イカロス・アヤ


10代目スレ 2006/05/03(水)

ハザリア「イカロス・アヤを知っているか?」
マリ「聞いたことはある」
ハザリア「いつのころからか、イカロス基地周辺に現れた謎の美女。
 明らかに年齢に見合わないノースリーブにミニスカという姿は、人々の憶測を呼んだ。
 ある者は連邦の大尉だったといい、あるものは特脳研の娘だったといい、
 ある者は実は娘ではなく養女だったといい、ある者は機動兵器のパイロットだったといい・・・」
リトゥ「マリはなんで『聞いたことはある』レベルなの!?」
マリ「その正体は誰にも知られず、いつしかひっそりと姿を消したという・・・」
リトゥ「盆暮れ正月ごとにご挨拶に来てるじゃない!」
ハザリア「今回の舞台はイカロス・アヤと接触のあるイカロス基地周辺の人々の証言を基に組み立てたドキュメンタリーだ。
 これが台本だ」
マリ「・・・これは!?」
ハザリア「フハハハ。一瞬で見抜くとはさすがだな。
 そうだ。イカロス・アヤは、見る者によって様々な姿になる。
 ときには隊長、ときには念動力者、ときにはアムロ・レイに恋する女・・・。
 貴様は、複数の役柄を、イカロス・アヤというたったひとつの姿で演じなければならないのだ!」
ヴィレアム「なんでおまえは次から次へとおかしな役ばっかり作るんだ?」
ハザリア「あー、ヴィレアム。貴様の役柄はこれだ。
 イカロス・アヤに誰より深く関わったゲイのシャンソン歌手な。
 女装して歌う場面もあるから、歌とメイクの練習をしておけ」
ヴィレアム「おまえはひょっとして普通の役が作れないだけなんじゃないのか!?」


ヴィレアム「レイナ、厚化粧のやり方をおしえてくれないか?」
レイナ「ムカッ!」
ヴィレアム「いや・・・! ゲイの歌手のステージ化粧だからだな・・・!」
レイナ「一目散にアタシに訊きに来る、その心意気が気に食わないッ!」
キャクトラ「友よ、そう律儀にハザリア様の気まぐれに付き合う必要はないと思うが・・・」
ハザリア「なにをしているキャクトラ! 舞台に使う映像を撮りに火星に行くぞ!
 当時を知っているバーム星人の皆さんにもインタビューするからな、貴様も手伝え!」
キャクトラ「あぁ・・・!」
ハザリア「ああレイナ、ヴィレアムに厚化粧のレクチャー、頼むぞ!」
ゼラド「レイナ~、アヤさんをモデルに舞台やった女優さんの役やるんだけど
 厚化粧のやり方教えて~」
レイナ「どいつもこいつもッ!」


――イカロスのアヤという美女がいた。連邦のパイロットだったらしい。

ヒューゴ『美術館で見かけたな』
アクセル『・・・ノースリーブだったんだな、これが』
アクア『アムロ・レイの恋人だったって聞いたけど』
ルアフ『王宮で見かけたから、貴族だと思ってた』
ラミア『私が見たときには、ネコミミを着けていた』
咲美『実は資産家の娘で、街に立ってたのは趣味だったって聞いたけど』
ラン『実は男の方だって聞いたわぁ』
ジキミ『アヤさん? ああ、あの人は2、3年前クルマに轢かれて死んだよ。
 もう、いねえよ』

――だれも真相は知らなかった。新西暦1XX年、突然姿を消した。

マリ『・・・・・・』

舞台袖
レイナ「マリのあの歩き方・・・! いえ、あれは、歩いているの?
 地面の上をスーッって・・・。あれじゃまるで・・・」
ハザリア「そうだ。イカロス・アヤは亡霊なのだ。
 インタビューをした誰もが答えた。アヤは、ゲーム終盤にならないと現れなかったとな。
 しかし、名前だけは序盤から語られる。まさに実体なき亡霊なのだ」
レイナ「・・・客席を見た。あの表情は、いったいなんなの!?
 厚化粧のせいだけじゃない! 泣いているのでも笑っているのでもない・・・!
 まるで霧が形を歪めただけみたいな・・・!」


ヴィレアム『あなた馴染みの 火星ヨコハマ~♪』

クリハ「アヤさんに援護攻撃してもらうには条件があるの。
 1つ、背が高いこと。1つ、指揮技能を持ってること。1つ、髪が青いこと。
 アムロ・レイの恋人だったってよく聞くけど、あれはウソよ。あの胸もね」
キャクトラ「一度、アヤ殿に援護攻撃していただいたことがあります。
 スッと、いつの間にか私と隣接していて、援護攻撃をして消えていきました・・・」

●イカロス・アヤ行きつけの喫茶店の店員
リトゥ「ええ、アヤさんならよくいらっしゃいましたよ。
 うちでは専用のカップを用意していまして。
 そしたらあの方があの声で、『私のカップでコーヒーをお願い』ってねえ・・・。
 ええ、お中元やお歳暮もいただいていました。本当に字の綺麗な方で・・・」

ヴィレアム『人にかくれて あの娘が泣いた~♪』

●バー『アイスクレイドル』のママ
イルス『うちの前にじっと立ってることあってさ、お客さんや女の子からクレームついたことあるんだよ。
 でさ、あたしもいってやったの。営業妨害だよって。
 うんそう。あたし、イカロス・アヤとケンカしたことあるんだ。
 いや~、予想外に手ごわかった』


ヴィレアム『涙が花に なるときに~♪』

――イカロス・アヤはなにも語らない。
――目にした者が、各々の意味を重ねようとする。

ゼフィア『あれは、死の神のようだった』
レイナ『誇り高い人だったんだと思います。ひとり、ピンと背筋を伸ばして・・・。
 あれは、ひとりで生きていく女の顔だった』
アイミ『あのノースリーブは、自由に生きていく翼だったんじゃないかな』
ルナ『ああなったのは、バルマーで脳を抜き取られたからだと聞く。
 戦争とは、痛ましいものだ・・・」
ジキミ『ただの売女だよ』

●レストラン『トロンベ』の店主
スレイチェル『天国と地獄。いつだったか、カウンターに座ってぽつりとそういったことがあった。
 我が子の誕生に賑わう親たちを、ぼんやりと眺めながら』

●舞台『イカロス・カヤ』を演じた女優
ゼラド『ええ、舞台をやるにあたって、実物にお会いしたことがあります。
 初対面では、口が聞けませんでした。なんというか、胸倉をつかまれた思いで・・・。
 自分はSRXの部品ではないと、そういわれたようで・・・。
 ええ、あの方はなにもおっしゃいませんでしたけど・・・』


――ひとりの、歌手がいる。

ヴィレアム『ある戦闘でのことだった。あの人は、いつのまにか私の横に現れて、援護攻撃をした。
 予知能力があるのをいいことに、いつも真っ先に前戦に送られる俺をだ。
 今考えると、足の遅いR-3で俺に追いつけるわけはなかったんだが。
 SRXか・・・。合体したのを一度だけ見たが、今となってはあれも現実かどうか・・・』

――歌手は、たびたびイカロス・アヤと話をするようになったという。

ヴィレアム『アムロ・レイの恋人? 違うな。あの人は大尉だろう?
 少佐、と呼んでいた。・・・いや、名前は一度も聞いたことがない。
 ソラで消えた、と。ああ、それだけだ。待っていたのかも、しれないな』

――歌手も、イカロス・アヤの消息は知らないという。

ヴィレアム『冬だったな。寒いと、ノースリーブの肩を震わせていた。
 羽織るものをあげようとしても受け取ろうとしないんだ。ツンと、顔を上げてな。
 そして消えた。ああ、俺はなにも聞いていない。
 本当に聞いていないんだ。それでいいじゃないか。ああ、じゃあ、もういいか?』



♪イカロスあたりに 灯りがともる~

マリ『・・・・・・』

舞台袖
レイナ「立ち上がった・・・。そして・・・。
 えぇっ!? いまなんていったの!? まるで人間の声じゃない!?
 聞き取れなかった。老人のうわ言みたいな、風の鳴く音みたいな・・・!」
ハザリア「フハハハハ、マリのやつ、好きにやれとはいったが、こう来るとはな!
 そうだ。それこそがイカロス・アヤだ。
 なにも語らない。小雨に叩かれる屋根のような音を残すだけ・・・!
 マリめ、つくづく恐ろしい女・・・!」

閉幕
ディストラ「ぐすっ、アヤさん、哀しいひと・・・」
イングラム『ふ~ん、こういうひともいるんだなあ』
クォヴレー「お前は、なんで他人目線なんだ」

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最終更新:2009年10月17日 11:48
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