◆
怒りが、タギツヒメの中で膨れ上がる。
自分がここで死んでも、一護はきっとこの先も参加者を殺し続ける。
善人か悪人か、戦う力があるかどうかも一切関係無し。
平等に死を振り撒く、文字通りの死神へ成り果てて。
生前の面影は何処にもない、どんな男だったかを誰もロクに知る機会だってない。
善人か悪人か、戦う力があるかどうかも一切関係無し。
平等に死を振り撒く、文字通りの死神へ成り果てて。
生前の面影は何処にもない、どんな男だったかを誰もロクに知る機会だってない。
そんな光景が現実になるのを、許せる訳がないだろう。
黒崎一護という人間は、何度思い返しても馬鹿な少年だった。
殺そうとした自分を理解しようとし、実際に抱え続けた孤独を言い当てて。
激情のまま斬り掛かっても、殺すつもりの反撃は決してせず。
本気で自分を助けようと、刹那と共に決死の『対話』を試みて。
殺そうとした自分を理解しようとし、実際に抱え続けた孤独を言い当てて。
激情のまま斬り掛かっても、殺すつもりの反撃は決してせず。
本気で自分を助けようと、刹那と共に決死の『対話』を試みて。
その果てに、自分を残して逝ってしまった。
(そうだ……そんな馬鹿だからこそ、我は救われた)
自我なき暴力として暴れ回る、今の一護は強い。
しかし、誰かを護る為に命懸けで戦った少年の魂はそこにない。
黒崎一護の生きた証を、護る事を諦めずに散ったあの大馬鹿者の戦いを。
踏み躙られ、唾を吐かれ、徹底的に汚すに等しい存在を放置するのか。
しかし、誰かを護る為に命懸けで戦った少年の魂はそこにない。
黒崎一護の生きた証を、護る事を諦めずに散ったあの大馬鹿者の戦いを。
踏み躙られ、唾を吐かれ、徹底的に汚すに等しい存在を放置するのか。
いいやさせない、させてたまるか。
孤独に苛まれ抱いたのとは違う、より激しく熱き怒りが燃え盛る。
一護の生き様を嘲笑う、許し難き存在への。
一護を苦しめる存在を前にし、生を手放そうとした己への。
しつこく引き摺り落とさんと手を伸ばす、『死』への怒りがあった。
一護の生き様を嘲笑う、許し難き存在への。
一護を苦しめる存在を前にし、生を手放そうとした己への。
しつこく引き摺り落とさんと手を伸ばす、『死』への怒りがあった。
(随分とまぁ、我ながら物分かりが良くなったもんだ。情けないくらいに、な)
嘲笑を向ける対象は他の誰でもない、ジンガ自身。
下手を打ったからといって最後まで悪足掻くでもなく、仕方ないで済まし諦める。
一体全体自分はいつの間に、負け犬根性が染み付いたのか。
下手を打ったからといって最後まで悪足掻くでもなく、仕方ないで済まし諦める。
一体全体自分はいつの間に、負け犬根性が染み付いたのか。
自分をも超える強者が参加してると、早期に把握した。
今のままかち合っても分が悪いと理解しており、呆気なく死んでも不思議はない魔境だ。
こういう結末が、起こり得ないとは言い切れない。
今のままかち合っても分が悪いと理解しており、呆気なく死んでも不思議はない魔境だ。
こういう結末が、起こり得ないとは言い切れない。
だから何だと言うのか。
どれ程の強大な力を持っていようと、己を歯牙にもかけない奴だろうと関係無い。
自分が唯一、敗北を認めたのはこいつではない。
忌々しい輝きを刻み付け、強さの理由もその在り方も理解している守りし者。
道外流牙以外の手で滅ぶ最期を、受け入れられるものか。
あの男と同じ強さを何一つ持ち合わせない、単なる死体如きに屈するなどお断りだ。
自分が唯一、敗北を認めたのはこいつではない。
忌々しい輝きを刻み付け、強さの理由もその在り方も理解している守りし者。
道外流牙以外の手で滅ぶ最期を、受け入れられるものか。
あの男と同じ強さを何一つ持ち合わせない、単なる死体如きに屈するなどお断りだ。
(そうだよなぁ……お前の顔も見ずに死ぬなんざ、つまらないにも程があるよなぁ。――道外!)
お前はあいつじゃない。
あいつの、黄金騎士の輝きを持たない死体が。
道外流牙とは似ても似つかない、殺戮しか能の無いガラクタ風情が。
この俺を殺せると思うな。
簡単に命をくれてやるなどと、思い上がるな。
あいつの、黄金騎士の輝きを持たない死体が。
道外流牙とは似ても似つかない、殺戮しか能の無いガラクタ風情が。
この俺を殺せると思うな。
簡単に命をくれてやるなどと、思い上がるな。
抱いた感情は全く違う。
憤怒と執着、後者に至っては善意などあろう筈もない。
しかし、想いの強さに疑いの余地もなく。
予定調和の終焉を覆す、逆転のトリガーが引かれた。
憤怒と執着、後者に至っては善意などあろう筈もない。
しかし、想いの強さに疑いの余地もなく。
予定調和の終焉を覆す、逆転のトリガーが引かれた。
「――――――ッ!?」
黒崎一護の肉体を奪ったソレの前に、膨大な熱が広がる。
天を衝く光の柱が出現し、眩さで視界を支配下に置く。
神の齎す奇跡とでも言うべき現象は、徐々に収縮。
等身大にまで治まり、やがて新たなる戦士が産声を上げた。
天を衝く光の柱が出現し、眩さで視界を支配下に置く。
神の齎す奇跡とでも言うべき現象は、徐々に収縮。
等身大にまで治まり、やがて新たなる戦士が産声を上げた。
焼き爛れた肌は元の白さを取り戻し、人ならざる肉体は一層の活力に漲る。
両手に下げた双剣は変わらず、ただ纏う衣装は違う。
ノロの眼球を模した意匠は排除され、白一色のコートに変化。
曝け出した腹部にも傷一つなく、何より意識を奪われるのは頭部。
無機質な仮面が素顔を隠し、その下の表情は窺い知れない。
両手に下げた双剣は変わらず、ただ纏う衣装は違う。
ノロの眼球を模した意匠は排除され、白一色のコートに変化。
曝け出した腹部にも傷一つなく、何より意識を奪われるのは頭部。
無機質な仮面が素顔を隠し、その下の表情は窺い知れない。
言葉無く片手を持ち上げ、思い切り叩き付けた。
斬魄刀、天鎖斬月の柄が凶器と化す。
被った仮面に亀裂が入り、脆いガラスのように砕け散る。
斬魄刀、天鎖斬月の柄が凶器と化す。
被った仮面に亀裂が入り、脆いガラスのように砕け散る。
「我の新しい……いや、お前が齎した力か」
額に仮面の一部を残し、黒き斬魄刀を見やりそう呟いた。
タギツヒメは人に近い見た目をしているが、正しくは人間ではない。
珠鋼の製錬時に分離した不純物が結合を繰り返し、果てに知性を獲得。
元々神聖を帯びたのもあり人格を形成、自らの魂を作り上げた。
珠鋼の製錬時に分離した不純物が結合を繰り返し、果てに知性を獲得。
元々神聖を帯びたのもあり人格を形成、自らの魂を作り上げた。
負の念で構成された魂を持ち、生きた人間を襲う性質を持つ。
細かな違いは多々あれど、その在り方は現世の人間とは違う。
むしろ――虚に近い。
細かな違いは多々あれど、その在り方は現世の人間とは違う。
むしろ――虚に近い。
土台は最初から組み上がっていた。
虚の代用とも言うべき魂魄。
主催者の細工が仕込まれたとはいえ、天鎖斬月という死神の力。
王虚の閃光を浴び、肉体に焼き付いた霊力で虚の影響が増大。
そして最後の一欠片(ピース)、心意システムが激しい怒りに呼応し完成に至った。
虚の代用とも言うべき魂魄。
主催者の細工が仕込まれたとはいえ、天鎖斬月という死神の力。
王虚の閃光を浴び、肉体に焼き付いた霊力で虚の影響が増大。
そして最後の一欠片(ピース)、心意システムが激しい怒りに呼応し完成に至った。
正規の方法とは全く異なる過程を経て、タギツヒメは破面化を果たしたのである。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!!」
響き渡るは傲岸不遜を絵に描いた高笑い。
世界そのものを見下し足蹴にする、悪意で彩られたホラーの叫び。
ザエルアポロ・グランツのように貪欲で、グリムジョー・ジャガージャックやノイトラ・ジルガのように闘争心を剥き出して。
己を蝕み崩壊へ導いた霊力を、逆に乗っ取り糧へと変える。
強いられる滅びと激痛すら、意思一つで捻じ伏せ屈服。
ただ自分の為だけに使われろと、有無を言わさず命令を下す。
世界そのものを見下し足蹴にする、悪意で彩られたホラーの叫び。
ザエルアポロ・グランツのように貪欲で、グリムジョー・ジャガージャックやノイトラ・ジルガのように闘争心を剥き出して。
己を蝕み崩壊へ導いた霊力を、逆に乗っ取り糧へと変える。
強いられる滅びと激痛すら、意思一つで捻じ伏せ屈服。
ただ自分の為だけに使われろと、有無を言わさず命令を下す。
伝説の牙城、永遠の命を授ける方舟、正史にて道を踏み外し堕ちた転生体。
全てを我が物にした時同様、黒崎一護の霊力をも支配下に置く。
昂りに逆らわず力を解放、死に体のホラーはもうどこにもいない。
悪しき魂の新生を祝福するかの如く、強風が吹き悲鳴のような音を立てた。
全てを我が物にした時同様、黒崎一護の霊力をも支配下に置く。
昂りに逆らわず力を解放、死に体のホラーはもうどこにもいない。
悪しき魂の新生を祝福するかの如く、強風が吹き悲鳴のような音を立てた。
より荒々しく、より攻撃的で、邪悪さ極まる紅い異形。
同族の魔界の住人や、凄腕の魔戒騎士すら裸足で逃げ出す重圧感。
魔獣ホラー・ジンガ翔。
黄金騎士ガロが、邪気を浄化し力を増すのとは真逆。
大量の邪気を一気に取り込み、本来ならば有り得ぬ進化を果たした。
同族の魔界の住人や、凄腕の魔戒騎士すら裸足で逃げ出す重圧感。
魔獣ホラー・ジンガ翔。
黄金騎士ガロが、邪気を浄化し力を増すのとは真逆。
大量の邪気を一気に取り込み、本来ならば有り得ぬ進化を果たした。
ヴァサゴやガブリエル・ミラーがそうだったように。
心意システムは微笑む相手を選ばない、意思の強さが物語る。
心意システムは微笑む相手を選ばない、意思の強さが物語る。
霊圧が格段に上昇し、一護も即動きに出る。
標的たる参加者が死を脱し、未だ歯向かう気で立つならば。
プログラムに従い殲滅を実行するのみ。
二体目掛けて虚閃を放ち、
標的たる参加者が死を脱し、未だ歯向かう気で立つならば。
プログラムに従い殲滅を実行するのみ。
二体目掛けて虚閃を放ち、
「生温いな」
黒炎を纏った魔戒剣の一振りで、線香花火さながらに儚く散る。
虚閃が掻き消えるや既に、目の前にはジンガが到達。
音を置き去りに振るわれた剣へ、一護も咄嗟に自身の得物を翳す。
膂力の高さも相俟って、突破不可能な防御。
虚閃が掻き消えるや既に、目の前にはジンガが到達。
音を置き去りに振るわれた剣へ、一護も咄嗟に自身の得物を翳す。
膂力の高さも相俟って、突破不可能な防御。
「ッ!?」
描いた光景は実現せず、一護の望まない現実が降り掛かる。
先とは段違いのパワーで防御を崩され、肉体へ刻まれる刀傷と火傷。
鋼皮(イェロ)によるダメージ軽減があれど、勢いまでは殺せない。
空気の抜けた風船のように、あらぬ方へと吹き飛んで行く。
先とは段違いのパワーで防御を崩され、肉体へ刻まれる刀傷と火傷。
鋼皮(イェロ)によるダメージ軽減があれど、勢いまでは殺せない。
空気の抜けた風船のように、あらぬ方へと吹き飛んで行く。
宙で無防備な体勢を、いつまでも取り続ける訳にはいかない。
一回転し着地、霊力を固め即席の足場に使用。
追撃を仕掛けるだろうジンガに備え、斬魄刀に力を掻き集めた。
一回転し着地、霊力を固め即席の足場に使用。
追撃を仕掛けるだろうジンガに備え、斬魄刀に力を掻き集めた。
「どこを見ている」
背後からの声に、人間だったら冷や汗の一つでも流しただろう。
打撃一発で血肉の雨を降らせんと、振り返り様に裏拳を放つ。
だが当たらない、標的は影も形も見当たらず虚しく宙を切るのみ。
視線を周囲へ張り巡らせるまでもない、霊圧探知で居場所を特定。
死角目掛け斬魄刀を突き出すも、向こうは既に読んでいる。
打撃一発で血肉の雨を降らせんと、振り返り様に裏拳を放つ。
だが当たらない、標的は影も形も見当たらず虚しく宙を切るのみ。
視線を周囲へ張り巡らせるまでもない、霊圧探知で居場所を特定。
死角目掛け斬魄刀を突き出すも、向こうは既に読んでいる。
「烈風斬!」
魔力の代わりに霊力を喰わせ、斬撃波を走らせた。
不可視の刃に斬り刻まれた挙句、暴風に囚われる。
揉みくちゃで吹き飛ぶ一護だが、このまま離脱させる気はない。
すかさず響転を使い急接近。
視界には標的ともう一体、最優先で斬る異形を挟み紅いホラーも映り込んだ。
不可視の刃に斬り刻まれた挙句、暴風に囚われる。
揉みくちゃで吹き飛ぶ一護だが、このまま離脱させる気はない。
すかさず響転を使い急接近。
視界には標的ともう一体、最優先で斬る異形を挟み紅いホラーも映り込んだ。
「よう」
飛翔態となり、一護が吹き飛ばされるだろう位置を先読みし上昇。
タイミングを合わせたつもりはなく、しかし示し合わせかのように二体の怪物が剣を振るう。
タイミングを合わせたつもりはなく、しかし示し合わせかのように二体の怪物が剣を振るう。
「力ばかりが強くとも、一護の意志が無ければ勝てぬ道理はない!」
高密度の霊圧を撒き散らし、暴れ狂った鬼さながらに得物を振り回す。
癇癪を起こした童子も同然の動きへ、先程までは手を焼かされたがもう違う。
流れる水の如き鮮やかな、尚且つ激流を思わせる勢いを乗せた双剣。
タギツヒメが浮かべる顔に焦りはなく、己が滅ぼすべき者をしかと見据え繰り出す剣技。
ただ強いだけの者では、勝てる道理もないと華麗に捌く。
頭上から振り下ろす一撃へ、刀身を添え力の向きを別方向へと変える。
引き戻すまでの僅かな硬直を見逃さず、あっという間に赤い線が無数に刻まれた。
癇癪を起こした童子も同然の動きへ、先程までは手を焼かされたがもう違う。
流れる水の如き鮮やかな、尚且つ激流を思わせる勢いを乗せた双剣。
タギツヒメが浮かべる顔に焦りはなく、己が滅ぼすべき者をしかと見据え繰り出す剣技。
ただ強いだけの者では、勝てる道理もないと華麗に捌く。
頭上から振り下ろす一撃へ、刀身を添え力の向きを別方向へと変える。
引き戻すまでの僅かな硬直を見逃さず、あっという間に赤い線が無数に刻まれた。
「馬鹿力の誤魔化しが効かなくなって来たな!一から鍛え直してみろよ!」
幾度も繰り出す斬撃が届かないのは、もう一体もそう。
十全の威力を乗せた斬魄刀と、時には霊力でコーティングした拳を叩きつける。
重く素早い猛攻を前に、ジンガが防戦一方となりはしない。
真っ向から魔戒剣や打撃を叩き付け、押し返し怯ませる。
復帰はほんの一瞬で済むも、生じた隙へ刃を捻じ込み反撃の機会を悉く奪う。
デタラメな連撃に思えて、その実的確に一護を斬り体力を削り取る。
顔面へ突き進む拳もなんのその、腕を掴んで引き寄せ蹴り飛ばす。
十全の威力を乗せた斬魄刀と、時には霊力でコーティングした拳を叩きつける。
重く素早い猛攻を前に、ジンガが防戦一方となりはしない。
真っ向から魔戒剣や打撃を叩き付け、押し返し怯ませる。
復帰はほんの一瞬で済むも、生じた隙へ刃を捻じ込み反撃の機会を悉く奪う。
デタラメな連撃に思えて、その実的確に一護を斬り体力を削り取る。
顔面へ突き進む拳もなんのその、腕を掴んで引き寄せ蹴り飛ばす。
共闘の意識はなく、自分の思うがまま剣を振るっているに過ぎない。
だというのに互いの動きで阻害される事態にはならず、常に追い詰められるのは一護の方。
事前の斬り合いで手の内は知った、だから次にどこを斬る気か予測出来る。
優先して一護を倒す両者共通の意志が、皮肉にも下手な仲間同士以上のコンビネーションへ繋がった。
だというのに互いの動きで阻害される事態にはならず、常に追い詰められるのは一護の方。
事前の斬り合いで手の内は知った、だから次にどこを斬る気か予測出来る。
優先して一護を倒す両者共通の意志が、皮肉にも下手な仲間同士以上のコンビネーションへ繋がった。
「――――――ッ!!」
ほんの数分前まで圧倒し、死の寸前まで追い詰めた筈。
なのにどうだ、今やいい様に弄ばれてばかり。
単なる練習台の人形も良い所だ。
このまま勝ちを譲ってやりはしない、霊力の足場を蹴り跳躍。
勝利への執着故に非ず、NPCとしてのプログラムされた思考が大技を選択。
収束する膨大な力に、タギツヒメ達も覚えがある。
王の名を冠する閃光で以て、今度こそ纏めて焼き払う気か。
桁外れな威力の高さは身に染みており、直撃し二度も生き延びられる幸運には期待出来ない。
なのにどうだ、今やいい様に弄ばれてばかり。
単なる練習台の人形も良い所だ。
このまま勝ちを譲ってやりはしない、霊力の足場を蹴り跳躍。
勝利への執着故に非ず、NPCとしてのプログラムされた思考が大技を選択。
収束する膨大な力に、タギツヒメ達も覚えがある。
王の名を冠する閃光で以て、今度こそ纏めて焼き払う気か。
桁外れな威力の高さは身に染みており、直撃し二度も生き延びられる幸運には期待出来ない。
命乞いには聞く耳を持たない。
一度目で死を受け入れなかった愚行を後悔させるかのように、王虚の閃光を発射。
頭上より降り落とされた光の柱に、一護自身の視界も薄れる中。
ハッキリと見た、神罰に異を唱える度し難き怪物達を。
一度目で死を受け入れなかった愚行を後悔させるかのように、王虚の閃光を発射。
頭上より降り落とされた光の柱に、一護自身の視界も薄れる中。
ハッキリと見た、神罰に異を唱える度し難き怪物達を。
「我にしてやれるのは、結局こんなことしかない……。一護、今お前を解き放ってやる!」
両手で構えた天鎖斬月が貪り喰らう、タギツヒメ自身の霊力。
これ以上一護を歪んだ形で縛り付けない為なら、幾らでもくれてやる。
だから力を貸せと言えば、斬魄刀に宿る力が数段増す感覚を覚えた。
まるで刀の意志が、元の使い手の暴挙に憤るかのように。
これ以上一護を歪んだ形で縛り付けない為なら、幾らでもくれてやる。
だから力を貸せと言えば、斬魄刀に宿る力が数段増す感覚を覚えた。
まるで刀の意志が、元の使い手の暴挙に憤るかのように。
「遊んでくれた上に、力を一つくれた礼をしなきゃなぁ?遠慮しないで、たらふく喰え!」
長大化した魔戒剣が纏うは、悪しき力の集合体。
魔界の住人、冥黒の炎、現世の調和(バランス)を乱す堕ちた魂魄。
自分自身を滅ぼし兼ねない陰我をも、手足同然に扱う。
安寧など断じて訪れはしない、怨嗟に包まれ無間の苦痛を味わい死に果てる。
魔界の住人、冥黒の炎、現世の調和(バランス)を乱す堕ちた魂魄。
自分自身を滅ぼし兼ねない陰我をも、手足同然に扱う。
安寧など断じて訪れはしない、怨嗟に包まれ無間の苦痛を味わい死に果てる。
「月牙――天衝!!!」
「じゃあな!それなりに楽しかったぜ!!」
「じゃあな!それなりに楽しかったぜ!!」
相反する意思を籠めた剣が振り抜かれ、幕引きの瞬間は訪れた。
王の閃光を押し返すだけでは飽き足らず、純黒に染まる刃が侵食。
輝きが失われて尚止まりはしない、喰らい尽くすまで決して終わらない。
王の閃光を押し返すだけでは飽き足らず、純黒に染まる刃が侵食。
輝きが失われて尚止まりはしない、喰らい尽くすまで決して終わらない。
「――――――――――――――ッ!!!!!」
悪足掻きで振るった剣も何もかも、全て飲み込まれていく。
放った王虚の閃光は最早、蛍より小さな輝きを一瞬灯すだけ。
二度と肉体を利用されない為に、金属生命体の存在した痕跡を根こそぎ消し去る。
放った王虚の閃光は最早、蛍より小さな輝きを一瞬灯すだけ。
二度と肉体を利用されない為に、金属生命体の存在した痕跡を根こそぎ消し去る。
パラパラと落ちたのが焦げた皮か、骨の欠片か。
答えを知る術はもない、熱風が全てを持ち去って行く。
空一面を彩る黒い霊圧の残滓が、一つの終わりを伝えていた。
答えを知る術はもない、熱風が全てを持ち去って行く。
空一面を彩る黒い霊圧の残滓が、一つの終わりを伝えていた。
「一仕事終わり、と。それじゃ、続きといくか」
見届けた消滅を鼻で笑い、軽く首を回し視線を外す。
双眸が見つめる先には当然、白を纏った大荒魂。
暫し閉じた瞳の奥で、何を噛み締めているのか。
開いた時には僅かな悲しみを宿すも、すぐに切り替える。
怜悧な目がジンガを射抜き、戦闘再開へ応と答えた。
双眸が見つめる先には当然、白を纏った大荒魂。
暫し閉じた瞳の奥で、何を噛み締めているのか。
開いた時には僅かな悲しみを宿すも、すぐに切り替える。
怜悧な目がジンガを射抜き、戦闘再開へ応と答えた。
「疲れてるんなら素直に言えよ?一撃で終わらせてやるくらいの気遣いは、俺も出来ない訳じゃない」
「抜かせ。貴様こそ、消耗を理由に降参可能なのは今が最後だぞ」
「抜かせ。貴様こそ、消耗を理由に降参可能なのは今が最後だぞ」
軽口交じりの挑発を、毒を吐き捨て切り捨てる。
力を増したのはどちらも共通、警戒はあれど負けを認める潔さはない。
掛ける言葉はこの先不要、殺意を籠めた剣だけで構わない。
力を増したのはどちらも共通、警戒はあれど負けを認める潔さはない。
掛ける言葉はこの先不要、殺意を籠めた剣だけで構わない。
空が元の青さを取り戻し、白と紅の魔剣士達が再び戦の音色を奏で出す。
【ELS一護@本ロワオリジナル 消滅】
【黒崎一護@BLEACH 解放】
【黒崎一護@BLEACH 解放】
099:壊乱Ⅱ:空洞/悪夢 | 投下順 | 099:壊乱Ⅳ:切り札の名はPrincess! |
時系列順 | ||
タギツヒメ | ||
糸見沙耶香 | ||
キャル | ||
グラファイト | ||
ジンガ | ||
仮面ライダーゼイン | ||
小宮果穂 | ||
桜井侑斗(シビト) | ||
凶星病理のコルファウスメット | ||
ELS一護 |