不覚。そうとしか言いようがなかった。
まさか精神と身体を入れ替えた状態での殺し合いを強制されるなんて。
まさか精神と身体を入れ替えた状態での殺し合いを強制されるなんて。
「……」
殺し合いという催しが行われる場所の一角で、手鏡を手にした一人の少女が神妙な顔つきで立ち尽くしていた。
背は低く、小学生高学年くらいだろうか。髪をツインテールに纏めており、年齢にしてはお洒落な服装をしている。
しかし、本人――この身体に入った精神の主はそれを気にする余裕もなかった。
背は低く、小学生高学年くらいだろうか。髪をツインテールに纏めており、年齢にしてはお洒落な服装をしている。
しかし、本人――この身体に入った精神の主はそれを気にする余裕もなかった。
「これは……なんということでしょう」
そう呟くことしかできなかった。
彼女の名は、雷電影(らいでん えい)。テイワット大陸における七神の統治する国の一つ、「永遠」の国・稲妻で、稲妻幕府の雷電将軍として信仰を集め、国を治める者。
つまるところ、影は神——雷元素を司る神であり、またの名をバアルゼブルである。
彼女の名は、雷電影(らいでん えい)。テイワット大陸における七神の統治する国の一つ、「永遠」の国・稲妻で、稲妻幕府の雷電将軍として信仰を集め、国を治める者。
つまるところ、影は神——雷元素を司る神であり、またの名をバアルゼブルである。
「まさか、このような幼子の身体を持つことになるなんて……」
この身体の元の主のことも気になるが、影にとってはるタブレット端末は未知の技術の産物であるために扱うことができず、プロフィールを確認することができなかった。
影が知らぬことだが、この身体の主の名は的場梨沙。この殺し合いがなければ、第三芸能課の小さなアイドルの卵として活動していたはずの小学生だ。
梨沙はアイドルとしての上昇志向が強く、年齢の割には生意気な面もある子だが、その中に入った精神が3000年以上も生きる神の一柱のため、見る者が見れば違和感を拭えないだろう。
影が知らぬことだが、この身体の主の名は的場梨沙。この殺し合いがなければ、第三芸能課の小さなアイドルの卵として活動していたはずの小学生だ。
梨沙はアイドルとしての上昇志向が強く、年齢の割には生意気な面もある子だが、その中に入った精神が3000年以上も生きる神の一柱のため、見る者が見れば違和感を拭えないだろう。
「『いなづまのやり』ですか。私の国と同じ名を冠する武器を手にできるとは何とも不思議な縁ですが……少し、この身体を試してみるとしましょう」
影は支給されていた「いなずまのやり」という槍を手に取り、薙刀の要領で振るってみる。
本体であれば、卓越した影の武人としての才能が合わさり、見る者の信仰さえも集める演舞が完成する――はずだった。
本体であれば、卓越した影の武人としての才能が合わさり、見る者の信仰さえも集める演舞が完成する――はずだった。
「あっ……」
しかし、影の願いとは裏腹に、それは叶わなかった。
影が槍を勢いよく薙ぎ払ったまではいいものの、槍の重さに引っ張られてしまい、影は身体ごと転んでしまった。
いなずまのやりが力なく音を立てて地面に落ちる。
影が槍を勢いよく薙ぎ払ったまではいいものの、槍の重さに引っ張られてしまい、影は身体ごと転んでしまった。
いなずまのやりが力なく音を立てて地面に落ちる。
「やはり、ですか。厄介なことになりました」
影の精神が分かっていても、梨沙の身体がついていかない。3000年以上もの歳月を生きて鍛錬を積んできた武人と、アイドルとしてのレッスンを受けてはいるものの弱冠12歳の小学生の間には、埋めがたい差があった。
特に、気になるのが年齢故のあまりにも成長の薄い胸だ。これでは、切り札である自身の武装――夢想の一心が出てくる角度が元の身体とはずれてしまい、抜くのに些か苦労しそうだった。
特に、気になるのが年齢故のあまりにも成長の薄い胸だ。これでは、切り札である自身の武装――夢想の一心が出てくる角度が元の身体とはずれてしまい、抜くのに些か苦労しそうだった。
「ならば――裁きの雷」
影は気持ちを切り替えて、今度は元素力を扱うためにその小さな手を振り払うようにして空間をなぞる。
すると梨沙の黒髪のツインテールが雷元素を象徴する紫に発光すると共に、空間が雷で切り裂かれ、その裂け目が開いて禍々しい眼が映し出された。
神変・悪曜開眼。雷電将軍の操る雷元素力の一片であり、凶星の手眼を操り、眷属に加護を、敵に雷罰を与える雷神としての権能。
すると梨沙の黒髪のツインテールが雷元素を象徴する紫に発光すると共に、空間が雷で切り裂かれ、その裂け目が開いて禍々しい眼が映し出された。
神変・悪曜開眼。雷電将軍の操る雷元素力の一片であり、凶星の手眼を操り、眷属に加護を、敵に雷罰を与える雷神としての権能。
「元素力は扱えるようですね」
神としての元素力は精神、または魂由来の能力であるためか、梨沙の幼い身体に宿った影でも雷元素を操ることができた。そこは不幸中の幸いだろう。
「しかし、どうしましょう……。『雷電将軍』がいるとはいえ、長期間稲妻を開けてしまうのは拙いですね」
この身体でできることを確認して、影はこれからのことを考える。
稲妻には、影に代わって統治を行う、人形の『雷電将軍』がいるとはいえ、急に影がいなくなったことを友人の八重神子や旅人に勘づかれてしまうと、心配をかけてしまう。
やはり、稲妻への帰還を目標にすべきだ。
稲妻には、影に代わって統治を行う、人形の『雷電将軍』がいるとはいえ、急に影がいなくなったことを友人の八重神子や旅人に勘づかれてしまうと、心配をかけてしまう。
やはり、稲妻への帰還を目標にすべきだ。
「ですが……稲妻へ帰還するとして、ここに招かれた者達の願いを踏みにじるというのも、気が進みませんね」
かつての自分であれば、そんなことは考えずに手段を選ばず帰ろうとしたのに、と影は内心で自嘲する。
数百年前の災厄で、影は姉である雷電眞(らいでん まこと)を、数多くの友人を、稲妻の民の大勢を、あまりにも多くのものを失った。
時が移ろうことによって摩耗すること、時が移ろうことによって失うこと――それらを極端に恐れた影は、何も失うことがない不変の「永遠」を追求するようになっていた。
人々の「願い」から目をそらし、何も聞き入れようとしなかった。
自身に代わって統治を行う人形の『雷電将軍』を造り、自身は意識空間である一心浄土に閉じこもっていた。
数百年前の災厄で、影は姉である雷電眞(らいでん まこと)を、数多くの友人を、稲妻の民の大勢を、あまりにも多くのものを失った。
時が移ろうことによって摩耗すること、時が移ろうことによって失うこと――それらを極端に恐れた影は、何も失うことがない不変の「永遠」を追求するようになっていた。
人々の「願い」から目をそらし、何も聞き入れようとしなかった。
自身に代わって統治を行う人形の『雷電将軍』を造り、自身は意識空間である一心浄土に閉じこもっていた。
だが、今は違う。
旅人との戦いで垣間見た、稲妻の民の「願い」の輝きと「願い」がもたらす可能性。
自分が不変であろうとも、自分の知らぬところで稲妻の民が変わり続けていたという現実。
時によって失うもの、時によって新たに得られるもの。
在りし日の姉が見せていた姿。
影はようやく、変わることによって紡がれていく「永遠」を見出した。
旅人との戦いで垣間見た、稲妻の民の「願い」の輝きと「願い」がもたらす可能性。
自分が不変であろうとも、自分の知らぬところで稲妻の民が変わり続けていたという現実。
時によって失うもの、時によって新たに得られるもの。
在りし日の姉が見せていた姿。
影はようやく、変わることによって紡がれていく「永遠」を見出した。
「ならば神として、敢えて茨の道を歩みましょう」
人々の願いを蹂躙するという狂った催しを開いた者を討つ、その上での帰還。
改めて握った槍には、影の決意が込められていた。
改めて握った槍には、影の決意が込められていた。
「――何者です」
そんな影の背後に、近づいてくる者がいた。
影はいち早く気づき、振り返る。
そして、影は目を見開いた。
影はいち早く気づき、振り返る。
そして、影は目を見開いた。
「――!!」
それは、旅人との戦いで人々の「願い」の輝きを見た時と似たような衝撃だったのかもしれない。
影は一瞬で理解した。影の前に立つ者の瞳には、「世界を救う」という決意と、願い、そして絶対に諦めない心が映っていた。
これほど強い願いを、影は見たことがなかった。
しばらくして、影はハッとする。
影は一瞬で理解した。影の前に立つ者の瞳には、「世界を救う」という決意と、願い、そして絶対に諦めない心が映っていた。
これほど強い願いを、影は見たことがなかった。
しばらくして、影はハッとする。
「ええと……信じてもらえるかは分かりませんが、私は殺し合いには乗っていません。その――」
影は自分の姿勢について、明確にしつつ、言葉を詰まらせながら目の前の男の全体像をもう一度見た。
「目つきだけは非常に澄んでいますね。……目つきだけは」
そう言われた男は、改めて手鏡で自分の姿を見る。
そう、男――この肉体の精神に宿った少年は、世界を救った勇者だった。大切な仲間や、多くのものを失いながらも、一度は魔王に支配されたロトゼタシアを救い、命の大樹の魂をも取り戻した勇者――イレブン。
だが、イレブンに宛がわれた肉体の主は、あろうことか万屋銀ちゃんの主である坂田銀時であった。
何より問題だったのは、「イレブンの精神が入ったことで、銀時の死んだ魚のような目つきがイレブンの目つきになっていた」ことだ。
そう、男――この肉体の精神に宿った少年は、世界を救った勇者だった。大切な仲間や、多くのものを失いながらも、一度は魔王に支配されたロトゼタシアを救い、命の大樹の魂をも取り戻した勇者――イレブン。
だが、イレブンに宛がわれた肉体の主は、あろうことか万屋銀ちゃんの主である坂田銀時であった。
何より問題だったのは、「イレブンの精神が入ったことで、銀時の死んだ魚のような目つきがイレブンの目つきになっていた」ことだ。
鏡に映った目つきだけは異様に綺麗な姿を見たイレブンはほんの少し身体を震わせ、改めて影を見る。
本来の肉体の主であれば、「テイワットの将軍かよォォォ!!」と叫んでいたであろうが、異様に綺麗な目に対してアンバランスな肉体を持ってしまった勇者は叫ばなかった。
本来の肉体の主であれば、「テイワットの将軍かよォォォ!!」と叫んでいたであろうが、異様に綺麗な目に対してアンバランスな肉体を持ってしまった勇者は叫ばなかった。
【イレブン(主人公)@ドラゴンクエストⅪ】
[身体]:坂田銀時@銀魂
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止めた上で帰還。
1:まずは目の前の女の子(雷電影)と情報を交換する。
[備考]
※参戦時期は時のオーブを破壊し、過ぎ去りし時を求めた以降です。
※イレブンの精神が入った影響で、目つきだけが銀時の死んだ魚のような目からイレブンの目つきに変わっています。
※プロフィールを見れていません。
[身体]:坂田銀時@銀魂
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止めた上で帰還。
1:まずは目の前の女の子(雷電影)と情報を交換する。
[備考]
※参戦時期は時のオーブを破壊し、過ぎ去りし時を求めた以降です。
※イレブンの精神が入った影響で、目つきだけが銀時の死んだ魚のような目からイレブンの目つきに変わっています。
※プロフィールを見れていません。
【雷電影@原神】
[身体]:的場梨沙@アイドルマスター シンデレラガールズ U149
[状態]:健康
[装備]:いなずまのやり@ドラゴンクエストシリーズ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]
基本方針:主催の撃破による稲妻への帰還。
1:この目つきだけは非常に澄んでいる人(イレブン)と情報を交換する。
2:この幼子の身体、動きにくいですね……。特に胸が薄いせいで夢想の一太刀を浴びせる時に苦労しそうです。
[備考]
※参戦時期は雷電将軍の伝説任務「天下人の章 第二章」クリア後です。
※元素力は精神由来の能力のため、元素力を操ることができます。
※プロフィールを見れていません。
[身体]:的場梨沙@アイドルマスター シンデレラガールズ U149
[状態]:健康
[装備]:いなずまのやり@ドラゴンクエストシリーズ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]
基本方針:主催の撃破による稲妻への帰還。
1:この目つきだけは非常に澄んでいる人(イレブン)と情報を交換する。
2:この幼子の身体、動きにくいですね……。特に胸が薄いせいで夢想の一太刀を浴びせる時に苦労しそうです。
[備考]
※参戦時期は雷電将軍の伝説任務「天下人の章 第二章」クリア後です。
※元素力は精神由来の能力のため、元素力を操ることができます。
※プロフィールを見れていません。
§
影とイレブンが出会った場所とはまた別の地点で、銀髪の髪をした女が佇んでいた。
「――なるほど」
慣れない手付きで、タブレットを操作した女はプロフィールを見て、冷徹な表情のまま決意を新たにした。
「この八意永琳という者の肉体と『蓬莱の薬』――嘘ではないようですね」
肉体は八意永琳、しかしそこに宿る精神は違っていた。
彼女は雷電将軍。だがそれは影のことではなく、影が作成した「人形」の雷電将軍そのものの人格だった。
それも、平時から影のコントロールを受けている時の「人形」ではない、影が「変化」に対する考えを改めたことで、影を排除しようと反旗を翻した時点の「人形」だ。
影は「人形」を作成した際に、不変の「永遠」を追い求めるためにあらゆる可能性を考慮し、「永遠の敵」を排除するよう調整した。その「永遠の敵」とは、いずれ心変わりをするかもしれない影自身すらも含まれていたのだ。
本来の時間軸であれば影と「人形」が刃を交えることで両者が和解していたはずなのだが、この「人形」の人格は、そうなる前から来てしまった。
彼女は雷電将軍。だがそれは影のことではなく、影が作成した「人形」の雷電将軍そのものの人格だった。
それも、平時から影のコントロールを受けている時の「人形」ではない、影が「変化」に対する考えを改めたことで、影を排除しようと反旗を翻した時点の「人形」だ。
影は「人形」を作成した際に、不変の「永遠」を追い求めるためにあらゆる可能性を考慮し、「永遠の敵」を排除するよう調整した。その「永遠の敵」とは、いずれ心変わりをするかもしれない影自身すらも含まれていたのだ。
本来の時間軸であれば影と「人形」が刃を交えることで両者が和解していたはずなのだが、この「人形」の人格は、そうなる前から来てしまった。
「内なる者は規則から逸脱した――ならば、私自身の手で稲妻に永遠をもたらしましょう。蓬莱の薬を稲妻の民全てに与え、稲妻を真なる「永遠」の国にするために」
八意永琳のプロフィールに書かれていた、「蓬莱の薬」とその効能。それは「人形」の興味を引くには十分すぎる内容であった。
蓬莱の薬のもたらす不老不死。これがあれば、稲妻の民が死ぬことはなくなり、誰も大切なものを時間によって失うことがなくなる。これがあれば、かつての影が追い求めていた「永遠」に大きく近づくことができる。
プロフィールによると、この八意永琳の肉体もまた、蓬莱の薬によって不老不死の肉体を得ているようではないか。
ならば「人形」の取る道は一つ。
この殺し合いを勝ち抜き、稲妻の民に不老不死をもたらすことだ。
蓬莱の薬のもたらす不老不死。これがあれば、稲妻の民が死ぬことはなくなり、誰も大切なものを時間によって失うことがなくなる。これがあれば、かつての影が追い求めていた「永遠」に大きく近づくことができる。
プロフィールによると、この八意永琳の肉体もまた、蓬莱の薬によって不老不死の肉体を得ているようではないか。
ならば「人形」の取る道は一つ。
この殺し合いを勝ち抜き、稲妻の民に不老不死をもたらすことだ。
――もはや「人形」の人格は、影の制御から離れた。
「人形」は稲妻の神として、不変の「永遠」を実現するために行動を開始する。
「人形」は稲妻の神として、不変の「永遠」を実現するために行動を開始する。
【雷電将軍(人形)@原神】
[身体]:八意永琳@東方project
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを勝ち抜き、蓬莱の薬を稲妻の民に服用させ、稲妻を真なる「永遠」の国とする。
1:邪魔者は排除する。
[備考]
※参戦時期は雷電将軍の伝説任務「天下人の章 第二章」にて、雷電影に対して反旗を翻した時です。
※名簿には「雷電将軍」の形で表記されています。
※元素力は精神由来の能力のため、元素力を操ることができます。
※八意永琳の肉体は制限によって、不死ではなくなっています。回復力は後の書き手にお任せします。
[身体]:八意永琳@東方project
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを勝ち抜き、蓬莱の薬を稲妻の民に服用させ、稲妻を真なる「永遠」の国とする。
1:邪魔者は排除する。
[備考]
※参戦時期は雷電将軍の伝説任務「天下人の章 第二章」にて、雷電影に対して反旗を翻した時です。
※名簿には「雷電将軍」の形で表記されています。
※元素力は精神由来の能力のため、元素力を操ることができます。
※八意永琳の肉体は制限によって、不死ではなくなっています。回復力は後の書き手にお任せします。
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