『それなら一緒に強くなろう。一人じゃ難しくても、一緒ならできるよ』
焼かれる
『つらくても誰かがいてくれたら…きっとどんな不安にも押し潰されない』
あなたの優しさが
『私たち魔法少女は、希望を…望みを力に変えられるんだよ?』
あなたの正しさが
『私と一緒に魔法少女になろう!』
灰も残らないくらいに、私を焼き潰す
ああ夢じゃ無いんだ。
頭上を見上げ、真っ先に思ったのがそれ。
月が私を見下ろしている。
言葉にすればロマンチックというか、そういう小説で使われそうなフレーズ。
現実にはそんな良いものじゃないんだけど。
頭上を見上げ、真っ先に思ったのがそれ。
月が私を見下ろしている。
言葉にすればロマンチックというか、そういう小説で使われそうなフレーズ。
現実にはそんな良いものじゃないんだけど。
恐ろしい形相が浮かんだ月が、私を睨みつけていた。
正確に言うと私一人じゃなくて、私達全員を。
正確に言うと私一人じゃなくて、私達全員を。
殺し合い、別人の体、月の落下。
流行りのゲームとか漫画の設定でありそうなそれらは全部、現実として私の身に降りかかっている。
趣味が悪いなとか、そう思いはしても不思議と恐いとは感じない。
私も普通の人間とは程遠い存在だからか。
流行りのゲームとか漫画の設定でありそうなそれらは全部、現実として私の身に降りかかっている。
趣味が悪いなとか、そう思いはしても不思議と恐いとは感じない。
私も普通の人間とは程遠い存在だからか。
それとも、既に死というものを経験しているから。
ハッキリと自分が死んだのを理解したとかじゃない。
最後に覚えているのは、ショックを受けた“彼女”の顔。
悪いことをしたと思ってる。
私がやったのは本気で助けようとしてくれた“彼女”を裏切るにも等しい行為。
一人だけ勝手に逃げて、挙句の果てに後の始末を押し付けてしまったようなもの。
最後に覚えているのは、ショックを受けた“彼女”の顔。
悪いことをしたと思ってる。
私がやったのは本気で助けようとしてくれた“彼女”を裏切るにも等しい行為。
一人だけ勝手に逃げて、挙句の果てに後の始末を押し付けてしまったようなもの。
最低のことだと理解しても、相手を傷付けると分かっても。
それでも私は逃げたかった。
結局は逃げ切れず、何故かこうして生き返っているのだけれど。
他人の体、それも殺し合いの参加者と言う嬉しくないおまけ付きで。
それでも私は逃げたかった。
結局は逃げ切れず、何故かこうして生き返っているのだけれど。
他人の体、それも殺し合いの参加者と言う嬉しくないおまけ付きで。
「うわっ…」
リュックサックから手鏡を取り出し、自分の顔を確認する。
思わず引いた声が出たのも、仕方のないことだと思う。
映っていたのは、当たり前だけど別人の顔。
それも、人の顔じゃあなかった。
思わず引いた声が出たのも、仕方のないことだと思う。
映っていたのは、当たり前だけど別人の顔。
それも、人の顔じゃあなかった。
ギョロリとした、六つの目。
それも人間や動物のとは明らかに違う、ギラギラした不気味な目だ。
時代錯誤な着物を着ているだとか、性別まで変わっているだとかは、この体の容姿に比べたら些細な問題な気さえする。
それも人間や動物のとは明らかに違う、ギラギラした不気味な目だ。
時代錯誤な着物を着ているだとか、性別まで変わっているだとかは、この体の容姿に比べたら些細な問題な気さえする。
「私…人前に出れるのかな…?」
体の持ち主には失礼だけど、この顔では誰であっても恐がらせてしまいそうだ。
まさかとは思うけど、顔のせいでいきなり攻撃される、とかは無い筈。
無いと言い切れないのが非常に困る。
まさかとは思うけど、顔のせいでいきなり攻撃される、とかは無い筈。
無いと言い切れないのが非常に困る。
手鏡をリュックに戻して、今度はタブレットを取り出した。
確か殺し合いの決まりが記されたとか何とか言っていたので、一応見ておく。
…実際、私は誰かを殺すとかやりたくない。
というより、どうすればいいかが分からない。
基本的なことを決められない現状から目を逸らす為と自覚しつつ、タブレット端末を起動。
画面に表示された、体のプロフィールとやらに目を通した。
確か殺し合いの決まりが記されたとか何とか言っていたので、一応見ておく。
…実際、私は誰かを殺すとかやりたくない。
というより、どうすればいいかが分からない。
基本的なことを決められない現状から目を逸らす為と自覚しつつ、タブレット端末を起動。
画面に表示された、体のプロフィールとやらに目を通した。
「鬼…」
読んで分かったのだけれど、この体の持ち主は悪い人、じゃなくて悪い鬼のようだ。
人を沢山殺し、食べて来た。
自分が所属していた組織を裏切り、リーダーの首を手土産に鬼にしてもらった。
裏切り云々に関しては私もとやかく言える立場じゃないけど、ここまで酷くはない。
それに奥さんと小さい子供を捨てたのも、正直どうかと思う。
何というか、控えめに言ってもヤバいという印象の拭えない男の人だ。人じゃないけど。
人を沢山殺し、食べて来た。
自分が所属していた組織を裏切り、リーダーの首を手土産に鬼にしてもらった。
裏切り云々に関しては私もとやかく言える立場じゃないけど、ここまで酷くはない。
それに奥さんと小さい子供を捨てたのも、正直どうかと思う。
何というか、控えめに言ってもヤバいという印象の拭えない男の人だ。人じゃないけど。
「……」
それでも何でだろうか。
嫌悪とか、そういうのはあんまり無くて。
どちらかと言うと、共感のような感情を抱いている自分に驚いた。
彼が鬼になった理由、彼を狂わせた存在。
双子の弟への嫉妬、それが何となく分かる気がするからだろうか。
プロフィールを読む限り、弟さんは物凄く強いくて正しさを持ち合わせているらしい。
自分には無いものを持つ弟さんへの妬みで、彼は道を踏み外した。
嫌悪とか、そういうのはあんまり無くて。
どちらかと言うと、共感のような感情を抱いている自分に驚いた。
彼が鬼になった理由、彼を狂わせた存在。
双子の弟への嫉妬、それが何となく分かる気がするからだろうか。
プロフィールを読む限り、弟さんは物凄く強いくて正しさを持ち合わせているらしい。
自分には無いものを持つ弟さんへの妬みで、彼は道を踏み外した。
彼にとっての弟とは、私にとっての“彼女”のようなものだと思う。
嫉妬を向けた事は一度もない。
優しい人だなと思った、手を握ってもらえて嬉しかった、助けになりたいと思った。
太陽みたいにあったかい、“彼女”の近くにいられたらと願ったのは本当のこと。
優しい人だなと思った、手を握ってもらえて嬉しかった、助けになりたいと思った。
太陽みたいにあったかい、“彼女”の近くにいられたらと願ったのは本当のこと。
でも“彼女は”、眩し過ぎた。
優しさも正しさも強さも、私が持っていない全てを兼ね備えていて。
優しさも正しさも強さも、私が持っていない全てを兼ね備えていて。
優しくされれば、自分の浅ましさを自覚した。
正しい言葉を掛けられれば、自分の間違いを突き付けられた。
強い“彼女”は弱い私を炙り出し、惨めな気持ちになるばかり。
正しい言葉を掛けられれば、自分の間違いを突き付けられた。
強い“彼女”は弱い私を炙り出し、惨めな気持ちになるばかり。
私にとって、環いろはという少女は猛毒にも等しい太陽だった。
無論、環さんを恨む気持ちなど微塵も無い。
全部私が弱かったからであって、環さんは何も悪くない。
今だって、環さんには申し訳ない思いばかりが募り出す。
全部私が弱かったからであって、環さんは何も悪くない。
今だって、環さんには申し訳ない思いばかりが募り出す。
だけど、逃げる事を選んだのは間違いなく本心からだ。
正しさに救われて、魔法少女を続ける。
この先も環さんや、環さんを大切に想っている七海さん達と一緒に、魔法少女の運命に抗う。
私には無理だ。
助けられてまだ魔法少女でいなきゃならないなら、助からなくて良い。
弱いままで終わった方が、私にはずっと救いになる。
正しさに救われて、魔法少女を続ける。
この先も環さんや、環さんを大切に想っている七海さん達と一緒に、魔法少女の運命に抗う。
私には無理だ。
助けられてまだ魔法少女でいなきゃならないなら、助からなくて良い。
弱いままで終わった方が、私にはずっと救いになる。
そうやって逃げた先が殺し合いなのだから、ある意味私には相応しいのかもしれない。
「私は……」
空を見上げて月と視線を合わせても、何も言わない。
どうするべきかを教えてはくれない。
どうするべきかを教えてはくれない。
私の手を引いてくれた太陽は見当たらず、月が黙って見下ろしていた。
【黒江@マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝(アニメ版)】
[身体]:黒死牟@鬼滅の刃
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いをする気は無いけど…。
1:どうすれば良いんだろう……。
[備考]
※参戦時期は死亡後。
[身体]:黒死牟@鬼滅の刃
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いをする気は無いけど…。
1:どうすれば良いんだろう……。
[備考]
※参戦時期は死亡後。
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