16代目スレ 2006/12/27(水)
ハザリア「将来の夢は幸せなお嫁さんになることだった平凡な少女。
しかし現実は、ダメな男に引っかかり、
最前線に飛ばされて、挙句の果てには強制収容所入り。
幸せという名のユニットから、切り払われても切り払われても
負けずくじけず生きていった女の数奇な人生!
題して、『切り払われスペクトラの一生』!」
マリ「なぁ、おい・・・」
ハザリア「フハハハハ! 寮で第一稿を発表して以来、
キャクトラめがメシを作ってくれんことくれんこと!」グウゥゥゥゥ
レイナ「当たり前でしょう! お母さんをこんな風にネタにされちゃ、
いくらキャクトラが温厚でも怒るに決まってるじゃない!」
ハザリア「黙れ、黙れよ! 猛る筆の走るのを、誰にも止めることはできん!
フハハハハッ! 因果なものだなぁっ、演劇とはっ!」
マリ「スペクトラ役がわたしで、キャリコ役はヴィレアムか。
むぅ・・・、やはりここは、キャクトラに演じて欲しかったな」
レイナ「マリ、あんたもたいがいになってきたわね」
ハザリア「今回の公演はキャクトラめの妨害が大いに予想される。
各々、重々注意して稽古に臨むように!」キュルルルルッ
ヴィレアム「そんなにまでするものなのか、演劇とは・・・!」
ジーーーーー
マリ『将来の夢はね、えっと、お嫁さん!
えっとねぇ、優しい旦那さんがいてぇ~、かわいい子供がいてぇ~。
ヴェート! お姉ちゃん、絶対幸せになるからねっ!』
暗転
リトゥ『男と住んでるの?』
マリ『えぇ。彼ね、タイムダイバーの卵で、とっても優しいの!』
♪そんなのウッソ、ウッソ、ウッソ~ォ
ヴィレアム『お前がもっさり天パだから、俺はいつまでたってもタイムダイバーになれないんだよっ!』
マリ『あぁっ! ごめんなさい、ごめんなさいっ! キャリコッ!』
彼はいつも苛立っていました。そして、暑苦しいロン毛の天パでした。
それでも、わたしがラカッド・ヴェ・ヤラーを仕掛けていって切り払われたときばかりは、
子供のようにケタケタと笑い転げるのです。
ヴィレアム『うひっ! うひひひひっ! 切り払われてる! 切り払われてやんのっ!
ラカッドとか超叫んどいて、超切り払われてやんの~ぉっ!!』
どんな形でもいい。もっと彼に笑っていて欲しい。
だからわたしは、最前線に行ったのです。
♪あっいっはbubble~ あっいっはtrouble~
バッ 『ゴラー・ゴレム副隊長 またも切り払われる!』
♪天パにするのは御法度 天パにさっせるぅのぉ~
ババッ 『切り払われスペクトラ!』
♪使えぬザクなどない パーツはおカネで買う物~
バババッ 『切り払われること108回 煩悩はいまだ健在! スペクトラ語る』
♪2ターンだけお相手いたしましょぉ~う
ヴィレアム『PPが全然溜まらないじゃねぇかぁ~っ!』
マリ「ああっ、キャリコッ、かんべんしてっ、キャリコぉ~っ!』
舞台袖
レイナ「ったく、あのバカの頭の中はどうなってるの?
なんでこんなに暗い話を、小道具も照明もパステルカラーで演出するのかしら。
あらいけない。あたしの出番ね」
暗転
レイナ『あの女とどこで会ったって? 強制収容所よ』
マリ『施設では資格も取れるの。お姉ちゃん、頑張るから!』
リトゥ『そんなことよりわたし、結婚するから。
式には呼ぶつもりないから、安心してお勤めしてきて』
♪ここではぁスパイが起ぉきて働いて食べてぇ眠るだけぇ~
レイナ『またスクラップ作り? あんたも好きねぇ。
『タイムダイバー 衛生軌道上に現る』? 顔も知らないヒーローに入れあげちゃって、まぁ』
マリ『わたしにはわかるの。これ、きっとあの人よ。夢を叶えたんだわ!』チョキチョキ
レイナ『人生、そう思い通りにいくのかしらねぇ』
マリ『あなただって、ずいぶん熱心じゃない。職業訓練』
レイナ『お腹にね、子供がいるのよ。父親は、ま、どこでなにやってんだか。
女が一人で子供育てるには、手に職つけた方がいいでしょ?
だから、イナカで美容院でもやろうと思ってさ。
ね、あんたにはないの? 将来の夢ってやつ』
マリ『わたしの夢はね、かわいいお嫁さん!』
レイナ『すでにムリでしょう。その歳とお腹じゃねぇ』
暗転
マリ『これからあの人を探しに行くの! わたしたち、きっと幸せな家庭を』
リトゥ『そんなことよりわたし、子供できたから。
胎教と外聞に悪いから、金輪際わたしに近づかないで』
マリ『そんな、ウソ、ウソよ!』
アオラ『いや、俺がタイムダイバーだ』
マリ『じゃ、キャリコは!?』
アオラ『あいつか。あいつは、俺が切り払った。
勢い余って虚空の彼方に飛ばしてしまった。悪いことをしたな』
マリ『ウソッ! だってあの人、待ってるっていったもの!
それじゃぁどうしてあのとき、わたしのこと切り払ったのよ、キャリコォーッ!』
アオラ『お前より技量値が高かったからだろう』
マリ『わぁたぁし、どぉしたらぁ~、強運持ちにぃ~
な、れ、る、のぉ~!?』
暗転
リトゥ『や』
マリ『なによ。金輪際近づくなっていった矢先に、なにしに来たの!?
幸せに恋愛して結婚して子供を産む、自分の姿を見せびらかしにでも来たのっ!?』
リトゥ『フフ。あなたはいつも夢たいなことばかりいってて、現実を切り払ってきた。
ようやく目が見えるようになったようね』
マリ『えぇ、そうよ! わたしはあなたに夢を語ることで、夢を現実だと思い込もうとした!
だからなにっ!? その挙句がこのザマよ! 見ないでッ、わたしを見ないでッ!』
リトゥ『わたしはね、現実逃避の道具にされているのが不愉快だったの。
でも、もう大丈夫ね』ポイ
マリ『カギ?』
リトゥ『機動兵器のキーよ。うちは子供ができるからね、ファミリータイプの機動兵器に買い換えるの。
頑張れば虚空の彼方まで行けるかもしれない機動兵器なんか、いらないもの』
マリ『ヴェート』
リトゥ『どうせあなたのことだから、上手くいくはずがない。
でもねスペクトラ、あなたはいつも全力で切り払われてきた。
今回も、正面切って切り払われてくるがいいわ』
♪生きるって素晴らしい! 生きるって素晴らしい!
マリ『切り払われても切り払われても、わたしは幸せだった。
ひと太刀ひと太刀があなたとの絆のようで!
待っててキャリコ! いま、切り払われに行きます!』
ジーーーーー
ハザリア「フン、キャクトラのバカめ。
スペクトラのおばちゃんには、俺も幼いころより世話になってきているのだ。
切り払われ続けた人生を、あのおばちゃんはコロコロ笑いながら話すのだぞ。
実の息子が、わかってやらんで、どうする・・・」
マリ「ま、今日はうちで食べけよ」
ハザリア「黙れ、黙れ・・・よ・・・」キュウゥゥゥ~
マリ「そういうわけだキャクトラ。襲いかかるならあとにしろ。
今だと、わたしがちょっと怒るかもしれないぞ?」
キャクトラ「・・・くっ」
最終更新:2009年10月17日 11:45