レビ戦記


13代目ネタ 投稿日:2006/08/25(金)

ハザリア「フハハハハ! よぉし、よぉく聞け! 次の講演は少しばかりスケールが違うぞ!
 なんと! バルマー本星で開催される『アルマナ様ウェストサイズ維持15周年記念祭』
 の中の1プログラムに組み込まれるのだ!」
レイナ「そのお祭りはなによ!?」
ハザリア「あん? なにを自噴と屈辱と羨望に歪んだ顔をしておるか。
 読んで字のごとく、ここ15年間、アルマナ様のウェストにコンマ1ミリの変動すらないことを祝う祭りではないか」
レイナ「そんなこと、不可能に決まってるでしょう!」
マリ「しかし、そんな大役がなんで高校の演劇部なんかに回ってくるんだ?」
ハザリア「フン、アルマナ様としては、やはりエイス叔父にお願いしたかったそうなのだがな。
 なにしろ、エイス叔父はソムリエ資格取得に向けてお忙しい身!
 そこで俺にお鉢がまわってきたというわけだ!」
マリ「なんだ、七光りか」
ハザリア「なにをぅっ!?」
レイナ「いや、ソムリエ資格に突っ込もうよ」
ハザリア「黙れ、黙れよ! この俺の、エイス叔父に次ぐ腕前が認められたからこそ来た話に決まっているだろう!」
マリ「そうか? アルマナ様に訊いてみろ。『ごめーん。お母さん、他に人探すの面倒くさくてー』
 くらいの答えが返ってくると思うぞ」
ハザリア「黙れ、黙れよ! 無駄に声帯模写なんか駆使するなよ!」
レイナ「ねぇ、ソムリエ・・・」



バルマー寮
ハザリア「えぇい、ダメだダメだ! これではエイス叔父の焼き直しに過ぎん!」
キャクトラ「いつになく煮詰まっているようですね」
ルル「一度手を着ければ青い薔薇のK-1ファイターより素早い兄上が、あんなにリテイクを繰り返すなんて」
ハザリア「・・・俺は、エイス叔父を殺さねばならん!」
ルナ「なにやら不穏な空気だの。キャクトラ、万一のときには撃ってよいぞ」
キャクトラ「はっ、それはもう!」
ルナ「なんだ。いつになく嬉しそうだの」

講演当日
レイナ「ふーん。長らく仮面を被った一族に支配されてきた世界。
 最強の仮面とうたわれた義兄を刺した少女ゼラドは、逃亡の中で仮面が半分割れた少女レビに出会う、と。
 どうしたの。いつになく押し黙ってるじゃない」
ハザリア「貴様は、どうして常に舞台袖におるのだ?」
レイナ「ほら、始まるわよ」



ワタシダアァァァ―――ッ!
レビイィィィィ―――ッ!
ヴィレアム『友よ、あれを見ろ』
キャクトラ『なんと、黒いジュデッカが白いジュデッカの顔面を割り海に叩き落とすとは。
 これは、なにかの凶兆では・・・!?』
ヴィレアム『やはり、治世を仮面に任せ続けるわけにはいかんということか・・・!』

ヒューヒュー
ゼラド『お義兄ちゃん。貴方さえ刺せば生きていけると思っていました。だからこそ刺したの。
 でも、どうしてなの? まだ、生きていける気がしない・・・』
ヴィルベルッ! センシン! あはっ☆
ゼラド『仮面? お義兄ちゃんじゃない仮面ならっ』
ヴィルッ センッ! うはっ★
ゼラド『これで全員・・・。いや、まだ!?』
ズシャッ
ゼラド『女の子!? 仮面が半分に割れてる・・・』
マリ『お前、仮面を壊したな!?』
ゼラド『待って、あなたは』
パンッ
マリ『仮面を大切にしないやつなんか、大嫌いだ!』
キリサケッ!
ヴィレアム『仮面が半分割れた少女レビよ、去れ。地上はもうお前たちのものではない!』
マリ『チッ』



ガーン ガーン ガーン
トウキ『おう、ヴィレアム様! 作業状況は9割ってとこだぜ!』
ゼラド『ミロンガ、ARTー1、アーマリオン、ズィーガーリオン・・・。
 最新の機体ばっかり。ここは一体!?』
ヴィレアム『仮面殺しの砦さ』
ゼラド『仮面を?』
ヴィレアム『あちこちで開発が遅れ、ベタな移植でダメになり、
 人間と仮面がおかしくなっている。
 どちらかが滅びなければならないのさ。俺は人間だからな。仮面を滅ぼす方を選ぶ』
トウキ『怖や、怖やぁ。ヴィレアム様は仮面殺しをなさるつもりだ』
ゼラド『仮面を、殺すの?』
ヴィレアム『君のことは知っている。最強の仮面を刺した少女ゼラドだろう?
 我々の間では有名人だ。ぜひ協力して欲しい。君がいれば兵たちの士気が上がる』
ゼラド『でも、わたしは』
ヴィレアム『君も、仮面を殺さねばならないと思ったからこそ、最強の仮面を刺したんだろう?』
ゼラド『ごめん。はっきりとはわからない』
ヴィレアム『ゆっくり考えるといい。結論はもう、決まっているだろうがね』
ゼラド『あの女の子は? 仮面が半分割れてた・・・』
ヴィレアム『仮面が半分割れた少女レビか。仮面王ユーゼスに仮面を割られてもなお、
 仮面の世界から抜け出せない、憐れな捕らわれ仮面だ。もう、人間社会には戻れないだろうな』

ワタシダアァァァ―――ッ!
ゼラド『仮面王ユーゼス! 話を聞いてください』
ワタシダアァァァ―――ッ!
ゼラド『仮面が半分割れた少女レビを解放してください! あの子は人間です!』
ワタシダッ
シュウヤ『黙れ人間、と諫めるのも私だ!
 人間が仮面の怒りを恐れ、生け贄に差し出したのがあの少女だと回想するのも私だ。
 お前にあの子の仮面を癒すことができるのかと問いかけるのも私だ!』
ゼラド『あの子は、仮面を外し人間として生きることはできないのですか!?』



ワタシダァッ!
ヴィレアム『さすがは仮面王ユーゼスだな。俺の気配に気付いたか』
ゼラド『ヴィレアムさん、つけてたの!?』
ヴィレアム『君は有名人だといっただろう。最強の仮面を刺した少女ゼラドといえば、
 雑魚の仮面は恐れをなし、君を仮面王ユーゼスの元におびき出す。
 予知したとおりだな。おかげで仮面王ユーゼスの住まいを突き止めることができたよ』
シュウヤ『愚かなり仮面殺しのヴィレアム、と嘲弄するのも私だ!
 幾多の仮面を殺してきた罪、その命で贖わせるためにわざと泳がせたのだと明かすのも私だ!
 たとえ仮面ひとつになっても、その喉笛に食らいついてやると殺意がみなぎるのも私だ!』
ヴィレアム『笑止だ、仮面王ユーゼス! 今こそ地上を人間の手に取り戻してやる!』
ゼラド『待って、ヴィレアムさん!』
ヴィレアム『見るがよい、仮面殺しがいかなるものか!』

ドンッ ドンッ ドンッ
ワタシダアァァァ―――ッ!
マリ『仮面殺しのヴィレアム! 貴様、なにをした!?』
ヴィレアム『使えるものは使うのが、人間の知恵というものだ』
ゼラド『あ、あぁ・・・、仮面王ユーゼスの身体が崩れて、機動兵器に・・・』

レイナ「えっと、いま駆け抜けてったのってスレイチェル先輩よね?
 ふーん。特殊メイクと、証明によるシルエットで怪物感を出してるんだ。
 結構迫力あるじゃない」

ワタシダアァァァ―――ッ!
ヴィレアム『見ろ、仮面がゴミのようだ!』
ゼラド『そんな、山がひとつ、一瞬で消えて・・・』
ヴィレアム『制御チップさえ破壊してしまえば、仮面などこんなものだ!
 やれ、仮面王ユーゼス! 王の手みずから、すべての仮面を焼き払え!』



マリ『仮面王ユーゼス、やめてくれ! 傷付けるのはわたし一人にしろ!
 仮面の怒りを鎮めるのがわたしの仕事だ! 他の仮面を傷付けないでくれ!』
ヴィレアム『おっと、お前の出番はまだだ、仮面が半分割れた少女レビ。
 他の仮面をすべて殺した後、暴走した仮面王を殺してもらうのがお前の役目だからな』
ゼラド『あなたって人は!』
ヴィレアム『今さらなにをいっている、最強の仮面を刺した少女ゼラド!』
ゼラド『でも、こんなやり方は!』
マリ『仮面王ユーゼス、貴方が他の仮面を傷付けるというなら、わたしが・・・!』

レイナ「えっ、マリはメイクなし!? でも、なんて顔をしてるの!?
 人間の感情なんか超越しているような、それなのに、空気を揺るがすほどの怒り!
 それだけじゃない。これは、悲しみ?
 そんな、これじゃまるで、鋼の戦神・・・!」

レビイィィィィ―――ッ!
ワタシダアァァァ―――ッ!
レビイィィィィ―――ッ!
ワタ・・・
マリ『そんな、そんなはずがない、仮面王ユーゼス!』
シュウヤ『レ・・・ビ・・・』
ゼラド『あぁ、仮面王ユーゼスが崩れて、山に変わっていく・・・』
マリ『嘘だ、貴方がこんなことで崩れるはずがない。やめろ、止まってくれ!
 仮面王! ユーゼス! 父さん!』
ヴィレアム『えぇい、なにをしている。それでも地上でもっとも私だといわれた仮面か!?
 立て、仮面どもを皆殺しに・・・、なに、うわぁぁぁっ』



チチチ・・・
ゼラド『仮面王ユーゼスは、死んだの?』
マリ『違う。小さな細かい仮面となって、木や草や花に被さったんだ』
ゼラド『じゃ、生きてるんだ』
マリ『死んだのと変わらない。仮面王ユーゼスはやがて消え、他の仮面も小さく弱くなっていく』
ゼラド『でも、あなたを見守ってる』
マリ『そうか』
ゼラド『わたし、家に帰るね。お義兄ちゃんに謝らなくちゃ』
マリ『わたしはここに、父さんといる』
ゼラド『会いに来るね。お義兄ちゃんと一緒に!』

~仮面をなぁにに~たとえよぅ~~~

舞台袖
マリ「殺すんじゃ、なかったのか?」
ハザリア「黙れ、黙れよ。殺さねばと思えば思うほど、エイス叔父の偉大さがわかるのだ。
 俺にはまだ、エイス叔父を殺そうと思う資格すらない!」
マリ「わたしは、同意も否定もしないがな」

観客席
アルマナ「盛況なのはよいのですが、なにを考えているんです、エイス?
 ソムリエ資格など、嘘なのでしょう?」
エイス「・・・本当は・・・宅建・・・だ・・・」
アルマナ「あなたときたら、資格取得にかまけるあまり、いつまでも独り身で!」
エイス「・・・順調・・・だ・・・。すべては・・・計画・・・通り・・・」

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最終更新:2009年10月17日 11:44
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