界に祝福を!シリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない。
1:すぐに苺プロダクションの方に向かうか、それとも先に病院を調べるか…
2:リョースケがあの時と変わらないなら、俺は…
3:あかねの肉体の無事は確保しておきたい。
4:復讐とは関係ない殺人が俺にできるのか……?
5:高遠はどうにも信用ならない
[備考]
※参戦時期はアニメ一期終了後です
※フジキドの参戦時期は少なくとも三部終了より前です。
※アクアの了承、もしくはアクアの意識が弱くなれば高遠が身体の主導権を握れます。
※アクアが聞こえるもの、見えるものは基本的に高遠と共有されます。
【高遠遙一@金田一少年の事件簿】
[身体]:ナラク・ニンジャ@ニンジャスレイヤー
[状態]:健康
[思考・状況]基本方針:殺し合いに乗る気はない。
1:しばらくは星野君に協力する。私もこんな芸術性の欠片もない殺し合いで死にたくはないので
2:復讐ですか……
3:せめてリョースケ君との因縁はどうにか解消してあげたいですが…果たしてどんな手段を取らせるべきか…
4:もし星野君が人殺しを躊躇うなら、その時は変わってあげてもいい。変われるのなら
[備考]
※参戦時期は少なくとも魔術列車殺人事件終了以降です。
※ナラクの参戦時期は少なくとも三部終了より前です
[身体]:ナラク・ニンジャ@ニンジャスレイヤー
[状態]:健康
[思考・状況]基本方針:殺し合いに乗る気はない。
1:しばらくは星野君に協力する。私もこんな芸術性の欠片もない殺し合いで死にたくはないので
2:復讐ですか……
3:せめてリョースケ君との因縁はどうにか解消してあげたいですが…果たしてどんな手段を取らせるべきか…
4:もし星野君が人殺しを躊躇うなら、その時は変わってあげてもいい。変われるのなら
[備考]
※参戦時期は少なくとも魔術列車殺人事件終了以降です。
※ナラクの参戦時期は少なくとも三部終了より前です
[支給品紹介]
【ちゅんちゅん丸@この素晴らしい世界に祝福を!シリーズ】
カズマが日本刀を模して鍛冶屋に作らせた刀。
最初は長かったが、建物からの出入りの際に引っかかる等の理由で短く作り直された。
銘のちゅんちゅん丸はめぐみんが付けたもの。
カズマが日本刀を模して鍛冶屋に作らせた刀。
最初は長かったが、建物からの出入りの際に引っかかる等の理由で短く作り直された。
銘のちゅんちゅん丸はめぐみんが付けたもの。
30:森は人を迷わせる | 投下順に読む | 32:抗うためにエスケープ・フロム・ゲンジツ |
時系列順に読む | ||
登場話111:アベンジャー・アンド・ア・ワイル・ゴウ・アベンジャー・ウィズ・バディファイト | 星野愛久愛海 | |
高遠遙一 |