湖のジンクス


20代目スレ 2007/11/21(水)

 【公園 池】
トウキ「なあ、知ってるか? この湖でボートに乗ったカップルは、絶対に別れるんだってさ」キィキィ
クリハ「ふふ、なにいってるの」
トウキ「女の神さまだからさ、嫉妬しちゃうんだろうな」
クリハ「やだ、そしたらトウキくん、神さまに連れてかれちゃう」
トウキ「ははは、冗談冗談・・・・・・、っ!」
クリハ「トウキくん?」
トウキ「・・・・・・呼んでる」
クリハ「トウキくん、トウキくんっ!? ちょっと!」
 バシャン
クリハ「トウキくん! 誰か、誰か来てぇっ!
 トウキくんが飛び込んで・・・・・・、えっ、あれは、そんな!」

レラ「・・・・・・、・・・・・・!」
キャクトラ「どうされました!」
クリハ「トウキくんが、トウキくんが木に!」
キャクトラ「なんと! トウキ殿、木に首をくくるとは! いったいなにが!?」
レラ「・・・・・・、・・・・・・!」
キャクトラ「はっ、そうですねレラ殿。
 待っていてくださいトウキ殿、いま!」

 バキッ
キャクトラ「痛たたた・・・・・・、枝が折れて・・・・・・、
 ハッ!? これは、いったいどういうことなのですか!」

 ◆
レイナ「なんていうか、あんたたち、まだ続いてたのねえ」
クリハ「なんてこというのよ!」
レイナ「あ、いや、関係とかじゃなくて、存在自体が」
クリハ「なおさらなんてこというのよ!」
レイナ「つまり、クリハの目の前で突如トウキが池に身を投げた。
 と思ったら、陸にある木から首を吊っているトウキを目撃した、と」
クリハ「どうしてレイナは、推理なんかこれっぽちもできないのに、
 事件を嗅ぎつける鼻だけは優れてるの?」
レイナ「失礼ねえ! 悲鳴を聞いて駆けつけてあげたのに!」
ゼラド「トウキくんは大丈夫なの?」
キャクトラ「ええ、それは。
 ロープはトウキ殿の首ばかりではなく胴体も縛っていました。
 これでは、後ろから見れば首つりに見えますが、実際に首は絞まりませんよ」
レイナ「狂言? でも、なんでこんなことを」
ゼラド「とにかく、トウキくんが目を覚ますのを待とうよ」

トウキ「いや、俺にも、いったいなにが起こったのか。
 突然気が遠くなったと思ったら、こんなところに。
 なあ、俺、ほんとに首なんか吊ってたのか?」
レラ「・・・・・・、・・・・・・」
キャクトラ「はっ、どうされましたレラ殿。
 ひょっとしたら湖の神のたたりなのかもしれない、と。なるほど」
ゼラド「う~ん、たたりかなんかだったら、見せかけるだけなんてことにはならないと思うけど」
レイナ「状況を整理しましょう。
 まず、事件の発生は正午10分過ぎ」
ゼラド「たまたまそこを歩いてたわたしたちが、クリハの悲鳴を聞いて駆けつけてきたんだよね。
 そのときは、べつに怪しい人影は見かけてないけど」
レイナ「この公園が開放されるのは午前10時から。
 管理人によると、その間公園に出入りしたのは」
キャクトラ「はい。私とレラ殿が、正午ごろに入りました。
 友と待ち合わせをしていまして」
レイナ「あんたとヴィレアムはわかるけど、なんでレラが混じってるの?」
キャクトラ「はぁ、それは今度のライブ・・・・・・」
レイナ「ライブ? あんたたち、バンドでもやってるの?」
レラ「・・・・・・、・・・・・・」
キャクトラ「はっ、レラ殿、かしこまりました。
 我々は、ライブラの黄金聖闘士が唯一武器の携帯を許されているというのなら、
 矢座や地獄の番犬座のあれやそれはOKなのか、
 そもそも地獄の番犬座は星座なのか否かということについて議論をしていた次第」
レイナ「変な議論してるのね、あんたたち」

ゼラド「えーっと、二人が乗ってたボートは、岸からかなり離れてたんでしょ?
 そうすると、トウキ君を連れ去った犯人はずっと水の中にいたって考えられるけど」
レイナ「でも、午前10時から事件発生まで、この公園に入ったのは
 クリハ、トウキ、キャクトラ、レラの4人だけよ。
 それ以前から水に潜ってたっていうなら、装備が必要になってくる。
 こんな街中でそんなもの抱えてうろついてたら、どうしたって目立っちゃうでしょう」
ゼラド「そうすると、かなり計画的ってことになるよね」
レイナ「トウキ、あんた心当たりはないの?
 どっかで泣かせた女がいるとか、現在進行形でほかの女がいるとか」
クリハ「トウキくん! そうなの!?」
トウキ「ねえよ! そんなの、あるわけねえだろ!」

レイナ「動機は不明、方法も不明、とすると」
ゼラド「う~ん」
レイナ(ハッ、まずいわ。このままじゃ、またいつもどおりゼラドに持ってかれる!)

レラ「・・・・・・、・・・・・・」
キャクトラ「はっ、なんですかレラ殿。
 はいはい、私が乗っただけで枝が折れたくらいだから、レイナが乗ろうものならひとたまりもないだろうと。
 はははは、レラ殿は的を射たことをおっしゃる」
レイナ「なにが『ははは』よ、失礼ねえ!
 あれ、ちょっと待って? キャクトラが乗ったら、枝が折れた? そっか」
ゼラド「なにかわかったの、レイナ」
レイナ「トウキが吊されてた枝は、地面からかなり離れた高さにあった。
 つまり、犯人はいったん枝に昇り、トウキを吊り上げなくちゃならなくなる。
 でも、キャクトラが乗っただけで枝は折れた。
 あの枝は、人間一人分の体重しか支えられなかったっていうことになる」
ゼラド「それじゃ、どうやって」
キャクトラ「まさか、本当に湖の神が」
レイナ「そんなわけないでしょ。導き出される真実はひとつ。
 トウキが、自分で自分を吊り下げたのよ。
 もちろん自殺の意志があったわけじゃない。本当に首が絞まらないように自分の身体を縛り上げてね」
クリハ「ちょっと待って!
 トウキくんは、湖に飛び込んだ直後に木に吊り下げられてたのよ。
 とてもじゃないけど、そんな時間なんか」
レイナ「ミナト、そのへんにいるんでしょう。出てきなさい」
ミナト「うわっ、なんで!」
レイナ「クリハ、あんたと一緒にボートに乗ってたトウキは、帽子をかぶってなかった?」
クリハ「なんでわかるの?」
レイナ「知っての通り、カノウ兄弟は中身と手相はだいぶ違うけど、顔はほぼおなじ。
 帽子をかぶれば、髪型の違いも誤魔化せる。
 クリハと一緒にボートに乗っていたのは、トウキではなくミナトだった。
 これは、カノウ兄弟が仕組んだ狂言なのよ!」
クリハ「そんな!」
レイナ「トウキ、あんたは午前10時以前から公園に忍び込んで、枝の上に潜んでいたのね。
 そして、身代わりをしていたミナトが湖に飛び込むと同時に、首吊りに見えるように姿を現した。
 もちろん、入れ替わりがバレないように、隠れている間に服を水で濡らしておいて」
トウキ「・・・・・・くっ」
クリハ「ほんとなの、トウキくん! なんでこんなこと」
トウキ「不安、だったんだ。毎日幸せだったけど、どこか刺激がなくて。
 クリハも、ここ最近どこかボーッとしてることが多くて。
 ほんとは飽きられてるんじゃないか、おれのこと、もうあんまり想ってくれてないんじゃないかって。
 だから、おれが首を吊ったら・・・・・・」
クリハ「ばかっ! トウキくんの、バカッ!」
トウキ「ああ、バカ、だったな・・・・・・」
クリハ「わあぁぁぁっ!」

レイナ「虚しいものね、真実なんて」
キャクトラ「おや、レラ殿は?」
ヴィレアム「おーい、キャクトラー! 遅いぞ、なにやってたんだ」
レラ「・・・・・・、・・・・・・」
キャクトラ「我が友? そうか、レラ殿が呼んできてくだすったのですね」
レラ「・・・・・・、・・・・・・?」
ヴィレアム「なにいってるんだ? 俺はずっとレラといたぞ。
 EAST END×YURIがヒップホップシーンに与えた影響について盛り上がってたんだけど、お前がなかなか来ないから」
レラ「・・・・・・、・・・・・・」
キャクトラ「これは、どういうことだ!?
 レラ殿のあの、たまにゲストに呼ばれたバラエティ番組で空回りしているイモリミユキを
 見たときのような顔を見れば、長時間我が友と一緒にいたことは明らか!」
レイナ「じゃあ、あたしたちと一緒にいたレラは?」
ゼラド「まさか、ほんとに湖の・・・・・・?」

 物陰
レラ「・・・・・・、・・・・・・」
ヒューゴ「はい、お疲れ様でした」
ラミア「ご苦労だったな」
アクア「二人とも、なにいってるんですか? これは」
レラ「・・・よいしょっと、あじゃぱー!」
アクア「うわあぁぁぁっ!?」
ルアフ「ふぅ、変装は探偵の必須技能とはいえ、長時間女の子になるのは疲れたよ」コキコキ
ラミア「それは、どちらかというと怪盗の必須技能なのではないか?」
アクア「変装ってレベルじゃありませんでしたよ! いま、骨格ごとバキバキ変わってたじゃないですか!」
ヒューゴ「どうして今日、事件が起こるとわかっていたんですか?」
ルアフ「なぁに、あの兄弟が、ないやら企んでるのを聞きつけたんでね。
 にしても、レイナはいつも今日みたいに僕のアドバイスをちゃんと聞いてたら、
 いままでだって醜態をさらすことはなかったのに」
ヒューゴ「さすが、ルアフ先生は教育熱心ですね!」
ルアフ「ふふふ。あの子にはいずれ、立派に僕のあとを継いで」
アクア「なにを継がせるつもりなんですかぁっ!?」

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最終更新:2009年10月17日 11:34
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