◆
得物は刀剣、なれど刀使としての戦法は発揮不可能。
武器の質が高くても、御刀でなければ写シを始め多くの技は使えない。
なれば頼れるは可奈美自身の腕と、この地で得た呼吸法。
鬼滅を為さんとする剣士の技で以て、此度の敵を屠るまで。
武器の質が高くても、御刀でなければ写シを始め多くの技は使えない。
なれば頼れるは可奈美自身の腕と、この地で得た呼吸法。
鬼滅を為さんとする剣士の技で以て、此度の敵を屠るまで。
振るう得物は帝都のアサシン、岡田以蔵の愛刀。
守る剣の使い手が、よりにもよって人斬りの武器を支給されるとは皮肉だろう。
とはいえ千鳥が手元に無い可奈美にとっては、無くてはならない代わりの刀。
写シ抜きの高い運動能力、嘗ての糸見沙耶香やこの地での五大院相手にやった無刀取りの技術があると言っても。
やはり剣が無ければできることは大きく減る。
守る剣の使い手が、よりにもよって人斬りの武器を支給されるとは皮肉だろう。
とはいえ千鳥が手元に無い可奈美にとっては、無くてはならない代わりの刀。
写シ抜きの高い運動能力、嘗ての糸見沙耶香やこの地での五大院相手にやった無刀取りの技術があると言っても。
やはり剣が無ければできることは大きく減る。
人を殺す事に迷いは多い、しかし人ならざる者の脅威を退けるとあらば話は別。
姫和と二人で逃避行をしていた時でさえ、荒魂を放置しなかった少女だ。
敵がマルガムという錬金術の産物に変わったとて、守りたい想いに揺らぎは無し。
水の呼吸の型と同じく覚えた全集中の呼吸を発動、身体能力を底上げし疾走。
姫和と二人で逃避行をしていた時でさえ、荒魂を放置しなかった少女だ。
敵がマルガムという錬金術の産物に変わったとて、守りたい想いに揺らぎは無し。
水の呼吸の型と同じく覚えた全集中の呼吸を発動、身体能力を底上げし疾走。
抜き放った一刀の元に斬り伏せ、早々に決着を付ける。
早く終わらせられればその分、他の者の加勢へ向かえるのだから。
だが現実の光景となるかは別であり、可奈美の剣は敵の刃に防がれた。
ノコギリ状の刃が付いた緑の両腕こそ、マンティスマルガムの武器。
急所への一撃は届かず、ならば押し切るまでと両腕に体重を掛ける。
早く終わらせられればその分、他の者の加勢へ向かえるのだから。
だが現実の光景となるかは別であり、可奈美の剣は敵の刃に防がれた。
ノコギリ状の刃が付いた緑の両腕こそ、マンティスマルガムの武器。
急所への一撃は届かず、ならば押し切るまでと両腕に体重を掛ける。
(…っ!重い…!)
しかし敵は微塵も微動だにせず、僅かに体を揺らせもしない。
そればかりか反対に押し返されて、腕へ負担が一気に襲う。
このままでは刀諸共真っ二つにされ兼ねない。
そればかりか反対に押し返されて、腕へ負担が一気に襲う。
このままでは刀諸共真っ二つにされ兼ねない。
「オレを忘れんな虫野郎!」
仲間の危機に駆け付けるは可奈美と同じ刀使。
小柄な体躯とは不釣り合いな大剣を振り被って、薫が距離を詰める。
写シは勿論、呼吸法も使えずそもそも存在自体知らない為身体強化は無く。
鍛え上げた素の能力を最大に発揮し駆け、マンティスマルガムへと振り下ろす。
大太刀の祢々切丸を自身の御刀にしているだけあって、膂力は同年代の刀使と比べても非常に高い。
小柄な体躯とは不釣り合いな大剣を振り被って、薫が距離を詰める。
写シは勿論、呼吸法も使えずそもそも存在自体知らない為身体強化は無く。
鍛え上げた素の能力を最大に発揮し駆け、マンティスマルガムへと振り下ろす。
大太刀の祢々切丸を自身の御刀にしているだけあって、膂力は同年代の刀使と比べても非常に高い。
叩っ斬るべく迫る刃へマンティスマルガムの意識も移る。
片腕で可奈美を押し飛ばし、次いで両腕を大剣に叩き付けた。
甲高い衝突音が響き、両者の得物が互いを破壊せんと鎬を削る。
片腕で可奈美を押し飛ばし、次いで両腕を大剣に叩き付けた。
甲高い衝突音が響き、両者の得物が互いを破壊せんと鎬を削る。
腕に力を籠め押し切らんとするも、敵もまたNPCながら馬鹿に出来ない力強さだ。
錬金術師グリオンが冥黒の力を使い生み出したのが、このマンティスマルガム。
冥黒の三姉妹が一人、クロトーがケミーを取り込んだ時以上の力を発揮する強力な個体である。
写シを使った上で八幡力による強化を行ったならまだしも、素の薫では防御を崩せない。
体力をじわじわ削られ、逆に大剣をすり抜け一撃を食らう羽目になってもおかしくはなかった。
錬金術師グリオンが冥黒の力を使い生み出したのが、このマンティスマルガム。
冥黒の三姉妹が一人、クロトーがケミーを取り込んだ時以上の力を発揮する強力な個体である。
写シを使った上で八幡力による強化を行ったならまだしも、素の薫では防御を崩せない。
体力をじわじわ削られ、逆に大剣をすり抜け一撃を食らう羽目になってもおかしくはなかった。
――水の呼吸 壱ノ型 水面斬り
尤も、そうさせない為にもう一人がいるのだが。
口での合図はいらない、背後からの気配で即座に意図を察する。
薫が真横へ跳ぶや否やマンティスマルガムの目の前には可奈美の姿が。
疾走と同時に刀を水平に振る、水の呼吸の基本となる技を放つ。
口での合図はいらない、背後からの気配で即座に意図を察する。
薫が真横へ跳ぶや否やマンティスマルガムの目の前には可奈美の姿が。
疾走と同時に刀を水平に振る、水の呼吸の基本となる技を放つ。
複雑な動作を必要としない分、安定した威力と速度を誇る。
これをマンティスマルガム、両腕の交差で防ぐも先の一撃よりも重く速い。
防御を取ったまま足底がアスファルトから離れ、後方へと引っ張られるように飛ぶ。
遠く吹き飛ぶのを悠長に見送らず、次の型へと即座に移行。
これをマンティスマルガム、両腕の交差で防ぐも先の一撃よりも重く速い。
防御を取ったまま足底がアスファルトから離れ、後方へと引っ張られるように飛ぶ。
遠く吹き飛ぶのを悠長に見送らず、次の型へと即座に移行。
――水の呼吸 弐ノ型 横水車
疾走の勢いを殺さず水平方向に回転。
本来は垂直に回転するがこういった使い方もあり、今はこちらを選択。
威力のみならず攻撃範囲も壱の型より上。
吹き飛ぶマンティスマルガムへすぐに追い付き、刃の範囲内へと封じ込めた。
本来は垂直に回転するがこういった使い方もあり、今はこちらを選択。
威力のみならず攻撃範囲も壱の型より上。
吹き飛ぶマンティスマルガムへすぐに追い付き、刃の範囲内へと封じ込めた。
刃が当たった箇所は両腕、胴体他急所へのダメージにはならず。
しかしこれで良い、回転斬りを叩き付けられては平然としてられなかったのだろう。
両腕の防御は崩れて無防備な体を晒した。
試合ならばともかく荒魂退治と大体同じ状況で、再度構え直すまでの猶予を与える気は無い。
踏み込み決着の為の剣を振るった。
しかしこれで良い、回転斬りを叩き付けられては平然としてられなかったのだろう。
両腕の防御は崩れて無防備な体を晒した。
試合ならばともかく荒魂退治と大体同じ状況で、再度構え直すまでの猶予を与える気は無い。
踏み込み決着の為の剣を振るった。
(っ!駄目だ…!)
が、マンティスマルガムの両腕が突如発光し急遽行動を変える。
攻撃では無く回避へ、防ぎ切れるか不明な以上は安易に受けの姿勢を取れない。
判断は間違っておらず、可奈美目掛けて三重の斬撃が飛来。
思った以上に範囲の広い攻撃だ、飛び退いた先で地面を転がりどうにか躱す。
攻撃では無く回避へ、防ぎ切れるか不明な以上は安易に受けの姿勢を取れない。
判断は間違っておらず、可奈美目掛けて三重の斬撃が飛来。
思った以上に範囲の広い攻撃だ、飛び退いた先で地面を転がりどうにか躱す。
意識が片方の刀使へ移ったなら、もう片方が叩くチャンスだ。
死角に入り込んだ薫が跳躍、マンティスマルガムの頭上を取る。
両腕の強度は高いようだが流石に頭部は幾分脆い筈。
可奈美へ続けて斬撃を放つより先に仕留めようとし、だが敵は弾かれたようにこちらを見上げた。
死角に入り込んだ薫が跳躍、マンティスマルガムの頭上を取る。
両腕の強度は高いようだが流石に頭部は幾分脆い筈。
可奈美へ続けて斬撃を放つより先に仕留めようとし、だが敵は弾かれたようにこちらを見上げた。
「クソッ!勘のいい奴…!」
毒づくも既に大剣を振り下ろした後。
今更中断は出来ず、マンティスマルガムが振り回す腕とぶつかり合う。
得物が弾かれた際の衝撃を利用し一旦距離を取る。
離れた相手に斬撃を飛ばそうとするも、その前に動くのは可奈美だ。
刀を使う者として距離を詰めるのは慣れた動作。
迅移が使えない分は呼吸により走力を上げ、刀の届く位置へと移動。
振り被った気配で気付いたのか、マンティスマルガムも腕を駆使し己へ刃を届かせない。
今更中断は出来ず、マンティスマルガムが振り回す腕とぶつかり合う。
得物が弾かれた際の衝撃を利用し一旦距離を取る。
離れた相手に斬撃を飛ばそうとするも、その前に動くのは可奈美だ。
刀を使う者として距離を詰めるのは慣れた動作。
迅移が使えない分は呼吸により走力を上げ、刀の届く位置へと移動。
振り被った気配で気付いたのか、マンティスマルガムも腕を駆使し己へ刃を届かせない。
刀と両腕が幾度も衝突する中で、敵の力を見極める。
人でない故か腕力は呼吸を使った自分や、五大院よりも高い。
打ち合いを続けても腕に負担を強いり、自分で不利な状況を作るだけ。
よって得物をぶつけるのではなく回避を取り、合間を縫って斬り付ける。
と言っても肉体の強度も高い以上、水の呼吸の型をしっかり当てねば倒せない。
参加者相手で無い分、一切容赦なく斬れるのはやりやすい。
人でない故か腕力は呼吸を使った自分や、五大院よりも高い。
打ち合いを続けても腕に負担を強いり、自分で不利な状況を作るだけ。
よって得物をぶつけるのではなく回避を取り、合間を縫って斬り付ける。
と言っても肉体の強度も高い以上、水の呼吸の型をしっかり当てねば倒せない。
参加者相手で無い分、一切容赦なく斬れるのはやりやすい。
但しマンティスマルガムも簡単に自身の命をくれてやりはしない。
仮面ライダーマジェードを相手取れるだけの戦闘力を持つマルガムだ。
主催者の手で再現されたNPCだろうと、強さ自体は一切低下していない。
右腕を躱した可奈美に蹴りが放たれ、これを後方に跳んでやり過ごす。
再度接近に動く気なのは明白、だから近付けないようにするまでのこと。
仮面ライダーマジェードを相手取れるだけの戦闘力を持つマルガムだ。
主催者の手で再現されたNPCだろうと、強さ自体は一切低下していない。
右腕を躱した可奈美に蹴りが放たれ、これを後方に跳んでやり過ごす。
再度接近に動く気なのは明白、だから近付けないようにするまでのこと。
両腕に掻き集めたエネルギー量は、クロトーが姿を変えた時の数倍。
暗黒の波動の過剰摂取により基礎能力のみならず、斬撃を飛ばす技も強化済み。
わざわざ近寄らずとも離れた位置から腕を振るうだけでいい。
獲物二人を切り刻む刃が次から次へと放たれる。
周囲の建造物や電柱が呆気なく破壊され、隠れ潜むのは意味と伝える。
言われなくてもコソコソ隠れるつもりはない、互いに身を捩って回避に動く。
暗黒の波動の過剰摂取により基礎能力のみならず、斬撃を飛ばす技も強化済み。
わざわざ近寄らずとも離れた位置から腕を振るうだけでいい。
獲物二人を切り刻む刃が次から次へと放たれる。
周囲の建造物や電柱が呆気なく破壊され、隠れ潜むのは意味と伝える。
言われなくてもコソコソ隠れるつもりはない、互いに身を捩って回避に動く。
「セコくてめんどい攻撃すんなよ…!」
「でも、倒せない相手じゃない…!」
「でも、倒せない相手じゃない…!」
大剣を盾に使う薫と、駆け回って躱す可奈美。
人でない者の相手はこれが初めてでは無いが、御刀無しの戦闘は滅多に経験するものでない。
しかし薫の言うように面倒な攻撃をするだけで、決して倒せない敵に非ず。
斬撃の範囲と数は厄介、だが他に目立って脅威と思える点は無い。
となればそろそろ避けているだけを終わりにし、反撃に移る頃合いだ。
両の瞳に敵をしかと捉え大きく踏み込み、
人でない者の相手はこれが初めてでは無いが、御刀無しの戦闘は滅多に経験するものでない。
しかし薫の言うように面倒な攻撃をするだけで、決して倒せない敵に非ず。
斬撃の範囲と数は厄介、だが他に目立って脅威と思える点は無い。
となればそろそろ避けているだけを終わりにし、反撃に移る頃合いだ。
両の瞳に敵をしかと捉え大きく踏み込み、
握り締めた刀が絡め取られた。
○
拳と拳、蹴りと蹴りの衝突はこれで十数度目。
互いに何発放ったかを一々数えてはいない。
片や意味の無い事柄へ思考を割く程呑気で無く、片や自我があるかも怪しいNPC。
グリードとアマゾン、彼らの拳を常人が受け止めようものなら二度とマトモに物を掴めはしない。
共に人を超えた者同士、打撃の威力も肉体の強度も既存の生物を超える。
互いに何発放ったかを一々数えてはいない。
片や意味の無い事柄へ思考を割く程呑気で無く、片や自我があるかも怪しいNPC。
グリードとアマゾン、彼らの拳を常人が受け止めようものなら二度とマトモに物を掴めはしない。
共に人を超えた者同士、打撃の威力も肉体の強度も既存の生物を超える。
攻撃を当てた回数ではアンクが勝るも、トンボアマゾンが受けた傷は微々たるもの。
只の人間なら数発でも死は免れない。
だがトンボアマゾンは未だ健在、タフという言葉が見る者の頭に浮かぶだろう。
只の人間なら数発でも死は免れない。
だがトンボアマゾンは未だ健在、タフという言葉が見る者の頭に浮かぶだろう。
「チッ…」
舌打ち一つを零す間にも、敵は何度目になるかの蹴りを放つ。
鋭く、それでいて重い一撃だ。
肘を叩き付け防ぎ、反対にアンクも拳を叩き付ける。
狙うは顔面、アマゾンだろうと脆い箇所は一部の個体を除き人間と変わらない。
命中し怯めば一気に畳みかけるチャンス、但し当たらなければ代わり映えのしない攻防の繰り返し。
頭部を下げ回避し、屈んだ体勢のまま拳を突き出す。
当たってやらないのはアンクとて同じ、腕を振るって払い落とす。
鋭く、それでいて重い一撃だ。
肘を叩き付け防ぎ、反対にアンクも拳を叩き付ける。
狙うは顔面、アマゾンだろうと脆い箇所は一部の個体を除き人間と変わらない。
命中し怯めば一気に畳みかけるチャンス、但し当たらなければ代わり映えのしない攻防の繰り返し。
頭部を下げ回避し、屈んだ体勢のまま拳を突き出す。
当たってやらないのはアンクとて同じ、腕を振るって払い落とす。
(分かっちゃいたが前より力が落ちてやがるな…)
姫和に憑依した時から薄々察してはいたが、トンボアマゾンを相手にし確信を抱く。
今のアンクのコアとなるのは割れたタカメダルと、財団X製のメダルの計二枚。
元々会場に解き放たれていたNPCはそれなりに力のある個体はいても、倒すのが非常に困難な程の強さでは無い。
放送後に会場へ送られたドゴルドならともかく、基本的には戦闘が不得意な参加者でも支給品や工夫次第で撃破可能。
アンクもその例外では無く本人が思ったように、嘗てのコアメダルを巡った戦いの時よりも弱体化している。
少なくとも、恐竜グリードと化した火野映司と戦った時程の力は現状発揮不可能だ。
今のアンクのコアとなるのは割れたタカメダルと、財団X製のメダルの計二枚。
元々会場に解き放たれていたNPCはそれなりに力のある個体はいても、倒すのが非常に困難な程の強さでは無い。
放送後に会場へ送られたドゴルドならともかく、基本的には戦闘が不得意な参加者でも支給品や工夫次第で撃破可能。
アンクもその例外では無く本人が思ったように、嘗てのコアメダルを巡った戦いの時よりも弱体化している。
少なくとも、恐竜グリードと化した火野映司と戦った時程の力は現状発揮不可能だ。
コアメダルも二枚のみであり、しかも片方は割れて力の半減は免れない。
過去には事ある毎にメダルメダルと繰り返す同胞へ嫌気が差したというに、今はメダルが不足するせいで頭を痛める羽目になるとは。
もう一度舌打ちを零しトンボアマゾンの蹴りを躱す。
過去には事ある毎にメダルメダルと繰り返す同胞へ嫌気が差したというに、今はメダルが不足するせいで頭を痛める羽目になるとは。
もう一度舌打ちを零しトンボアマゾンの蹴りを躱す。
だが足りない自分の力を補う方法はある。
前の戦いの時と同じ、人間の協力者を使って切り抜けるのみ。
タンタンタンという小気味良い音を立てて銃弾が発射。
離れた位置からトンボアマゾンを狙い撃つのはリュージ、手には先程回収したばかりのアサルトライフル。
アリウススクワッドのリーダー、錠前サオリが効率重視でカスタマイズを施した愛銃だ。
元はセッコに支給された銃も、スタンド使いである為か使わず仕舞われたままとなり、こうしてリュージの手に渡った。
前の戦いの時と同じ、人間の協力者を使って切り抜けるのみ。
タンタンタンという小気味良い音を立てて銃弾が発射。
離れた位置からトンボアマゾンを狙い撃つのはリュージ、手には先程回収したばかりのアサルトライフル。
アリウススクワッドのリーダー、錠前サオリが効率重視でカスタマイズを施した愛銃だ。
元はセッコに支給された銃も、スタンド使いである為か使わず仕舞われたままとなり、こうしてリュージの手に渡った。
銃火器の扱いにはダーウィンズゲームで慣れており、自動小銃でも問題無い。
前衛として戦うアンクがいる以上、こっちは後衛で援護射撃に徹せる。
幸い予備の弾も大量に手に入り、すぐに弾切れを起こす事態にはまずならない。
とはいえ無駄に撃つつもりはなく、トンボアマゾンを正確に狙って引き金を引く。
熱を帯びた銃口が弾丸を吐き出し標的の肉を食い千切る。
前衛として戦うアンクがいる以上、こっちは後衛で援護射撃に徹せる。
幸い予備の弾も大量に手に入り、すぐに弾切れを起こす事態にはまずならない。
とはいえ無駄に撃つつもりはなく、トンボアマゾンを正確に狙って引き金を引く。
熱を帯びた銃口が弾丸を吐き出し標的の肉を食い千切る。
「ウロチョロしやがって…」
悪態を口にしたように成果は良いとは言えない。
弾は腕を貫き、流れ落ちたドス黒い体液が地面を汚す。
命中したのはその一発だけだ、残りは建造物の壁に傷を付けて終わった。
人であったら銃弾一発当たれば十分コンディションの低下に繋がる。
痛みは余裕を、流れる血は体力を削り、やがては死へとご招待。
しかしアマゾンであればダメージになっても致命傷にはならず、まして怯ませる事も出来やしない。
リュージの射撃スキルが低いのではなく、トンボアマゾンの俊敏性が高いのが原因だ。
元々の身体能力に加え、数時間前にエンシンとついでにセッコを捕食。
強化に磨きを掛け、おまけに前原敦を食らって高めた戦闘能力まで再現している。
弾は腕を貫き、流れ落ちたドス黒い体液が地面を汚す。
命中したのはその一発だけだ、残りは建造物の壁に傷を付けて終わった。
人であったら銃弾一発当たれば十分コンディションの低下に繋がる。
痛みは余裕を、流れる血は体力を削り、やがては死へとご招待。
しかしアマゾンであればダメージになっても致命傷にはならず、まして怯ませる事も出来やしない。
リュージの射撃スキルが低いのではなく、トンボアマゾンの俊敏性が高いのが原因だ。
元々の身体能力に加え、数時間前にエンシンとついでにセッコを捕食。
強化に磨きを掛け、おまけに前原敦を食らって高めた戦闘能力まで再現している。
銃で撃たれ標的をアンクからリュージへ変更。
元々アマゾンは生まれつき人のタンパク質を強く求める生物。
見るからに異形のアンクよりは、人間のリュージの方がご馳走に見えても不思議は無い。
顎をカチカチと慣らし、涎を垂らしながら襲い掛かった。
生憎朝食として身を差し出す気は微塵も無い、ヒラリと躱し食われるのを防ぐ。
元々アマゾンは生まれつき人のタンパク質を強く求める生物。
見るからに異形のアンクよりは、人間のリュージの方がご馳走に見えても不思議は無い。
顎をカチカチと慣らし、涎を垂らしながら襲い掛かった。
生憎朝食として身を差し出す気は微塵も無い、ヒラリと躱し食われるのを防ぐ。
「悪食過ぎんだろ、腹壊しても知らねぇぞ」
丁度リュージの背後にあった電柱へトンボアマゾンは激突。
そのまま顔でも潰れてくたばれば御の字だが、そんな間の抜けた最期にはならない。
電柱を噛み砕き、パラパラと破片が零れ落ちる。
鉄骨すら煎餅のように噛み砕く強靭な顎もトンボアマゾンの武器だ、人相手ならどうなるか言うまで無い。
栄養分の無い無機物を齧ったとて腹は膨れない、狙うは顔を引き攣らせたリュージだ。
簡単には諦めてくれない獣から距離を取りつつトリガーを引く、動きながらでも銃口は正確に敵を捉える。
そのまま顔でも潰れてくたばれば御の字だが、そんな間の抜けた最期にはならない。
電柱を噛み砕き、パラパラと破片が零れ落ちる。
鉄骨すら煎餅のように噛み砕く強靭な顎もトンボアマゾンの武器だ、人相手ならどうなるか言うまで無い。
栄養分の無い無機物を齧ったとて腹は膨れない、狙うは顔を引き攣らせたリュージだ。
簡単には諦めてくれない獣から距離を取りつつトリガーを引く、動きながらでも銃口は正確に敵を捉える。
これをトンボアマゾン、ジグザグに駆けて躱す。
時折四肢や脇腹を掠めるも動きを止めるだけの効果は無く、徐々に接近を許してしまう。
時折四肢や脇腹を掠めるも動きを止めるだけの効果は無く、徐々に接近を許してしまう。
「そいつはまだアイスを持ってんだ。勝手に殺そうとしてんじゃねぇ」
「助けた理由アイスかよ…」
「支給品の総取りも許した覚えはねぇぞ。後で俺にも中身見せろ」
「助けた理由アイスかよ…」
「支給品の総取りも許した覚えはねぇぞ。後で俺にも中身見せろ」
随分とまぁ上から目線だと呆れるも、死なせるつもりが無いのは嘘じゃない。
横合いから放った蹴りがトンボアマゾンの腹部を叩き、強制的に距離を取らされた。
再び迫るのを待って殴り合いを続けるより、この位置からでも倒す方法はある。
片手にコアメダルのエネルギーを収束、火炎を球状に変化し発射。
この力も映司と戦った時程の威力は出せないが、だからといって致命的に弱い程でも無い。
虫一匹を焼き潰すくらい訳ない、ウヴァのようにしぶとくない限りはジ・エンドだ。
横合いから放った蹴りがトンボアマゾンの腹部を叩き、強制的に距離を取らされた。
再び迫るのを待って殴り合いを続けるより、この位置からでも倒す方法はある。
片手にコアメダルのエネルギーを収束、火炎を球状に変化し発射。
この力も映司と戦った時程の威力は出せないが、だからといって致命的に弱い程でも無い。
虫一匹を焼き潰すくらい訳ない、ウヴァのようにしぶとくない限りはジ・エンドだ。
なれどアマゾンの生を欲する衝動はNPCになっても健在なのか、敏捷性を活かして躱す。
火球の餌食となったのは背後の建造物。
姫和達を返り討ちにした男の刻んだ破壊痕へ追い打ちを掛ける。
火球の餌食となったのは背後の建造物。
姫和達を返り討ちにした男の刻んだ破壊痕へ追い打ちを掛ける。
狙いは外れたがアンクに悔しさは無い。
避ける所まで織り込み済だ、もう一人も指を咥え見てるだけでなく排除の一手を差した。
アサルトライフルと入れ替わりに取り出すは、元々自身に支給された武器。
外しはしない、アマゾンの駆除を完了すべく引き金に指を掛け、
避ける所まで織り込み済だ、もう一人も指を咥え見てるだけでなく排除の一手を差した。
アサルトライフルと入れ替わりに取り出すは、元々自身に支給された武器。
外しはしない、アマゾンの駆除を完了すべく引き金に指を掛け、
その動きを強制的に止められた。
○
残弾に気を配る者がいる一方で、弾切れなど知ったことでは無いとばかりに引き金を引く者もいる。
ロロが変身したジオウも該当者の一人。
右手の得物はジカンギレード、左手の得物はDVディフェンダー。
内部に生成装置でも搭載されているのか、アナザーライダーやロンダーズファミリーとの戦闘で弾切れを起こした事象は無く。
使い手が変わっても機能面での不調は見られず、エネルギー弾とレーザービームを放ち続ける。
ロロが変身したジオウも該当者の一人。
右手の得物はジカンギレード、左手の得物はDVディフェンダー。
内部に生成装置でも搭載されているのか、アナザーライダーやロンダーズファミリーとの戦闘で弾切れを起こした事象は無く。
使い手が変わっても機能面での不調は見られず、エネルギー弾とレーザービームを放ち続ける。
ジオウに搭載された機能が位置の補足と反動の緩和を行い、射撃能力を高める。
銃を使った経験は有れど、百発百中の腕前を誇る訳ではない。
まして二丁拳銃など殺し合いに巻き込まれてから初めてやった。
単に手数が増えて強力とはならない、標的を見極めつつどちらの銃で撃つかをすぐに決める必要がある。
創作に登場するガンマンのような立ち回りは、本当なら一生縁の無いもの。
銃を使った経験は有れど、百発百中の腕前を誇る訳ではない。
まして二丁拳銃など殺し合いに巻き込まれてから初めてやった。
単に手数が増えて強力とはならない、標的を見極めつつどちらの銃で撃つかをすぐに決める必要がある。
創作に登場するガンマンのような立ち回りは、本当なら一生縁の無いもの。
「実際に出来たからと言って、都合良く的にはなってくれないか」
独り言ちた内容は銃声に消え、誰の耳にも届かず消えて去る。
別に聞かせたくて言ったのではない為、意識は即座に標的の排除へと戻った。
人間の女性と蜂、両方の特徴を持ったNPC。
女王蜂のイリアンは時に遮蔽物に身を隠し、時には舞うような動作で銃撃を凌いでいる。
但し全てを防ぐ事は叶っていないようで、時折被弾しては火花が散るのが見えた。
であるならこのまま撃ち続けていれば、いずれ向こうの体力に限界が訪れるだろう。
別に聞かせたくて言ったのではない為、意識は即座に標的の排除へと戻った。
人間の女性と蜂、両方の特徴を持ったNPC。
女王蜂のイリアンは時に遮蔽物に身を隠し、時には舞うような動作で銃撃を凌いでいる。
但し全てを防ぐ事は叶っていないようで、時折被弾しては火花が散るのが見えた。
であるならこのまま撃ち続けていれば、いずれ向こうの体力に限界が訪れるだろう。
だがイリアンとてNPCだが、抵抗をしないとはプログラムされていない。
オリジナルはゴセイジャーと戦った実力を持つブスワ星人。
参加者を襲うだけの模造品であろうと、簡単に仕留められるとは限らなかった。
逃げ続けるだけが能ではない、左腕の鞭を振るって標的に巻き付ける。
狙われたのはジオウに非ず、エリアに設置された自動販売機。
草でも毟るようにアスファルトから引き剥がし、ジオウ目掛けて投擲。
命中した所で即死は免れるだろうが、イリアンの腕力で投げられたのを食らえばダメージは避けられない。
よって一度銃撃を中断して回避、背後で窓ガラスとその他諸々が砕ける音は無視。
鬱陶しいエネルギー弾の嵐が一時的にでも止んだなら、今度はイリアンが攻撃に移る番だ。
オリジナルはゴセイジャーと戦った実力を持つブスワ星人。
参加者を襲うだけの模造品であろうと、簡単に仕留められるとは限らなかった。
逃げ続けるだけが能ではない、左腕の鞭を振るって標的に巻き付ける。
狙われたのはジオウに非ず、エリアに設置された自動販売機。
草でも毟るようにアスファルトから引き剥がし、ジオウ目掛けて投擲。
命中した所で即死は免れるだろうが、イリアンの腕力で投げられたのを食らえばダメージは避けられない。
よって一度銃撃を中断して回避、背後で窓ガラスとその他諸々が砕ける音は無視。
鬱陶しいエネルギー弾の嵐が一時的にでも止んだなら、今度はイリアンが攻撃に移る番だ。
右腕から噴射した青い液体がジオウへと飛来。
腕を向けられた時点で既に地面を転がり、自販機同様直撃を裂ける。
壁に付着した液体は泡が弾け、聞いているだけで不安になる音を発した。
溶解液か、はたまた良からぬ効果を齎す毒の類か。
いずれにしても当たって良い事にならないのは確実だ、ジオウに変身しているからと言って油断は出来ない。
腕を向けられた時点で既に地面を転がり、自販機同様直撃を裂ける。
壁に付着した液体は泡が弾け、聞いているだけで不安になる音を発した。
溶解液か、はたまた良からぬ効果を齎す毒の類か。
いずれにしても当たって良い事にならないのは確実だ、ジオウに変身しているからと言って油断は出来ない。
ロロが危機感を抱いたのは間違った判断では無い。
イリアンが放ったのは生物を麻痺させる強力な毒液。
正史においてイリアンと戦ったゴセイジャーの男性陣は、ゴセイクロス越しにも関わらず毒液を浴び戦闘不能に追い込まれた。
この力を使って男性を捕らえ家具に作り替えており、NPCのイリアンも同様の趣味を持っているかはともかく。
鋼鉄の200倍の強度を誇るジオウの装甲とて、ゴセイジャーの例があるだけに完全に防げるとは限らない
命中は避けるべきとの判断が大正解だとは知らず、しかし自身の判断を信じて戦闘を続ける。
イリアンが放ったのは生物を麻痺させる強力な毒液。
正史においてイリアンと戦ったゴセイジャーの男性陣は、ゴセイクロス越しにも関わらず毒液を浴び戦闘不能に追い込まれた。
この力を使って男性を捕らえ家具に作り替えており、NPCのイリアンも同様の趣味を持っているかはともかく。
鋼鉄の200倍の強度を誇るジオウの装甲とて、ゴセイジャーの例があるだけに完全に防げるとは限らない
命中は避けるべきとの判断が大正解だとは知らず、しかし自身の判断を信じて戦闘を続ける。
再び発射された毒液を躱し、ジオウも銃撃を再開。
対するイリアンも毒液噴射のみに頼らず、もう一つの武器で迎撃。
鞭を振り回し、時にはまだ無事な自販機や放置された自転車を引き寄せ投擲。
互いに移動しながらの攻防は目立ったダメージを与えず、埒が明かなかった。
対するイリアンも毒液噴射のみに頼らず、もう一つの武器で迎撃。
鞭を振り回し、時にはまだ無事な自販機や放置された自転車を引き寄せ投擲。
互いに移動しながらの攻防は目立ったダメージを与えず、埒が明かなかった。
戦況を変えるべく別の手に出たのはジオウ。
遮蔽物に隠れ、ドライバーからライドウォッチを外す。
イリアンの鞭捌きなら壁程度切り裂かれるだろうが、毒液を防ぐのには使える。
何より時間を掛ける気は無い、ライドウォッチを武器のスロットに填め込み、
遮蔽物に隠れ、ドライバーからライドウォッチを外す。
イリアンの鞭捌きなら壁程度切り裂かれるだろうが、毒液を防ぐのには使える。
何より時間を掛ける気は無い、ライドウォッチを武器のスロットに填め込み、
突如動きを封じられた。
「なんだと…!?」
奇怪な現象に困惑する間も、敵は待ってくれない。
壁が破壊され、ダメ押しとばかりに鞭で拘束された。
だが急に動けなくなった原因はイリアンではなく、別の存在によるものだ。
顔を上げジオウが見たのは、オフィスビルのガラス窓から伸びた白い糸らしき物体。
それが自分と、辺りを見回せば他の面々の武器や体に絡み付いている。
壁が破壊され、ダメ押しとばかりに鞭で拘束された。
だが急に動けなくなった原因はイリアンではなく、別の存在によるものだ。
顔を上げジオウが見たのは、オフィスビルのガラス窓から伸びた白い糸らしき物体。
それが自分と、辺りを見回せば他の面々の武器や体に絡み付いている。
一体何が起こったかを説明されずとも、全員の視線に釣られて原因が自ら姿を見せた。
糸が放たれた窓に水面のように揺らぎが生じ、新たな異形が現われる。
人型の上半身と、六本脚の下半身を持った怪物。
臀部と思われる箇所から糸が伸びており、市街地に集まった者達を捕らえたのはこれだろう。
糸が放たれた窓に水面のように揺らぎが生じ、新たな異形が現われる。
人型の上半身と、六本脚の下半身を持った怪物。
臀部と思われる箇所から糸が伸びており、市街地に集まった者達を捕らえたのはこれだろう。
怪物の名はディスパイダー・リ・ボーン。
ミラーワールドに生息するモンスターが独自の進化を遂げた個体。
仮面ライダー龍騎の本来の変身者、城戸真司の手で倒されたこのモンスターもNPCに選ばれた。
一般人を捕食するのに使った糸の粘着性は強いが、ここに集まったのは戦う力を持った殺し合いのプレイヤー。
何らかの方法で拘束を脱するのはそこまで難しくない筈。
ミラーワールドに生息するモンスターが独自の進化を遂げた個体。
仮面ライダー龍騎の本来の変身者、城戸真司の手で倒されたこのモンスターもNPCに選ばれた。
一般人を捕食するのに使った糸の粘着性は強いが、ここに集まったのは戦う力を持った殺し合いのプレイヤー。
何らかの方法で拘束を脱するのはそこまで難しくない筈。
「可奈美!」
「っ!」
「っ!」
糸を断ち切ろうとするも、薫の声で咄嗟に得物を手放し飛び退く。
僅かに遅れて立っていた場所が切り裂かれたが、これはマンティスマルガムの攻撃ではない。
灰色の肉体を持つ異形が背後から近づき、可奈美へ剣を振り下ろしたのだ。
四肢を覆う毛皮と昆虫のような肩部装甲を持つ、スカラベオルフェノクである。
スマートブレイン社の手駒だったがそれは元の世界での話、NPCの役目を果たすべく可奈美へ牙を剥く。
手放した刀に代わりリュックサックから日輪刀を取り出したいが、敵は待ってくれない。
僅かに遅れて立っていた場所が切り裂かれたが、これはマンティスマルガムの攻撃ではない。
灰色の肉体を持つ異形が背後から近づき、可奈美へ剣を振り下ろしたのだ。
四肢を覆う毛皮と昆虫のような肩部装甲を持つ、スカラベオルフェノクである。
スマートブレイン社の手駒だったがそれは元の世界での話、NPCの役目を果たすべく可奈美へ牙を剥く。
手放した刀に代わりリュックサックから日輪刀を取り出したいが、敵は待ってくれない。
「待ってろオレが…くっ!いい加減にしろよお前…!」
助けに向かおうとするのをマンティスマルガムが許さない。
斬撃の対処に動かざるを得ず、そうこうしてる間も可奈美はスカラベオルフェノクの剣を避けるので手一杯。
こうなれば他の者に救援を頼みたいがそれも上手くはいかない。
何せ他の面々も同じような状態なのだから。
斬撃の対処に動かざるを得ず、そうこうしてる間も可奈美はスカラベオルフェノクの剣を避けるので手一杯。
こうなれば他の者に救援を頼みたいがそれも上手くはいかない。
何せ他の面々も同じような状態なのだから。
「クッソ!離れねぇ…!」
片腕を武器共々絡め取られ、引き金を引くこともままならない。
何度引っ張ってもリュージの腕は拘束から脱せられなかった。
もう片方の腕は自由に動かせる、武器を使って糸をどうにかするなりしたいが阻む者がこちらにも出現。
緑の頭部と両腕を持ち、左右に出っ張った目をギョロリと動かす化物だ。
溶原性細胞の感染者が変異した個体、カマキリアマゾンはマンティスマルガム程の戦闘能力は持たない。
しかし人間にとって脅威なのに変わりはなく、両腕の鎌を振るえば人体など紙切れ同然。
スライスされた体はそのままカマキリアマゾンの食事になるだけ。
何度引っ張ってもリュージの腕は拘束から脱せられなかった。
もう片方の腕は自由に動かせる、武器を使って糸をどうにかするなりしたいが阻む者がこちらにも出現。
緑の頭部と両腕を持ち、左右に出っ張った目をギョロリと動かす化物だ。
溶原性細胞の感染者が変異した個体、カマキリアマゾンはマンティスマルガム程の戦闘能力は持たない。
しかし人間にとって脅威なのに変わりはなく、両腕の鎌を振るえば人体など紙切れ同然。
スライスされた体はそのままカマキリアマゾンの食事になるだけ。
「いつまで邪魔しやがんだお前は!」
手を貸そうと動き掛けたアンクへ飛ぶ蹴りは、トンボアマゾンが放ったもの。
苛立ちを露わに叫んでも怯む様子は見せず、聞こえてるのかも怪しい。
奇声を放って飛び掛かるトンボアマゾンへ、邪魔だと言葉では無く拳で伝える。
力が落ちているとはいえ、NPC如きの好き勝手を許す自分自身にも腹が立つ。
苛立ちを露わに叫んでも怯む様子は見せず、聞こえてるのかも怪しい。
奇声を放って飛び掛かるトンボアマゾンへ、邪魔だと言葉では無く拳で伝える。
力が落ちているとはいえ、NPC如きの好き勝手を許す自分自身にも腹が立つ。
(これはマズいか……)
薫達も手が離せない様子であり、救援は期待出来そうも無い。
かくいうロロ自身も拘束を解かなければ、今度こそ毒液の餌食となる。
こうなればいよいよギアスの使用も考えねばならない。
叶うならば主催者を殺す時まで温存したかったが、そうなる前に死んでは元も子もないだろう。
後でC.C.細胞の抑制剤が見付かる事を祈るしかあるまい。
イレギュラーズのギアスユーザー達が血眼になって求めた薬を、今度は自分が欲する羽目になるとは。
かくいうロロ自身も拘束を解かなければ、今度こそ毒液の餌食となる。
こうなればいよいよギアスの使用も考えねばならない。
叶うならば主催者を殺す時まで温存したかったが、そうなる前に死んでは元も子もないだろう。
後でC.C.細胞の抑制剤が見付かる事を祈るしかあるまい。
イレギュラーズのギアスユーザー達が血眼になって求めた薬を、今度は自分が欲する羽目になるとは。
長々と躊躇して、取り返しの付かない事態になるのだけは避けねば。
ジ・アイスを使いNPCを纏めて凍り付かせようとする。
ジ・アイスを使いNPCを纏めて凍り付かせようとする。
「もう一回届いて!あたしの魔法!」
響く少女の声と共に、戦場の空気が塗り替えられる。
自由を愛する魔法少女は、悪しき束縛を決して認めない。
絡め取っていた糸が消失し、三人共に元の動きを取り戻す。
突然拘束が切れたからか困惑した様子を見せるNPC達だが、戦場の変化はまだ続く。
自由を愛する魔法少女は、悪しき束縛を決して認めない。
絡め取っていた糸が消失し、三人共に元の動きを取り戻す。
突然拘束が切れたからか困惑した様子を見せるNPC達だが、戦場の変化はまだ続く。
『GUN』
幼い少女の声とは似ても似つかない、重低音の電子音声をロロの耳が拾う。
どこからか飛来した光弾がイリアンを狙い撃ち、出血代わりに火花が散った。
立ち上がって振り返ると、瞳に飛び込んだのは紫のマシンボディの戦士。
新手の敵でないことを願いつつ口を開く。
どこからか飛来した光弾がイリアンを狙い撃ち、出血代わりに火花が散った。
立ち上がって振り返ると、瞳に飛び込んだのは紫のマシンボディの戦士。
新手の敵でないことを願いつつ口を開く。
「救援には感謝するが、よもや君も羂索の飼い犬になった者ではあるまいな?」
「違う、俺は人を守る為にここに来た。お前の方こそ、何故ルルーシュと同じ声をしている?」
「それについては後で説明すると約束しよう。一先ずこの連中を片付けるのに、手を貸してもらいたい」
「違う、俺は人を守る為にここに来た。お前の方こそ、何故ルルーシュと同じ声をしている?」
「それについては後で説明すると約束しよう。一先ずこの連中を片付けるのに、手を貸してもらいたい」
どうやら乱入者もルルーシュの放送を見た者であり、案の定疑わし気に尋ねられた。
世界が違うとはいえ、我が兄ながら余計なことをしてくれる内心で苦笑い。
完全に納得はしていないがNPCを放置する気もないらしく、今は引き下がった。
世界が違うとはいえ、我が兄ながら余計なことをしてくれる内心で苦笑い。
完全に納得はしていないがNPCを放置する気もないらしく、今は引き下がった。
仮面ライダージオウと魔進チェイサー。
常磐ソウゴの王道においては矛を交えた両者が肩を並べる。
常磐ソウゴの王道においては矛を交えた両者が肩を並べる。
蜘蛛の糸が消え、地面に落ちた刀へと可奈美が駆け寄る。
当然スカラベオルフェノクが妨害に動くも、それを阻止すべく槍が突き出された。
足止めを食らった隙に再び刀を手にし、マンティスマルガムへと斬り掛かる。
今度は咄嗟の防御も間に合わずに刃が胴を走り、くぐもった悲鳴を上げ後退。
距離が離れたのを見計らってか、薫と手助けを行った少女が寄って来た。
当然スカラベオルフェノクが妨害に動くも、それを阻止すべく槍が突き出された。
足止めを食らった隙に再び刀を手にし、マンティスマルガムへと斬り掛かる。
今度は咄嗟の防御も間に合わずに刃が胴を走り、くぐもった悲鳴を上げ後退。
距離が離れたのを見計らってか、薫と手助けを行った少女が寄って来た。
「ありがとう助かったよ!ところで、どちら様?」
「どういたしまして!私はマジアマゼンタ、トレスマジアの魔法少女で…って、説明は後でいいか」
「魔法…お前も魔女…じゃないよな。下半身丸出しじゃねぇし」
「何の話!?ちゃんと履いてるよ!?」
「どういたしまして!私はマジアマゼンタ、トレスマジアの魔法少女で…って、説明は後でいいか」
「魔法…お前も魔女…じゃないよな。下半身丸出しじゃねぇし」
「何の話!?ちゃんと履いてるよ!?」
芳佳の言う魔女(ウィッチ)と同じようなものかとも考えたが、彼女と違ってスカートは着用済み。
魔法は使うけど魔女とは無関係なのだろう。
唐突に下半身の露出で魔女かどうかを確かめられ、マジアマゼンタことはるかは案の定困惑。
下を履いてない云々で、以前ネロアリスのドールハウスに閉じ込められた時の事を思い出す。
色々と大変な目に遭った記憶が蘇り頬が赤く染まるも、頭をブンブンと振って気を取り直した。
魔法は使うけど魔女とは無関係なのだろう。
唐突に下半身の露出で魔女かどうかを確かめられ、マジアマゼンタことはるかは案の定困惑。
下を履いてない云々で、以前ネロアリスのドールハウスに閉じ込められた時の事を思い出す。
色々と大変な目に遭った記憶が蘇り頬が赤く染まるも、頭をブンブンと振って気を取り直した。
「っていうかその怪我…待ってて、今治すから!」
「あー…いや大丈夫だ。その、オレの血じゃない、から」
「あー…いや大丈夫だ。その、オレの血じゃない、から」
血の付着した制服に重傷と思ったのだろう、回復魔法を掛けようと意気込むはるかを制する。
歯切れの悪さと曇った顔色に、複雑な事情があるとは流石に分かった。
それを詳しく説明している余裕はないが。
歯切れの悪さと曇った顔色に、複雑な事情があるとは流石に分かった。
それを詳しく説明している余裕はないが。
「薫ちゃん、マジアマゼンタ…ちゃん?あっちのカマキリみたいなNPCは私に任せて。多分いけると思う」
「お前がそう言うなら良いけどよ、無茶すんなよ」
「じゃあ私達は向こうの怪人だね。任せておいて!えっと…」
「お前がそう言うなら良いけどよ、無茶すんなよ」
「じゃあ私達は向こうの怪人だね。任せておいて!えっと…」
そういえばまだ名乗っていなかったと、それぞれ名前をはるかに教える。
もっと詳しい自己紹介は場を切り抜けてからだ。
もっと詳しい自己紹介は場を切り抜けてからだ。
「騒がしくし過ぎたな、どんどん集まって来やがる」
「ま、こっちを狙って来ないならまだ良いだろ」
「ま、こっちを狙って来ないならまだ良いだろ」
糸が消えるや間髪入れずに銃弾を叩き込み、カマキリアマゾンを怯ませた。
ついでにトンボアマゾンの方にも撃って牽制、アンクと言葉を交わす。
銃声やら何やらを聞いた者が集まって来るのは、リュージとて予想の範疇。
今の所はこちらに協力する気らしく、完全に気は許せないが真意を見極めるのは後。
二体のアマゾンは未だに腹を空かせているのだから。
ついでにトンボアマゾンの方にも撃って牽制、アンクと言葉を交わす。
銃声やら何やらを聞いた者が集まって来るのは、リュージとて予想の範疇。
今の所はこちらに協力する気らしく、完全に気は許せないが真意を見極めるのは後。
二体のアマゾンは未だに腹を空かせているのだから。
(にしてもまぁ、運営のクソっぷりはどこも同じか)
チラと視線を向けた先には二人の少女。
厳密に言うと片方は全身装甲姿なので声でしか判断できないが、もう一人は違う。
レインやスイよりも小柄な体躯で、どう見ても年齢が一桁台の小学生。
老若男女問わず参加させられるのは、殺し合いもダーウィンズゲームも同じ。
改めてロクなもんじゃあないと呟く。
厳密に言うと片方は全身装甲姿なので声でしか判断できないが、もう一人は違う。
レインやスイよりも小柄な体躯で、どう見ても年齢が一桁台の小学生。
老若男女問わず参加させられるのは、殺し合いもダーウィンズゲームも同じ。
改めてロクなもんじゃあないと呟く。
「今のが千佳ちゃんの魔法…!蜘蛛の怪人さんの糸が全部消えちゃいました!?」
「うん…!マジアベーゼと、あの子があたしに託してくれたんだ……果穂ちゃん、あたし達も一緒に…!」
「勿論です!あたしと千佳ちゃん、ううん、ラブリーチカで頑張ります!」
「うん…!マジアベーゼと、あの子があたしに託してくれたんだ……果穂ちゃん、あたし達も一緒に…!」
「勿論です!あたしと千佳ちゃん、ううん、ラブリーチカで頑張ります!」
マジアベーゼから渡された固有魔法、イノセンスの効果は健在。
凶悪な性能の闇檻ですら無効化したのだ、ミラーモンスターの拘束を打ち消すのは容易い。
二人共見ているだけでなく、ヒーローと魔女っ娘ラブリーチカとして既に戦う決意を固めてある。
果穂はビートアックスを、千佳はこれまで使う機会の無かった杖を構えた。
凶悪な性能の闇檻ですら無効化したのだ、ミラーモンスターの拘束を打ち消すのは容易い。
二人共見ているだけでなく、ヒーローと魔女っ娘ラブリーチカとして既に戦う決意を固めてある。
果穂はビートアックスを、千佳はこれまで使う機会の無かった杖を構えた。
ギターが掻き鳴らされ、響くハイスピードな音楽が戦闘再開の合図となる。
○
魔力で編んだ槍はマジアマゼンタにとって最も使い慣れた武器。
トレスマジアのメンバーとして経験を積み、手に馴染む得物があれば大抵の相手に遅れは取らない。
それは敵が人類の進化系、オルフェノクであっても例外ではない。
屈強な体躯とは裏腹の素早い動きでサーベルを繰り出されれば、槍を翳し防御。
自身の武器よりも細い刀身だが強度は高い、数度打ち合っても壊れる気配は無し。
サーベルを壊して戦力低下を狙うのは時間の無駄と早々に切り捨て、相手を直接叩く方へシフト。
トレスマジアのメンバーとして経験を積み、手に馴染む得物があれば大抵の相手に遅れは取らない。
それは敵が人類の進化系、オルフェノクであっても例外ではない。
屈強な体躯とは裏腹の素早い動きでサーベルを繰り出されれば、槍を翳し防御。
自身の武器よりも細い刀身だが強度は高い、数度打ち合っても壊れる気配は無し。
サーベルを壊して戦力低下を狙うのは時間の無駄と早々に切り捨て、相手を直接叩く方へシフト。
オルフェノクはいずれも人間を遥かに超えた能力を有し、生身で太刀打ちできる相手では無い。
スマートブレイン製のベルト無しに戦うのは無謀であれど、立ち向かう者もまた常人以上の力の持ち主。
繰り出す突きを最小限の動きで躱し、時には槍で受け流し体勢を崩しにいく。
動作が大きい程次の動きに遅れが生じて、致命的な隙に繋がる。
命の危険以上に羞恥的な意味で気の抜けない、エノルミータとの戦闘経験。
加えてノワルという最上級の危険人物に遭遇した事が、マジアマゼンタの神経をより尖らせる。
スマートブレイン製のベルト無しに戦うのは無謀であれど、立ち向かう者もまた常人以上の力の持ち主。
繰り出す突きを最小限の動きで躱し、時には槍で受け流し体勢を崩しにいく。
動作が大きい程次の動きに遅れが生じて、致命的な隙に繋がる。
命の危険以上に羞恥的な意味で気の抜けない、エノルミータとの戦闘経験。
加えてノワルという最上級の危険人物に遭遇した事が、マジアマゼンタの神経をより尖らせる。
「そこっ!」
首元へ一直線に突き進む剣を避け、反対に槍がスカラベオルフェノクの腹部へ命中。
敵は参加者では無くNPC、加減抜きで放つも敵が崩れ落ちる様子はない。
呻き声こそ上げたが致命傷には程遠い、目障りとばかりに剣を振るう。
身を捻って回避、次の剣が迫るより一手早く斬り付ける。
刃が走るは脇腹だ、人間であれば臓物がビチャビチャと音を立て垂れ落ちるのは確実。
しかし敵はオルフェノク、多少の火花は散ったが未だ倒れない。
敵は参加者では無くNPC、加減抜きで放つも敵が崩れ落ちる様子はない。
呻き声こそ上げたが致命傷には程遠い、目障りとばかりに剣を振るう。
身を捻って回避、次の剣が迫るより一手早く斬り付ける。
刃が走るは脇腹だ、人間であれば臓物がビチャビチャと音を立て垂れ落ちるのは確実。
しかし敵はオルフェノク、多少の火花は散ったが未だ倒れない。
合間を縫っての攻撃を続けすぐに分かったのは、敵の異様な硬さ。
スカラベオルフェノクの全身を覆う皮膚は鎧に似た形状をしており、決して見せかけでは無い。
オリジナルの個体同様の高い耐久性を有している為、撃破には手を焼いていた。
速さと手数には優れるも、僅かに威力が足りない。
スカラベオルフェノクの全身を覆う皮膚は鎧に似た形状をしており、決して見せかけでは無い。
オリジナルの個体同様の高い耐久性を有している為、撃破には手を焼いていた。
速さと手数には優れるも、僅かに威力が足りない。
「ラブリ~~~☆ルカニ!」
ならば攻撃が確実に通じるようにすればいい。
杖を掲げポーズと共に千佳が魔法の言葉を唱えた途端、スカラベオルフェノクに異変が生じる。
本人がそれを正しく認識する前に、マジアマゼンタが攻撃を再開。
切っ先は胸部へ吸い込まれ、これまで以上の火花を散らし敵を大きく後退させた。
杖を掲げポーズと共に千佳が魔法の言葉を唱えた途端、スカラベオルフェノクに異変が生じる。
本人がそれを正しく認識する前に、マジアマゼンタが攻撃を再開。
切っ先は胸部へ吸い込まれ、これまで以上の火花を散らし敵を大きく後退させた。
「ありがとうラブリーチカ!これならいけるよ!」
急にダメージが通るようになったのは、千佳が唱えた呪文が理由と直ぐに分かった。
実際間違っていない。
千佳に支給されたのはまどうしのつえと言い、大魔王ゾーマを倒した勇者一行が使った武器の一つ。
本来魔法使いや賢者ではない千佳では呪文を唱えるのは不可能だが、殺し合いでは主催者の手で細工が施されている。
日輪刀や岡田以蔵の刀、ソーディアンのディムロスにソードスキルが搭載してあるのと同じだ。
所持しているだけで参加者は複数の呪文が唱えられるのである。
スカラベオルフェノクに向けて放ったのはルカニ、対象の防御力を下げる呪文。
強固な皮膚も耐久性を削ぎ落とされれば無意味だ。
実際間違っていない。
千佳に支給されたのはまどうしのつえと言い、大魔王ゾーマを倒した勇者一行が使った武器の一つ。
本来魔法使いや賢者ではない千佳では呪文を唱えるのは不可能だが、殺し合いでは主催者の手で細工が施されている。
日輪刀や岡田以蔵の刀、ソーディアンのディムロスにソードスキルが搭載してあるのと同じだ。
所持しているだけで参加者は複数の呪文が唱えられるのである。
スカラベオルフェノクに向けて放ったのはルカニ、対象の防御力を下げる呪文。
強固な皮膚も耐久性を削ぎ落とされれば無意味だ。
「まだまだいくよ!ラブリ~~☆ピオリム!」
続けて唱える呪文、ピオリムの効果でマジアマゼンタ達のすばやさが上昇。
ビートフォームのナーゴの演奏効果と合わせて、動きのキレが格段に増す。
ビートフォームのナーゴの演奏効果と合わせて、動きのキレが格段に増す。
「こんだけ速く動けんなら…!」
「うん!このまま一気にやっつけられる!」
「うん!このまま一気にやっつけられる!」
ピオリムもナーゴの演奏も、対象となるのは一人だけではない。
味方全員に効果が及び、マジアマゼンタだけでなく薫の敏捷性も上がった。
これなら写シを使った時と謙遜ない速さで剣を振るえる。
大剣と槍、どちらも少女の細腕で振り回すのは困難な得物。
なのにどうだ、羽を持っているような軽やかさで敵を苛烈に攻め立てる。
味方全員に効果が及び、マジアマゼンタだけでなく薫の敏捷性も上がった。
これなら写シを使った時と謙遜ない速さで剣を振るえる。
大剣と槍、どちらも少女の細腕で振り回すのは困難な得物。
なのにどうだ、羽を持っているような軽やかさで敵を苛烈に攻め立てる。
対するスカラベオルフェノクも迎撃に移る。
だが速さで圧倒的に後れを取り、頼りの耐久性も見る影が無い。
何度剣を突き刺した所で掠りもせず、反対に少女達の斬撃が次から次へと命中。
体力を根こそぎ削り取られ、破れかぶれで剣を振るうも大剣が腹部を撫でる方が速い。
刀身が駆けると同時に爆発が発生、訳も分からぬ内に吹き飛ばされた。
だが速さで圧倒的に後れを取り、頼りの耐久性も見る影が無い。
何度剣を突き刺した所で掠りもせず、反対に少女達の斬撃が次から次へと命中。
体力を根こそぎ削り取られ、破れかぶれで剣を振るうも大剣が腹部を撫でる方が速い。
刀身が駆けると同時に爆発が発生、訳も分からぬ内に吹き飛ばされた。
同じ箇所を斬り続け、薫の持つ防衛隊炎刃型大剣の効果が発動されたのだ。
立ち上がってもう一度剣を振り回すのを、マジアマゼンタは許さない。
大きく踏み込み槍で胸部を一突き。
渾身の一撃を受け、スカラベオルフェノクにも限界が訪れる。
全身各所を青く燃え上がらせ、後には灰の山だけが残った。
立ち上がってもう一度剣を振り回すのを、マジアマゼンタは許さない。
大きく踏み込み槍で胸部を一突き。
渾身の一撃を受け、スカラベオルフェノクにも限界が訪れる。
全身各所を青く燃え上がらせ、後には灰の山だけが残った。
仲間の退場に何かを思う素振りも見せず、マンティスマルガムは斬撃を放つ。
一振りで三重の刃が飛来し、しかも一度で終わらず次から次へと襲うのだから相対者には悪夢としか映らないだろう。
生憎可奈美は真剣な顔付きなれど焦りは微塵も浮かべず、己が身に一撃だろうと当てさせない。
斬撃の群れの隙間を泳ぎながら標的との距離を着実に縮める。
一振りで三重の刃が飛来し、しかも一度で終わらず次から次へと襲うのだから相対者には悪夢としか映らないだろう。
生憎可奈美は真剣な顔付きなれど焦りは微塵も浮かべず、己が身に一撃だろうと当てさせない。
斬撃の群れの隙間を泳ぎながら標的との距離を着実に縮める。
(数は多いけど、でも見切るのは難しくない…!)
薫に言ったのは強がりに非ず、実際に可奈美は既にマンティスマルガムの斬撃を見切っていた。
膂力は高く刃を飛ばす力も厄介だが、放つ本人は参加者を襲うようプログラムされたNPC。
これが冥黒の三姉妹の一人クロトーであれば、鍛えた格闘術やその場その場での臨機応変な対応も行っただろう。
だが殺し合いでも元の世界でも、自我が無く暴れ回るだけでは攻撃もパターン化を免れない。
力任せな動きしか出来ないのなら、初撃で可奈美を倒せなかった以上末路は決まったも同然。
膂力は高く刃を飛ばす力も厄介だが、放つ本人は参加者を襲うようプログラムされたNPC。
これが冥黒の三姉妹の一人クロトーであれば、鍛えた格闘術やその場その場での臨機応変な対応も行っただろう。
だが殺し合いでも元の世界でも、自我が無く暴れ回るだけでは攻撃もパターン化を免れない。
力任せな動きしか出来ないのなら、初撃で可奈美を倒せなかった以上末路は決まったも同然。
――水の呼吸 弐ノ型 水車
アイドル達の支援を受け走力を劇的に強化。
刃の間合いへ近付き放つは悪鬼滅殺の刃、全身を垂直に回転しての斬り上げ。
今度は防御も回避も間に合わせない、股から頭頂部までを刀が駆け上がった。
これまでで一番のダメージだが暗黒の波動を過剰摂取した影響か、まだ倒れる気配は無い。
刃の間合いへ近付き放つは悪鬼滅殺の刃、全身を垂直に回転しての斬り上げ。
今度は防御も回避も間に合わせない、股から頭頂部までを刀が駆け上がった。
これまでで一番のダメージだが暗黒の波動を過剰摂取した影響か、まだ倒れる気配は無い。
――水の呼吸 捌ノ型 滝壷
尤もトドメの一手までを既に構築済み。
岩山を叩く水流の如き勢いで、頭部目掛けての振り下ろし。
フラついたままのマンティスマルガムに避けるだけの時間は無く、渾身の一撃を身に受けた。
脳漿代わりの火花が飛び散り、急所を叩っ斬られれば最早ここまで。
仰向けに倒れ、マジェードに撃破された時同様に爆散という最期を迎える。
岩山を叩く水流の如き勢いで、頭部目掛けての振り下ろし。
フラついたままのマンティスマルガムに避けるだけの時間は無く、渾身の一撃を身に受けた。
脳漿代わりの火花が飛び散り、急所を叩っ斬られれば最早ここまで。
仰向けに倒れ、マジェードに撃破された時同様に爆散という最期を迎える。
(成程、こいつはあいつらの仕業か)
自身に起きた変化に最初こそ戸惑うも、冷静に受け入れるまでに時間は掛からない。
元々運動能力は高い方だが、今は自分の体なのに別人のような軽さだ。
リュージがチラと見た先にはナーゴと千佳。
演奏と、何とも気の抜ける呪文で味方の強化をするシギル(厳密には違うが)といった所か。
大したお姫様方だと独り言ち、振り下ろされた鎌をヒラリと躱す。
元々運動能力は高い方だが、今は自分の体なのに別人のような軽さだ。
リュージがチラと見た先にはナーゴと千佳。
演奏と、何とも気の抜ける呪文で味方の強化をするシギル(厳密には違うが)といった所か。
大したお姫様方だと独り言ち、振り下ろされた鎌をヒラリと躱す。
上がったのは素早さだけでなく、射撃の腕も同様だ。
ディケイドの銃撃へ対処してみせたチェイスのように、リュージも精密性と集中力が底上げされている。
カマキリアマゾンの鎌は当たらず、反対に撃った銃弾は全て命中。
そこら中に血が飛び散り、カマキリアマゾンは体力の低下と共に動きも鈍くなり出す。
カナメやシュカがこの場にいたら、それはもう強化された力でいつも以上に暴れ回ったことだろう。
何て呑気な想像は一瞬に留め、アサルトライフルを一旦下げる。
ディケイドの銃撃へ対処してみせたチェイスのように、リュージも精密性と集中力が底上げされている。
カマキリアマゾンの鎌は当たらず、反対に撃った銃弾は全て命中。
そこら中に血が飛び散り、カマキリアマゾンは体力の低下と共に動きも鈍くなり出す。
カナメやシュカがこの場にいたら、それはもう強化された力でいつも以上に暴れ回ったことだろう。
何て呑気な想像は一瞬に留め、アサルトライフルを一旦下げる。
相手に情けを掛けたのではない、より威力の高い一撃を食らわす為だ。
先程は糸に捕えられたが今度は邪魔する者もいない。
取り出し照準を合わせ、カマキリアマゾンの腹部へと放たれる魔弾。
突き刺さったソレに短く悲鳴を上げ、忌々しそうに叩き落とそうと腕を伸ばし、
先程は糸に捕えられたが今度は邪魔する者もいない。
取り出し照準を合わせ、カマキリアマゾンの腹部へと放たれる魔弾。
突き刺さったソレに短く悲鳴を上げ、忌々しそうに叩き落とそうと腕を伸ばし、
直後、爆発が巻き起こり上半身が千切れ飛んだ。
リュージに支給されたこの武器の名はボルトスロワー。
銃弾の代わりに矢を放つ他、時間差で爆発するマイン(鉄矢)を撃てる。
大統領令嬢救出の任を負ったエージェントを、度々助けた威力はアマゾン相手にも有効。
僅かに蠢く頭部へ数発銃弾を叩き込み、今度こそ完全に沈黙。
マガジンを替えつつもう一体のアマゾンへと、ボルトスロワーを構える。
銃弾の代わりに矢を放つ他、時間差で爆発するマイン(鉄矢)を撃てる。
大統領令嬢救出の任を負ったエージェントを、度々助けた威力はアマゾン相手にも有効。
僅かに蠢く頭部へ数発銃弾を叩き込み、今度こそ完全に沈黙。
マガジンを替えつつもう一体のアマゾンへと、ボルトスロワーを構える。
「アンク!右にソイツを蹴り飛ばせ!」
「命令すんな!」
「命令すんな!」
反抗的な言葉を返されるも意図は察したのだろう。
敏捷性の上がったアンクの蹴りはトンボアマゾンにも避けられず、胴体を足底が叩く。
蹴り飛ばされアスファルトへ身を投げる羽目になるも、これが終わりの始まりだ。
倒れた箇所には既にリュージがボルトマインを設置済み、爆発で更に吹き飛ばされる。
再度地面に叩き付けるのを待たずに、激突地点で待ち構えるのは赤いグリード。
敏捷性の上がったアンクの蹴りはトンボアマゾンにも避けられず、胴体を足底が叩く。
蹴り飛ばされアスファルトへ身を投げる羽目になるも、これが終わりの始まりだ。
倒れた箇所には既にリュージがボルトマインを設置済み、爆発で更に吹き飛ばされる。
再度地面に叩き付けるのを待たずに、激突地点で待ち構えるのは赤いグリード。
「いい加減寝てろ!」
手刀が心臓を貫き、カマキリアマゾンと同じ場所へと旅立った。
引き抜いた手にはドス黒い体液がべっとり付着しており、舌打ちと共に振るい落とす。
グリードやヤミーなら肉体を構成するセルメダルを落とすのだが、今回はそういった旨みになる物は無し。
メダルを執拗に求める同胞へうんざりしたものの、今後の戦いを考えれば必要ないとは言い切れなかった。
引き抜いた手にはドス黒い体液がべっとり付着しており、舌打ちと共に振るい落とす。
グリードやヤミーなら肉体を構成するセルメダルを落とすのだが、今回はそういった旨みになる物は無し。
メダルを執拗に求める同胞へうんざりしたものの、今後の戦いを考えれば必要ないとは言い切れなかった。
余計な手間を取らせやがってと吐き捨てる間、残る戦いにも終わりが近付く。
四方八方から襲い来る鞭を、魔進チェイサーも己の得物で弾き返す。
人体を切り裂くイリアンの武器も、ロイミュードの技術で作られたブレイクガンナーは破壊できない。
おまけに相手は強化の恩恵を受けたのもあって、まるで鞭が当たる気配が見当たらない。
人体を切り裂くイリアンの武器も、ロイミュードの技術で作られたブレイクガンナーは破壊できない。
おまけに相手は強化の恩恵を受けたのもあって、まるで鞭が当たる気配が見当たらない。
ならばと放つのは右腕の毒液。
鞭を弾いた直後に跳ね上げ発射、これを魔進チェイサーは片腕を翳し防御。
もしここにいるのがイリアン本人だったら高笑いし、敵のミスを毒舌と共に指摘しただろう。
当たってしまえば嘗てのゴセイジャー同様、身動きは取れずあっという間に変身解除となる。
鞭を弾いた直後に跳ね上げ発射、これを魔進チェイサーは片腕を翳し防御。
もしここにいるのがイリアン本人だったら高笑いし、敵のミスを毒舌と共に指摘しただろう。
当たってしまえば嘗てのゴセイジャー同様、身動きは取れずあっという間に変身解除となる。
『TUNE CHASER SPIDER』
といった展開は起きず、魔進チェイサーは平然とチェイサーバイラルコアを装填。
蜘蛛の足をモチーフにしたクローが鞭を断ち切り、イリアンにも切っ先が命中。
よろけた隙を見逃さずに蹴り飛ばし、地面へ倒れると銃口を押し込む。
戦闘を長々と引き延ばしはしない、早々にケリを付ける。
蜘蛛の足をモチーフにしたクローが鞭を断ち切り、イリアンにも切っ先が命中。
よろけた隙を見逃さずに蹴り飛ばし、地面へ倒れると銃口を押し込む。
戦闘を長々と引き延ばしはしない、早々にケリを付ける。
確かにイリアンの毒は人間は勿論、天装を行ったゴセイジャーにも効いた。
しかし彼らと違い、魔進チェイサーは機械生命体ロイミュード。
生物を麻痺させる猛毒も、血の流れない鋼鉄の体には無意味。
ただ付着箇所を解析し麻痺毒だとすぐに分かった為、自分はともかく他の者達にとっては脅威と認識。
仲間へ被害が及ぶ前に仕留めると判断を下した。
しかし彼らと違い、魔進チェイサーは機械生命体ロイミュード。
生物を麻痺させる猛毒も、血の流れない鋼鉄の体には無意味。
ただ付着箇所を解析し麻痺毒だとすぐに分かった為、自分はともかく他の者達にとっては脅威と認識。
仲間へ被害が及ぶ前に仕留めると判断を下した。
『EXECUTION SPIDER』
背部コネクターから供給されるエネルギーが上昇。
二本のクロー部分へ収束し、必殺の刃がイリアンを切り裂く。
人間の男を材料に家具を作る外道な趣味が殺し合いで起こる前に、他のNPC同様爆散。
絶叫を上げた際、赤いグリードが聞き覚えのある声だと首を傾げたのはさておき。
これで残るは鏡の世界に住まう怪物一体のみ。
二本のクロー部分へ収束し、必殺の刃がイリアンを切り裂く。
人間の男を材料に家具を作る外道な趣味が殺し合いで起こる前に、他のNPC同様爆散。
絶叫を上げた際、赤いグリードが聞き覚えのある声だと首を傾げたのはさておき。
これで残るは鏡の世界に住まう怪物一体のみ。
胸部からマシンガンのように針を連射し、真下のジオウを蜂の巣に変えようとする。
一発一発にイリアンにも劣らない麻痺毒が仕込まれており、ライダーだからといって当たれば無事で済む保障は無い。
だがジオウにしてみれば今更恐れ慄く攻撃ではない。
二丁の銃がエネルギー弾とレーザービームを発射、針を粉砕しディスパイダー・リ・ボーンをも銃撃の嵐に巻き込む。
高火力の連射をモロに受け、堪らず落下したのが運の尽きだ。
一発一発にイリアンにも劣らない麻痺毒が仕込まれており、ライダーだからといって当たれば無事で済む保障は無い。
だがジオウにしてみれば今更恐れ慄く攻撃ではない。
二丁の銃がエネルギー弾とレーザービームを発射、針を粉砕しディスパイダー・リ・ボーンをも銃撃の嵐に巻き込む。
高火力の連射をモロに受け、堪らず落下したのが運の尽きだ。
「DVチェンジ」
音声入力で銃形態からディフェンダーソードに変え、ジカンギレードも同様に剣へと変形。
巨大な下半身の足を振るわれるも、跳躍したジオウには当たらない。
上半身へと双剣で斬り掛かり、針を放つ隙を与えぬ勢いの猛攻を繰り出す。
薫や一戦交えた銀髪の剣士に比べれば技術は大きく劣るが、相手がNPCのミラーモンスターならこれで十分だ。
一際強烈な斬撃を、交差させた得物により刻まれる。
敵はもう虫の息、慈悲は無いが無意味に長生きさせる趣味も無い為終わらせに掛かった。
巨大な下半身の足を振るわれるも、跳躍したジオウには当たらない。
上半身へと双剣で斬り掛かり、針を放つ隙を与えぬ勢いの猛攻を繰り出す。
薫や一戦交えた銀髪の剣士に比べれば技術は大きく劣るが、相手がNPCのミラーモンスターならこれで十分だ。
一際強烈な斬撃を、交差させた得物により刻まれる。
敵はもう虫の息、慈悲は無いが無意味に長生きさせる趣味も無い為終わらせに掛かった。
『FINISH TIME』
『ZI-O!GIRIGIRI SLASH!』
数時間前の戦闘では返り討ちにされたが今回は違う。
ジカンギレードを用いた横薙ぎの一閃は、時計の針状のエフェクトと共に相手を葬る技。
抵抗するだけの体力は残っていない、エネルギー刃の餌食となり数多のミラーモンスター同様の末路となった。
エリア内にカードデッキ所持者がいたなら、彼らの契約モンスターが我先にと餌に食い付いただろう。
生憎ライダーはいても、神崎士郎の開発したシステムとは無関係の戦士ばかり。
ディスパイダー・リ・ボーンのコアは暫し宙に留まった後、煙のように消え誰の目にも映らなくなる。
ジカンギレードを用いた横薙ぎの一閃は、時計の針状のエフェクトと共に相手を葬る技。
抵抗するだけの体力は残っていない、エネルギー刃の餌食となり数多のミラーモンスター同様の末路となった。
エリア内にカードデッキ所持者がいたなら、彼らの契約モンスターが我先にと餌に食い付いただろう。
生憎ライダーはいても、神崎士郎の開発したシステムとは無関係の戦士ばかり。
ディスパイダー・リ・ボーンのコアは暫し宙に留まった後、煙のように消え誰の目にも映らなくなる。
「終わったか…」
「そのようだな、協力に改めて感謝しよう」
「そのようだな、協力に改めて感謝しよう」
イリアンを片付けたチェイスに返しつつ、辺りを見れば自然と参加者達が集まって来る。
ナーゴの演奏も止まり、市街地は冷たい空気へと逆戻り。
NPCとの戦闘で重傷を負った者は一人もおらず、流石にこの程度は切り抜けられるらしい。
ナーゴの演奏も止まり、市街地は冷たい空気へと逆戻り。
NPCとの戦闘で重傷を負った者は一人もおらず、流石にこの程度は切り抜けられるらしい。
「取り敢えず先に聞いておきたいんだが、お前らは殺し合いに乗ってないんだよな?」
集合し早々に口火を切ったのはリュージ。
駆け付けた4人に助けられたのは事実だが、かといって本当に殺し合いに否定的かは不明。
友好的な振りをして実は…なんてことが無いとも言い切れないし、それが実際にあるのがダーウィンズゲーム。
故にまずはシギルを使ってハッキリさせておかねばならない。
向こうは小学生の千佳がいるとはいえ、スイの例を知ってるだけに子供だからと警戒は疎かに出来なかった。
駆け付けた4人に助けられたのは事実だが、かといって本当に殺し合いに否定的かは不明。
友好的な振りをして実は…なんてことが無いとも言い切れないし、それが実際にあるのがダーウィンズゲーム。
故にまずはシギルを使ってハッキリさせておかねばならない。
向こうは小学生の千佳がいるとはいえ、スイの例を知ってるだけに子供だからと警戒は疎かに出来なかった。
「は、はい!あたし達は羂索さんを止めようって思ってますっ!」
年上の男性と話すのはプロデューサー相手やアイドルの仕事で慣れているが、現在問い掛けたのは銃を持った青年。
少々緊張しつつもハッキリと答えた果穂に続き、残りの3人も乗っていなと伝える。
言葉を聞けば嘘を言ってるか分かるシギルは、ロイミュードや魔法少女にも効果を発揮。
結果、4人共に本心からの言葉と分かり警戒を解く。
少々緊張しつつもハッキリと答えた果穂に続き、残りの3人も乗っていなと伝える。
言葉を聞けば嘘を言ってるか分かるシギルは、ロイミュードや魔法少女にも効果を発揮。
結果、4人共に本心からの言葉と分かり警戒を解く。
「俺からも先に尋ねたい。お前達の中にキヴォトスの名を聞いた者はいるか?」
「オレは知らねぇ。可奈美とひよよ…じゃなくてアンコだっけか?そっちは?」
「伊達みたいな間違えしてんじゃねぇよ。それが何かあるのか」
「オレは知らねぇ。可奈美とひよよ…じゃなくてアンコだっけか?そっちは?」
「伊達みたいな間違えしてんじゃねぇよ。それが何かあるのか」
少女の姿もチラホラあったので、先生の言う生徒達が本性を隠しているとも考えた。
言葉を聞く限りでは無関係らしく、容姿の特徴などは先生も話さなかったので確かめる術は無し。
危険な集団の可能性があると伝えるも、もっと詳しい説明は場所を変えてからで良いだろう。
同じことをアンクも考えたのか、全員へ向けて言う。
言葉を聞く限りでは無関係らしく、容姿の特徴などは先生も話さなかったので確かめる術は無し。
危険な集団の可能性があると伝えるも、もっと詳しい説明は場所を変えてからで良いだろう。
同じことをアンクも考えたのか、全員へ向けて言う。
「お喋りの続きならここを離れてからにするぞ。さっきの連中が同じ個体とは限らないが、アイツが戻って来たら――」
「誰に断って勝手に立ち去ろうとしている?」
その瞬間を、何と形容すべきか。
全員の耳に声が聞こえた。
叫んではいない、平坦な声色を放っただけ。
男がやったのはその一つに過ぎず、誰も危害を加えられていない。
全員の耳に声が聞こえた。
叫んではいない、平坦な声色を放っただけ。
男がやったのはその一つに過ぎず、誰も危害を加えられていない。
では何故、これ程までに息苦しいのか。
呼吸一つを行うだけでも命懸けに感じるくらい、空気が異様な重さへ変化。
どうして一度の瞬きすらも行えず、誰もが両目を限界までこじ開けているのか。
理由を伝えるのは彼ら自身の生存本能。
繰り返し叫ぶ、コレから決して目を逸らすなと。
視線を外した時が最後、己の死すらも理解できない終わりが来る。
呼吸一つを行うだけでも命懸けに感じるくらい、空気が異様な重さへ変化。
どうして一度の瞬きすらも行えず、誰もが両目を限界までこじ開けているのか。
理由を伝えるのは彼ら自身の生存本能。
繰り返し叫ぶ、コレから決して目を逸らすなと。
視線を外した時が最後、己の死すらも理解できない終わりが来る。
血よりも濃く、炎よりも鮮烈な赤が見えた。
真紅を纏う男が一歩、また一歩と進むに連れてエリア一帯が軋みを上げる。
住まう人々を排除した街へ吹く風は、男を迎え入れる祝福か。
或いは、最悪を招き入れてしまった嘆きか。
真紅を纏う男が一歩、また一歩と進むに連れてエリア一帯が軋みを上げる。
住まう人々を排除した街へ吹く風は、男を迎え入れる祝福か。
或いは、最悪を招き入れてしまった嘆きか。
「俺を前にしていつまで呆ける気だ。王に首を垂れろ、ゴミどもが」
NPCとの戦闘など児戯に過ぎない。
これより始まるのは善が手を取り合い、勝利を掴む物語に非ず。
星はガラクタ、命は塵。宇宙を蹂躙し、万物を踏み躙る。
これより始まるのは善が手を取り合い、勝利を掴む物語に非ず。
星はガラクタ、命は塵。宇宙を蹂躙し、万物を踏み躙る。
宇蟲王による地獄が始まる。
029:波瀾Ⅰ:その戦いはなぜ始まったのか | 投下順 | 029:波瀾Ⅲ:Root of the Evil King |
時系列順 | ||
十条姫和 | ||
アンク | ||
前坂隆二(リュージ) | ||
衛藤可奈美 | ||
花菱はるか | ||
横山千佳 | ||
小宮果穂 | ||
チェイス | ||
益子薫 | ||
ロロ・ヴィ・ブリタニア | ||
ジンガ | ||
トランクス(未来) | ||
神戸しお | ||
宇蟲王ギラ |