誰もいない道路に座り込み、私はタブレットを操作していた。
「環さんたちは……いないみたいだね……」
知り合いの名前がないことに、安堵のため息が漏れる。
合わせる顔がないというのもあるけど、彼女たちが危険にさらされたなかったのが素直に嬉しい。
こんな地獄みたいな戦いに参加させられるのは、私だけで充分だ。
ただ厳密に言えば、知ってるかもしれない名前はある。
「佐倉杏子」。ほんの少しの間だけマギウスの翼にいた子が、こんな名前だった気がする。
もっとも私は、ほとんど関わることはなかったけど。
それに彼女は、肉体だけが参加させられている。
仮に会ったところで、どうにもならない。
そういえば、私の名前が「黒江」としか書いてないのはなんでだろう。
他の魔法少女に、ほとんど自分のフルネームを教えてなかったせい?
まあ他にも本名とは思えない名前がいっぱいあるし、深い意味はないのかもしれない。
合わせる顔がないというのもあるけど、彼女たちが危険にさらされたなかったのが素直に嬉しい。
こんな地獄みたいな戦いに参加させられるのは、私だけで充分だ。
ただ厳密に言えば、知ってるかもしれない名前はある。
「佐倉杏子」。ほんの少しの間だけマギウスの翼にいた子が、こんな名前だった気がする。
もっとも私は、ほとんど関わることはなかったけど。
それに彼女は、肉体だけが参加させられている。
仮に会ったところで、どうにもならない。
そういえば、私の名前が「黒江」としか書いてないのはなんでだろう。
他の魔法少女に、ほとんど自分のフルネームを教えてなかったせい?
まあ他にも本名とは思えない名前がいっぱいあるし、深い意味はないのかもしれない。
「それより問題なのは、こっちだよねえ……」
私の視線の先にある名前は、「黒死牟」。
この体の本来の持ち主も、この場にいる。
もし遭遇したら、どうなるんだろう。
問答無用で襲いかかってくるのか、それとも話し合いになるのか。
プロフィールを読んだだけの私では、想像できない。
この体の本来の持ち主も、この場にいる。
もし遭遇したら、どうなるんだろう。
問答無用で襲いかかってくるのか、それとも話し合いになるのか。
プロフィールを読んだだけの私では、想像できない。
「後は、地図も配信されてるんだっけ……」
画面を切り替えようとした、その時。
「フハハハハハハ!!」
多分そう遠くない場所から、異様にテンションの高い笑い声が聞こえてきた。
◆ ◆ ◆
「そうか! 貴様もいるのか、少佐!
まだ戦争がし足りないらしいな!
いいだろう! 今度は私が直々に、地獄に送り返してやる!」
まだ戦争がし足りないらしいな!
いいだろう! 今度は私が直々に、地獄に送り返してやる!」
声の方に行ってみると、そこには街灯の下でタブレットを見ながら叫ぶお兄さんがいた。
たぶん、かなりのイケメンなんだけど……それが台無しになるくらい、表情が怖い。
何だか地獄に送り返すとか物騒なこと言ってるし、たぶん関わらない方がいい人だ。
私は、すぐにその場を立ち去ろうとした。だけどそれより一瞬早く、お兄さんがこっちに気づいた。
たぶん、かなりのイケメンなんだけど……それが台無しになるくらい、表情が怖い。
何だか地獄に送り返すとか物騒なこと言ってるし、たぶん関わらない方がいい人だ。
私は、すぐにその場を立ち去ろうとした。だけどそれより一瞬早く、お兄さんがこっちに気づいた。
「っ!」
私は、慌てて逃げ出した。
「おいおい、つれないじゃないか」
しかし回り込まれてしまった!
「え、な、なんで? 距離、50メートルは……。
加速の魔法?」
「まあ、落ち着け。今の私は、誰彼かまわずケンカを売るような気分じゃない。
化物(フリーク)同士、仲良くお話ししようじゃないか。
おっと、中身まで化物とは限らんのだったな。これは失敬」
「フレーク……? コーン……じゃないですよね?」
「むう? 微妙に言葉が通じていないのか?
人ならざるもの、ということだ」
「人じゃないもの……」
加速の魔法?」
「まあ、落ち着け。今の私は、誰彼かまわずケンカを売るような気分じゃない。
化物(フリーク)同士、仲良くお話ししようじゃないか。
おっと、中身まで化物とは限らんのだったな。これは失敬」
「フレーク……? コーン……じゃないですよね?」
「むう? 微妙に言葉が通じていないのか?
人ならざるもの、ということだ」
「人じゃないもの……」
私に、否定はできない。
魔法少女になり、魔女に堕ちた私は、人間と呼べる存在から遠ざかってしまったのだから。
魔法少女になり、魔女に堕ちた私は、人間と呼べる存在から遠ざかってしまったのだから。
「そう、ですね……。
私も……もう人間じゃないですね……」
「何やら、訳ありのような言い方だな。
詳しく聞かせてもらおうか」
私も……もう人間じゃないですね……」
「何やら、訳ありのような言い方だな。
詳しく聞かせてもらおうか」
私は魔法少女について自分の知っていることを、洗いざらいお兄さんに話した。
初対面の人に言うようなことじゃない。
でも言ってしまったのは、それで少しでもこの心が軽くなればいいと思ったのかもしれない。
お兄さんは最初、興味津々という様子だった。
でも話が進むにつれ、その表情はどんどん険しくなっていった。
初対面の人に言うようなことじゃない。
でも言ってしまったのは、それで少しでもこの心が軽くなればいいと思ったのかもしれない。
お兄さんは最初、興味津々という様子だった。
でも話が進むにつれ、その表情はどんどん険しくなっていった。
「気に入らんな」
一通り話が終わると、お兄さんは低い声でそう言った。
「まあ、私がとやかく言えた立場ではないかもしれんが……。
まだ判断力が未熟な若者を狙い、甘い餌をぶら下げて『人間でなくなる』という重要な部分を伏せて契約を結ばせる。
ヘドが出るほどに悪質だ。
それに……化物は人間が倒すからこそ美しいのだろうに」
まだ判断力が未熟な若者を狙い、甘い餌をぶら下げて『人間でなくなる』という重要な部分を伏せて契約を結ばせる。
ヘドが出るほどに悪質だ。
それに……化物は人間が倒すからこそ美しいのだろうに」
その言葉は、魔法少女というシステムそのものを非難するものだった。
でも私には、どこか自分が責められているように感じられて……。
気がつくと、私はまた逃げだそうとしていた。
でも私には、どこか自分が責められているように感じられて……。
気がつくと、私はまた逃げだそうとしていた。
「おいおい、まだ話している途中だろう」
そして、また回り込まれてしまった。
「何か私の言葉が気に触ったのなら謝罪するが……。
敏捷性を強化するこの腕輪をつけた私から、逃げられるとは思わないことだ」
敏捷性を強化するこの腕輪をつけた私から、逃げられるとは思わないことだ」
そう言いながら、お兄さんは右腕につけられたリングを見せつけるようなポーズを取る。
あの異様な足の速さは、そういうことだったらしい。
あの異様な足の速さは、そういうことだったらしい。
「まあ貴様がその体を使いこなせていれば、逃げることも可能だったろうが……。
動きが雑すぎる。貴様、この1時間ろくに慣らしをしなかったな?」
動きが雑すぎる。貴様、この1時間ろくに慣らしをしなかったな?」
その通りだ。私はここに連れてこられてから今まで、何もしていなかった。
ただ、漫然と時間を過ごしていただけだ。
ただ、漫然と時間を過ごしていただけだ。
「あなたの言う通りです……。私は、何もしなかった……」
気がつくと、私は地面に膝をついていた。
「もう、何もしたくないんです……。
誰も助けたくないし、誰にも助けられたくない……。
死んで、やっと解放されたはずだったのに……こんな体でまた生かされてる!
私は……どうしたらいいんですか?
教えてくださいよ……」
誰も助けたくないし、誰にも助けられたくない……。
死んで、やっと解放されたはずだったのに……こんな体でまた生かされてる!
私は……どうしたらいいんですか?
教えてくださいよ……」
私は、すがるようにお兄さんの顔を見上げる。
「すまないが、私におまえを導く権利はない。
私もまた、逃げた者だからだ。
人間であることに耐えられず、化物になってしまったのが私だ」
「それじゃあ……お兄さんも人間じゃないんですね」
「ああ、そうだ……。
本来の私は、吸血鬼だ。
名前はいろいろあるが……名簿にはアーカードと書かれているようだな」
「吸血鬼……」
私もまた、逃げた者だからだ。
人間であることに耐えられず、化物になってしまったのが私だ」
「それじゃあ……お兄さんも人間じゃないんですね」
「ああ、そうだ……。
本来の私は、吸血鬼だ。
名前はいろいろあるが……名簿にはアーカードと書かれているようだな」
「吸血鬼……」
完全に空想上の存在だと思っていたものが実在することに、ちょっとビックリする。
まあ魔法少女だって一般的には実在すると思われてないし、今の体は鬼なんだけど。
まあ魔法少女だって一般的には実在すると思われてないし、今の体は鬼なんだけど。
「さて、それを知ってどうする、魔法少女よ。
もう一度言うが、私ではおまえを導けん。
だが、おまえが勝手に学び取れる何かはあるかもしれないな。
私と来るか? それとも、一人でいくか?」
「わざわざ、聞かないでくださいよ……」
もう一度言うが、私ではおまえを導けん。
だが、おまえが勝手に学び取れる何かはあるかもしれないな。
私と来るか? それとも、一人でいくか?」
「わざわざ、聞かないでくださいよ……」
私は、ゆっくりと立ち上がる。
「このままさまよい続けてたって、何にもなりません。
だったら、少しでも変われるかもしれない方を選びます」
「いいだろう。歓迎するぞ、魔法少女」
だったら、少しでも変われるかもしれない方を選びます」
「いいだろう。歓迎するぞ、魔法少女」
私の言葉に、アーカードさんが笑う。
ものすごく怖い笑顔で。
ものすごく怖い笑顔で。
正直ちょっとだけ後悔したけど、この選択は間違ってないと思う。
「自分も逃げた」と、アーカードさんは言った。
でも今の彼は、そんな弱い人には見えない。
この人は今まで、どんな経験をしてきたんだろう。
それを理解すれば、私が進むべき道も見つかるかもしれない。
「自分も逃げた」と、アーカードさんは言った。
でも今の彼は、そんな弱い人には見えない。
この人は今まで、どんな経験をしてきたんだろう。
それを理解すれば、私が進むべき道も見つかるかもしれない。
「さて、どこに行こうか」
考え込む私をよそに、アーカードさんはタブレットを取り出す。
どうやら、地図を見ているらしい。
そういえば、私もまだ見てなかったっけ……。
どうやら、地図を見ているらしい。
そういえば、私もまだ見てなかったっけ……。
「どうやらハレルヤランドというのが、向こうに見える遊園地のようだな。
あれはあれで興味深いが……施設の多い、南東の市街地を目指す方が面白そうか。
この体に縁のある施設もあるようだしな。
本来の彼も、ここを目指す可能性は高い」
あれはあれで興味深いが……施設の多い、南東の市街地を目指す方が面白そうか。
この体に縁のある施設もあるようだしな。
本来の彼も、ここを目指す可能性は高い」
この体……今のアーカードさんが使ってる、銀髪のイケメンお兄さんに縁のある施設があるらしい。
どれだろう。
どれだろう。
「ここからは、地下鉄で移動できるのか。
よし、さっそく向かうぞ。
ついてこい、婦警2号」
「え、何号って?
あの、私、黒江って名前で……」
「そうか。では行くぞ、クロエル」
「いや、なんか天使みたくなってますけど!?」
よし、さっそく向かうぞ。
ついてこい、婦警2号」
「え、何号って?
あの、私、黒江って名前で……」
「そうか。では行くぞ、クロエル」
「いや、なんか天使みたくなってますけど!?」
私の言葉にかまわず歩き出すアーカードさんさんを、慌てて追いかける。
気がつけば、少しだけ心が軽くなっている気がする。
ひょっとして、私に気を遣って軽口を叩いてくれたんだろうか。
気がつけば、少しだけ心が軽くなっている気がする。
ひょっとして、私に気を遣って軽口を叩いてくれたんだろうか。
環さん……私、もうちょっとだけ生きてみるよ。
もう遅いのかもしれないけど、それでももうちょっとだけ。
もう遅いのかもしれないけど、それでももうちょっとだけ。
【C-4 街 南部/深夜】
【アーカード@HELLSING】
[身体]:ロナルド@吸血鬼すぐ死ぬ
[状態]:健康
[装備]:フリントロック式44口径6連発リボルバー(残弾50)@ONE PIECE、星降る腕輪@ドラゴンクエストIII
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1
[思考・状況]基本方針:主催の撃破
1:積極的に戦うつもりはないが、向こうから攻撃されれば容赦はしない。
2:駅に行き、地下鉄で南東の街に向かう。
3:少佐はサーチアンドデストロイ。
4:できればロナルド本人に会っておきたい。
[備考]
※参戦時期は本編終了後
[身体]:ロナルド@吸血鬼すぐ死ぬ
[状態]:健康
[装備]:フリントロック式44口径6連発リボルバー(残弾50)@ONE PIECE、星降る腕輪@ドラゴンクエストIII
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1
[思考・状況]基本方針:主催の撃破
1:積極的に戦うつもりはないが、向こうから攻撃されれば容赦はしない。
2:駅に行き、地下鉄で南東の街に向かう。
3:少佐はサーチアンドデストロイ。
4:できればロナルド本人に会っておきたい。
[備考]
※参戦時期は本編終了後
【黒江@マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝(アニメ版)】
[身体]:黒死牟@鬼滅の刃
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いをする気は無いけど…。
1:アーカードに同行する。
2:黒死牟さんにあったらどうしよう……。
[備考]
※参戦時期は死亡後。
[身体]:黒死牟@鬼滅の刃
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いをする気は無いけど…。
1:アーカードに同行する。
2:黒死牟さんにあったらどうしよう……。
[備考]
※参戦時期は死亡後。
【星降る腕輪@ドラゴンクエストIII】
装備すると、素早さが2倍になる装飾品。
「III」ではイシスの宝として安置されている。
装備すると、素早さが2倍になる装飾品。
「III」ではイシスの宝として安置されている。
| 12:光の星から宇宙の為に | 投下順に読む | 14:戦いの時 解き放たれた心に宿した火よ |
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| 登場話69:ヴァンパイア・クロス | アーカード | |
| 登場話12:手を伸ばしても/手を振り払っても | 黒江 |