23代目スレ 2008/03/19(水)
ゼラド「ヴィレアムくんはさ、もうちょっとハザリアくんを大切にした方がいいよ」
ヴィレアム「大切にって、そんな」
ルナ「そういえば、あやつはわりと男友達が少ないな」
マリ「いつもいつも女子とばっかりつるんでさ。あれじゃ男版しずかちゃんだよ。
汚いしずかちゃんだよ」
ヴィレアム「ひどい言い草だな」
マリ「イヤ、しずかちゃんは原作でもけっこうダーティーだからな。
いうなれば、あいつはそのまんましずかちゃんだ」
ヴィレアム「いいよ、なにしずかちゃんでも」
マリ「イヤイヤ、あえて例えるなら、言動がジャイアンで中身しずかちゃんみたいな」
ヴィレアム「マリの中でおそろしい生物が構築されつつある」
ゼラド「ほら、わたしとかヴィレアムくんが困ったとき、
ハザリアくん、けっこう助けてくれるでしょう?」
ヴィレアム「いや、どっちかっていうと、あいつがそばにいるときに限ってヘンなことが起こるんだよな」
マリ「ああ、むしろあいつが厄介事呼び込んでるんだよ」
ゼラド「もぉ~、そんなこといったら悪いよ」
マリ「でもあいつな、妙なところで繊細なんだよ。
ほら、前にお前たちが、あいつを除け者にして野球したことがあっただろ」
ヴィレアム「除け者っていか、あいつは野球とか興味ないと思って」
マリ「あのときな、あいつ、信じられないほどヘコんでたんだよ。
おかげで、わたしは3日間もキャッチボールに付き合わされたんだぞ!」
ヴィレアム「3日もキャッチボール付き合ってくれる相手がいるなら、もういいじゃないかと思うけど」
マリ「わたしは付き合いたくて付き合ったんじゃない!
むしろ付き合ってない! 付き合ってたまるもんか!」
ヴィレアム「いや、付き合ってたんだろ、キャッチボールを」
ルナ「考えてみれば、キャクトラは幼い頃ご両親についてあちこち行っていたからな。
幼い頃、我々のまわりには同じ年頃の男の子がほとんどいなかったのだ。
あやつは、同性の友人に対する接し方を知らないのではないか?」
マリ「だからって異性に対する接し方を知ってるわけじゃないと思うけどな」
ルナ「だいたいがエイス殿の家に入り浸って本をむさぼり読んでいるような子供だったからな」
対人スキルの低さをバカ笑いで誤魔化しているような人間なのだ、あやつは」
ゼラド「でもさ、やっぱりハザリアくんは相当ヴィレアムくんのこと大事に思ってると思うんだよ。
ヴィレアムくんも、ちょっとはハザリアくんに優しくしたげるべきだよ!」
ヴィレアム「なんで俺はこんな一斉放火浴びなきゃならないんだろう。
ああ、妬ましい」
【演劇部の部室】
ハザリア「なんだ、俺の思索の時間を」
ヴィレアム「いやな、今度みんなでボーリング行くんだけどさ、お前もどうかなと思って」
ハザリア「ぼうりんぐだ? なぜ俺がそんな低級なたま転がしなど」
ヴィレアム「ああ、イヤならいいや」
ハザリア「いや、待て待て待て、ま、俺は多忙を極める身だが、
万が一、いや万が一にだぞ、スケジュールがあかないこともないとも言い切れんような気がする。
で、日取りはいつだ。
雨天決行なのか。雨天決行なのだろうな。雨天決行にせよ」
ヴィレアム「取りあえずお前がボーリングよく知らないことはよくわかった」
ハザリア「そうだな。では教本の5冊や10冊も読んでおく必要があるだろう。
気は乗らんのだがな。あくまで、俺は気乗りなどしていないのだがな。
ま、最低限ボールとシューズくらは用意しておくか。
おい、ほかに用意するものは」
ヴィレアム「どうしよう。気色悪いくらいそわそわと準備し始めたぞ」
【ボーリング場】
ゼラド「やだ、もう。今日が休みだってこと、すっかり忘れてたよ」
ミナト「うっかり学校行きかけちまったぜ」
ヴィレアム「ちょうどいいから今日ボーリングしようってことになったんだけど、
おい、そいつどうしたんだ」
ハザリア「う~ん・・・・・・」
マリ「昨日、部室で異常なテンションではしゃいでたんだけどな。
今日になったらこのザマだ」
ミナト「楽しみすぎて熱出すって、小学生かよ!」
ゼラド「あぁ~、わたしもよくやったなぁ」
ヴィレアム「おい、ほんと大丈夫か。顔色悪いぞ。家で休んでた方が」
ハザリア「・・・・・・ボーリングの起源は紀元前5000年ころのエジプトだといわれている。
ボールでピンを倒すという形式は、その当時からすでに成立していたらしい。
17世紀になるとピンを菱形に並べる形式が生まれ、その後アメリカ新大陸で」
マリ「なにか、メチャクチャ予習してるんだ」
ゼラド「ボーリングしないと三代たたるぞって顔してるね」
ヴィレアム「こんなプレッシャー受けながらやるボーリング、初めてだ」
ソッレッハ~ アイジャナ~ィ♪
マキネ「あい喜んでぇ~」
ヴィレアム「帰ろう」
マキネ「あ、ちょっと待ってよぉ~!」
ゼラド「マキネちゃん、ここでバイトしてるの?」
マキネ「ほら、あたしさ、最近90年代フィーチャーしてないじゃん?」
ミナト「ボーリング場にいる理由になってねえよ」
マキネ「90年代っていったらボーリングみたいなとこあるじゃん?」
ヴィレアム「いや、聞いたことないそんなの。90年代のいつごろボーリングが流行ったんだよ」
ミナト「帰ろうぜ! こんな、天井からバブル期のディスコみたいな
ミラーボールぶら下がってとこでボーリングできるかよ!」
ケッツハ~アイジャナァイ~♪
マキネ「待ちなって、ほら、90年代を象徴するソングもかかってることだし」
ヴィレアム「象徴してないからな。
90年代はこんなへっぽこ実験アニメーションなんかに象徴されてないからな」
ミナト「どうりでクリハが頑なに来たがらなかったわけだよな」
マキネ「90年代、そうそれは、まさに実験の10年だった」
ヴィレアム「無理矢理90年代を総括するんじゃない」
マキネ「そんな90年代も末も末の深夜、このへっぽこ実験アニメーションは忽然と放送されたのであった。
ハチャメチャな内容、出たがりの監督、そしてミツイシさんの名人芸により、
実験の成功云々は別として、なんかみょ~に印象に残る作品となったのであった」
ミナト「お前、どこまで行く気なんだよ」
マキネ「あのころのミツイシさんを越えるまで」
ヴィレアム「それは勝てるはずのないケンカだからな!」
マキネ「ま、遊んでってよ。いま対戦相手呼ぶから」
ヴィレアム「なんだよ、対戦相手って」
マキネ「当ボーリングホールはぁ、お客さまに凄腕ボーラーとの白熱した
戦いを楽しんでいただけるシステムとなっておりまぁす」
ヴィレアム「違う。ボーリングはそういうゲームじゃない」
マキネ「えぇ~、あたしにルール的なこというのぉ~?」
ヴィレアム「少しはルールわきまえろよ」
マキネ「あたしだってさ、世が世なら独裁者の孫なわけで」
ミナト「お前に独裁されてたまるか! 速攻で革命が起こるからな!」
マリ「ビアン博士って、革命はやろうとしてたけど独裁者になるつもりはなかったと思うぞ」
マキネ「あぁ、ゴメン。あたし、そういうじいちゃんの思想、イマイチわかってないんだよね」
ヴィレアム「ちゃんと教育しとけよ、ビアン博士!」
マキネ「先生、せんせぇ~い! よろしくお願いしゃ~す!」
ミナト「こいつ、聞く耳を持ちゃしねえ!」
ルアフ「やれやれ、ようやくお呼びかい?」
ラミア「待ちかねたぞ」
ヒューゴ「うひょひょひょ、腕がなりますねえ」
アクア「ヒューゴ、その笑い方どうかと思う」
ヴィレアム「先生って、ほんとに先生方のことなのかよ!」
ゼラド「先生たち、こんなとこでなにしてるんですか?」
ルアフ「イヤハヤ、春分の日だってことを忘れて、今日も意気揚々と出勤しちゃってねえ」
ラミア「無人の教室で、いよいよ教え子総エスケープかと途方に暮れる
アクアを観察しているのも1時間半ほどで飽きたのでな」
アクア「もうちょっと早く教えてくださいよ! どれだけ心細かったと思ってるんですか!」
ヒューゴ「みんなして、とんだウッカリさんだったというわけだ」
ヴィレアム「要するに、そろいも揃って学校行っちゃってたんですね」
ゼラド「先生たち、学校大好きですね」
ルアフ「ふふふ、なにしろ家庭には居場所がないからね」
ヴィレアム「重いですよ! 春分の日だっていうのに重すぎますよ!」
ミナト「春分の日は関係ないんじゃないのか?」
マキネ「あ、なに、気に入らない? あい、チェンジ入りましたぁー!
リウェン・リムスカヤー、ジョウン・ラドクリフー、メルティス・アルバークー、
出番だよー」
ルアフ「コラコラコラ、
こんなタイミングで人物辞典の下ぁ~の方にいる子たちに出番を与えるんじゃないよ。
君、少しは自重という言葉を知りたまえ」
マキネ「えぇ~、先生がそんなこというのぉ~」
ラミア「さて、ボーリングをするのだろう?」
ルアフ「んっふっふ、あのボーリングブームを乗り越えた腕前を見せてやろうじゃないか」
ヒューゴ「こないだ倒したオグシオコンビに比べれば、赤子の手をひねるようなもんです」
アクア「ヒューゴ、いつオグシオとボーリングなんかしたの」
ルアフ「しかしあの二人は、噂以上に百合っぽかったね」
ラミア「本物だな、あれは」
アクア「やめてくださいよ、ゴシップ誌情報垂れ流すの」
【数分経過】
ハザリア「うぅ~ん・・・・・・」
マリ「大丈夫か? お前はもういいから、そこで休んでろ」
ゼラド「ハザリアくん大丈夫? ジュース飲む?」
マキネ「あい喜んでぇ~、お客さま、お扇ぎいたしましょうかぁ」
ミナト「おい、あいつを男友達と交流させるのが主旨じゃなかったのかよ。
なんで妙な組み合わせで介抱されてるんだよ」
ヴィレアム「そんなこといわれたって、俺が知るか!」
カコオォォォォンッ!
ルアフ「ほらほらどうしたんだい?
ボヤーッとしてると、スコア差は開く一方だよ?」
ヴィレアム「先生方、ガチで強いし」
ラミア「この程度とは、先生情けないぞ」
ヒューゴ「そうだぞ。こないだ先生たちが倒した
ダルビッシュ・ナカタペアはもう少し粘ったぞ」
アクア「ヒューゴ、なぜわたしの知らないところで有名人とボーリングしてるの」
ヒューゴ「しかし心配ですね。あの日のナカタくん、やたらテンション低かったから」
ラミア「二軍落ちした直後だったからな」
ルアフ「ナカタくんには頑張って欲しいもんだねえ。
ああいうイカツいタイプの選手はしばらくいなかったから」
ゼラド「どうしよう。先生たち、余裕綽々だよぉ~」
ヴィレアム「しょうがないだろ。明らかに年季が違うんだから」
ゼラド「ハザリアくんは、あんなだし」
ハザリア「うぅ~ん」
マリ「あ、もう、寄っかかるなよ。重いんだよ」
ゼラド「あれ、ミナトくんは?」
ヴィレアム「ああ、向こうでひとりエアホッケーに興じてる」
カコーン! カコーン! カコーン!
ミナト「うひゃひゃひゃっ! ハマる! なんかハマる!」
ヴィレアム「いるよな。ボーリングやりに来てるのに、
なぜか横のゲームコーナーに熱中しちゃうやつ。
こんなとこでムダに身体能力発揮して」
ゼラド「どうしようっ! 勝てない! これじゃわたしたち、勝てないよぉっ!」
ヴィレアム「ゼラドっ! どうして急にボーリングに対して真面目に向き合い始めるんだ!?」
ルアフ「あっはっは! どうしたんだい、もう泣き言かい!?」
ヒューゴ「どんなに嘆いても、ナカタくんの開幕一軍入りは絶望的なんだぞ」
ラミア「どうせ半分くらいキャラ人気なんだから、
将来性とか無視して開幕一群に入れておけばいいんだ」
アクア「やめてください! ナカタくんの選手生命をなんだと思ってるんですか!」
ゼラド「このままじゃ、わたし、勝てない!
ナカタくんも開幕一軍入りできない!」
ヴィレアム「ナカタの開幕一軍はどうでもいいじゃないか」
ゼラド「どうでもいいなんて、ヴィレアムくん、ナカタくんのことその程度に思ってたの!?」
ヴィレアム「どうしよう。ゼラドの中で、俺よりナカタの方が優先順位高いっぽい」
???「諦めっちまうのかい、嬢ちゃん」
ゼラド「あっ、あなたは!」
重震のマグナス「昔、あんたに似たやつを知ってたよ。
そいつは自分のことが嫌いで、修羅神にも乗れねえハゲ頭だった。
ああ、あいつはハゲてたよ。あと眉毛もなかったよ。
でもよ、でもよ、それでもあいつは最後、戦ったんだ。ロリっ娘に化けてよ」
ゼラド「重震のマグナスさん!」
重震のマグナス「なぁ嬢ちゃん、生きてりゃよ、出くわすわな。
なんでこんな目に遭うんだとか、なんで俺ばっかり、みたいな目によ。
事故とか病気とかな。
なんでかなぁ。現によ、嬢ちゃんがキツい目に遭ってるのに、
のほほんと無限のフロンティアOGサーガの発売を楽しみにしてるヤロウもいるんだ。
不公平だよなぁ、なんでだと思う、なぁ」
ゼラド「そんなこといわれても、わたし、わたし」
重震のマグナス「わかんねぇのさ。
いろんな不幸がなんで自分に起こるのか、なんてよ。
修羅神にも、修羅王にも、誰にもな。
でも、抵抗するしかないもんなぁ」
ゼラド「抵抗・・・、わたしが、先生たちに?」
重震のマグナス「なぁ嬢ちゃん。トンネルってよ、いやぁなときみたいだよなぁ。
一人っきりで、寒くてよ。でもよ、いつかは抜けるんだぜ」
ルアフ「あっはっは! ご託はおしまいかい!?」
ヒューゴ「この、いかんともし難い実力差! いまさらどうなるものでもない!」
ラミア「わからぬなぁ。かつては北海道全域で恐れられた修羅が、
なぜ女子供にそうまで肩入れするのか」
アクア「やめてください! なんですかその悪役丸出しの口調!」
重震のマグナス「女子供のため、か。
そうだな、その通りだよなぁ。北海道で非道の限りを尽くした修羅の、この俺がよぉ。
ちゃんちゃらおかしいってもんだ。
でもよぉ、大人の男が女子供のことを考えられなくなったら、そりゃ世も末ってもんじゃぁねえか」
ガッ
重震のマグナス「女泣かすだぁっ!? 子供泣かすだぁっ!?
ばっきゃろぉぉぉーっ!!」
かこおぉぉぉぉぉんっ!
ゼラド「ナイス、ストライク・・・・・・」
重震のマグナス「なぁよ、嬢ちゃん。信じてみちゃぁみねぇかい。
自分と一緒に抵抗してくれる、自分ちゅうパートナーをよ」
ゼラド「重震のマグナスさん!
わたし、戦う! 先生たちと! なによりわたし自身と!
わたしがわたしでいつづけるために!」
ルアフ「ふふっ、どうやら、つかんだようだね」
ラミア「その目の輝き、数秒前とは比べものにならないぞ」
ヒューゴ「俺たちも、悪役を演じた甲斐があったってもんだ」
アクア「いやもう、なにいってるのかまったくわかりませんよ」
重震のマグナス「へっへっへ、どうやら、もう俺の出る幕はねえようだな。
あばよ、嬢ちゃん。うちのチビも、嬢ちゃんみてえに育てばな」
ゼラド「ありがとう重震のマグナスさん。
わたし、忘れない! あなたから教わったこと!」
ヴィレアム「ええと、あれ、なんだこれ」
ゼラド「さぁ先生たち、レッツ・ボーリング!」
【ゲーム後】
ルアフ「ふふふ、いいゲームだったよ。勝敗のいかんにかかわらずね」
ゼラド「先生、先生! ありがとうございます!
先生たちには、わかっていたんですね!」
ラミア「ああ、その通りだ」
アクア「なにをですか! いったいなにをわかってたっていうんですか!」
ミナト「俺も、俺もひとりでエアホッケーなんかに興じてちゃいけなかったんすね!」
アクア「どうしよう。生徒たちがなにに感動しているのかわからない」
マキネ「久しぶりに面白いゲームが見れたよ。
春分の日って、本来こういうものなのかもしれないね」
ヴィレアム「いや、それは違う。絶対に違う」
ルアフ「さぁーって、時間も時間だし、隣のファミレスでお昼ご飯と行こうか」
ラミア「よし、バランガ。今日のご褒美に、先生がドリンクバー奢ってやろう」
アクア「大いばりでなにいってるんですか。微妙にしょぼいですよ」
ヒューゴ「サラダバーも付けちゃうぞ!」
ゼラド「ぃやったぁ!」
ヴィレアム「潰れる。そのファミレス、今日で潰れる」
マリ「ゴメン、先行っててくれ。ちょっといま、動けない」
ヴィレアム「どうしたんだ?」
マリ「こいつ、寝ちゃった」
ハザリア「く~」
ヴィレアム「膝枕って、お前どういう了見だよ!」
ミナト「起こせ! 叩き起こせ!」
マリ「いや、でもこいつ熱あるし」
マキネ「キース、キース、キース」
マリ「小学生みたいな冷やかし方するな!」
ルアフ「ほらほら行こうじゃないか。二人きりにしてあげればいいんだよ。
そしてなにか間違いを起こせばいいんだよ」
アクア「ルアフ先生、教師としてその言い草はどうなんですか」
マリ「起こしませんからね! なにひとつとして起こしませんからね!」
ゼラド「大きな声出しちゃダメだよ。ハザリアくん、起きちゃうよ?」
最終更新:2009年10月17日 12:32