古代において、夜は死の象徴だった。
今より医学が発達しておらず、明かりも無い世界を出歩く危険性は死を意味した。
今より医学が発達しておらず、明かりも無い世界を出歩く危険性は死を意味した。
「ええい!なんだあの月は!ここは黄泉の国だとでも言うのか!」
ヤマタイ国の女王、ヒミコにとっても夜は恐怖だ。
古代日本においてそうだったかは分からないが、多くの神話において月は死の象徴である。
不気味な顔を浮かべ、3日後に落ちてくるその巨体は、まさに死のメタファーと言えるだろう。
死ぬことを恐れる彼女にとっては、その恐怖は何倍にもなる。
古代日本においてそうだったかは分からないが、多くの神話において月は死の象徴である。
不気味な顔を浮かべ、3日後に落ちてくるその巨体は、まさに死のメタファーと言えるだろう。
死ぬことを恐れる彼女にとっては、その恐怖は何倍にもなる。
「太陽!太陽はまだ昇らないの!」
太陽信仰は最も原始的な宗教である。
日本各地で太陽へ向けて石を並べた聖地や、火の鳥のレリーフが存在する程だ。
貴人の墓には日輪の祭壇を設けるなど古くから慣習としても伝わる。
昔の人々はただ一つ命の源として生の象徴たる太陽を信仰していた。
日本各地で太陽へ向けて石を並べた聖地や、火の鳥のレリーフが存在する程だ。
貴人の墓には日輪の祭壇を設けるなど古くから慣習としても伝わる。
昔の人々はただ一つ命の源として生の象徴たる太陽を信仰していた。
「そうだ!」
息を吸い、大きく吐く。
発火の一瞬、眩い輝きを放つと、一直線に炎が放たれた。
燃える草木は彼女の行く道を照らす、たいまつ代わりとなる。
発火の一瞬、眩い輝きを放つと、一直線に炎が放たれた。
燃える草木は彼女の行く道を照らす、たいまつ代わりとなる。
「ホホホ!明るくなった!アン、ドウ、トロア!」
常人なら立つことも出来ない灼熱の大地をものともせず、ヒミコはその上を楽しげにダンスする。
年老いて病に犯されていた頃は出来なかった、軽々しい動きだ。
燃えたぎるマグマで溢れた火山を住処とするオロチの身体は、火炎の最高位呪文すら無効にする。
大魔王ゾーマですら持っていない高い炎耐性を持つオロチならこんな道は余裕だ。
一直線に出来た炎の道筋は、まさに彼女専用のレッドカーペットといえる。
年老いて病に犯されていた頃は出来なかった、軽々しい動きだ。
燃えたぎるマグマで溢れた火山を住処とするオロチの身体は、火炎の最高位呪文すら無効にする。
大魔王ゾーマですら持っていない高い炎耐性を持つオロチならこんな道は余裕だ。
一直線に出来た炎の道筋は、まさに彼女専用のレッドカーペットといえる。
「火を操る力!実に日の巫女たる私にふさわしい!」
古代における火は、明かりであり、調理器具であり、武器であり、ライフラインだ。
日本神話におけるカグツチなど、火を奉る信仰は古くから存在する。
人間は火を扱えたからこそ、繁栄したのだ。
日本神話におけるカグツチなど、火を奉る信仰は古くから存在する。
人間は火を扱えたからこそ、繁栄したのだ。
「しかし、暑さは平気とは言え蒸れるな……扇風機とアイスクリームぐらい用意しておかんか!」
そうして火を灯しながら進んでいくと、
玉座が飾られた前方後円墳の影が見えた。
地図で言うところの『玉座のある古墳』である。
玉座が飾られた前方後円墳の影が見えた。
地図で言うところの『玉座のある古墳』である。
「なっ、墓ではないか!?エンギが悪いわっ!」
卑弥呼がどのように葬られたかは作中で語られていないが、魏志倭人伝にこの様な史料がある。
『卑弥呼以死 大作冢 徑百餘歩 狥葬者奴碑百餘人』とあり、
簡単に言えば、『卑弥呼の墓を直径百歩の大きさで作った。奴隷が百人程殉死した』と言う意味。
彼女の墓として有力説とされるのが、奈良県の箸墓古墳である。
『卑弥呼以死 大作冢 徑百餘歩 狥葬者奴碑百餘人』とあり、
簡単に言えば、『卑弥呼の墓を直径百歩の大きさで作った。奴隷が百人程殉死した』と言う意味。
彼女の墓として有力説とされるのが、奈良県の箸墓古墳である。
「こんなチンケな墓に玉座だと?ふん、女王は私1人で充分じゃ」
276mの箸墓古墳と比べれば、確かに小さいと感じるだろう。
死を忌み嫌うヒミコにとっては縁起でもない施設だが、調べてみる。
わざわざ地図に書かれている程の玉座だ、女王として気になりはする。
頂上へと登れば、座ったものを次王として讃える虎の毛皮が被せられた玉座が置かれている。
死を忌み嫌うヒミコにとっては縁起でもない施設だが、調べてみる。
わざわざ地図に書かれている程の玉座だ、女王として気になりはする。
頂上へと登れば、座ったものを次王として讃える虎の毛皮が被せられた玉座が置かれている。
「ほう、確かに良い椅子じゃ、座り心地も良い。ヤマタイ国に持って帰るとするか」
ちなみに『玉座のある古墳』と称されているが、この古墳のロケ地は群馬県高崎市にある八幡塚古墳である。
5世紀頃に作られた豪族の墓とされるその古墳は、平成の時代に綺麗に舗装され、復元整備されたものだ。
ん?平成?舗装?
5世紀頃に作られた豪族の墓とされるその古墳は、平成の時代に綺麗に舗装され、復元整備されたものだ。
ん?平成?舗装?
「お前たちの平成って醜くないか?(幻聴)」ダッテージンセーハイッカーイ♪
「誰じゃ醜いと言ったのは!その目つぶしてやる!……気のせいか」
「誰じゃ醜いと言ったのは!その目つぶしてやる!……気のせいか」
完全に気のせいなのだが、この椅子に座っていると平成を私物化して歴史を舗装する男の声が聴こえそうな気がした。
椅子をヤマタイ国に持って帰ろうかとも思ったが、その気も失せた。
椅子をヤマタイ国に持って帰ろうかとも思ったが、その気も失せた。
「これはなんだ?虫けらの顔か?」
椅子の脇にはヒミコの目が見てもよくわからない置物がある。
常磐ソウゴが集め、常磐SOUGOが奪い、この古墳で手元に置いていた平成ライダー達のライドウォッチなのだが、意味がわかるはずもない。
常磐ソウゴが集め、常磐SOUGOが奪い、この古墳で手元に置いていた平成ライダー達のライドウォッチなのだが、意味がわかるはずもない。
「それになんじゃこの土くれは、墓への供え物か?」
この古墳には道沿いに筒状の円筒埴輪が配置されている。
また、一般的によく知られる人や動物を模した形象埴輪は、少し離れた内堤部分に綺麗に並べられている。
また、一般的によく知られる人や動物を模した形象埴輪は、少し離れた内堤部分に綺麗に並べられている。
「こんな土くれより人間を埋めるのはどうじゃ?
偉大な女王の死を悲しんで何十、何百人も後を追う!フフ美しい話じゃ。映画にすると絶対泣かせるぞ」
偉大な女王の死を悲しんで何十、何百人も後を追う!フフ美しい話じゃ。映画にすると絶対泣かせるぞ」
埴輪という文化が生まれるのは、彼女の没後から一世紀ほど後の為、それが作られた意味が理解出来ない。
人型の埴輪は無駄に生き埋めとして死ぬ民の命を救うために考えられたものだ。
人型の埴輪は無駄に生き埋めとして死ぬ民の命を救うために考えられたものだ。
「しかし!私はヤマタイ国の永遠の女王!墓なんて作る気は無い!いつまでも若く、いつまも美しくあるのだ!」
ヒミコは日本における太陽信仰の祖である。
彼女の名の一説に日御子というのがある、文字通り太陽に使える者だ。
また、一説によればヒミコと、古事記に書かれている天照大御神は同一存在であるとも称される。
火の鳥世界の古事記は、後にヤマトが作り出したプロパガンダのため、この説は採用出来ないのだが、
なんにせよ太陽という火のメタファーを背後に持つからこそ、権力と宗教が結びつき彼女は王女として恐れられた。
カメの甲を火にくべて、その割れ目で罪を決めるなんていう、でたらめな占いであってもだ。
彼女の名の一説に日御子というのがある、文字通り太陽に使える者だ。
また、一説によればヒミコと、古事記に書かれている天照大御神は同一存在であるとも称される。
火の鳥世界の古事記は、後にヤマトが作り出したプロパガンダのため、この説は採用出来ないのだが、
なんにせよ太陽という火のメタファーを背後に持つからこそ、権力と宗教が結びつき彼女は王女として恐れられた。
カメの甲を火にくべて、その割れ目で罪を決めるなんていう、でたらめな占いであってもだ。
「祝え!これが新たな女王の門出となる1ページ目じゃ!」
大きく炎を吐けば、古墳に飾られた円筒埴輪に沿って一斉に火が走っていく。
まるでウォズがこの場所でゼロワンや常磐ソウゴを祝ったときの光景を再現するかのように。
まるでウォズがこの場所でゼロワンや常磐ソウゴを祝ったときの光景を再現するかのように。
「目が、目があああああ!」
「何事だ!」
「何事だ!」
叫び声が上がった。
暗闇の中、急な炎の閃光で目が眩んだらしい。
暗闇の中、急な炎の閃光で目が眩んだらしい。
「貴様もこのヒミコの糧となるがいい!」
叫び声を頼りに進めば、地面に付きそうなほど長い髪に、手足の先まで衣服に包まれた少女が見える。
この様な和装はヒミコの時代にはまだ無かったが、質の良い衣服という事は理解できる。
ヒミコは目を擦る女へと近づき、その面を見た。
この様な和装はヒミコの時代にはまだ無かったが、質の良い衣服という事は理解できる。
ヒミコは目を擦る女へと近づき、その面を見た。
「あ、ああ!」
ヒミコは別の意味で目が眩んだ。
それは、目の前の人物があまりに美しすぎたからだ。
それは、目の前の人物があまりに美しすぎたからだ。
思わず天女、あるいは神かと思った。
それは、太陽と対比される存在である月の姫。
かぐや姫として現代まで語られ、その美しさから5人の貴族を虜にした絶世の美女。
まだ竹取物語を知らぬヒミコであれ、その美しさは理解できる。
それは、太陽と対比される存在である月の姫。
かぐや姫として現代まで語られ、その美しさから5人の貴族を虜にした絶世の美女。
まだ竹取物語を知らぬヒミコであれ、その美しさは理解できる。
「……なんて美しいの」
「私と勝負するかね!」
「私と勝負するかね!」
目を押さえて錯乱していた美少女は、次の瞬間には自信満々にドヤ顔を決めていた。
せっかくの美貌もその中身は混沌としていた。
せっかくの美貌もその中身は混沌としていた。
「私は素晴らしい力を持つムスカ大佐DA!」
「ふ、ふん、おだまり!私はヤマタイ国の女王、ヒミコだぞ!」
「ふ、ふん、おだまり!私はヤマタイ国の女王、ヒミコだぞ!」
ヒミコはなんとか気を保つ。
どれだけ相手が美しかろうと自分には力があるのだと、自信を鼓舞する。
どれだけ相手が美しかろうと自分には力があるのだと、自信を鼓舞する。
「これはこれは王女様ではないか!私はラピュタの正当な王位継承者ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ。君はラピュタ王の前に居るのだ」
「楽太郎だかロビタ王だか知らんが、そんな国は聞いたこともないわ!」
「楽太郎だかロビタ王だか知らんが、そんな国は聞いたこともないわ!」
ヒミコが知っているのは火の国クマソやマツロ国、ヨマ国、そして日本国王の印を賜った魏の国といったところだ。
これが返答代わりと、その美しい顔めがけて『ほのお』を思いっきり吹き付けてやる。
これが返答代わりと、その美しい顔めがけて『ほのお』を思いっきり吹き付けてやる。
「何をする!目がああ、目がああああああああ!」
「ホーホッホ!まっこと醜い!」
「ホーホッホ!まっこと醜い!」
歴史に残る程の美貌は一瞬で失われた。
目を抑え、爛れてしまった部分を守るその仕草は痛々しさしか感じない。
目を抑え、爛れてしまった部分を守るその仕草は痛々しさしか感じない。
「なんと楽な身体よ!」
火を自在に扱える立場になったという時点で、ヒミコにとって自分は神様になったも当然だ。
こんな力があれば、もう自分に敵う人間は居ない。その事がヒミコは嬉しくて仕方がない。
老いて病に伏せていたときとは比べ物にすらならない龍の力を思う存分に震えるのだ、さぞかし格別な気分だろう。
こんな力があれば、もう自分に敵う人間は居ない。その事がヒミコは嬉しくて仕方がない。
老いて病に伏せていたときとは比べ物にすらならない龍の力を思う存分に震えるのだ、さぞかし格別な気分だろう。
「簡単!!簡単!!」
歴史上において八岐大蛇の名が登場するのは、卑弥呼没後の古事記であるためその伝承を彼女が知っていたかは定かではない。
どちらにせよ、こんなにも強い身体があれば優勝も簡単だろうと慢心するのは変わらない。
強さを得た身体に溺れる様な笑みを浮かべながら、その怪力を振るい止めを刺そうとする。
どちらにせよ、こんなにも強い身体があれば優勝も簡単だろうと慢心するのは変わらない。
強さを得た身体に溺れる様な笑みを浮かべながら、その怪力を振るい止めを刺そうとする。
「何度でも蘇るさ!」
「えっ」
「えっ」
ムスカが抑えていた手を外せば、顔に覆っていた痛々しい火傷は即座に代謝が進み、シワの一つもない綺麗な白い肌へと戻っていく。
彼の肉体たる輝夜は蓬莱の薬を飲んだことで不老不死の肉体を持ち、外傷を負っても再生する。
稗田阿求によると、同様に薬を飲んだ藤原妹紅は『怪我の治りが異様に早く、大怪我を負っても数日で元通りになる』と称されている。
彼の肉体たる輝夜は蓬莱の薬を飲んだことで不老不死の肉体を持ち、外傷を負っても再生する。
稗田阿求によると、同様に薬を飲んだ藤原妹紅は『怪我の治りが異様に早く、大怪我を負っても数日で元通りになる』と称されている。
「おおおおおまえ!その身体!まさか!火の鳥の血を飲んだのか!」
ある意味では近い、輝夜は火の鳥たる藤原妹紅と日頃から殺し合う程の仲だ。
輝夜の身体は炎術を操る彼女と三百年も殺し合い、焼かれることを経験している。
グレートアクターによる耐久の向上も合わせれば、死ぬ程のダメージではない。
この程度の炎ならば、死に達するよりも、治るほうが速かった。
痛みはあるのだが、何度も死んでは生き返る戦法を主体に行うムスカにとっては慣れたものだ。
輝夜の身体は炎術を操る彼女と三百年も殺し合い、焼かれることを経験している。
グレートアクターによる耐久の向上も合わせれば、死ぬ程のダメージではない。
この程度の炎ならば、死に達するよりも、治るほうが速かった。
痛みはあるのだが、何度も死んでは生き返る戦法を主体に行うムスカにとっては慣れたものだ。
「おのれ!ならば、そのハラワタ食らいつくしてやる!」
やまたのおろちは生贄として若い娘を好んで捕食していた。
それに引き摺られたのか、思わず食らいたいという言葉が出た。
ヒミコは知らない事だが、蓬莱人の生き肝を食すると食べた人も不老不死になると言われている。
ハラワタを食ってしまえば、ヒミコは念願の不死になれると言えるだろう。
それに引き摺られたのか、思わず食らいたいという言葉が出た。
ヒミコは知らない事だが、蓬莱人の生き肝を食すると食べた人も不老不死になると言われている。
ハラワタを食ってしまえば、ヒミコは念願の不死になれると言えるだろう。
ヒミコは正体を現し、怪竜やまたのおろちへと姿を変えた。
隣の古墳と並ぶほどの巨体になると、5つの頭でもう一度狙いを付ける。
今度は顔面だけではなく全身を覆える程焼き尽くせるように、大きくいきをすいこむ。
隣の古墳と並ぶほどの巨体になると、5つの頭でもう一度狙いを付ける。
今度は顔面だけではなく全身を覆える程焼き尽くせるように、大きくいきをすいこむ。
「ハハハ!君にぜひ見てもらいたい!ラピュタ王の命乞い!」
『ひのいき』、『もえさかるかえん』、『はげしいほのお』と、次第に威力が高まる炎がムスカへと迫る。
ムスカは避けもせず、地面に伏せ高速で頭を下げた。
ムスカは避けもせず、地面に伏せ高速で頭を下げた。
「私はGO★MI★DA!許して許して許して許して!いい子だ!いい子だ!私はいい子だから!」
幻想郷で起きた第二次月面戦争ではスキマ妖怪が月人に頭を下げたが、この世界では月の姫が許しを請うという逆の構図となった。
「情緒不安定か!ソーウツ病ならメンタルクリニックに行け!」
MAD動画仕様のツギハギセリフは、急に笑ったり落ち着いたり媚びたりと落ち着かない。
思わず手塚漫画特有の時代背景に合わないカタカナ語が出る。
思わず手塚漫画特有の時代背景に合わないカタカナ語が出る。
ムスカのふざけたリアクションは、それだけ余裕があるということだ。
どんな卑怯な手段を使おうが最終的に勝てばよかろうなカオスバトルの住民にとって、命乞いなんて相手のペースを崩すためのただの手段に過ぎない。
どんな卑怯な手段を使おうが最終的に勝てばよかろうなカオスバトルの住民にとって、命乞いなんて相手のペースを崩すためのただの手段に過ぎない。
「ムス(怒)私をあまり怒らせない方がいいぞ!よく眠れたかな?私は頑丈だよ」
ムスカは土下座をやめ、不機嫌になりつつも煽りで返す。
高温で焼かれた身体は非常に痛々しいが、何一つ意に返さず、じわじわと治っていく。
支給品で向上した防御力や、地に伏せて直撃を避けたのもあるが、『はげしいほのお』は戦闘の経験を積んだ人間なら数発は耐えられる威力。
藤原妹紅に幾度となく焼かれた彼女を即死させるには至らない。
ムスカ自身もカオスバトラーとして、サイヤ人やらウルトラマンやら仮面ライダーやら上弦の鬼やらの強敵達と戦わされてきた男である。痛みには慣れている。
どれだけ高威力な攻撃で爆死しても怯まず、次の瞬間には平気な顔で何度でも立ち上がるのがカオスバトルムスカだ。
高温で焼かれた身体は非常に痛々しいが、何一つ意に返さず、じわじわと治っていく。
支給品で向上した防御力や、地に伏せて直撃を避けたのもあるが、『はげしいほのお』は戦闘の経験を積んだ人間なら数発は耐えられる威力。
藤原妹紅に幾度となく焼かれた彼女を即死させるには至らない。
ムスカ自身もカオスバトラーとして、サイヤ人やらウルトラマンやら仮面ライダーやら上弦の鬼やらの強敵達と戦わされてきた男である。痛みには慣れている。
どれだけ高威力な攻撃で爆死しても怯まず、次の瞬間には平気な顔で何度でも立ち上がるのがカオスバトルムスカだ。
「おのれ!火が効かんならば、この牙で食いちぎってやる!」
「歯歯歯歯歯歯歯!読める読めるぞ!」
「歯歯歯歯歯歯歯!読める読めるぞ!」
オロチの5つの頭は、人間が1行動できる間に2度の行動を可能とする。
それなのに噛みつきは何一つ当たらず、ムスカはひらりと身を交わす。
それなのに噛みつきは何一つ当たらず、ムスカはひらりと身を交わす。
輝夜は『永遠と須臾を操る能力』を持つ。
須臾とは、凄く短い時間の事である
人間が感知出来ない程の一瞬で、彼女はその一瞬の集合体だけを使って行動する事が出来るという。
須臾とは、凄く短い時間の事である
人間が感知出来ない程の一瞬で、彼女はその一瞬の集合体だけを使って行動する事が出来るという。
一瞬の猶予があれば、首の来る方向を読んで回避するのは容易い。
ヒミコの方も慣れない巨体で、感情任せのやみくもな動きというのもあるが、ムスカは28歳(32歳の場合もある)にして大佐に上り詰めた程に狡猾な男。瞬時の判断は速い。
ラピュタ本編でもロボット兵の対処に、即座に冷静で的確な指揮を出していた。
ヒミコの方も慣れない巨体で、感情任せのやみくもな動きというのもあるが、ムスカは28歳(32歳の場合もある)にして大佐に上り詰めた程に狡猾な男。瞬時の判断は速い。
ラピュタ本編でもロボット兵の対処に、即座に冷静で的確な指揮を出していた。
また、ムスカが経験してきたカオスバトルはその多くがノーガード戦だ。
枠に囲まれて回避が出来ず、相手の技に耐えられなければ即座に負けとなる戦いを繰り返してきた。
それと比べれば、今回の戦いは避けていいうえに、グレートアクターで高まった回避と輝夜の能力による猶予時間もあるのだ、楽なものだろう。
枠に囲まれて回避が出来ず、相手の技に耐えられなければ即座に負けとなる戦いを繰り返してきた。
それと比べれば、今回の戦いは避けていいうえに、グレートアクターで高まった回避と輝夜の能力による猶予時間もあるのだ、楽なものだろう。
「おのれ!私は日の元の女王だぞ!おとなしく食われろ!」
「汚静かに!私はサンは嫌いです!」
「汚静かに!私はサンは嫌いです!」
急にもののけ姫をdisったのではなく太陽を意味するSUNだ。
ムスカが属するカオスバトル四天王には松岡修造という者がいる。
太陽の様な暑苦しさを武器にし、何度もムスカと腕を競った腐れ縁であった。
ムスカが属するカオスバトル四天王には松岡修造という者がいる。
太陽の様な暑苦しさを武器にし、何度もムスカと腕を競った腐れ縁であった。
「さっさと逃げればいいものをwwwww」
「何を笑うか!その美しさ!不死の身体!私によこせ!」
「何を笑うか!その美しさ!不死の身体!私によこせ!」
欲しいは正義だ。ほんの目の前にある美しく不老不死の身体。
ヒミコが生涯を通じてずっと追い求め、手に入った瞬間に失ったもの。
それが目の前にあって、諦めて逃げるなんて事は出来ない。
ヒミコが生涯を通じてずっと追い求め、手に入った瞬間に失ったもの。
それが目の前にあって、諦めて逃げるなんて事は出来ない。
「シューティング玉座の的は城壁じゃないか」
だけど、ヒミコの噛みつきはムスカには届かない。
ムスカは空耳語録を駆使し、弾幕を放ち自らを狙うオロチの首を撃ち落とす。
まさに城壁のようだ。
ムスカは空耳語録を駆使し、弾幕を放ち自らを狙うオロチの首を撃ち落とす。
まさに城壁のようだ。
「これは僅かだが心ばかりのお礼だ、とっておきたまえ。見ろ!この巨大な飛行石を!」
ムスカを中心に幾何学模様の魔力が集まり魔法陣となり、宝石の様な輝きを放つ。
それは飛行石ではないが、太陽の輝きにも似た深紅色のルビーを彷彿とさせる。
それは飛行石ではないが、太陽の輝きにも似た深紅色のルビーを彷彿とさせる。
「見せてあげよう、ラピュタの雷を!」
「雷だと!?おいばか!よさぬか!」
「雷だと!?おいばか!よさぬか!」
ヒミコの身体が身震いした。
高耐性を持つオロチだが、勇者が放つ雷属性の技は弱点である。
肉体のプロフィールを事前に目を通していた事でその事は知っていた。
高耐性を持つオロチだが、勇者が放つ雷属性の技は弱点である。
肉体のプロフィールを事前に目を通していた事でその事は知っていた。
「旧約聖書にあるソドムとゴモラを滅ぼした天の火だよ、ラーマヤーナではインドラの矢とも伝えているがね」
大嘘である。
「氏ねえええええええ!」
動画サイトの規制対策に【死】を【氏】として伏せる言い回しだ。
全方位へと放たれたレーザーとヒミコを直接狙う巨大な赤い玉が合わさった弾幕は、幻想郷最速の天狗でもなければ回避は難しい。
やまたのおろちの巨体も、ただの的にしかならない。
全方位へと放たれたレーザーとヒミコを直接狙う巨大な赤い玉が合わさった弾幕は、幻想郷最速の天狗でもなければ回避は難しい。
やまたのおろちの巨体も、ただの的にしかならない。
ムスカが放ったそのスペルカードは、新難題「エイジャの赤石」。
どこかの不老不死の一族が太陽を克服するために求めた秘石の名前が付けられている。
それが太陽信仰の祖へと放たれたのは、ある意味皮肉だろう。
どこかの不老不死の一族が太陽を克服するために求めた秘石の名前が付けられている。
それが太陽信仰の祖へと放たれたのは、ある意味皮肉だろう。
「うぐっ……雷じゃ、ないのか……」
音声素材の都合ゆえに雷と称しただけで、このスペルカードは雷属性でもなんでもない。
この石の熱さは天狗曰く石焼き芋の石並み。やまたのおろちの熱耐性なら、衝撃のダメージはあるが耐えられた。
この石の熱さは天狗曰く石焼き芋の石並み。やまたのおろちの熱耐性なら、衝撃のダメージはあるが耐えられた。
「君にぜひ見てもらいたい!最高のショー!」
たび重なる戦いを経験したムスカは、ここで油断して攻めを止める様な男ではない。
取り出したのは善滅薬。心に宿る悪の心を増強させる薬だ。
漆黒のオーラが身を包み、ムスカの力をさらに引き上げる。
取り出したのは善滅薬。心に宿る悪の心を増強させる薬だ。
漆黒のオーラが身を包み、ムスカの力をさらに引き上げる。
「私はメガァアアアアアムスカ大佐だ!」
カオスバトルを始めとするMAD動画において、ムスカはフリー素材の様な扱いをされる。
ネット黎明期から玩具にされ続けた男は、伝統芸能のように同じセリフを繰り返すだけではない。
ライバルの赤い道化師のMADが、新素材により令和ドナルドとして再ブームを起こしたように、ムスカもメガシンカを遂げる。
ネット黎明期から玩具にされ続けた男は、伝統芸能のように同じセリフを繰り返すだけではない。
ライバルの赤い道化師のMADが、新素材により令和ドナルドとして再ブームを起こしたように、ムスカもメガシンカを遂げる。
「凄い!凄い!凄い!」
カオスバトルでムスカが出来ることは、ラピュタ本編のツギハギだけではない。
例えば動画によってはドナスカ大佐というキャラになり、ドナルドと融合させられたこともある。
他のバトラーと協力関係を築き、タッグ技を生み出す事もある。
カオスバトルがMAD動画である以上、素材の追加や組み合わせにより新たな展開はできるということだ。
例えば動画によってはドナスカ大佐というキャラになり、ドナルドと融合させられたこともある。
他のバトラーと協力関係を築き、タッグ技を生み出す事もある。
カオスバトルがMAD動画である以上、素材の追加や組み合わせにより新たな展開はできるということだ。
「封印が解けたのだ!ロリごっこは終わりDA!」
輝夜はロリのように見た目は若いが数億年は生きている。
彼女の『須臾を操る能力』は応用すれば異なる複数の歴史を持てるという。
その詳細には不明な点が多いが、作中でも永夜返しの際に霊夢、魔理沙、咲夜、妖夢、幽々子の弾を使いこなしていた事から、平行世界の力を扱えるのではないかとの考察がある。
その能力によりムスカは、異なる歴史を歩んだ自分を音声素材として追加した。
彼女の『須臾を操る能力』は応用すれば異なる複数の歴史を持てるという。
その詳細には不明な点が多いが、作中でも永夜返しの際に霊夢、魔理沙、咲夜、妖夢、幽々子の弾を使いこなしていた事から、平行世界の力を扱えるのではないかとの考察がある。
その能力によりムスカは、異なる歴史を歩んだ自分を音声素材として追加した。
「初めて私の姿を見たときから、君はすでに負けていたのだよ。私の恐怖……テラーにね」
音声ツギハギではないスムーズなセリフ。
今のムスカより数十年は年季を得た声。
インターネットにおいてムスカは、俳優ネタで寺田農の関連作品と組み合わされる事がよくある。
善滅薬と輝夜の能力を組み合わせ、ムスカというネットミームに刻まれた悪……すなわち寺田農の演じたヴィラン達のセリフを新素材として追加した。
そうはならんやろ?なっとるやろがい!
ムスカはカオスバトルを無秩序にすると称される程に自由な男。
カオスバトルはルール無用、超展開はよくあることだ。
今のムスカより数十年は年季を得た声。
インターネットにおいてムスカは、俳優ネタで寺田農の関連作品と組み合わされる事がよくある。
善滅薬と輝夜の能力を組み合わせ、ムスカというネットミームに刻まれた悪……すなわち寺田農の演じたヴィラン達のセリフを新素材として追加した。
そうはならんやろ?なっとるやろがい!
ムスカはカオスバトルを無秩序にすると称される程に自由な男。
カオスバトルはルール無用、超展開はよくあることだ。
「こ、怖くなんかないぞ!私は神!私の権力は絶対なもの!なんでもできる!」
「はははははは!嫌いです!さっさと死ねぇ!」
「はははははは!嫌いです!さっさと死ねぇ!」
神という言葉は、好敵手たる赤いアフロの教祖様を彷彿とさせ苛立たせる。
信者達が『神ィ!?』として教祖を信仰しているからだ。
あのピエロにラン★ラン★ルーという言葉とともに爆破されたり、ハンバーガーで潰された思いが蘇り、即座にムスカを苛立たせた。
もはや運営に気を使うこともなく、伏せ字もやめた。
信者達が『神ィ!?』として教祖を信仰しているからだ。
あのピエロにラン★ラン★ルーという言葉とともに爆破されたり、ハンバーガーで潰された思いが蘇り、即座にムスカを苛立たせた。
もはや運営に気を使うこともなく、伏せ字もやめた。
「3分間舞ってやる!」
その怒りは隙だらけのヒミコへと、腹いせにぶつけられる。
音MAD用語に『ドラム』という言葉がある。
アニメ等のワンシーンの音を加工し、繰り返すことで文字通りドラムの音にする事だ。
アニメのMADなどでは人を殴るシーンなどを繰り返して使われる事がよくある。
音MAD用語に『ドラム』という言葉がある。
アニメ等のワンシーンの音を加工し、繰り返すことで文字通りドラムの音にする事だ。
アニメのMADなどでは人を殴るシーンなどを繰り返して使われる事がよくある。
今ヒミコが受けているのがそれである。
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇ!」
「グァァ!グァァ!グァァ!グァァ!グァァ!」
「グァァ!グァァ!グァァ!グァァ!グァァ!」
カオスバトル動画の前身となった、うごメモの『ドナルドVSムスカ』のように逐一妙なポーズを挟みながら竜の頭部へと高く飛びラッシュを決める。
ふざけているようにしか見えないが、その威力は計り知れない。
ふざけているようにしか見えないが、その威力は計り知れない。
「アホアホアホアホアホアホアホアホアホアホアホアホ!」
「グァァ!グァァ!グァァ!グァァ!グァァ!」
「グァァ!グァァ!グァァ!グァァ!グァァ!」
能力で瞬時に移動し、ヒミコが状況を理解するよりも早く、次の頭部の目の前へ。
肉体の輝夜には巨大な金閣寺の一枚天井を持ち上げたとの逸話もある。
善滅薬でさらに高まったその怪力を振り下ろせば、やまたのおろちの巨体だろうとダメージは入る。
肉体の輝夜には巨大な金閣寺の一枚天井を持ち上げたとの逸話もある。
善滅薬でさらに高まったその怪力を振り下ろせば、やまたのおろちの巨体だろうとダメージは入る。
「ゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミのようだ!」
「グァァ!グァァ!グァァ!グァァ!グァァ!」
「グァァ!グァァ!グァァ!グァァ!グァァ!」
3分間リンチし続けた。
それはムスカの体感時間であり、実際には数十秒程の光景だった。
ラピュタ本編でも3分と言いつつ50秒で切り上げる男に時間感覚を求めてはいけない。
それはムスカの体感時間であり、実際には数十秒程の光景だった。
ラピュタ本編でも3分と言いつつ50秒で切り上げる男に時間感覚を求めてはいけない。
「グアアアアアアアア!」
ド ン ★
『やまたのおろちを やっつけた!』
『5300の けいけんちをてにいれた』
『やまたのおろちは たからばこをおとしていった!
ムスカは たからばこを あけた!
なんと くさなぎのけん をみつけた!』
『5300の けいけんちをてにいれた』
『やまたのおろちは たからばこをおとしていった!
ムスカは たからばこを あけた!
なんと くさなぎのけん をみつけた!』
テテテッテッテテー!
『ムスカのレベルがあがった! Lv53のようだ!』
カオスバトル仕様で何故か発生した爆発とDQ演出があわさり、非常に騒がしくヒミコは倒された。
【ヒミコ(身体:ヒミコ@ドラゴンクエストIII そして伝説へ)@火の鳥 黎明編 撃破】