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  • 壊乱Ⅱ:空洞/悪夢

真贋バトルロワイヤル

壊乱Ⅱ:空洞/悪夢

最終更新:2025年07月28日 15:43

匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
◆


先手を取られたのは痛いと、そうタギツヒメは思わずにいられない。
傷こそ付けられていないものの、テレビ局から引き離された。
建造物の壁を幾つも背中で突き破り、しかし肉体的なダメージは未だ無し。
写シを発動中なのに加え、金剛身で鋼の耐久力を獲得。
更に元々人間以上の生命力を持つ荒魂なのが重なり、不快な感触こそあれど痛みは皆無。

とはいえ何時までも押し飛ばされる体勢を取った所で、戦況に変化は訪れない。
力で向こうが上だとて、やりようは幾らでもある。
八幡力で再び腕力を上昇、押し返すのではなく逸らすように腕を動かす。
敵の剣の矛先が僅かに傾いた瞬間がチャンス、蹴りを叩き込んだ反動で跳ぶ。

「お行儀が悪いな、お姫様?」

嘲りの声に、今の打撃が聞いた様子はない。
焦らず片腕を翳して防御、少しの痺れも走らなかったらしい。
ホラーと化したジンガは身体機能全般のみならず、肉体強度も既存の生物の限界を遥かに上回る。
当たり所によっては一撃でダウンへ持ち込む、大荒魂の打撃だろうと威力が足りなかった。

ただこれでいい、目的はダメージを与える事に非ず。
ある程度の距離を取って、膠着状態を脱した。
仕切り直しの成功にニコリともせず、即座の反撃へ打って出る。

「シィ……ッ!」

唸り声と共に迅移を発動、スロモーションの世界へ迷い込んだ感覚へ囚われた。
十数歩分の距離を詰めるのに数秒すら必要ない。
通常の時間から逸する術だが、使い手によって精度も異なる。
並み居る刀使の追随を許さぬ実力のタギツヒメなら、当然速さも別格だ。

紅い鬼の眼前へ到達するや、有無を言わさぬ一刀で以て終わらせる。
先程の会話で嫌という程に分かった、この手の輩に容赦は無用。
情報を吐かせる為殺しはしないが、戦闘可能な芽は全て潰す。
まともに当たれば致命的となる刃が迫り、当然の如く弾かれ、反対に長剣がタギツヒメの首元を噛み千切らんと襲い掛かった。

「チッ……!」

舌打ちを一つ零し回避、数ミリ先を刀身が横切り空気が切り裂かれる。
迅移を使った上での攻撃にも対処してみせた。
今しがたの事実へ息を呑むのすら惜しい。
一撃防がれた程度で驚くには既に、集められた参加者が一筋縄でいかないのを知り過ぎている。
なれば意識を戦闘から外すのは悪手以外の何物でもなく、再び斬り付けるまで。

筋肉をしならせ、双剣による連撃を繰り出す。
死神代行・黒崎一護の斬魄刀。
元501部隊隊長・坂本美緒の愛刀。
生まれた世界は違えど、人に仇為す人外の者を斬る刃。
振るうのが人類の敵であった大荒魂であれど、切れ味に一切の衰えなし。
まして使い手の技量もハイレベルと来れば、悪鬼も泣き出す猛攻の完成となる。
思考を眼前の敵にのみ割き、無駄な動きを残らずカット。
雨あられと襲い来る刃の軍勢の恐ろしさたるや、一体如何程か。

「二刀流ってやつか。良い腕だな?魔戒騎士の中にも何人かいた気がするが、お前程じゃなかったっけなぁ」

発せられた軽口に戦慄や、恐怖を隠す意図は微塵も宿っていない。
事実、ジンガの目には何の脅威とも映らなかった。
視界を埋め尽くす斬撃を、一つ残らず鼻歌交じりに捌く。
得物の大きさなど感じさせない、軽やかな動き。
切っ先が肌へ軽く触れるのすら許さず、全て到達前に弾かれる。

付け加えて言うなら、永遠に受けの体勢へ回る気もない。
百発目間近の剣を躱し、ジンガが一歩踏み込む。
前方より吹き荒れる斬撃の暴風雨へ、自ら突っ込む自殺行為。
などと嘲笑う者全員が口を噤む光景を、現実のものとする。

「ハハハッ!!」

愉快で堪らないとの笑いも、響き渡る殺意の応酬へ掻き消される。
魔弾の如き威力で放たれた突きが、双剣の結界に亀裂を生む。
僅かにタギツヒメが押された、それで十分だ。
荒々しく、それでいて不要な動作を削ぎ落とした剣を放つ。

一撃へ対処した傍から、数十が群れを為し襲い来るかの勢い。
霊体故にたとえ斬られても、死には至らないと楽観的な考えは真っ先に捨てる。
剥がされれば最後、再び写シを使う前に細切れは確実。
もとより、写シによるダメージの肩代わりへ過信を抱く気はない。
であるなら、より一層意識を研ぎ澄まし迎え撃つまで。

「ノリが悪いなお姫様。愛想笑いの一つでもしてみろよ」
「貴様相手に斬り合った所で、微塵も愉快に思わん!」

得物の数は自分が多くとも、ジンガ相手に手数で有利とは言えまい。
数十本の腕を同時に振るったと、錯覚を抱き兼ねない光景が分かり易い答え。
唇が渇き喉がヒリ付く殺意にも、心を乱さず双剣を操る。

どのタイミングでどちらの得物を振るい、その間もう片方はどの位置へ置くか。
攻撃一つを見てから考えるのではなく、十数手先までを読み戦術を構築。
常人であれば脳が焼き切れるか、考え終える前に斬り殺されるかの二択。
タギツヒメにはいらぬ心配だ。
実行に移せる力があるからこそ、人類を脅かす大荒魂として君臨したのだから。

下手に後退を選べば却って敵の思う壺、故に恐れず前進。
脅威へ自ら飛び込み、二振りの刃が魔獣ホラーと真っ向より激突。
敵が隙を見せないなら、自らの手で作るまで。
弾いた瞬間のほんの小さな裂け目へ、斬魄刀を捻じ込み突破。
胸部目掛けて突き進む黒き刀身を、異形の瞳は見逃さない。

掬い上げるように振るった魔戒剣が、斬魄刀を跳ね除ける。
再度手元へ引き戻すのに、指を折って数える程の時間は掛からない。
だがジンガを前に致命的な隙なのは確か、獣の如き唸りで空気を引き裂き刃が襲来。
目前に迫る脅威は、タギツヒメにとっても予想出来た展開。
次の手は既に打ってあり、もう片方の得物を振り被る。

「っ、小細工か…!」

烈風丸が使い手の死に異を唱え、斬撃波を飛ばす。
魔法力を練り固め放つ技は、ネウロイの強固な外皮を切り裂く程に強力。
むざむざ己が身で受ける趣味は持ち合わせてない。
魔戒剣を振り下ろし、剛腕で以て霧散。
ノーダメージで凌ぐも、生じた隙を利用しタギツヒメが後退。
逃げの一手ではない、本命を放つのに必要な距離を稼いだ。

「月牙天衝!」

大荒魂として、体内に溜め込まれた負の神聖か。
若しくは斬魄刀自体の霊力を削っているかは不明だが、必須となる力を収束。
一護の代名詞とも言える、超高密度の霊圧を斬撃として放つ技。
現世に蔓延る虚を切り裂き、浄化して来た刃が狙う先には当然ジンガ。
斬魄刀の性質上、悪しき魂を持つ異形の天敵と化す。
数時間前の真人がそうだったように、ホラーとて例外はない。

「大荒魂がホラーを祓う力を使うか!冗談にしちゃ気が利いてるぜ!」

今度は正しく脅威と認識し、尚も笑い飛ばす。
当たれば危険、だったら当たらない方法を取れば良い。
魔戒剣へ邪気を収束、更にもう一つ力を引き出す。
冥黒王から奪い取った火炎を纏わせ、刀身が禍々しく輝き出した。
振るわれた得物から光刃が飛び、黒刃と削り合う。
やがて互いを貪った刃は消滅、二度目の仕切り直しとなる。

「雑魚じゃないのは分かってたが、それにしたって大した腕だ。つくづく、人間共の味方をしてるのが残念でならない」

異形の貌故、どんな表情かまでは分からないが。
声色には相も変らぬ嘲りと、素直な称賛が混じっている。
真紅の暴君や青い戦士のような、規格外は抜きにして。
ジンガから見ても上澄みと言わしめる実力を、タギツヒメが持つのに疑いはない。
薫の記憶を見て強さは知っていたが、現実に斬り合えば感じ入るものも違う。

「ああ…本当に惜しいな。強さはあるってのに、精神が追い付いてないんだからなぁ?」
「……何だと」
「人間への怒りに燃えてた時の熱が、今のお前にはない。かといって刀使のガキや魔戒騎士のように、守る為に振るう剣としても足りない。要はお前、中途半端なんだよ」

時に剣は言葉以上に、相手を知る事が出来る。
可奈美が大荒魂を巡る戦いで幾度もそうしたように、斬り合いの中でこそ分かるものは少なくない。
本質的に刀使と相容れないジンガなれど、その点だけは否定しない。
現にこうして、今のタギツヒメがどういった存在かを察せられた。

「腐り切った性根の分際で、知ったような口を聞くな。貴様なんぞの理解など、我は求めておらん」

忌々しさを隠そうともせず吐き捨てる。
中途半端、中途半端と言ったか。

そんなもの、自分が一番理解している。

一護のように、護る為の剣と口が裂けても言えない。
刹那のように、対話で以て真に理解し合う程の強さもない。
恩人に等しい男達を殺した者への、怒りは嘘偽りでなくとも。
嘗てのような、憤怒のみを原動力にしてるともまた言い難い。
護るどころか幾度も護られて、取り零してばかり。
他者に言われるまでもなく、どっちつかずな自分への呆れも今に始まったものじゃない。

「お節介が過ぎたなら悪かったな。ちゃんと自覚してるなら何よりだ」
「ほざけ、痴れ事はもう聞き飽きた」

軽薄さを切って捨て、再び双剣の構えを取る。
無駄に苛立たせる挑発を、これ以上聞く義理は欠片も無し。
今度はこちらから仕掛けようとし――





両者の間に振ってきた存在が、戦場の空気を瞬く間に支配した。





「――――――――――」
「こいつは……」

乱入者を視界に入れ、ジンガの口から驚きが零れ落ちる。
NPC共の茶々入れに辟易させられるのは、腹立たしい事に数回経験済。
此度も空気の読めない輩が、馬鹿の一つ覚えで襲って来た。
などと言い切れないのは偏に、発せられる強大なプレッシャー故。
レジスターは見当たらず、コレが参加者じゃないのは明白。
可奈美のように死後利用された類の可能性も、ゼロではないが。
正解が何にしろ、気を緩められる相手でないのは間違いない。
NPC如きが持って良い強さじゃないだろと、至極真っ当な呆れは胸中に留める。

ジンガの様子へ気付く余裕を、一瞬の内に削ぎ落とされ。
タギツヒメは両眼を見開き、呆然と立ち尽くす。
ついさっきの沙耶香をどうこう言えない、激しい動揺っぷりだと。
そんな自分への呆れ笑いすら、思考から完全に剥げ落ちた。

現われたソレに、正しく見覚えがある訳じゃあない。
大荒魂の姫達を思わせる、人の色と異なる白い肌は記憶してるのと別。
髑髏を思わせる仮面も、西洋の悪魔に似た角だって初めて見た。
だけど、右手に下げた黒き刀身の得物は。
仮面の後ろから垂らされた、特徴的なオレンジ色の髪は。
こんなにも違うのに、『彼』だとハッキリ分かってしまう。

「一……護……?」

自分自身のものとは思えない程、掠れた声で名前を呼ぶ。
百年の時を孤独に生きた、疲れ果てた老婆の如き声色へ。
ソレは一声も発さず、ただ仮面越しにタギツヒメを見やる。
対話の意図を籠めたのでは断じて違う。
仮面に隠れた瞳に射抜かれ、理解せざるを得なかった。

獲物を見付けた獣の目だと、分かった時には既に遅い。

「がっ……!?」

咄嗟の判断で金剛身を使い正解だった、そう僅かでも思ったかどうか定かでなく。
ただ気が付けば乱入者の姿が消え、背をどっと冷や汗が滴り落ちた。
備えなければと頭で考えるより早く、体が勝手に動いて。
すぐに腹部へ衝撃が襲い掛かり、両足が地から離れ吹き飛ばされる。

「……っ、っ!」

地面への激突は回避すべく、どうにか受け身を取るのに成功。
立ち上がり、自分の体が霊体でないのが分かった。
金剛身を使って尚、馬鹿げた衝撃が駆け巡ったのみならず。
拳一発で写シを剥がすダメージを、与えたと言うのか。

戦慄に苛まれる時間は、タギツヒメに寄越されない。
何せ敵はとっくに動き出し、目の前で剣を振り被ってるのだから。
疑問やその他諸々の全てを捨て置き、思考を切り替えなければ死ぬ。

「ぐっ……おぉ……!」

写シの再発動と並行し、八幡力で膂力を強化。
双剣を交差し振り下ろされた一撃を防いだ、まではいいが重過ぎる。
霊体にも関わらず両腕の感覚が急激に薄れ、眩暈を感じる程だ。
鍔迫り合うなど冗談じゃない、間違いなく圧し潰されるだろう。
歯を食い縛って刀身を受け流し、体勢が崩れた一瞬で迅移を発動。
すかさず死角へ動き斬魄刀を振るうも、敵も同様の得物で振り回す。

(何だこの力は……本当に一護なのか……!?)

殺し合いが始まった当初、生前の一護と一戦交えたのはハッキリ覚えてる。
あの時も強かったが、今現在斬り結ぶ存在はまるで別物だ。
技の冴えは大きく落ち、ハッキリ言って童子が暴れ回っているかのよう。
しかし膂力も速さも数段階上、何より一刀打ち合う毎に蝕む膨大な力。
霊圧の密度が会った時の一護とは、余りに違い過ぎる。

「何故だ一護!お前に何が…っ!?」

問い掛けへ言葉は返って来ず、代わりに叩き付けられる剥き出しの殺意。
受け流し切れずよろけたタギツヒメを、斬首せんと駆ける刀身。
危うげな体勢ながら辛うじて避け、間髪入れずに剣戟が再開。
言葉をぶつけても望んだ答えは得られないと、理解する他なく。
苦い顔でタギツヒメも己が力を行使、数手先までの未来を視る。

一定の時間を置いたからか、再び発動可能となった。
可奈美の例があるだけに過信はしないが、相手の手の内を把握可能なアドバンテージを活かし迎撃。
圧倒されたのは最初だけで、逆に追い詰める光景が――ない。

(我の反応が追い付かん……!)

次の次の更に次まで、一護がどう攻めるかは分かる。
しかし身体スペックに大きな差が生まれ、反応が間に合わない。
八幡力と迅移を使えど、膂力と速さは依然として向こうが上。
更に常時発せられる霊圧がじわじわと削り、霊体を軋ませる。
生命力の点で言えば刀使を大きく上回るが、無限の体力の持ち主に非ず。
写シの複数回使用は当然消耗が軽くない、かといって使わずに勝てる相手じゃない。
焦りはストレートに剣に現われ、叩き付けられた一刀を防げず斬り飛ばされた。

吹き飛ぶタギツヒメに、三度目の写シを使わせない。
死神の移動術とは異なるスピードで、一気に距離を詰めようと動き掛け、

「途中参戦の癖にはしゃぎ過ぎだ、少しは気を遣えよ!」

振り向くや背後からの斬撃を、片腕で防ぐ。
生身の白い肌に魔戒剣が噛み付いたというのに、掠り傷一つ付かない。
手を抜いた覚えはなく、今だって相応の力を籠めてこれだ。
マジかよと、小さく苦笑いしたのを聞いたかどうか。
反対の手に握られた得物が食い破るより一手早く、ジンガが後退。
全身に冥黒の炎を纏ったのと、大量の光弾が殺到したのは同じタイミングだった。

「理性のぶっ飛んだ野獣同然だってのに、手数は一丁前に豊富か!」

皮肉を飛ばしながらも棒立ちにはならない。
一発一発の威力は低いが速度と手数で押す、虚弾(バラ)呼ばれる技とは知る由もなく。
火炎を纏った刃で薙ぎ払い、時には片手からの放射で掻き消す。
煙が視界を覆うも、魔戒剣の一閃ですぐに晴れる。

「ハハッ……!」

一呼吸終えたかも怪しい猶予で、一護が間近に迫っていた。
目を見張る速さに思わず笑いが漏れ、跳ね上げた腕で攻撃を防御。
無論、防いだ相手への称賛が飛ぶ筈はなく。
タギツヒメにやったのと同様、猛攻と呼ぶのすら憚れる悪夢の如き斬撃が襲来。
出鱈目でガキのような動きだが、決して低くは見れない。

タギツヒメも、少し前に会った梔子ユメやギギストも。
攻防一体の剣術を使っていたが、一護は丸っきり違う。
動作全てを攻撃の為に使い、自分への被害を防ぐのを考えない。
尤も、桁外れな能力を思えば防御に出る必要性も抜け落ちるだろう。

ホラー態に加えて、冥黒の炎で自身を強化。
上記二つを駆使し食らい付くも、一護の力はジンガをして舌を巻く程。
打ち合いを経る毎に両腕へ負担が襲い、ならばと戦法を変える。

「向こう見ずなガキには覚えがあるんでなぁっ!」

放送前、散々追い詰めてやった薫を思い出す。
自身の被害を鑑みない動きは型から外れているが、別に対処法がない訳ではない。
そも、魔戒騎士時代は膂力で勝るホラーと戦ったのだって一度や二度じゃない。
捨てた過去なれど培った技術を用い、カウンター重視の動きへ出る。
一護の繰り出す斬撃を捌き、受け流し様に急所へ一撃入れた。

「……ま、あのチビ程単純じゃないってことか」

燃え盛る魔戒剣は確実に、脇腹を走った。
だというのに血の一滴も流れず、元の白さを保ったまま。
まるで皮膚自体が強固な鎧なようだと、呆れ笑いを浮かべるのも束の間。
振り回した刀が叩き付けられ、防御を取った体勢のジンガを大きく殴り飛ばした。

偶然か意図してかは不明だが、激突地点はタギツヒメのすぐ隣。
無様に背から落ちるのは御免だと、両足で踏ん張り着地。
傍らで三度目の写シを張ったタギツヒメも、気怠く肩を動かすジンガも。
互いには一切目をやらず、視線は宙へ固定された。

「あれ、は……!」
「大盤振る舞いも大概にして欲しいな、おい……」

驚愕と苦笑いの、反応こそ異なるも。
認識している脅威は同じ、膨大な霊力を一点に集中させた一護から目を離せない。
ELSに肉体を弄ばれる一護は、生前の能力を全て使える。
それは本来辿った筈の、少し先の未来で見せた技。
自我を保ち、仲間に微笑み掛け安心させた面影は欠片も存在しない。
最早護るという決意すら、魂と共に消え失せ純粋な破壊を齎す。

王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)。
数ある破面の中でも選ばれた者達、十刃のみが扱う最強の虚閃。
強大過ぎる威力故、虚夜宮(ラス・ノーチェス)内での使用を藍染惣右介が禁じた程。
生半可な抵抗を無に帰し、骨の欠片も残さず焼き払う閃光。
負を宿す二体の異形への神罰とでも言うように、頭上より降り注いだ。

「く…おおおおお……!!」
「がっ…あああああああああああああっ……!!」

逃げられる大きさではない、防いだ所で全て無駄。
だからといって、死を受け入れる殊勝さは持ち合わせていない。
月牙天衝と、冥黒の炎を纏った斬撃。
共に引き出せる最大出力の刃を放ち、勢いこそ削ぐもそこが限界。
空間すら歪む熱量が、大荒魂と魔獣ホラーの視界を焼き。
地面諸共、光が包み込んだ。

天から見下ろす一護の瞳が映し出すのは、原型を留めていないアスファルト。
爆撃が起きたとしか思えない惨状を、生み出した当人は無言。
見た目と力だけを再現し、人格は無い動く死体。
ELSは特別個体を除いたNPC同様、参加者を見つけ次第襲うだけ。
尤も、手を下すまでもなく死ぬ者までは別かもしれないが。

「がっ……ぐっ……!ぐぉ……」

膝を付き、胸元を抑え呻く銀髪の男。
ホラー態を保つだけの余力を奪われ、尚もジンガは生きていた。
但し額に大量の汗を浮かべ、何かを耐えるように奥歯を軋ませる様は無事とは言い難い。
纏った黒の衣服にも、覗かせる肌にも傷はない。
外ではなく、内側で荒れ狂う激痛がジンガを苛んでいる。

閃光に焼き払われる瞬間、ジンガが取ったのは諦める選択ではない。
一護が放った王虚の閃光を、ホラーを捕食するかのように喰ったのだ。
ELSの再現とは言っても虚の霊力を籠めたのなら、体内に取り込む事が出来ない訳ではない。
直前に放った斬撃で、威力が削がれていたのもプラスに動いた。
危うい所か自殺行為に等しい賭けだが、結果は成功。

だが当然、無事に済む訳がない。
人間の魂や肉体を餌にするホラーと、生きた人間の魂魄を喰らう虚。
互いに相性は悪くないが、一護の霊力はそこらの低級虚とは比べ物にならない。
第二形態の帰刃を解放した破面、ウルキオラ・シファーを圧倒する正真正銘の怪物。
虚としての力を完全に引き出した一護は、ジンガですら手を焼く狂戦士。
強過ぎる力は却って毒にしかならず、内側から肉体を滅ぼさんと蝕む真っ最中。
自らが喰らったモノが敗因へ繋がる、ホラー喰いのホラーが皮肉な末路を辿るのも時間の問題だ。

更にもう一体の異形もまた、刻一刻と死が足音を立て近付きつつある。

「………………ぁ………………」

微かに漏れ出た声が何と言ったのか、タギツヒメ自身にも分からない。
指一本動かすのも億劫で、吐息一つで全身に苦痛が襲う。
瞳をどうにか動かし、今どうなってるかを見てみる。
即座に後悔しそうになったくらいには、惨たらしい有様だった。

ジンガが喰ったのもあってか威力は落ちたが、直撃は避けられなかった。
写シなど一瞬で剥がされ、体中を熱が包み込んだのがほんの数秒前。
大荒魂特有の純白の肌など、どこにも見当たらない。
こんな状態でまだ生きてられるのが、自分でも不思議でならない。

運良く、いいや運悪く即死を免れたに過ぎない。
己を動かす命の感覚とも言うべきモノが、薄れていくのが分かる。
最早疑いの余地はない、これは確実にあれだろう。
もうじき自分は死ぬ。

(そう、か…………)

分かってしまったら、あっという間だ。
真っ先に浮かんだのは、一足早く逝った男達への申し訳なさ。
彼らのお陰で孤独から解放され、命まで救われた。
なのにその命が、こんなにも早くに喪われようとしている。
何度悔いても悔やみ切れず、出て来るのは「済まない」の四文字ばかり。

思えば何一つ、生きてる内にやれなかった。
一護の死の真相を確かめられず、ロロへの疑いが正しいか否かも分からず終い。
キャルと沙耶香を残し、勝手に一人息絶える。
我ながら余りにも情けなく思うも、既に視界すら曖昧だ。
未練ばかりが顔を出すのに、肝心の生きる力がもう残されていない。

(ハッ……分の悪い賭けに出ちまったか……)

己の終わりを悟ったのはジンガも同じ。
身に余る力は己を滅ぼすとは、古の時代から人間達への戒めにされた言葉。
よりにもよって自分が体現してしまい、苦笑いを浮かべるのが精一杯。
別に今更死を恐れてはいないが、まさか死に方すらも選べないとは。
ホラーに堕ちた魔戒騎士に相応しい最期、と言えばその通りかもしれない。

こんな風に受け入れる辺り、どうやら自分の中でも諦めが大半を占めてるのか。
参加者ですらない死体人形に敗れ、みずぼらしく死に絶える。
笑わなければやってらない。

何を思おうと、辿り着く結末は一つだけ。
大荒魂とホラー喰いのホラーは、黒崎一護の死体を利用した金属生命体に敗れた。
ぞれぞれの未練や因縁も関係無く、揃って脱落者の仲間入り。
酷く呆気ない最期が、





(死ぬのか……?“あの”一護を残して……?)

(諦める、ねぇ……)





火が灯る。
小さく、一吹きで消えそうなくらいに頼りない。
だけど熱を宿し、消えてたまるかと光を発する。
そんな火が、確かに灯された。



099:壊乱Ⅰ:WITCH QUEST Side B 投下順 099:壊乱Ⅲ:chAngE
時系列順
タギツヒメ
糸見沙耶香
キャル
グラファイト
ジンガ
仮面ライダーゼイン
小宮果穂
桜井侑斗(シビト)
凶星病理のコルファウスメット
ELS一護

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