ジュデッカ炎上


ジュデッカ炎上

4代目スレ 2005/12/03(土)
ハザリア「どうだ! これが俺が初めて書いた脚本だ!
 その名も『ポケットの中の私だ』! 傑作だぞ!」
アオラ「はあ・・・、それで、なんで僕に?」
ハザリア「フン、お前が文芸誌の自費出版をしていると聞いてな」
アオラ「(ルルか・・・説明に困ったからって適当なことを)
 はあ、それじゃ一応、拝見しますね・・・」

パラパラパラ

ハザリア「どうだ!?」ワクワクテカテカ
アオラ「萌えが足りません」
ハザリア「な、燃えるだろう!?」
アオラ「そうじゃなくてですね。
 お互い恋心を抱いている男女が相手がその機体に乗っていることに気づかずぶつかりあうって、
 伝えたいことはわかりますが微妙すぎて視聴者は食いつきませんよ。
 いいですか。アニメは子供が見るものです。
 多少無理があっても、ロボット同士で口げんかするくらいわかりやすくしないと」
ハザリア「しかし、それではリアリティが・・・」
アオラ「それにこの設定は男女ではなく、男同士。いや美少年同士にしてですね。
 できたら戦闘の前に腐女子の妄想をくすぐるような会話シーンを入れてですね」
ハザリア「クッ、次を見てろよ!」タタタ

アオラ「変だなあ・・・」
ルル「兄上の脚本、そんなにダメだったんですの?」
アオラ「いや、ダメじゃあないけど。むしろよかったんだけど。
 ハザリア先輩、ロボットアニメばっかり見てたはずなのに、なんで妙に文体が格調高いんだろう・・・」

――そろばん塾
ハザリア「エイス叔父! 俺は修行不足のようだ!」
エイス「・・・・・・いいかハザリア・・・・・・演劇・・・・・・とは・・・・・・業・・・・・・なのだ・・・・・・
 人と・・・・・・人との・・・・・・な・・・・・・」
 つ『寺山修二全集』


ハザリア「アオラッ! 今度は負けんぞ!」
アオラ「別に勝負してるわけじゃ・・・」
ルル「兄上、あまりアオラ様を困らせないでくださいませ」
アオラ「そういわないで。じゃあ・・・」

パラパラパラ

アオラ「(T_T)」
ルル「(T_T)」
ハザリア「どうだ!? どうだ!?」ワクワクテカテカ
アオラ「・・・グス・・・未亡人に恋する男子中学生の心が・・・グス・・・
 切なくて・・・グス・・・悲しくて・・・グス・・・」
ルル「ウウ・・・(涙)」
ハザリア「そうかそうか! 今回は樋口一葉のテイストを取り入れてみてな!」
アオラ「ただ・・・グス・・・ロボットが・・・グス・・・一行も出てませんが・・・グス・・・」
ハザリア「いや出てるぞ。ラストシーンにワンカットだけ」
アオラ「どこのダンガードAですか・・・グス・・・それ・・・グス・・・」
ハザリア「いいか、このロボットは10以上年下の少年に恋心を抱いてしまった
 未亡人の葛藤と少年の青い悩みとが合体した象徴でありでだな
 バルマーの演芸とはこれから・・・(以下難解な演劇論 fromエイスのうけうり)」

ルル「キャクトラ! キャクトラ!
 今すぐジュデ種DVDを初代から種死まで全部そろえて持ってきてくださいまし!
 兄上が、兄上が大変ですのぉ!!」


ハザリア「小林多喜二はかく書いたのだ・・・」
ルナ「キャクトラ早くするのじゃ! こうなったらバルマー全体の問題じゃあ!」

ハザル「最近息子が俺にわからないことを言い出すんだ・・・」
エイス「戦え・・・・・・ハザリアよ・・・・・・文学とは・・・・・・戦い・・・・・・なのだ・・・・・・
 己と・・・・・・人との・・・・・・な・・・・・・」



エイス「・・・・・・そうか・・・・・・バルシェムホームの・・・・・・慰問に・・・・・・劇を・・・・・・」
ハザリア「ええ。もちろん監督脚本は俺に任されたのですが、主役が決まらなくて・・・。
 演目は『ジュデッカ炎上』。主人公レビは幼いころに敵軍にさらわれて将軍として育てられるも
 洗脳が完璧ではなく過去の記憶に悩まされるという複雑な役・・・。
 とてもクラスのガサツな女どもでは・・・」
エイス「・・・・・・あの子など・・・・・・どうだ・・・・・・?」

エイスが指差した先には、リトゥの前で身振り手振りでなにか演じているマリがいた。

ハザリア「リュウセイ・ダテの娘!?
 正気ですかエイス叔父。見てください。演技も発声もまるでデタラメ。
 セリフだって劇場版Zジュデッカを棒読みでいっているだけだ。
 あんな女が俺の超脚本を演じるなど・・・」
エイス「・・・・・・気づかん・・・・・・のか・・・・・・ハザリア・・・・・・。
 あの子は・・・・・・Zジュデッカを・・・・・・一度しか・・・・・・見ていない・・・・・・のだ・・・・・・」
ハザリア「!? そんな! 一度見ただけで全てのセリフを!?」
エイス「・・・・・・マリ・・・・・・か・・・・・・、・・・・・・恐ろしい・・・・・・子・・・・・・!」

翌日 学級会
ハザリア「主役は貴様だ! マリ・コバヤシ!」
リトゥ「ムリよ! マリは内気なのよ!」
レイナ「ね、主役だったらアタシの方が」
ハザリア「黙れ! 黙れよ! 主役はマリに決まった!
 いいか貴様! 貴様は今からマリ・コバヤシではない! 私だ! 千の私となって見せろ!」
マリ「主役・・・? 私が、主役・・・!?」ブルブル


そして開演当日
ハザリア「ジュデッカ人形が届かないだと!?
 全長2Mのジュデッカ炎上シーンはこの劇のクライマックスだぞ!
 クソ! 探せ! なんとしてでも代わりになるものを探すんだ!
 そうだゼフィアを呼んで来い! あいつにシーツを被せて立たせておけ!」
ゼフィア「無茶をいうな」
リトゥ「もう時間がない・・・」


スクッ マリ「私の、出番なのだろう?」スタスタスタ・・・

トウキ「おい・・・、今のマリか・・・?」
リトゥ「堂々と主役を演じてる・・・。あれが本当にいつも口半分あけてアニメ見てるマリなの・・・?
 まるで主役のレビが乗り移ってるみたい・・・」
ハザリア(確かにいい演技だ・・・。
 しかしクライマックスにジュディッカ人形がないことに変わりない! この劇はもう駄目だ!)

――舞台上
マリ「ジュデッカ、消えてしまったのか・・・?」

――舞台袖
トウキ「おい、台本とセリフが違うぞ!」
リトゥ「アドリブよ。アドリブで人形がないのをカバーするつもりなのよ!」
ハザリア(カバーだと!? 馬鹿な。これはそんなものではない。
 ここは本来レビがジュデッカへの憎しみを込めて『燃えてしまえ』と叫ぶシーンだぞ。
 しかし、『消えてしまった』というたった一言で、ジュデッカが忽然と消えてしまった喪失感溢れるシーンになってしまっている!
 それに、マリのあの表情はどうだ・・・!?
 ジュデッカを、自分を縛り続けてきた憎い枷ではなく、
 幼いころから自分を抱き続けてきた揺りかごのように見つめている・・・!
 クッ! これは俺が書いた脚本ではない!
 マリでもレビでもない。ヤツはまったく新しい人物を舞台上に産み出しまった!
 たった1人の女が、俺の脚本をまるっきり違う芝居にしてしまった・・・。
 マリ・コバヤシ・・・。俺は、恐ろしい女を舞台に上げてしまったのかもしれない・・・!!)

――そして閉幕
トウキ「おいやったな監督! 満場の拍手だぜ!!」
ハザリア(この拍手は・・・、俺に向けられたものではない・・・。
 あの女、マリ・コバヤシ1人に捧げられたものだ!
 クソッ! 悔しいが今回は俺の負けだ。
 だが見ていろ! 次は、次の機会には! 俺の脚本通りの演技をさせてやる!)


そのころ観客席
バルシェムA「おい・・・あれ・・・」ザワザワ
バルシェムB「ああ、大女優のリルカーラ・ボークナインじゃないか!?
 10年前に失踪同然に引退。イギリスの片田舎で紅茶農場を営んでいる恋人の家に引きこもっていると聞いていたが・・・」
バルシェムC「なんでこんなバルシェムホームに?」

カーラ「・・・久しぶりだね」
エイス「・・・・・・君・・・・・・か・・・・・・」
カーラ「あの子が、あんたの新しい獲物ってわけ?
 呆れた。また同じことを繰り返すの? 10年前のアタシと同じ少女を出すつもりかい!?」
エイス「あの子・・・・・・なら・・・・・・、できる・・・。『紅ジュデッカ』・・・・・・、
 俺の・・・・・・命・・・・・・!!」

千の私を持つ女マリ。そしてカレーの天才ハザリア。
2人の運命の歯車は、まだ回り始めたばかりだった・・・。

ルル「兄上の作ったカレーは妙に美味しいですのね・・・」モグモグ
ルナ「ほんにのぉ」チャリチャリ

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最終更新:2009年10月17日 11:31
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