9代目スレ 2006/03/10(金)
ハザリア「ふん。そろそろ卒業式で公演する劇の内容を考えねばならんな。
そうだな。ヴィレアムとキャクトラを使うか。2人で女装でもさせよう。
そして胸にバレーボールでも詰めこんで、ことあるごとにユサユサ揺らせば大ウケ間違いなしだ!
フハハハハ! やはり俺は天才だな!」
マリ「・・・ハザリアの、アホっ!!」
ドシュドシュドシュッ
ハザリア「・・・フハハハ、マリよ、ツッコミにテレキネスミサイルは少々過激ではないか・・・?」
マリ「お前はいつからそんなに客に媚びた脚本を書くようになったんだ。
そうか。ようやく自分に脚本を書く能がないことに気付いたのか。
客に媚びないと恐ろしくて公開などできないんだな?
フン、知ってはいたけれど大したヘタレだよ、お前は」
ハザリア「フハ・・・、フハハハ! いいたい放題いってくれるではないか!
よかろう。俺の本気を見せてくれる! まさか役がきついなどと泣き言をいわんだろうな!?」
マリ「フン、むしろ望むところだ」
ハザリア「よし、それでは卒業生送別会での劇を説明するぞ!
タイトルは『レビ道山』。地球人でありながら
バルマーの戦爵として戦い、
やがてラスボスと呼ばれるようになっても、実は後ろにセプタギンが控えているという孤独を描いたヒューマン劇だ。
主役レビはマリに演じてもらう!」
マリ「わかった」
ハザリア「レビをバルマーに連れてきた張本人であり、すべての黒幕であるユーゼス役にシュウヤ!」
シュウヤ「ククク・・・、あのクソ親父の仲間とは別人ということでよろしいんですね?」
ハザリア「次に、レビの片腕として動きながら、実はレビの動きを監視するスパイだったイングラム役にキャクトラ!」
キャクトラ「イヤだぁっ! イングラムの役なんてイヤだぁっ!」
ヴィレアム「ハザリア、キャクトラにイングラムさん役はあまりに酷だ!」
ハザリア「地球側の戦士、ゼオラ・シュヴァイツァー役にゼラド。
アラド・バランガ役にヴィレアム」
ヴィレアム「・・・ま、その、今回のハザリアの配役はなかなか冴えてるんじゃないか?」
キャクトラ「友の裏切り者っ!」
ハザリア「さらに地球側! リュウセイ・ダテ役にトウキ!」
トウキ「おう、光栄だぜ!」
ハザリア「地球側にもう1人、純地球人のヒロインとしてレビに危機感を与えるラトゥーニ役にリトゥ!」
リトゥ「一生懸命やる!」
タカヤ「なんだか配役の時点で史実と違ってないか?」
ハザリア「あー、タカヤ、貴様は幕が上がる前に
『この劇はフィクションです。実在の組織・人物とはなんら関係ありません』とアナウンスする係な。
役ではなくアナウンスだからな。少しでも芝居っけを見せたらステージから叩き落すからそのつもりでいろ」
タカヤ「おい、俺はなんかお前の恨みでも買ったか?」
稽古中
ルナ「ほう、稽古を見るのは初めてだが、中々に熱が入っているのだな」
シュウヤ『ククク・・・、地球人同士での争いも終わり、双方とも兵力を消耗しているころですね。
今が機です。レビ、艦隊を率いて地球に向かいなさい』
ハザリア「こら、そんな慇懃無礼なユーゼスがあるか!
もっと偉そうに! それでいてウルトラマン大好きそうに演じるんだ!」
シュウヤ「ククク・・・、なかなか難しい注文をしてくれますね」
ヴィレアム『よし、捕まえた!』
ゼラド『アイン!』
マリ「ちょっと止まってくれ。やっぱりスタッグビートルクラッシャーはいまいちインパクトが足りない。
リボルリングステークだ。ヴィレアムがフィニッシュでステークを思いっきり撃ちこんで来てくれ」
ゼラド「マリちゃん、無茶よ!」
ヴィレアム「そうだ。いくらイミテーションでもステークを生身で食らったら・・・!」
マリ「記憶を持たないレビは、ラスボスであることに全アイデンティティをかけているんだ。
でも、そのことを具体的に語るセリフはひとつもない。
満身創痍で立つ役者の姿で表現するしかないんだ。
この役はな、少しくらい怪我をするのが前提で作られているんだ」
ヴィレアム「おい、ハザリア!」
ハザリア「はん、マリがやりたいといっているんだ。
ステークでもバンカーでも好きなものをブチこんでやれ」
ルナ「話には聞いていたが、マリの役への入れこみようはものすごいものだな」
ハザリア「フン、貴様気づいているか? 稽古に入ってからマリのやつ、体格をひと回り大きくしている。
ヤツは細胞レベルから役を作り上げるのだ」
ルナ「バルマー側の人間と話すときの、あのバルマー訛り。お前が教えたのか?」
ハザリア「いや、知らんうちに身に付けていた。あまりに自然に訛るものだからしばらく気がつかなかったほどだ」
ルナ「マリ・・・! 噂どおり恐ろしい女・・・!」
ヴィレアム「おいハザリア! 今回は大丈夫だよな!? 俺、死なないよな!?」
ハザリア「あ~、やかましい。毎日同じことを確認しに来るな!
そんなにお望みなら、適当にガンエデンに特攻するシーンでも付け足すか!?」
ゼラド「ねえ監督、掛け声のことなんだけど、『アイン』ていうのを『お兄ちゃん』に変えてもいい?」
ハザリア「あまりわけのわからんことをいわんでくれ」
ルナ「案外大変なのだな、監督というのは」
本番当日
レイナ「ちょっと、大丈夫? 父兄の中には実際にL5戦役を体験した人もいるのよ?」
ハザリア「フン、俺の劇はドキュメンタリーではないんだ。そんな声は叩き潰してやる」
マリ『ユーゼス! 私はただ、ラスボスをやりたいだけなんだ!』
シュウヤ『よかろう。地球で存分にその力を振るうがいいと命じるのも私だ』
ゼラド『アラド、合わせて!』
ヴィレアム『オッケイ! ラヴラヴアタックだな!』
ハザリア「ヴィレアムの奴、またわけのわからんことを・・・」
レイナ「うわ・・・、ちょっと、マリったらステークをまともに食らってるじゃない。大丈夫なの?」
ハザリア「黙れよ。当たったのは腹だ。
貴様はマリがこの役のためにどれほど腹筋を鍛えていたのか知らんのだろう」
マリ『ラトゥーニ・スゥボータだと? 純地球人のヒロインを作りたいと、そういうわけなのか!?』
キャクトラ『なぜですかレビさま。戦力的には、再動で繰り返し合体攻撃を撃ちこんでくるあの2体の戦士のほうが脅威のはず。
エナジードレインを打ちこむしか能がないあの戦士を、どうしてそうも気にかけるのです?』
マリ『フ、よせイングラム。偽りの敬語など使わなくていい。
お前はユーゼスから送りこまれたスパイなのだろう? 私の動きを監視するために』
キャクトラ『・・・気づいていたか』
マリ『お前こそなぜだ。私はもはやユーゼスに反旗を翻した身。
お前にはもう私のそばにいる必要などないはずだ』
キャクトラ『多分、お前と同じだ。俺も彼らと戦うことで自分というものを確立したいのさ』
マリ『フ、ならば行こうか。ホワイトスターへ』
マリ『イングラムをやったか。
地球の戦士たちよ、まだ私とやり合う力が残っているなら、かかってくるがいい!』
リトゥ『もうやめるのよレビ! 私たちが戦うべきなのは貴女じゃない!』
マリ『笑止。私にとっては、お前たちと戦うことが全てだ』
トウキ『無駄だラト。あいつの哀しい戦いは、俺たちの手で止めてやらなきゃならないんだ!』
マリ『そうだ、それでいい! たった一度のラスボス、説得されている暇がどこにある!?』
レイナ「う・・・! ちょっと、これじゃまるで袋叩きじゃない!?」
ハザリア「いや、こうでなければいけないんだ。
エナジードレインでエネルギーを吸われ尽くし、反撃もできないまま
ステークを、オクスタンを、斬艦刀を、一撃必殺砲を、何度も繰り返しその身で受けきるのだ!
ラスボスとは倒されることが運命付けられた存在だ。そして、その倒された方は壮絶でなければならない。
ラスボスであることに全存在をかけるレビは、そうしなければならんのだ!」
シュウヤ『レビよ、お前はよくやってくれたとねぎらうのも私だ。
お前が時間を稼いでくれたおかげで、地球ではセプタギンが始動する。
セプタギンはお前も地球も、全てを破壊する。最後に笑うのも私だ!』
マリ『セプタギン・・・、隠しボスだと・・・。ふざけるなユーゼス。私は・・・認めない・・・!』
リトゥ『レビ、もういいでしょう! 私たちと一緒に来るのよ!
貴女は地球人なんでしょう!?』
マリ『私は・・・、地球人ではない・・・。バルマー人でもない・・・。
ただの・・・、ラスボス・・・だ・・・』
リトゥ『レビーーーーッ!!』
タカヤ『新西暦195。この日、L5戦役は終結した。
最終局面、アイドネウス島に現れたという巨大飛行物体に飛びこんでいった
白い機動兵器の行方を、知っている者は誰もいない・・・』
マリ『私はいつも孤独だ。それはラスボスの宿命だ』
閉幕 舞台裏
マリ ハーハー
ハザリア「フン、さしもの貴様もグロッキーか」
マリ「ふざける・・・な。こんなもの・・・私の念動力なら・・・回復・・・造作も・・・ない・・・」ハァハァ
ハザリア「フン、念動力に回復能力があったとは初耳だな。
来い。保健室に連れて行ってやる」
マリ「・・・おい」ハーハー
ハザリア「苦しいなら喋るな」
マリ「いつだったかな・・・、私が・・・くだらない舞台に出たとき・・・、お前は怒ったな・・・?
私も、同じだ・・・。お前がくだらない脚本を書くと・・・腹がたつ。
お前の脚本な・・・、最初に聞いたときには・・・いつも・・・無茶苦茶だと思うのに・・・、
通して見ると・・・妙に感動するんだ・・・。変に媚びなくても・・・、客はついてくれるさ。
私な・・・、お前という人間は嫌いだけど・・・、お前の脚本は・・・好きなんだ・・・」
ハザリア「黙れ、黙れよ」
最終更新:2009年10月17日 11:43