21代目スレ 2007/12/15(土)
【川辺】
マリ「あ・め・ん・ぼ・あかいな・あいうえお、
あ、お、い、え、あ、うー」
~Amazing grace! how sweet! the sound!
マリ「あれは? パンクのリズムで、ゴスペル?
女の人だ。なんでだろう。ただギターを弾いてるだけなのに、ダンスでも踊ってるような」
ハザリア「ほう、いいケツをしているな、あれは。
身体の動かし方を知っている人間のケツだ」
マリ「いたのか、お前。しかも、どこ見てるんだ」
ハザリア「素晴らしい。実に面白い。心躍るわ。
ロンドン・パンクとゴスペルソング。双方にケンカを売っているような振る舞いではないか。
実にパンク! 実にアナーキー!
はて、しかし、あのグラマーインパクトな感じのケツはどこかで見たことがあるな」
マリ「グラマーで、しかもインパクト?」
ハザリア「おお、そうだそうだ。
しょっちゅう教室からヴァニシングしてしまうパンクがB組にいると聞いたことがあるな。
たしか名前は」
マリ「ユウカ・ジュグナン。
そっか、あのひと、ボーグナインさんの」
マリ「あの」
ユウカ「あんた、A組の」
マリ「ボーグナインさんが子供を産んだことあるって聞いたことがあるけど、あなたが」
ユウカ「知らない、そんな女」
マリ「エッ、でも」
ユウカ「ダンサー志望だったのを忘れて、芝居に転んだ女よ。
そのステージからすらも逃げ出した、情けない女」
マリ「それは、『紅ジュデッカ』っていう役が」
ユウカ「そんなこと、あたしの知ったことじゃない。
あの女から教わったのは、あんな負け犬だけにはなるまいという教訓だけよ」
マリ「それじゃあ、ボーグナインさんがあんまりにも」
ユウカ「ゴー・アウェイ。あんたとトークすることは、なにもない」
ハザリア「おい、そこの、100万ボルトのケツ」
マリ「お前、ややこしくなるから出てくるな」
ハザリア「貴様は、あれだな、俺の舞台に出ればよい」
ユウカ「バッドジョーク。なんであたしがそんな」
ハザリア「よい。貴様は、いいな。実にいい!
その苛立ち! その焦燥! その鬱屈! その瞋恚!
どうにも、このあたりの連中は妙にお行儀がよくて困っていたところだ。
その点、貴様のケツときたら」
ギャアアァァァァンッ!!
ユウカ「あたしがステージになんか立つはずがない。オーライ?」
スタスタスタ
ハザリア「フハハハハ! ギターでぶん殴られるのは初めてだ」
マリ「お前ってやつは、今年の流行語か! なんでそう空気が読めないんだ!
しかもグラマーだのインパクトだの100万ボルトだの!」
ハザリア「貴様も、なにを怒っているのか」
【翌日 演劇部 部室】
ハザリア「よぉーし、次の演目について説明する。
タイトルは『アンラッキーダンサーズ』。
主人公は、ミリオンを売り出すトップシンガーのバックで踊っていたダンサーども。
ところが、頼みのトップシンガーが電撃引退。
事務所からはドサまわりさせられ、ミラーボールは爆発し、
メンバーの足並みはそろっていない!
いいことなんかなにもなかったけれど、それでもくじけずに踊り続ける少女たち。
いや、少女と呼ぶには若干ムリがあり、
アイドルなんだか歌手なんだか女優なんだかいまいちわからない馬の骨どもが織りなす青春群像劇だ!」
マリ「嫌な青春群像劇だなあ、おい」
ハザリア「では、配役を発表する。
ホリコシに通いたいというふざけた理由で芸能界入りしたものの、
字面のよく似たアイドルがスキャンダル写真を流出させたばかりに改名を余儀なくされ、
ミラーボールは爆発し、ドラマに出てみれば酒飲み小猿呼ばわり。
いいことなんかなにもなかったけれど、それでもくじけずに踊り続ける平山アヤスケ役に、マリ」
マリ「ミラーボールのくだりは、絶対に入れないといけないのか?」
ハザリア「次に、三人ひと組のダンスユニットとしてデビューするはずだったのに、
まず一人が『サッカーやりたい』とかいって離脱、
いま一人は仕事をほっぽり出して日光で豪遊、
その後未成年の身でキャバクラ通ってるところをフライデーされてクビ。
ユニットは空中分解し、アルバムの発売は流れ、マネージャーはドSだった。
高知から韓国まで570キロのマラソンをさせられ、CDジャケットでは裸エプロンをさらし、
舞台女優として地味に高い評価を受けつつも、
大沢親分の孫とタッグ組んでさぁ久しぶりの新曲だというタイミングで、
ミラーボールが爆発し、元相方が銅線盗んで捕まった。
いいことなんかなにひとつとしてなかったけれど、それでもくじけずに踊り続けるソニスケ役に、マキネ」
マキネ「なんであたしの役はそんなに悲惨なのさ!」
ハザリア「やっかましいわっ!
これがギャグでないのだから、現実は面白い!」
マキネ「面白かないよ!」
ハザリア「次に、高学歴と甘ったるい容姿を武器に、食い散らかした男は数知れず。
しかし、おなじ数だけ食い捨てられてきた。
ミラーボールは爆発し、ダルビッシュには浮気され、愛犬の健康管理はなっちゃいなかった。
いいことなんかなにもなかったけれど、それでもくじけずに踊り続けたサエスケ役に、リトゥ」
リトゥ「なんでわたしの役は、そんなにタチが悪いのぉ!?」
ハザリア「なんというか貴様は、男を見る眼鏡が曇っているような気がしてならん」
リトゥ「そんなことないもの! 眼鏡は曇ってるかもしれないけれど、目は曇ってないもの!」
マリ「落ち着けリトゥ。眼鏡が曇ってたら、どっちみち視界は真っ白だ」
リトゥ「違うもの! ダルビッシュくんは浮気なんかしないもの!」
ハザリア「目を覚ませ貴様ぁっ!
いいか、ダルビッシュはなぁ、野球選手としては一流でも、男としては相当手が付けられんぞ!
そんなもん、貴様、浮気するに決まってるだろう!
いままさに、ペキン五輪に向けて大放出中だぁっ!」
リトゥ「そんなことないもの。ダルビッシュくんはそんなじゃないもの!
わたしは、わたしだけはダルビッシュくんの優しさを理解できるもの!」
マリ「リトゥ、違うベクトルで役を自分のものにするのはやめろ」
マリ「なあ、ところでこの、
SpEED Destiny最年少メンバーとして少女たちのカリスマとなるものの、
労働基準法は軽やかに無視され、ギャラは凄まじい額のピンハネをされていた。
沖縄帰って結婚すると言い出してグループを解散に追い込むも、あっさり破局。
ずるずると芸能界に居残ったものの、ミラーボールは爆発し、
個展なんか開いて地味に成功してる元リーダーとは連絡を取っていない。
いいことなんかなにもなかったけれど、
それでもくじけずに踊り続けたhiroスケ役は、誰がやるんだ」
ハザリア「ああ、それは、あれだ。
なんといったかな。例のグラマーインパクトなケツにやらせる」
リトゥ「グラマー?」
ハザリア「俺はな、あのケツが気に入った」
マリ「はぁっ!?」
【廊下】
ユウカ「ノン。これはなんのイヤガラセ?」
ハザリア「イヤガラセだと、バカな。俺は福音の伝達者だぞ、おい」
ユウカ「なにを恩着せがましく。この役はなに。
知らないうちに、顔も見たことのない父親とおなじ道を歩んでいく女?
あたしに対するアイロニー? これは」
ハザリア「案外、自意識過剰な女だな。
こんなものはよくある設定だ。貴様が勝手に感情移入しているだけだろう」
ユウカ「あたしは出ない。オーライ?」
ハザリア「いいや、貴様は出るとも。出ずにはおられん」
ユウカ「あんたが、あたしのなにを知っているというの」
ハザリア「ユウカ・ジュグナン。
8歳にして子供ダンスコンクールで優勝。
以後、いくつもの大会で賞をかっさらう。
ところが、10歳を最後にあらゆる舞台から姿を消した」
ユウカ「リサーチしたの」
ハザリア「ビールひとつでたいていのことは調べてくれるオッサンが身近にいるのでな」
ユウカ「なら、知っているんでしょう?
ダンスを捨てて、演劇からも逃げ出したあの女が、
抜け殻みたいになって産み落としたのが、このあたしよ。
キディのころは、そんなこと知らなかった。
あの女が作ったお菓子を無邪気に食べて、教えられるままにダンスを覚えた。
でも、知ってしまった。
いくら子供でも、あたしはすでにステージを踏んでいた。
ショウマンにとって、ステージがなによりも神聖なものだってことくらい知っていた。
あの女は、あたしをトンズラの理由に使ったのよ。
だから、ディスライク。
髪の色も、目の色も、お尻の形も、ダンスも、あの女にもらったものは、みんな」
ハザリア「そんな泣き言を俺に聞かせてどうする。
おおかわいそうにと、そのケツを撫でさすって欲しいのか、え?」
ユウカ「ブリティッシュジョークより笑えない」
ハザリア「では訊くが、貴様、そのケツはなんだ」
ユウカ「それは」
ハザリア「そのケツの張りはなんだ。そのケツの盛り上がりはなんだ。
そのケツのうねりはどうしたことだ、ええ?」
ユウカ「やめてッ!」
ハザリア「そのケツを見ればわかる。貴様はいまもレッスンを重ねている。
なぜだ。知れたこと。
貴様はステージの味を覚えてしまっている。そして忘れられん。
ケツを向けたフリをして、その実ヒクヒクと欲しているのだ。
未練たらしいものだ、浅ましいものだ、なあ」
ユウカ「そんなことッ!」
ハザリア「卑しさを恥じることはない。それは人間の可愛らしさだ。
スポットライトがもたらす悦び、あれは甘い毒のようなものだ。
一度囚われたからには、もう逃げることはできない。
俺の知る女もそうだった。
あの女は、この世の輝きにケツを向けていた。
自分がスポットライトを浴びることなど、考えてもいなかった。
それが、いまはどうだ。どん欲もいいところだ。
貴様もわかっているはずだ。だから妬ましい。違うか」
ユウカ「昨日、あの子にイジワルした意趣返しというわけ、これは。
案外、陰険な男なのね」
ハザリア「解釈は勝手だ。俺は貴様を舞台に引きずり出す。
俺も、舞台に取り憑かれた男の一人なのでな」
ユウカ「どうしてもいやだといったら」
ハザリア「そのケツを蹴っ飛ばすまでだ」
ユウカ「バッドな男」
【演劇部 部室】
ハザリア「口説いてきた。ユウカ・ジュグナンだ」
リトゥ「ええぇっ!?」
ハザリア「このケツを見ろ。こいつはダンス経験者だ。
今回の劇に限らず、肉体を自由自在に動かすためにダンスは必要不可欠な要素だ。
基礎からよぉく教えてもらえ。
ああ、マキネ、貴様はいい。
体育館に行って、パニック障害寸前になるまでドミノを並べてこい」
マキネ「それは、役作りの上で必要なのかい!?」
ハザリア「いいか、貴様の役はな、いまさらクスリで捕まっても、
誰からも責められないほどの追い詰められっぷりが必要なのだ」
マキネ「それもう、アイドルとか歌手じゃないじゃん!
リアクション芸人かなにかじゃないさ!」
ハザリア「文句があるなら、なんだ、570キロマラソンしてくるか」
マキネ「ドミノ並べてきます」
ハザリア「おい眼鏡! 貴様、なにをお上品にセリフを読んでおるか!
いいか、貴様は猛禽だ。
上目遣いをしながら、その瞳の中に計略を張り巡らせろ!
同性の支持などいらぬ、生きがいは男のみの乱獲者!」
マリ「おい」
ハザリア「舌なめずりを微笑みで覆い隠し、砂糖菓子のような言葉を吐け!
やにわに牙剥き、喉笛めがけて食らいつけ!」
マリ「おい、こっちを向け」
ハザリア「なんだ。なにか文句でもあるのか」
マリ「ジュグナンさんはステージに出ることをいやがってた。
ボーグナインさんのこと考えれば、事情はなんとなくわかるだろう。
お前、どんなムリいったんだ」
ハザリア「向こうの事情など知ったことか。
俺は、舞台に必要だと思えば犬でも猫でも
メカギルギルガンでも引っ張ってくるわ」
マリ「お前見てると、たまに不安になる。
エイスさんと距離を置いてるはずなのに、なんだかお前はどんどんエイスさんに近づいていく」
ハザリア「おい、そろそろ理解してもいい頃合いだぞ。
やくしゃとやくざは一字違い。いずれ、ろくなものではないのだ」
マリ「あの、ジュグナンさん」
ユウカ「ユウカ。オーライ? どちらにしろ、ファミリーネームは好きじゃないの。
カラードの混ざりものが英国貴族の看板背負ってパンクしてるなんて、安っぽいアイロニーよ」
マリ「なんていうかあいつは、わりと考えなしでものをいうとこあるから、
あんまり真剣に受け止めることは」
ユウカ「小振りなお尻をしてるのね」
マリ「アッ、なにを」
ユウカ「肉が薄くて、硬い。
これじゃ、体重をスムーズにスライドさせることができない。
あんた、アクトレスとしては少し達者かもしれないけれど、ダンスはベーシックからやる必要がある。
オーライ、まずは」
マリ「その絶え間ない尻攻勢、ちょっとどうかと思う」
【本番当日 舞台袖】
レイナ「あんた、B組のあの子に妙に入れ込んでるそうじゃない」
ハザリア「ああ、いいケツをしているだろう」
レイナ「考え無しにそんなこといっちゃって、どうなったって知らないからね」
ハザリア「ケツのひとつやふたつで起こることなど、たかが知れとるわ」
レイナ「始まるわよ」
【舞台上】
ダンスニ賭ケタッ青春! ダケドッ目ガ死ンデイルーっ♪
ワァー ワァー ワァー ワァー
スレイチェル『皆さぁーん、今日はーっ、スレイチェルのために武道館に来てくれてーっ、
礼をいうのであるーっ!』
ワァー ワァー ワァー ワァー
スレイチェル『ここで皆さんにーっ、お伝えしなくてはならないことがあるーっ!』
ワァー ワァー ワァー ワァー
スレイチェル『スレイチェルはぁーっ、今日限りーっ、普通の性別イグニションに戻るのであるーっ!』
ワー キャー イヤー ギャー
スレイチェル『そしてもうひとつ!
スレイチェルのお腹には、すでに新しい性別が宿っているのであるーっ!』
ワアァァァァァッ!!
【舞台袖】
レイナ「なにが生まれてくるっていうのよ!」
ハザリア「知らん。わからん。
たしかあの役はバランガにやらせるはずだったのだが、
いつの間にやらスレイチェルが居座っていて、頑として譲ろうとしないのだ」
レイナ「なにがしたいのよ、あのひとはっ!?」
【舞台上 芸能事務所】
トウキ『スレイチェルめ、デビューさせてやった恩も忘れて』
ミナト『どうすんだよ、兄貴。うちの事務所は、スレイチェルひとりで持ってたようなもんだぜ?』
トウキ『落ち着けミナト。
引退しますっていってほんとに引退したスターなんてな、モモエ・ヤマグチだけなんだよ。
どうせ、なんやかんやいって復帰するに決まってるんだ』
ミナト『でもよ、そんなの、いつになるか』
トウキ『とりあえず、ツナギで営業でもやらせとくさ』
【舞台上 会議室】
マリ『スレイチェルさんが引退しちゃったら、バックダンサーのうちらはどうなるんだろう』
マキネ『はーい、もしもし、あー、解雇おつかれさん。
いまどこよ。なに、トウキョウ拘置所?
やめてよ、あたし、もうあんたの弟と関わり合いになりたくないの。
あ、でも、バラエティなんかじゃ容赦なくネタにするから。
え、あ、うん、悪かった、悪かったって。あんたが大変なのもわかってるよ。
でもさ、整形は大概にしときなよ。最近、見るたびに顔の形が違うじゃん』
リトゥ『うん、わかってる、わかってるのよ。
ううん、違うのぉ。サエスケ、ちゃんとダルビッシュくんのこと信じてるぅ。
でもね、いま電話の後ろでしてる声明らかにホシノ監督じゃないよね。
ボトルとかフルーツとかいってるよね。キャバクラ? キャバクラよね?』
マキネ『サエスケさあ、ついでだから、あんたもダルビッシュと離婚しなよ』
リトゥ『そんなぁ、もののついでに離婚なんかしませんもぉん』
マキネ『だってあんたたち、どうせ離婚するじゃん?
離婚するに決まってるじゃん? 離婚しない道理がないじゃん?』
リトゥ『そんなことないですぅーっ、
幾多の試練を乗り越えてぇ、ようやくつかんだ幸せですーっ!』
マキネ『幸せなのはけっこうだけどさ、試練扱いされた男どもはたまったもんじゃないと思うよ』
ユウカ『ハイ、eriスケ、離婚おめでとう。
そしてSpEED Destiny離婚とかいうしょうもないダジャレをありがとう。
なに、またチャリティイベントで再結成?
だっる。ヨガhitoeが、現役時代オーディオセット借りパクした件でしつこいのよね』
【舞台袖】
ハザリア「SpEED Destiny最年長メンバーであったヨガhitoeは、
面倒見のいい性格が災いして、ほかのメンバーからはかなり舐められていた。
移動車では助手席が定位置だったことからも、そのパシられっぷりはうかがえる。
楽曲への熱意はメンバー中誰よりも強かったから最高級の機材をそろえていたそうだが、
引っ越しのどさくさに紛れて持ってかれたりなどしていたらしい」
レイナ「あたしが小学生だったころのカリスマをイヤな感じに描くの、やめてくれる!?」
ハザリア「グループ解散後、渡米したヨガhitoeは、
地味に個展を開いてみたり、地味に映画に出てみたり、なんだか地味に成功している。
全体的に残念なことになっている元SpEED Destinyの中では、勝ち組に入るだろう」
レイナ「ちょっぴり希望が持てるエピソード!?」
ハザリア「近年では、なぜかヨガの普及に励んでいる」
【舞台上】
マリ『みんな! てんでバラバラのことをしてる場合じゃない!
ちゃんと、これからのことを考えようよ!』
マキネ『いーじゃん、いーじゃん、しょうがないじゃん。
ユニットなんてこんなもんよ。ある日突然、女の幸せより儚く消えていくのよ』
リトゥ『そんなこといってぇ、ソニスケさん、いうほど困ってないって話じゃないですかぁ?
実家はわりとお金持ちだっていうじゃないですかぁ?』
マキネ『サエスケぇ、あんたこそ、いうほど男食えてないっていう話じゃん。
ヤマピーには洟もひっかけられなかったっていうじゃん』
リトゥ『あれはぁ、ヤマピーくんが異常だっただけですーっ!
テゴシくんやニシキドくんはハント成功したからぁ、得失点差でわたしの勝ちですーっ!』
マキネ『怖ッ! あんた、わかってる? 恐ろしい相手に勝負挑んでるよ?』
リトゥ『色恋沙汰っていったらエナリさん振ったくらいのひとにいわれたくありませんーっ』
マキネ『あれねぇ、正直スガコファミリーの権力のこととか、頭よぎったんだけど』
【舞台袖】
レイナ「なんなのよっ、この演劇の皮被った『BUBUKA』は!?」
ハザリア「芸能界の舞台裏など、こんなものだろうが」
【舞台上】
ユウカ『運と実力とコネがきっちり三等分必要なのがこの業界よ。
全員、ありったけのコネを出して』
マキネ『やった! 実力の件には触れもしないなんて、さすがhiroスケさん!』
リトゥ『ソニスケさんはぁ、hiroスケさんに憧れ過ぎですよぉ』
マキネ『だって、あたし、もともとSpEED Destinyに憧れて、
平家みちスケの妹分オーディション受けに行ったんだもん』
リトゥ『意味がわかりませぇん。
SpEED Destinyってぇ、ダンスチームじゃないですかぁ?
なんでアイドルのオーディション受けに行ってるんですか。
ソニスケさん芸能生活の出だしから間違ってますよ』
マキネ『だって、世間一般からはアイドルとして認識されてたわけだし』
リトゥ『それ、メチャクチャ浅いファンじゃないですか』
マリ『アイドルの定義なんかどうでもいいから!
ソニスケ、あなた団結力の強い民族のひとでしょう』
マキネ『なんも考えずに本名でデビューしちゃったもんだから、
同胞の皆さんからはわりと煙たがられてるよ』
マリ『サエスケは、あっちこっちのパーティに出没してるでしょう』
リトゥ『初めて友だちの彼氏奪ったあの日からぁ、同性の友だちなんかいたことありませぇん』
マリ『hiroスケさんの沖縄ネットワークは!?』
ユウカ『スーパーモズクーズとは、もう何年も口聞いてない』
マリ『今どきスーパーモズクーズなんて呼ぶからですよ』
ユウカ『元ラピスラズリとは、口も聞いたことない』
マリ『しまぶーっ! わりと偉大な先輩だけど、あえて呼び捨てにしますよ、しまぶーっ!
あなたなんで芸能界の沖縄勢力にケンカ売って歩いてるんですか!?』
ユウカ『呼び捨ては構わないけど、しまぶーはやめて』
マリ『ダメだぁっ! あらためて見ると、なんなんだこのメンツ!
どのへんの層を狙ってるのか、さっぱりわからない!』
マキネ『平山アヤスケさぁ、あんたはどうなのよ。
いいよねえ、共演者と爽やか交際なんかできるひとは。
あたしなんか、共演者っていったら京本だのキャイーンだの故破壊王だの、そんなんばっかりよ』
マリ『えっと、交際なんかしてません。いいお友達です』
マキネ『ちぇっ! なによその答え。あんた、アイドル?』
リトゥ『平山アヤスケさんはぁ、まだギリギリアイドルだと思いますよぉ?』
マキネ『そんなこといったら、あたしだって肩書きはまだアイドルよ!』
リトゥ『ソニスケさんはぁ、明らかに違いますもん。
アイドルはぁ、比喩表現抜きで故破壊王に噛み付いたりしませぇん。
『Tarzan』の表紙なんか飾りませぇん』
ユウカ『アイドルね。純粋に歌とダンスで勝負したいって、
息巻いてた時期もあったっけ』
マリ『いまでも思っててくださいよ!』
リトゥ『12歳から業界にいたらぁ、そりゃスレますよぉ』
マキネ『あんたは天然でタチ悪いけどね』
ガチャ
トウキ『おーい、お前ら』
ミナト『ツアーやるぞ、ツアー』
マリ『エ、でも、歌が』
トウキ『バンド用意してやったから、おい』
ヴィレアム『急に呼び出されても困りますよ、社長。
俺だって、バイト先じゃもう現場監督なのに』
キャクトラ『今月は宴会の予約も立て込んでいますので、
そうそう板場を離れるわけには』
トウキ『キューティクル・カム・トゥルーのお二方だ。
知ってるだろ? 『ワカメを茹でたくて』をヒットさせた』
マリ『えーと、円陣』
バッ
マリ『誰か、あのオジサンたち知ってる?』
リトゥ『一人は大工さんでぇ、もう一人は板前さんじゃないですかぁ?』
マキネ『それ、見たまんまだろ』
ユウカ『キューティクル・カム・トゥルー。
20年くらい前にヒット曲1回出したっきり、消えていったバンドよ』
マキネ『あれ? でもキュティカムって、3人じゃなかった?』
マリ『でも、そこにいるのは2人ですよ?』
マキネ『あっれー? でも、キュティカム体制って言葉、どっかで』
ユウカ『なにかやらかしたメンバーについては、最初からいなかったかのように扱うのが業界の優しさよ』
マキネ『あー、オートレーサーの彼みたいな。
SKEPが昔6人だったとか、カノウ兄弟が昔3人だったとか、そういうニュアンスの』
リトゥ『なんですかぁ、それ。ソニスケさん、年齢詐称してません?』
【舞台袖】
レイナ「なによ、あの配役は」
ハザリア「印税がっぽりで高級車乗り回してるアーティストなど、希少も希少、ごくわずかだ。
大半はバイトで食いつなぎつつ、スタジオミュージジャンや
ライブスタジオのハコバンとして細々とやっているものだ」
レイナ「夢がない! 前々から思ってたけど、あんたの脚本には全体的に夢がない!」
ハザリア「貴様は、意外に夢見がちなのだな」
【舞台上】
マリ『で、どうする?』
マキネ『いーじゃんいーじゃん? 毎日ダンスレッスンだけしてんのも退屈だし』
リトゥ『家にいてもぉ、ダルビッシュくんは帰ってこないしぃ』
ユウカ『事務所との契約もまだ残ってるし』
トウキ『おーい、どうするんだー?』
マリ『あ、はいはい! やります、やりまーす!』
ヴィレアム『よろしく頼む。ヴィレ内孝則だ』
キャクトラ『キャク☆トラです』
【舞台上 旅館の宴会場】
マリ『ありがとうございましたー。
キューティクル・カム・トゥルーwithアンラッキーダンサーズでしたー』
ヴィレアム『んじゃ、お疲れー』
パチ・・・ パチ・・・ パチ・・・
メカギルギルガン『よかったぞー、姉ちゃんたち。ついでに酌してくれんか』
【舞台上 廊下】
リトゥ『あのぉ、これってぇ』
マリ『いわないで、わかってるから』
ユウカ『ドサまわりよね』
マリ『だから、いわないでくださいってば! ヘコむから!』
マキネ『甘い甘い、女子刑務所の慰問に比べたら、こんなもん』
ヴィレアム『そういうことですんで、社長。
あ、いや、ほんとすみませんって、そんじゃ』
マリ『ヴィレ内孝則さんだ、なにしてるんだろ』
ヴィレアム『ああ、君たち。悪いけんだけど、うちのキャク☆、帰ったから』
マリ『はぁっ!?』
ヴィレアム『いや、あいつ、板前だろ?
大口の宴会客の予約入っちゃったもんだから、急遽店に呼び戻されちゃったんだよ』
マキネ『またか、またトンズラか!
あたしは前世でなにか悪さでもしたのか!?』
ヴィレアム『だから、悪かったって。
あいつも、近々独立して店構えるから、いまのうちに大将に恩返しときたいんだよ』
リトゥ『なんですかぁ、それ。
あのひとミュージジャンじゃなかったんですかぁ?
なんでフツーに板前としてステップアップしてるんですかぁ?』
マリ『ヴォーカルがいなくなっちゃったんじゃ、明日のステージはどうするんですか』
ユウカ『あたしのソロ曲は、わりとぱっとしないよ』
マキネ『あたしのソロ曲は、いやに辛気くさいよ』
ヴィレアム『しょうがないから、俺が歌うよ』
リトゥ『できるんですかぁ?』
ヴィレアム『一応、昔は俺の方がメインボーカルだったんだぜ?』
【舞台上 ライブハウス】
ヴィレアム『ずっと忘れない 離れてもくじけない
生きていく 今日から
愛が芽生えた7月 最初の口づけ ふたりの合図・・・・・・』
マキネ『なーんだ、けっこうちゃんと歌えるんじゃん』
マリ『じゃ、もうすぐ出番だから、みんな』
ユウカ『あの曲は』
マリ『あっ、ちょっと、hiroスケさん!?』
ツカツカツカ ドカッ
ヴィレアム『うわっ、なにを』
マリ『ちょっと、hiroスケさん!?』
ユウカ『ずっと忘れない いつまでも祈ってる
君のその夢が いつの日か かないますように
愛にはぐれた今晩 最後の口づけ
ふたりの目 髪をかき上げるクセ
本当に愛してた 君と過ごした青春 輝きはずっと色あせない 僕と君との卒業式』
ヴィレアム『なんで、君がそのバージョンを』
ユウカ『まだ女子高生だった母さんをしまぶくっておいて、
自己陶酔したしょうもない詩を残してトンズラこいたロクデナシ。
そう聞いてる』
ヴィレアム『そうか、君は、しまぶーの』
ユウカ『しまぶーなんて呼ぶ資格!』
マキネ『うっわ、ヴィレ内さん、いまのいままで気付かなかったって感じじゃん。
いるもんだね、人間のクズって』
リトゥ『男の人なんてぇ、みんなそんなもんですよぉ』
ユウカ『父と娘の再会っていうのは感動的なものだと思っていたけれど、
実際出くわしてみると、ムカつくだけね!』
マリ『やめてください、hiroスケさん!』
ユウカ『女と子供を捨ててまで音楽を取ったくせに、なぜメインで歌っていないの』
ヴィレアム『わかるだろ、俺には、愛とか恋とか歌う資格はないんだ』
ユウカ『だったら足を洗えばいい! なのにズルズルと居残って!
なにもかも中途半端! カッコ悪い! どうしようもない男!』
マリ『hiroスケさん、やめてください、hiroスケさん!
誰か、hiroスケさんを抑えるのを』
マキネ『なに、乱闘? うっしゃ、見ていて天国の破壊王!』
リトゥ『ソニスケさん、わけもわからずテンション上げるのやめてくだぁい!』
マリ『hiroスケさん、お父さんなんじゃないんですか!』
ユウカ『知るか、こんな男!』
パァァァァァンッ!
マリ『ミラーボールが、爆発した?』
【舞台上 事務所】
マリ『解散、ですか』
トウキ『ま、事情は話さなくてもわかるだろ?
それにさ、お前らアイドルグループって歳じゃないだろ。
うちは今後、コアなマニア向けのインディーズレーベルをメインでやってくから』
マリ『そしたら、わたしはクビですか』
ミナト『いや、クビっていうかさ、平山アヤスケちゃん。
契約の更新がだね、そういう』
マリ『わかってますよ。
hiroスケさんは、またチャリティーイベントかなんかでSpEED Destiny再結成するだろうし、
ソニスケは逆境にいるのが芸風みたいなものだし、
サエスケにはダルビッシュの年俸がある。
でも、わたしは、CDっていったら微妙なタイアップ曲だけで。
おなじアヤスケでも上木さんみたいにカッコよくは歌えないし、
松浦さんや上戸さんほどの華もない。杉本さんほど色っぽくもない』
トウキ『わかってるんなら話が早いや。そういうこと。じゃ、お疲れちゃーん』
【舞台上 レッスンルーム】
マリ『というわけで、解散だって』
マキネ『ま、しょーがないんじゃん? こんなもんでしょ、うちら』
リトゥ『じゃ、わたしぃ、ブログの更新しなくちゃだから帰りますねぇ』
マリ『ちょっと待ってよ、サエスケ!
このまんまでいいの!?』
リトゥ『えー、でもぉ、わたしぃ、交際期間3ヶ月目にして妊娠3ヶ月目という身なのでぇ』
マキネ『ねえ、なんでこいつ仕事干されないの?
あたしなんて、ちょっとCD売れてないだけで仕事ないのに』
リトゥ『歌手がCD売れないなんてそんなの致命的じゃないですか』
マキネ『ま、あたしも夢抱いて上京したけど、夢ってなんだったっけみたいな状態だし。
CDが売れないたびに笑顔が濁ってくし。
その笑顔もなんだかウソっぽいって評判だし。
もう、いいや。
たまに『世界ふしぎ発見』出て、面白くもなんともない答え出すポジションにでも納まるよ。
身内に犯罪者がいる的なキャラで、野々村さんの後釜狙うわ』
リトゥ『あたしもぉ、もっとお料理のお稽古しなくちゃですしぃ。
そうよミソ汁よミソ汁の味が合わないからダルビッシュくん家に居着かないのよ
きっとそうよ美味しいミソ汁作れたらきっとダルビッシュくんは家に
あったかい家庭素敵な旦那様可愛い若奥様ライフ』
マリ『2人とも、それでいいの? ほんとにそれでいいの!?』
マキネ『トウキョウ深夜、心ン中じゃひとりぼっち。
みんなそうなのよ。ピュアならピュアでいいけど、未来にゃ続かない』
マリ『hiroスケさんは?』
リトゥ『今日はぁ見てませぇん。顔、合わせづらいんじゃないですかぁ』
マキネ『じゃ、そういうことで』
【舞台裏】
マリ「次のシーンがラストだ。みんな、早く着替えて!」
ユウカ「ストップ。あんた、メイクが崩れてる」
マリ「あ、どうも」
ユウカ「ここであたしがトンズラしたら、あんたの舞台をヴァニシングできるね」
マリ「そんな、ユウカさん!」
ユウカ「いっそ、キスできたら楽なのに」
マリ「エ?」
ユウカ「単純に愛することができたら、単純に憎むことができたら、イージーだったのに。
でも、あの女は、リルカーラ・ボーグナインは、どうしようもなくいい母親だった。
優しかった。明るかった。なんだって教えてくれた」
マリ「ボーグナインさんは、ユウカさんのこと」
ユウカ「でもね、たまに、なにもないところをふっと見つめてることがあった。
結局、あの人はどこまでいっても女優なのよ。
あたしは、あの人をどこかに連れて行ってしまうステージが嫌いになった。
嫌いになったはずなのよ。なのに、ねえ、わかる?」
マリ「あ」
ユウカ「どうしようもなく胸が高鳴ってる。
熱に浮かされてるみたいに身体が痺れてる。
痛いほどにときめいてる。
ねえ、わたしはあの人の娘なんだって、どうしようもなく思い知らされる」
マリ「わたし、舞台が好きです」
ユウカ「あたしは」
マリ「行きましょう、ラストシーン」
【舞台上 空き地】
body & soul~♪
ユウカ『どうしてここに?』
マリ『肉体と魂で太陽浴びて 踊りだそう
足踏みばかりの毎日じゃ 生きてることさえ忘れちゃう
上京したてのころ、SpEED Destinyの4人がここレッスンしてたって聞いたことがあるから』
ユウカ『なにか用』
マリ『解散だそうです、わたしたち』
ユウカ『それで、恨み言をいいに?』
マリ『踊りに』
ユウカ『あなたは、女優としてやっていけばいい』
マリ『ダンスっていうのは、考えてもみればおかしなものですよね。
音楽みたいにCDが残るわけじゃない。
映像だって、映画やドラマに比べればずっと規模が小さい』
ユウカ『上がりがない、見返りがない、充足がない』
マリ『でも、わたしは、hiroスケさんと踊りたい。
そりゃ、わたしは4人の中で一番ダンス経験浅いし、
ハルカ17やれば一発で年齢詐称ばれるだろって突っ込まれますよ。
でも、それでも、踊らずにはいられない。
hiroスケさんは踊りの人です。なおさら』
ユウカ『物心ついたときから踊ってた。
同い年の子たちが中学校の入学式を控えてワクワクしてるときに、
あたしは夜もヒッパレで中山ヒデのテンションに若干ひきつつ愛想笑い浮かべてた。
で、疲れた。沖縄帰って結婚しようと思った。
でも、ダメだった。
ダンスはあたしの血と肉と骨だった。あたしは、どうしようもなくダンサーだった。
結局、あたしもあの男とおなじ。
中途半端で、未練がましい。カッコ悪い』
マリ『矛盾だらけの世の中じゃ、いいも悪いも興味がないよね。
抱えきれないこの魂。
なにが一番大切か、今はわからないまま、あなたと踊り続けたい』
ユウカ『あたしは』
マキネ『そろそろ起こしてちょうだいよ、朝の太陽。
街中がみんな他人に見えても、仲間たちに会えるよ』
マリ『ソニスケ!』
マキネ『や、ちょっとさ、思い出しちゃってね。
全盛期の松浦アヤスケにケンカ売ってた、あのころの獰猛な気分を』
リトゥ『どうしてソニスケさんはぁ、
人生において大切な選択を常に誤っているんですかぁ』
マリ『サエスケも!』
リトゥ『ダルビッシュくんがぁ、いうんです。
自分はペキンで頑張るからぁ、わたしは自分のステージをガンバレってぇ』
マキネ『気付け。それ、体よく追い払われてるからな』
リトゥ『なんですかぁ、ソニスケさんはぁ、もーっ!』
マキネ『ほんとはね、台所に立って、久しぶりに作ったのよ、料理を。
したら、気付いちゃった。
たったこれだけが、今のあたしの財産なんだって。
トウキョウに来てからのすべてなんだって。
なんもない、なんもない、いつまでもこのままじゃダメなんだよね。
わかってる、わかってる、いつまでも逃げたままじゃいないから。
ほんの少し今も、夢を見てる』
リトゥ『ほんというとわたし、女の子の友だちできるのなんて小5以来で』
マキネ『待て、あんた、そんなころから友だちの彼氏パクってたのか』
リトゥ『はぁい、それはもう、ペロリと』
マキネ『一周まわって、ちょっとカッコいいよ、あんた』
リトゥ『で、hiroスケさんは』
ユウカ『他人より多く生きていたい。味気ない大人にだけはなりたくない。
そう思ってた。でも、どこに行けば』
マリ『いっしょに行きましょう。いつか、辿り着きましょう。
風向きも気にしないで自由に生きてれば、なにか見つかります』
リトゥ『でも、どうするんですか。
解散は決まっちゃってるしステージだってないし』
マキネ『いーじゃん、いーじゃん、すげーじゃん。
野ざらしで踊ってる方が、あたしらっぽいよ』
ユウカ『ダンスするのに、屋根なんかいらない。
両手広げて、大地駆け抜けて、空を抱きしめて、風を受け止めて、虹を突き抜けて』
マキネ『イェー、ジャンプ、ジャンプ、ジャンプ!
さあ大勢ではしゃぐぜ、踊ろう騒ごう、仇ガール&駄ガールズ!
どこだ! ダンスフロアはどこなんだッ!』
リトゥ『ヒア、ヒア、ヒアーッ!』
マキネ『イエスッ! ダンス、ダンス、ダンス!』
ユウカ『行けるかな、行きたいな、絶対に行ってやる。
保証はなにもないけれど、この想いだけは絶対無敵。
ゴゥ、ゴゥ、ヘヴンッ!』
マリ『ウィー・アー・アンラッキーダンサーズ!』
~Go! Go! Heaven!
【閉幕】
ハザリア「よぉ、いいケツだったぞ」
ユウカ「こんなことで、なにか恩でもセールしたつもり?
あたしは変わらない。あの女に対する気持ちは、なにも」
ハザリア「怒りが、憎悪が、人間の原動力になることを俺は否定せん。
大いに苛立てばいい。それが人間のプリミティブな姿だ。
だがな、肉親を憎むのはやめておけ。あれは、胃にくる」
ユウカ「あんたは」
ハザリア「さしあたり、俺でも憎んでおけ。憎まれるのは馴れている」
ユウカ「傲慢な男」
パァンッ
マリ「あっ、ユウカさん、今の音」
ユウカ「オーライ。次に会うとき、キスしましょう」
マリ「エ、あ、ちょっと、ユウカさん!」
スタスタスタ
マリ「なぁおい、お前、ここでなにしてたんだ?」
ハザリア「なに、ちょっと振られていただけだ」
マリ「あれ、オイ、お前ひょっとして、けっこう本気でフォーリンラヴしちゃってたのか?」
ハザリア「勝手に解釈していろ」
マリ「おい、どうなんだ。ちょっとハートブレイクなのか、いま」
ハザリア「なんで貴様は、ちょっと嬉しそうなのだ」
マリ「ハハハ、お前ってやつはほんと、めんどくさい男だよな」
ハザリア「黙れ!」
マリ「黙れよ」
最終更新:2009年10月17日 11:47