16代目スレ 2007/02/22(木)
安アパート
ハザリア「なんだ、これは・・・。バカな!」パラパラ
エイス「・・・・・・見た・・・・・・のか・・・・・・」
ハザリア「エイス叔父、これはいったいどういうことだ。
この未完の台本は、俺とマリの行動記録そのものではないか!」
エイス「・・・・・・そう・・・・・・見える・・・・・・か・・・」
ハザリア「まさか、自分の台本を書くために俺たちを素材にしたというのか?
いや、違う。エイス叔父がそのようなことをするはずがない。
なぁ! そうだろうエイス叔父! 違うといってくれ!」
エイス「・・・・・・・・・・・・」
ハザリア「なぜ黙っているのだ。エイスーっ!」
学校
マリ「この、バカヤロウッ!」バサッ
ハザリア「なんだなんだ! 目を通すなり台本を投げるヤツがあるか!」
マリ「ふざけるな。こんな台本を演じられるわけないだろう!」
ハザリア「黙れ、黙れよ! いつもいつも文句ばかりいいおって!」
ゼラド「マリちゃんどうしたの? わたしは、けっこう面白い台本だと思うけど」
レイナ「タイトルは『アララ』。父親によって奪われた、全身48カ所のプニってる部分を
取り戻すために戦う話ね。珍しくストレートな活劇だと思うけど」
ゼラド「ねえ、『アララ』って、うちのアオラが生まれるときに
女の子だったら付けようとしてた名前と同じなんだけど」
ハザリア「
バルマーで『アララ』といえば『全身プニってるヤツ』という意味のスラングだ」
ゼラド「え、そうなの?」
ハザリア「うむ。どういう用途でそんなスラングが存在しているのかはわからんがな。
ことによると、これはプロトカルチャーの・・・」
マリ「くだらない考察をしてゴマカすな!
台本に自分のエディプスコンプレックスを塗り込めるなんて、なに考えてる。
舞台はお前だけものじゃないんだぞ!」
ハザリア「貴様こそふざけるな! この俺に父殺し願望など・・・!」
ゼラド「なんか今日のハザリアくん、ピリピリしてるねぇ」
マリ「ああ、父殺し願望ではないだろうさ。
でもな、認めたくはないが、お前の台本を誰より読んでるのはわたしなんだ。
こんな薄っぺらな暗喩、わからないと思うのか!?」
ハザリア「黙れ、黙れよ! 貴様ごときに、俺のなにがわかる!?」
マリ「自分で気づいていないとは、やっかいなヤツだな。
だったら、見ているがいいさ。プルツーがプルを殺そうとした理由がわかるだろうよ」
本番当日 舞台袖
レイナ「ちょっと、大丈夫なの?
今回あんたたち、全然打ち合わせしてないじゃない」
ハザリア「フン! あんなマヌケのいうことなど、聞いてられるか」
レイナ「そういえばあんた、今回の稽古中は一度もいわなかったわね。
ほら、あの例の、叔父さんがいってた~ってやつ」
ハザリア「黙れ、黙れよ! あんなもの、もう終わりだ!」
レイナ「あらら。なんかあったの?」
ハザリア「これからは、俺! 俺! 俺の時代!
いっておくが、俺は最初から最後までクライマックスだッ!」
レイナ「時代に流されやすいのねえ、あんた」
ハザリア「始まるぞ」
ジーーーーーー
チャリンチャリンチャリン!
レイナ「うわっ、しょっぱなからもの凄い斬り合いね。
え、あれ、違う。あの火花も切り傷も本物? ちょっと、まさか真剣使ってるんじゃ!」
マリ『マジンカノウの、部屋の配置に風水取り入れてる方だな』
ミナト『俺の風水パワーをものともしないとは、まさか貴様は・・・!』
マリ『返してもらうぞ。俺のプニってる部分っ』
ミナト『無念!』
ぶちんっ
ゼラド『ふえぇ~。あんた、凄ぇなぁ。
ユーゼス配下のマジンカノウの公共の場でシグルイクリアファイル使ってる方
をやっつけちまうなんて』
マリ『ぐっ・・・』
ゼラド『おい、どうしたんでぃ?』
マリ『が・・・、がはっ・・・、あ、あ、あ、あぁーっ!』
ゼラド『なんでぃなんでぃ? ガリガリだった右足が、急にプニプニに・・・?』
マリ『ハァーッ、ハァーッ。今回は、右足か。
今まで取り戻したのはヘソや髪の毛みたいな所ばかりだったが、
こんなに大きい場所がプニったのは初めてだ。
これか。これがおれの、プニってる右足か・・・。
ははっ、ははは・・・、は、ハーッハッハッハッハ!』
レイナ「マリは、どうしちゃったの? あの顔、まるでケダモノじゃない!
今回はオオカミに育てられた子供の役とかじゃないはずよ!?」
ゼラド『へへへのへへへのへへへのへ』
マリ『なんで着いてくる』
ゼラド『へへ。オイラ、ピーンと来たよ?
ここんとこユーゼス配下のマジンカノウの星占いランキングが下位だったら1日ブルーな方から、
プニってる部分を狩り取ってる武芸者ってのは、兄貴のことだろ?』
マリ『だったらどうした』
ゼラド『なぁ、お願いがあるんだよ。
あんた、どうやってるか知らないけど、人間からプニってる部分を取っ払っちまえるんだろ?
オイラのプニってる部分も、取っちまってくれよ』
マリ『お前は女だろう。全身プニってるのは当たり前だ』
ゼラド『わかってねぇなぁ。こんな乱世で女なんかやってられるかよ。
ドロボウやるにゃ、こんなプニプニ邪魔なだけなんだよ』
マリ『あいにく、おれが興味あるのは
マジンカノウの俺ってアウトローなんだぜと得意げにいう方のプニってる部分だけだ』
ゼラド『へへへ。そんなこといわないでさぁ』
マリ『近づくな。おれに関わると、ろくなことがないぞ』
ゼラド『兄貴、何者だい?』
マリ『何者、なんだろうな。呼び名だけはたくさんあった。
レビ丸、プニぞこない、アララ・・・』
ゼラド『アララ? なぁなぁなぁ! なんかその名前、気に入っちゃったなあ!
なぁなぁ、その名前、オイラにくれよ!』
マリ『ふざけるな。お前にも名前くらい』
ゼラド『親からもらった名前なんかないよ。
よし、決めた! オイラの名前は今からアララだ!
よぉよぉよぉそこのけそこのけ、、我こそは天下の大泥棒、アララさまだーいっとくらぁ』
マリ『いや、ダメだ。その名前はやれない』
ゼラド『もう遅いよ。もらっちゃったもんね。返さないよーっだ』
マリ『その名前は、いつかおれが名乗るものだ』
マリ『この身体を見ろ。プニってる部分なんかまるでない』
ゼラド『ほんとだ。こらひどいや。いったい、どうしちまったんだい?』
マリ『昔、戦上手ではないが発明好きな艦隊副司令がいた。
そいつはある日、人のプニってる部分をエネルギーに変える武器を作った。
エネルギー源は、生まれたばかりの自分の子供、つまりおれだ。
あいつは、まだ赤ん坊だったおれから48カ所のプニってる部分を奪い取り、
部下であるマジンカノウの靴下は必ず右から履く方たちに分け与えたんだ』
ゼラド『その、艦隊副司令って』
マリ『ユーゼス・ゴッツォ。今や天下統一目前の、戦国仮面さ』
ゼラド『それで兄貴は、自分のもんだったプニってる部分を取り返してまわってるのかい?』
マリ『これでわかったろう。アララの名前をくれてやるわけにはいかない』
ゼラド『へへへのへへへのへへへのへ!
ますます返せなくなっちまったな。なぁ、じゃあ、こうしようよ。
兄貴がいつか気が変わって、オイラからプニってる部分を持ってってくれるんなら、
そのとき一緒にアララって名前を返してやるよ』
マリ『お前、あまりふざけていると』
ゼラド『お、怒ったかい? 斬るかい? プニってる部分、斬り取ってくれるかい?』
マリ『・・・勝手にしろ』
ゼラド『へへっ!』
マリ『マジンカノウの、先生をお母さんと呼んだことある方だな』ぶちんっ
マリ『マジンカノウの、カラオケで人が歌ってるときに大声でハモってくる方だな』ぶちんっ
マリ『マジンカノウの、兄貴は笑えるエロだけど弟のエロは笑えないよなと評されてる方だな』ぶちんっ
ミナト『ぐっ、クソッ、クソッ、レビ丸がぁーっ!』
舞台袖
レイナ「ちょっと! いったいミナトを何回殺すつもりなのよ!?
そして何通りの称号を与えるつもりなのよ!」
ハザリア「黙れ、黙れよ! そして、見ていろ・・・」
ゼラド『もうやめてくれよ兄貴! 心臓や肝臓までプニらせるなんて、
そんなの健康によくないよ!』
マリ『どうせ長生きするつもりなんかない』
ゼラド『でも、今のままじゃメタボリックが・・・!』
マリ『わかるだろう。マジンカノウのカップ焼きそばの湯切りをよく失敗する方を倒すたびに、
おれが強力になっていくのが。
そうだ。この妖刀レビ丸も、ユーゼスが作った魔プニ兵器さ。
最初に倒したマジンカノウのホシノアキとの年の差について真剣に悩んだことある方からぶん取ったんだ。
おれはこの刀で、ユーゼスを討つ・・・!』
ゼラド『父親を?』
マリ『それがどうした』
舞台袖
レイナ「ちょっと、顔色が悪いわよ!」
ハザリア「・・・吐き気がする」
レイナ「気分が悪いなら保健室に」
ハザリア「黙れ、黙れよ!
マリの、あのおぞましい顔! 髪を振り乱し歯をむき出し目を血走らせたあの顔は、
俺自身が生み出した憎悪なのだ!
ならば、最後まで見届けなければならないだろう・・・!」
ヴィレアム『プニプニに育ったなとねぎらうのも私だ』
マリ『ユゥーゼェーッスッ!!』
ガシンッ
ヴィレアム『しかし、先走りすぎだとたしなめるのも私だ。
お前はまだ24カ所しかプニってる部分を取り戻してはいないと数えていたのも私だ。
なぜ早くも私の所に乗り込んできたのかと疑問を呈するのも私だ!』
マリ『知らないとでも思っているのか。
24体のマジンカノウの予約録画をよく失敗する方は戦争ですでに死んでいる!
持ち主のいなくなったプニってる部分は、お前が持っているんだろう。ユーゼス!』
ヴィレアム『ならば教えてやろうかとほくそ笑むのも私だ!
たしかに24カ所のプニってる部分は持ち主を失ったと認めるのも私だ!
その24カ所をこねくり合わせ、一体の人造人間を作ったことを回想するのも私だ!』
マリ『なにをいっている!?』
ヴィレアム『今はアララと名乗っている子供がそれだと、秘密を明かすのも私だ!』
マリ『貴様ぁっ!』
ヴィレアム『そうだそれでいいと、しきりに頷くのも私だ!
憎め! 怒れ! と促すのも私だ!
憎悪とともに、あの子供を殺すがいいと、そそのかすのも私だ!
そのときこそお前は宇宙最強のプニってる生物になるのだと伝えるのも私だ!
はははははと高笑いするのも私だ!
私がここで死んでも、私の血族が天下を手にするのを夢見るのも私だ!
すべてが思うがままに運んだことにご満悦なのも私だぁーっ!』
マリ『貴様、貴様、貴様ァーッ!』
どすっ
舞台袖
レイナ「・・・やった。
全身に血しぶきを浴びて、マリが真っ赤に染まってる。
客席に背中を向けてるけど、どんな顔してるか、誰一人として見たがっていない!
そりゃそうよね・・・。
荒い息をつきながら、突き刺した刀を、まだぐりぐりと動かしてる、あんな!
あの小さい身体から放たれてる憎しみで、ボディブローを食らったみたいに胃が痛む。
あれは、本当に演技なの?」
ゼラド『兄貴・・・』
マリ『まだいたのか。行け。聞いていただろう。そばに寄れば、おれはお前を殺すぞ』
ゼラド『いいよ、べつに』
マリ『寄るなといっているんだ!』
ゼラド『いったろ? オイラ、ずっと自分のプニってる部分が嫌いだったんだ。
ドロボウするのに邪魔なのもあったけど、ほんとのとこはずっとわかんなかった。
でも、やっとわかったよ。
もともと自分のプニってる部分じゃなかったからなんだな』
マリ『もう、おれのプニってる部分なんてどうでもいい!』
ゼラド『ダメだよ。兄貴本当は女の子なのに、そんなふうになっちゃったのがオイラのせいなんて』
マリ『女の子だと、おれが?』
ゼラド『プニってる部分がなかったから、わかんなかったんだな』
マリ『やめろ。来るな!』
ゼラド『オイラを殺すんだよ兄貴。全身のプニってる部分を取り戻して、今度こそ女の子として生きるんだ。
そうしてくれるなら、オイラはべつにどうなったっていいから!』
マリ『違う。お前は死んではいけない。死ぬべきなのは、おれだ!
自分のプニってる部分を取り戻すために
マジンカノウの猫に赤ちゃん言葉で話しかける方を殺し続け、
とうとう自分の父まで殺した、このおれなんだ!』
ゼラド『兄貴、兄貴、どこに行くんだ!?』
マリ『戦いに』
ゼラド『プニってる部分を取り戻したいんだろ。アララって名乗りたいんだろぉっ!?』
マリ『おれにはお前を殺せない。
おれが取り戻すべきプニってる部分は、もうないんだ。
でも、おれは戦いをやめられない。戦いが身体に染みつきすぎている。
だから、戦って死ぬ。それで始末をつける』
ゼラド『兄貴、兄貴、オイラぁ、離れねぇぞ!
オイラのプニってる部分が兄貴のプニってる部分だってなら、オイラたちぁ一心同体ってことなんだろ!
どこまでも着いてくからな。兄貴ぃーっ!』
ジーーーーーー
マリ「どうだ。気分は」
ハザリア「喜べ。最高に胸クソが悪い。貴様の望み通りだ」
マリ「ゼラドの最後の台詞は、わたしが書き加えた」
ハザリア「貴様は、いつもいつも余計な真似を」
マリ「エイスさんと、なにかあったのか」
ハザリア「俺は、結局あの男の手の上で踊らされていただけなのだ。
許せん。なにより許せんのは、真実がわかっても台本を書くことをやめられなくなっている俺自身だッ!」
マリ「なにか問題でもあるのか」
ハザリア「エイスは、貴様のこともッ!」
マリ「きっかけはなんでも、わたしに演劇を教えたのはお前だ。
これで、けっこう感謝してるんだ。
だからお前が台本を書かなくなったら、ちょっと困る」
ハザリア「身勝手な女だ!」
マリ「なあ、書けよ」
ハザリア「黙れよ。黙れよ」
最終更新:2009年10月17日 11:45