ゼラドとキリンのツノ


28代目スレ 2009/03/20(金)

 【曲がり角】
ゼラド「あ」
マーズ「ん?」

ゼラド「マーズくん、それ、頭になに付けてるの?」
マーズ「ウンメー感じた?」
ゼラド「え? なにが?」
マーズ「なーんだ、やっぱしインチキか」

レイナ「あんた、なに頭に触覚なんか付けてるのよ」
マーズ「触覚じゃねーよ、ほら、キリンのツノ」
レイナ「ますますなんなのよ」
マーズ「アフリカの部族からミンゲーヒン買い入れたら、オマケにくれたの。
 これ付けてっとウンメーのデアイとかがあるっつってたけど、アンのジョーインチキだったみてー。
 おやじにあげよーと思ってたけど、もーいらねーや。
 欲しけりゃーあげるよ」
ゼラド「えぇっ、本当!」
レイナ「なんで嬉しそうな顔をするのよ!」
ゼラド「だって、キリンさんのツノっていったら、
 なんに遣うのかイマイチわかんなくて、学会で軽い論争になってるんだよ!」
レイナ「なんでキリンのツノに詳しいのよ!」
マーズ「インチキだってゆったからねー。
 ゴリヤクがねーなんてモンクいってきたって知らねーよ」

 【朝 通学路】
トウキ「おーっす、なに付けてんだそれ」チョン
ミナト「おぃーっす。なんだこれ」チョン
スレイチェル「おはよう。このカチューシャはないな」チョン
ゼフィア「学校では外しておくのだぞ」チョン
キャクトラ「お早うございます。なんですかそれは」チョン

ゼラド「う~ん、なんで朝から会うひと会うひと、みんなツノ突っついてくんだろ」
レイナ「そりゃ、いい女子高生が頭にツノ付けて登校してたら、興味も覚えるでしょ」
ゼラド「運命の出会いっていうのは、やっぱりナシみたいだね」
レイナ「だから、インチキだっていわれてたでしょ?」
ゼラド「でも、ちょっとは期待しちゃうとこあるよ」

ヴィレアム「おはよう。なんで触覚なんか付けてるんだ?」チョン

レイナ「なんか感じた?」
ゼラド「ううん、べつに」
レイナ「ほら、やっぱりガセなのよ、運命の出会いなんて」
ゼラド「まだわかんないよ。
 単にヴィレアムくんが運命のひとじゃなかったっていうだけかもしれないし!」
ヴィレアム「痛い! 胸が痛い!」

カル「おはようございます。はは、なんですかこれは」チョン

ゼラド「え?」
カル「あ」
レイナ「は?」

 【B組】
ランディ「うーっす。あれ、なんでB組にいるんだ?」
レイナ「あらフリード星王子の代役のひと。あんたB組だったの?」
ランディ「フリード星王子の代役じゃねえけど。
 あれ? 俺B組じゃねえの? じゃあ何組なの?」
レイナ「知らないわよ、滅多に教室までたどり着かないひとのクラスなんて」
ランディ「やべえよ、俺、いまから別の教室にたどり着く自信ねえよ」
咲美「席なら大量に余ってるから、どこへでも好きなとこに座ったらいいんじゃないの?」
ランディ「うわ、ほんとだ。
 なんだこの、いつ転校生が来てもオッケーみたいな空席だらけの教室!
 なんでマンガじゃ転校生がくるとタイミング良く空席があるんだろ!」
咲美「空いたり埋まったりの繰り返しでね」
ランディ「それで、あれなんだ?」

ゼラド「なんでいままで気が付かなかったんだろ。
 こんな気持ち、初めて」
カル「ああ、バランガさん。
 あなたの瞳の中には、この顔が映っている。
 瞳よりももっと深いところに住み着きたいと思うことは、罪でしょうか」

ランディ「なんでB組の教室でゼラドが頭に触覚生やしてカルといちゃついてるんだ?」
咲美「なんか、あの触覚が縁結びのアイテムらしいんだけど」
レイナ「でも、あれインチキだったはずなのよ。
 現に、今朝何人か男子と会ったけど全然効き目なかったし」

レタス「皆さん! これをご覧になって!」
咲美「どうしたの!?」
レタス「ゼラド・バランガさん総画22!
 カル・ノールバックさん総画17!
 『相性98% お互いを尊敬し合い高め会う理想のカップルとなれるでしょう』と!」
咲美「画数占いなの!?」
レイナ「机の上に散らばってるそのトランプはなんだったのよ!」
レタス「え、ソリティアを」
レイナ「ねえ、この金髪はひょっとしてバカなんじゃないかしら」
咲美「うん、前からそういう疑惑はあるんだけど」
ランディ「やっぱ金髪だから」
レタス「金髪が頭悪いなど、迷信も甚だしくてよ!」

咲美「つまり、あのキリンのツノは、
 画数占いの結果相性がバッチリ同士の間に恋愛感情を芽生えさせるアイテムだっていうことかしら」
レタス「いまいち、使い勝手があるのかどうかわからない御利益ですのね」
レイナ「アフリカの部族の持ち物だったはずなんだけど」
レタス「アフリカの部族だって画数占いくらいするんじゃないんですの?」
ランディ「うん、まあ、よかったんじゃねえの?」
レイナ「なにがよかったっていうのよ!」
ランディ「え、だって、カルはイイヤツだし」
咲美「まあ、いいひとよね」
レタス「それなりに成績はよいですし」
ランディ「スポーツ万能だしさ」
咲美「将来は、なんかカタい職業に就きそうだし」
レタス「恋愛の相手としては物足りなくありますが、
 ダンナさんにするには安全というか」
ランディ「お菓子作り上手いし、ゼラド甘いものとか好きだし」
咲美「並行世界いったり来たりしてるひとを想い続けてても、幸せにはなれないだろうし」
レタス「バランガさんの画数ですと、晩年の家庭運が少々よろしくないので、
 相手は早めに決めておいた方が」
レイナ「いつまで画数占いしてるのよ」
ランディ「な、いい縁じゃないか」
レイナ「妙ちくりんなツノで芽生えた縁が幸せであってたまりますか!」

 ガラッ
ヴィレアム「そのツノか!」
ゼラド「きゃっ、イェーガーくん、なに!?」
ヴィレアム「なんか名字で呼ばれた!
 これか! このツノのせいか! ゼラド! これを外すんだ!」
ゼラド「え、ヤダよ。カルくんとのご縁になった、大切なツノだもん。ねえ?」
カル「ええ」
ヴィレアム「目と目で会話をするな! こうなったら腕ずくでも!」
ゼラド「きゃあっ!」
カル「バランガさん、目をつむっていてください」

 ぺちーん

カル「やめてください! バランガさんに荒っぽい光景を見せたくない!」
ヴィレアム「・・・・・・あぅ」
ランディ「あ~あ、バッカだなぁ~、前もやったじゃねえかよ。
 スポーツマンのカルと、ダラダラ日々を過ごしてるお前じゃ運動量が違うんだよ」

レイナ「アイミ! アイミはどうしたのよ!」
アイミ「えっ、わたしは、べつに、カルくんとは、その、お友達だし。
 わっ、わたしはミ・・・・・・っ!
 でも、どうしよう。カルくんがゼラドとああしてると、なんだか胸がモヤモヤして。
 ねえ、わたし、欲張りな子なのかなあ?」
レイナ「しちめんどくさいこと言い出した!」

レイナ「ゼラド! あんたほんとにそれでいいの!?」
ゼラド「なにが?」
レイナ「ヴィッ・・・・・・っ! 久保さんが好きだったんじゃないの!?」
ゼラド「お兄ちゃんのことは好きだよ?
 でもね、恋とかそういうのとは違うと思うの。
 身近にいる年上の男の人に持つ安心感を、そういうんだと錯覚してたんだよ」
レタス「至極まっとうな結論に達したものですのね」
カル「今日、学校が終わったらゴードンさんにご挨拶にうかがいましょう」
ゼラド「うん、カルくんなら、お兄ちゃんもお祝いしてくれると思うよ」

レイナ「冗談じゃないわよ!」
 がしっ
ゼラド「え、どうしたのレイナ? 痛いよ」
レイナ「あたしはっ、あたしはねえっ、
 ちゃんと真っ向からあんたとやって、勝ち取りたいの!
 それをっ、そんなっ、キリンのツノなんかで!?」
ゼラド「レイナ、なんの話してるの?」
レイナ「わかんないわよ、もう!」
ゼラド「レイナ、泣いてるの?」
レイナ「泣いてるわけないじゃない!」

 ガラッ
ヒューゴ「いょーし、出欠取るぞー。
 あれ、バランガ、なんでB組にいるんだ?
 まあいいけど、学校に触覚なんか付けてきちゃダメじゃないか」スポッ
ゼラド「え?」
レイナ「あ」
ランディ「あ」
咲美「あ」
レタス「あ」

ゼラド「きゃあっ! なんでわたし、カルくんのヒザの上に乗ってるの!?」
カル「うわぁぁぁぁっ! バランガさん! いったい、なにを!?」

レイナ「戻った?」
ヒューゴ「でも、なんだこの触覚? ちょっとイカすな」
レイナ「興味を持たないでください! すぐに捨ててください!」

 【放課後】
カル(ああ、俺は、なんということを・・・・・・!
 アイミさんを想うこの気持ちは、あんなキリンのツノなんかにどうこうされる程度のものだったのか!
 ああっ! 顔向けできない!
 アイミさんにも、そしてあいつにも!)

カル「ミナト! 俺を踏め! 踏んで、踏みにじって、罵ってくれ!
 このクズヤロウと吐き捨ててくれぇーっ!」
ミナト「なにいってんの、キモい上に怖いんだけど!」
カル「俺という人間の卑しさを知って欲しいんだ!」
ミナト「いやいや、知りたくないから!」

 【校舎裏】
ヒューゴ「おーい、アクセル用務員ーっ。
 これ、捨てといてくれないか」
アクセル「なんだ、剥製か? これは。
 困るな、専門の業者に処分してもらわないと」
ヒューゴ「え、そこの焼却炉でコソッと燃やしちゃダメなのか?」
アクセル「ゴミの分別は基本だ、用務員のな」
ヒューゴ「おっ、プロだねえ」

ディストラ「先生方、よろしければその剥製、
 私のほうでキレイに虚無に還しておきましょうか」
ヒューゴ「あ、いいんすか?」
ディストラ「ええ、もちろん」

      ...NEVER END

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最終更新:2009年10月17日 11:36
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