26代目スレ 2008/10/12(日)
メカブラック獣人パイ「ぐふっ・・・・・・、これを」
ハザリア「馬鹿者! こんなものを渡すな!」
メカブラック獣人パイ「この手帳を・・・・・・、この住所に・・・・・・」
ハザリア「気をしっかり持たんか!」
メカブラック獣人パイ「守ってくれ・・・・・・、僕たちの町を・・・・・・、ウツノミヤを・・・・・・」
ハザリア「メカブラック獣人パイーっ!」
【翌日 新幹線の中】
プアァァァァァンッ
ハザリア「昨夜、そういうことがあってだな」
マリ「そういうことは先にいえよ! うっかり着いて来ちゃったじゃないか!」
キャリコ「お言葉ですがマリ嬢、
バス乗って地下鉄に乗り換えて新幹線乗って駅弁むしゃむしゃ食べるっていうのは、
人間、なかなかちょっと、うっかりできるもんじゃありませんよ」
マリ「だって、ウツノミヤは駅弁発祥の地だし」
ハザリア「この駅弁ジャンキーが!」
マリ「お前がやたらわたしに駅弁食べさせたがるからだ!」
キャリコ「わかりましたマリ嬢。
はい、万券一枚あげますから、ウツノミヤに着いたらタクシー拾って、
たったひとこと『察してくれ』とおっしゃってください。
地方都市特有の安っぽくもきらびらやかなお城で駅弁が」
マリ「お城だったらそれは駅弁じゃありませんよ!」
ハザリア「なんだ貴様のその駅弁哲学は」
ハザリア「昨夜、傷だらけで現れたメカブラック獣人パイは、
俺にこの手帳を託し、病院に搬送されていった」
マリ「どうしてお前は、わたしの知らないところで妙な友達作ってるかな」
キャリコ「坊ー、マリ嬢は自分のあずかり知らないところで
あなたが交友関係築いてるのがご心配のご様子ですよー」
ハザリア「ふん、意外と拘束したがるやつだ」
マリ「そんなんじゃないよ!
なんでメカブラック獣人とか戦闘獣と知り合いなのか不思議なんだよ!」
ハザリア「あくまであだ名だ。
実際はトチギ訛りが残る純朴な宮っ子に過ぎん!」
マリ「友達をメカブラック獣人呼ばわりするお前の精神構造を疑うよ!」
【ウツノミヤ駅前】
ハザリア「ここはトチギ県ウツノミヤ市。
そう、ニホンエリアでもっとも影が薄いとされる県」
マリ「もっと影が薄い県なんていくらでもあるよ」
キャリコ「県のキャッチフレーズは『来てみたら住みたくなったトチギ県』です」
ハザリア「お笑いぐさだ!
行ったら行ったで住みたくなるのはイシカワ県でもワカヤマ県でもおなじだろうが!」
マリ「取りあえず、トチギ県とイシカワ県とワカヤマ県のひとに謝ろうな?」
ハザリア「その、どうしようもないトチギ県の県庁所在区が、ここウツノミヤ市だ」
マリ「どうしようもないとかいうな。
その手帳をどこかに届けるんだろ? 駅前ブラブラしてないで早く行こうよ」
ハザリア「貴様は! これを見てなんとも思わんのか!?」
マリ「なにかあるのか?」
ハザリア「なにもないのだ」
マリ「なんだ、それ」
ハザリア「ウツノミヤ市の象徴たる、『餃子像』が消えてなくなっておるのだ!」
キャリコ「なんということでしょう!
1994年、唐突な餃子の町アピールを後押しするためウツノミヤ駅東口に建てられた、
餃子にキモい手足を生やしたキモい『餃子像』がなくなってしまうなんて!」
マリ「ああ、そういえばニュースでやってたっけ。悪質なイタズラなんじゃないかって」
ハザリア「『餃子像』がなくなってしまったとなったら、
ウツノミヤ市民はいったいどこで待ち合わせをすればいいというのだ!」
マリ「そのへんのビルとかでいいんじゃないかな」
ハザリア「貴様はことの重要性をわかっているのか!
『餃子像』がなくなったとなれば、ウツノミヤを訪れる観光客はひとりもいなくなってしまうのだぞ!」
マリ「そもそもウツノミヤは観光地じゃないしさ。どっちかっていえば工業都市だしさ」
ハザリア「ウツノミヤの観光客が、ひとり残らずニッコウに奪われてしまう!」
キャリコ「ウツノミヤ市民とニッコウ市民の憎しみ合いの歴史は、
血も凍るところがありますからね」
マリ「ウツノミヤ市民もニッコウ市民も、お互いをそんな意識してませんよ。
たかが『餃子像』ひとつが、猿軍団や江戸村や日光東照宮に太刀打ちできるわけないじゃないですか」
ハザリア「パイのことがあった折も折、『餃子像』が消えてしまったことにはなんらかの関連があるに違いない!
観光でコケている
バルマー星人として、ウツノミヤの危機は放っておけん!」
マリ「お前のとこは母星吹っ飛んで移住したばっかりなのに、観光どころじゃないだろう」
ハザリア「観光名所といえば、首都に突っ立ってるアルマナ様像が物笑いのタネになっているくらいだ」
キャリコ「ボアザンやキャンベルのバカ学生が、
ニヤニヤしながら写メ撮りに来るんですよねえ」
ハザリア「あれは原型師が悪い。目がロンパっている」
マリ「撤去してやれよ、そんな像」
ハザリア「あんな像でも、なければないで開拓中の炭鉱町みたいなところだからな」
キャリコ「キレイなチャンネーがお酒ついでくれる店もありませんし」
ハザリア「テレビもあまりチャンネルがないし」
キャリコ「あ、キレイな奥さんがお酒ついでくれる家はあるんですけどね」
マリ「じゃ、家に帰ってくださいよ、キャリコさんは!」
ハザリア「ともあれ、この手帳に書かれた住所に向かうとするか」
【餃子店】
マリ「ほんとに餃子店がいっぱいあるんだなあ」
キャリコ「農薬混入事件のときの風評被害で売上が下がっちゃいましたけど、
ウツノミヤ餃子は純然たる国内産で安心ですからね」
ハザリア「ウツノミヤ市民ときたら、
シズオカ県民の緑茶やキョウト府民の八つ橋ぐらいの頻度で餃子を食らうからな」
マリ「シズオカの緑茶はともかく、キョウト府民は年がら年中八つ橋食べてるわけじゃないと思うよ」
キャリコ「あ、とりあえずビール!」
マリ「夕方から・・・・・・!
キャリコさん、一応こいつの護衛で来てるんじゃないんですか?」
キャリコ「え、違いますよ」
マリ「あっさり否定した!」
ハザリア「店主、取りあえず野菜餃子と肉餃子をひと皿ずつ持ってこい」
マリ「おい、餃子食べるより先に」
ハザリア「いいから、ちと黙って見ておれ」
メカブラック獣人ガンマ「へえ、らっしゃい。お客さまがた、観光ですかい?」
ハザリア「うむ、餃子を食らいにな」
メカブラック獣人ガンマ「そしたら、うちに来たのは正解ですよ。
なにしろ、じいさんが復員してきたときからの老舗ですからね」
キャリコ「ウツノミヤ市に餃子店が多いのは、
復員してきた兵隊さんたちが始めたからなんだそうですよ」
ハザリア「店主、『餃子像』が消えているが、この町の人間はどこで待ち合わせをしているのだ」
メカブラック獣人ガンマ「はあ、そのへんでテキトーに。
なきゃないで、どうとでもなる像ですからね、あれは」
ハザリア「ときに店主、メカブラック獣人パイという男を知っているか」
メカブラック獣人ガンマ「へえ、従兄弟ですけど」
メカブラック獣人ガンマ「へいお待ち」トントン
マリ「オッ、美味いな」モグモグ
キャリコ「ええ、肉汁がジュウジュウと」モグモグ
ハザリア「これが、貴様ご自慢の餃子なのか?」
メカブラック獣人ガンマ「へえ、自信作で」
ハザリア「本当にか?」
メカブラック獣人ガンマ「へえ?」
ハザリア「嘘、だな」
メカブラック獣人ガンマ「なっ!?」
マリ「お前、突然なにいいだしてるんだよ!」
ハザリア「内容物は牛肉と、みじん切りにしたエビ。
隠し味にしょう油と塩を少々、
なにより、細かく刻んだグリーンピース!
こんな餃子があるものか!
餃子の皮で包んだシュウマイだ、これは!」
マリ「餃子の皮で包んであったら、もう餃子だと思うぞ」
メカブラック獣人ガンマ「ふふふ、その通り、これは餃子ではない」
マリ「いや、だから、餃子だよ。どこからどう見ても餃子だよ」
ハザリア「貴様、パイの従兄弟をどうした」
メカブラック獣人ガンマ「勘違いしてるみてえだな。
俺は正真正銘メカブラック獣人パイの従兄弟さ。
袂を分かっちゃいるがね」
ハザリア「それで、餃子からシュウマイに宗旨変えか」
メカブラック獣人ガンマ「餃子はダメだ。
餃子の町アピールをしても、ウツノミヤ市はなにも変わらなかった。
もはや餃子じゃねえ、シュウマイだ!
シュウマイこそがウツノミヤの未来を作るんだ!」
マリ「餃子でダメだったんなら、シュウマイでもやっぱりダメなんじゃないかなあ」
メカブラック獣人ガンマ「さ、手帳を出しな。パイから預かってんだろ?」
ハザリア「ふふ、断るといったら?」
メカブラック獣人ガンマ「こうだっ!」
ガスッ!
ハザリア「ぐぅっ!」
メカブラック獣人ガンマ「ふふふ!
餃子の皮を直径1メートルほどの円盤状に積み重ね、
上にはバジル、オリーブ、ニンニク、ベーコン、アンチョビなどを載せて
たっぷりのモッツァレラチーズで絡めた特性シュウマイ!
堅焼きに堅焼きを重ねたエッジは、コンクリートにすら突き刺さる!」
マリ「ピザだよ! それ、もはや餃子でもシュウマイでもないよ!
強烈に堅焼きしたピザだよ!」
メカブラック獣人ガンマ「野郎ども! そいつらを取り押さえろ!」
ザッ! ザッ! ザッ!
マリ「わ、いっぱい出てきた!」
ハザリア「・・・・・・ぐぅ」
キャリコ「いけない、脳震盪を起こしています!
マリ嬢! ここはひとまず私が引き受けます! 坊を連れてお逃げください!」
マリ「でも」
キャリコ「早く!」
【道路】
マリ「タクシーっ!」
キキッ
運ちゃん「どちらまで」
マリ「察してくれ!」
【地方都市特有のお城ライクなラブホテル】
マリ「あの、ここ」
運ちゃん「ごゆっくり」
マリ「あ、ちょっと!」
ぶろろろ。。。
受付のババア「お泊まり? ご休憩?」
マリ「あ、いや、病院に行ってくれっていったはずなんですけど」
受付のババア「お連れさん、それ酔いつぶれてるのかい?」
マリ「ええと、ちょっと頭を打って」
ハザリア「・・・・・・ぐぅ」
受付のババア「怪我人なら、救急車を呼ぼうか?」
マリ「それはちょっと・・・・・・、じゃ、取りあえず柔らかいベッドがある部屋に」
受付のババア「はいよ。3階『とちおとめ』ね」
マリ「なんでこんなところで名産物アピールを?」
【とちおとめの間】
マリ「あ、くそ、重いな! 背ばっかりデカいんだから、こいつ!」
どさっ
マリ「ああ、どうしよう。思わず入っちゃったけど、
さすがにラブホから救急車呼ばれたら、父さんになんていえばいいのかわかんないからな」
ハザリア「・・・・・・ぐぅ」
マリ「なんなんだよ、このくるった内装の部屋。
なんでバスルームがガラス張りの上に、ヘボいイチゴの絵とか描いてあるんだよ。
ちょっと工夫してます感が、なんかムカつくよ」
ハザリア「・・・・・・ぐぅ」
マリ「これからどうしよう。このへんに土地勘なんかないし」
ハザリア「・・・・・・ぐぅ」
マリ「タクシー呼んでもらって、駅まで行くしかないか」
ハザリア「・・・・・・ぐぅ」
マリ「あれ、こいつ、さっきからイビキかいてるけど、
気絶してるときのイビキって危ないんじゃなかったかな。
オイ、大丈夫か?」
ハザリア「・・・・・・ぐぅ」
マリ「ええっと、とりあえず気道を確保して」
コンコン
マリ「わっ!」
コンコン
マリ「いやいや、慌てることないんだ。べつにやましいことしてたんじゃないんだから」
コンコン
マリ「ノック? こんなホテルで、ルームサービスなんか来るのか?」
コンコン
マリ「まさか・・・・・・、着けられた?」
コンコン
マリ「どうしよう」
ハザリア「・・・・・・ぐぅ」
マリ「とにかく、こいつだけでも」
ぎゅっ
ハザリア「しがみつくな。抱きしめてしまうだろう」
マリ「わっ! お前、目が覚めたのか!」
ハザリア「なんだ、このピンクの照明は。目がクラクラするぞ」むくり
マリ「そこは詮索してくれるなよ」
ハザリア「下がやけに柔らかいな。
フム、これがウォーターベッドというやつか。
なかなか快適だな」チャプン
マリ「コラコラ! 二度寝しようとするんじゃない!」
ハザリア「状況が分からん」
マリ「お前はメカブラック獣人に堅焼きピザぶつけられて気絶してたんだ。
ここまで逃げてきたけど」
コンコン
マリ「どうやら着けられてたみたいで」
ハザリア「ああ、なるほどな。おい、構わんから入ってこい」
ガチャ
受付のババア「どうも」
マリ「あっ!」
メカブラック獣人ガンマ「お前たちはまんまと追い込まれたというわけだ。
ここは俺の伯母が経営しているホテルでな」
マリ「クソッ、やけにタイミングよくタクシーが来たと思ったら、
あれもお前の仲間だったんだな」
メカブラック獣人ガンマ「もう袋のネズミだ。大人しく手帳を渡してもらおうか」
ハザリア「くだらん猿芝居はそこまでにしておいたらどうだ」
メカブラック獣人ガンマ「なんだとっ!?」
ハザリア「本当に手帳が欲しいというなら、俺が気絶した時点でどうにかしているはずだろう。
にもかかわらず、手帳は依然俺の元にある。
つまり、貴様の目的は手帳の奪還とは別にあるということだ。違うか?」
メカブラック獣人ガンマ「お前、どこまでわかってやがる」
ハザリア「手帳に書かれているこれは、どうやら暗号のようなものらしい。
そして貴様は自分ではこれが解けず、俺に解かせようとしているというところまでだな」
マリ「それだったら、なんで襲いかかってくるんだよ!」
ハザリア「俺の性格を分かっている人間がいるということだな。
おい、いるのだろう、出てこい!」
メカブラック獣人パイ「油断のならない男だな、君は」
ハザリア「貴様とは、もともとクイズコミュニティで知り合ったのだったな」
メカブラック獣人パイ「追い立てれば、きっと君は好奇心にかられ暗号を解いてくれるものだと思っていた」
ハザリア「いい度胸だ。親戚一同総出で俺をハメるとはな」
メカブラック獣人ガンマ「勘違いしてもらっちゃ困るぜ。
俺は叩き潰してえだけだ。
未練たらしく餃子にすがりつこうとする餃子バカの寝言をな!」
メカブラック獣人パイ「君は絶望するのが早過ぎるんだ!
餃子は、ウツノミヤの餃子はまだ行ける!」
メカブラック獣人ガンマ「古いんだよ餃子なんて!
これからはシュウマイの時代だ!」
マリ「いや、シュウマイも十分歴史ある食べ物だよ」
メカブラック獣人パイ「シュウマイなんてダメだ!
あんな、グリーンピースが乗った円柱型の食べ物なんて!
焼き餃子、揚げ餃子、水餃子、蒸し餃子、グリーンピース入っていない、
さらに変わり餃子など無数のバリエーションを誇る
餃子の深遠さにはグリーンピースなど割り込む余地のない無限の可能性が!」
マリ「あれ、このひと単にグリーンピース嫌いなだけなんじゃないかな」
ハザリア「本場物のシュウマイにはグリーンピースなど載っていないのだがな」
メカブラック獣人パイ「盗んだ『餃子像』を返すんだ!」
メカブラック獣人ガンマ「てめえこそ、俺から盗んでった『焼売像』を返したらどうだ!」
ハザリア「目的は違えど、求めるものはおなじということか」
マリ「なあ、これ、警察に連絡した方がいいんじゃないのか?」
ハザリア「通報してどうする。来るのはトチギ県警だぞ。
若き工場労働者に借金背負わせてコンクリに詰めて殺すような鬼畜を
養育した上に野放しにするような組織に、なにができる」
マリ「べつに、トチギ県警の全員が全員凶悪殺人犯育ててるわけじゃないよ」
メカブラック獣人パイ「その暗号は、我が家に代々伝わっているもの。
伝説の餃子職人、始祖メカブラック獣人ガルラによる究極のレシピが隠されているという。
このレシピが発見されたときこそ、
ウツノミヤ餃子はイケブクロチャイナタウンを越える!」
マリ「いや、イケブクロチャイナタウンはイケブクロチャイナタウンで困るんだけど」
ハザリア「負けが見えている町興しのために、我々を巻き込んだということか。
なかなかイカしたことをするやつだ」
メカブラック獣人パイ「都会から来た人間になにがわかる!
ウツノミヤには、ウツノミヤには餃子しかないんだ!」
マリ「もっと自分の郷里に自信持とうよ。
べつに餃子だけで成り立ってる町じゃないよ」
ハザリア「その意気や面白し。
だがな、俺は無私の人間ではないぞ」
メカブラック獣人パイ「わかっている。
頼んで素直にやってくれる人間なら、こんな手段は執らない」
ハザリア「では、まず我々の安全を保証してもらおうか」
メカブラック獣人パイ「いいだろう」
ハザリア「それから、あのオッサンにビールを与えるな」
メカブラック獣人ガンマ「そいつは聞けねえな。
あのオッサンだったら、うちの厨房占拠してビールがぶがぶ呑んでるぜ」
ハザリア「チッ、あのオッサンはしょうがないな」
マリ「なにがしたいんだ、あのひとは」
メカブラック獣人ガンマ「そこまでいうからにゃ、暗号は解けるんだろうな?」
ハザリア「暗号だ? こんなもの、俺から見ればただの覚え書きだ」
逆立ちしたカエル80K
機械の右腕を左下上上赤青奪取830S
ラーメンの汁染みこんだプラモデル5000T
日の出木の下ひとみごろ89M
マリ「えぇっと、カエルが?」
ハザリア「貴様は暗号制作者の思うつぼだな。
それはフェイクだ。なんの意味もない文字列に過ぎん」
マリ「この、数字とアルファベットが?
ハザリア「情けない連中だ。
おそらく始祖メカブラック獣人ガルラとやらは、
この町で生まれ育った人間なら簡単に暗号を解けると踏んでいたはずだが」
メカブラック獣人ガンマ「こちょこちょやってんじゃねえぞ!
さっさと場所をいいやがれ!」
ハザリア「おぉっと、教えた途端にズドンは困る。
現地へは俺が誘導しよう」
メカブラック獣人パイ「タクシーをまわそう」
マリ「オイ、大丈夫なのか?」
ハザリア「不安なら、俺にしがみついておれ」
マリ「イヤだよ。抱きしめられちゃうじゃないか」
ハザリア「腹が減ったな!
ここはホテルだろう、ルームサービスを呼べ!」
メカブラック獣人ガンマ「なにいってるんだ?
こんなホテルにルームサービスがあるわけねえだろ」
ハザリア「うん? 俺はいったい、どこに連れ込まれたのだ?」
マリ「そこは詮索しないで、さっさと出発しようよ!」
【八幡山公園】
ハザリア「下一行のみが分けて書かれていたことから、上3行はまとめて考えるべきだ。
80K、830S、5000T。
この三つを満たす場所といえば、ここになる。
80Kとは八万、Sはサクラ、Tはツツジ、
そして、830本のサクラと5000本のツツジが存在している場所といえば」
メカブラック獣人ガンマ「そんなもん、小学校の遠足で聞いてんだ、こっちは!」
メカブラック獣人パイ「レシピは、レシピはどこに!」
ハザリア「まだわからんか。八幡山公園にある、89メートルのものといえばなんだ」
メカブラック獣人パイ「そうか!」
【ウツノミヤタワー】
ハザリア「1980年、東北新幹線の影響で大規模な電波障害が予測されたウツノミヤ市は、
予防策として中継となる送信施設を建設した。
その名もウツノミヤタワー、高さ89メートル。
高さ89メートルのくせに東京タワーを丸パクリしたデザインが哀愁を誘う」
マリ「始祖なんていうわりに、
メカブラック獣人ガルラって、けっこう最近のひとじゃないか」
メカブラック獣人パイ「Nが北を意味しているとしたら、レシピはここに!」
メカブラック獣人ガンマ「どけ! 俺が始末してやる」
メカブラック獣人パイ「諦めるんだ!
君のようにグリーンピースをみじん切りにする輩に扱いきれるものじゃない!」
メカブラック獣人ガンマ「そんなにグリーンピースが嫌ぇかぁっ!」
メカブラック獣人パイ「大嫌いだ!」
ガッ
メカブラック獣人ガンマ「あった!」
メカブラック獣人パイ「これがメカブラック獣人餃子開祖による、レシピ・・・・・・ッ!」
メカブラック獣人ガンマ「なっ、こいつは!」
メカブラック獣人パイ「バカな!」
メカブラック獣人ガンマ「『いつか、ウツノミヤ餃子に苦難のときが来るだろう。
後進たちよ、そのときも絶望してはならない』」
メカブラック獣人パイ「これは、違う! 餃子じゃない!」
メカブラック獣人ガンマ「シュウマイでもねえ!」
メカブラック獣人パイ「『餃子味のポッキーをバーベキュー味のポテトチップスと混ぜる』!」
メカブラック獣人ガンマ「『すりこぎで粉々に砕く』!」
メカブラック獣人パイ「『牛乳でふやかして』!」
メカブラック獣人ガンマ「『電子レンジで2分間チン!する』!」
マリ「リトルグルメだ。すでにリトルグルメにありそうだ」
メカブラック獣人パイ「僕たちは、なんて小さいんだ!」
メカブラック獣人ガンマ「餃子でもシュウマイでもねえ、
始祖メカブラック獣人ガルラは、すでにリトルグルメをすら視野に入れてたっていうのに!」
マリ「その始祖のひと、ボケてたんじゃないかなあ」
メカブラック獣人パイ「駅前に『リトルグルメ像』を置こう!」
マリ「なんだよ、リトルグルメの像って」
ハザリア「結局、付け焼き刃の名産品など名産品にはなれないのだ」
メカブラック獣人パイ「済まない、迷惑をかけてしまって」
メカブラック獣人ガンマ「これからは、手に手を取り合って
『ウツノミヤリトルグルメシティ構想』を推し進めて行く!」
マリ「ウツノミヤ破滅の足音が聞こえるよ」
ハザリア「我が新生バルマーも、目がロンパってるアルマナ陛下像でやっていくしかないということか」
マリ「そこはなんとかしてやれよ!」
【ウツノミヤ市 ジャズバー】
Lullaby of Birdland, that's what I
always hear when you sigh~♪
マリ「だからさ、わたしはべつに、遠出自体がイヤだっていってるんじゃないんだよ。
お前が、毎回毎回、妙なところに妙な目的持っていって、妙な目に遭うのが」
キャリコ「ははあ、心配だと」
マリ「キャリコさんはいままでどこでなにやってたんですか!」
キャリコ「ははは、ウツノミヤ市はジャズの町としても地味なアピールをしているんですよ」
ハザリア「なんだ、それでは動物園なり遊園地なりに行けとでもいうつもりか?」
マリ「なんで動物園や遊園地より、ヘンな地方都市に行きたがるんだよ!」
バタンッ
暗黒怪獣サソリンガー「うぅ・・・・・・」
ハザリア「暗黒怪獣サソリンガー! 暗黒怪獣サソリンガーではないか!」
暗黒怪獣サソリンガー「頼む・・・・・・、
救ってくれ・・・・・・、ボクたちの町を・・・・・・、
クマガヤを・・・・・・、避暑地化の波から・・・・・・」
ハザリア「クマガヤ! クマガヤだと!
毎年毎年国内最高気温をマークするしか能がなく、
市のキャッチフレーズが『あついぞ! クマガヤ』でお馴染みのサイタマ県クマガヤ市のことか!」
キャリコ「ニホンエリアでもっとも避暑地に向かない土地を避暑化なんて、無謀な!」
マリ「クマガヤも観光地じゃないよ!
北関東の工業を支えてるよ!」
ハザリア「赴くしかあるまい、クマガヤへ!」
キャリコ「ついでにちょっと足延ばして、フカヤでネギ買ってきましょうよ!」
ハザリア「よし、ウツノミヤ線からタカサキ線に乗り越え、一路フカヤへ!」
マリ「クマガヤはどうしたんだよ!」
最終更新:2009年10月17日 11:37