28代目スレ 2009/04/01(水)
【OG公園】
ゼラド「お願い譲って!」
クリハ「いいや、ゆずれない!」
ルナ「いやいやいや、この場所は以前より生徒会が」
咲美「ええと、B組が」
トウキ「なに揉めてんだ?」
クリハ「あっ、トウキくん!」
ゼラド「花見の場所取りで」
トウキ「どこでも好きなとこ使えばいいじゃねえか。
桜なんて、そこらじゅうでいっぱい生えてるんだから。
そりゃまあ、これ、ずいぶん立派な桜だけどさ」
ゼラド「ここじゃないとダメなの!」
トウキ「どうしたんだよ」
ルナ「信じているわけではないが、この桜の木には伝説があっての」
咲美「昔々、一匹の鬼がこの桜の木の下で死んでたんですって。
その鬼は人間が大好きで、死んだのも人知れず人里を守ったからだそうなの。
それで、いまでも一年に一度、鬼の命日にこの桜の木の下でお花見をした人間の願いを叶えてくれるんですって」
ゼラド「その命日っていうのが、今日なの!」
咲美「でもその鬼は大層引っ込み思案で、ひとが二人以上集まると逃げてしまうそうなの」
トウキ「へえ、それで揉めてるってわけか」
ルナ「恥ずかしながら」
トウキ「よしわかった! この場は俺に仕切らせてもらう!」
ゼラド「仕切るって!?」
トウキ「決まらないものは決めればいい!
しかし、斬った張った殴った蹴ったで決めるのでは、
文化教育を受ける学生として、あまりにもお粗末!
折しも今日は4月1日! エイプリルフール!
もっともハンパないウソをついた者を勝者としようじゃないか!」
ルナ「なんと滑らかな弁舌なのだ!」
トウキ「司会はわたくし、バイトのトウキが務めさせていただきます!」
咲美「誰に雇われたバイトなの!?」
ゼラド「トウキくん、目が輝いてる!」
ルナ「なぜ司会に生きがいを感じつつあるのだ」
トウキ「解説のラーナさん! お願いします!」
ラーナ「いったい、ウソつき大会のなにを解説しろって言うんですか。
ちょっとコンビみたいに扱うのやめてください。
カノジョさんいるんだから、カノジョさんと組んでください」
トウキ「そのカノジョ、クリハさんが一番手です!」
クリハ「わたし、一生この胸のまんまでいいーっ!」
カーン
ラーナ「5点です」
クリハ「えっ!? けっこう思い切ったウソだったんだけど」
トウキ「バカヤロウ! お前は、なんのために胸を大きくしたいだなんていってるんだ!
俺が胸の大きい小さいで選ぶ男だと思ってるのか!
ああ、たしかに俺はD以上の胸が好きだ!
持ってるエロ本は全部巨乳系だ!
でもな、それと恋とは違うだろ!
俺にとってお前は、胸とかDとか全部超越した存在なんだよ!
それともなにか! お前、巨乳好きな男にでも心移りでもしたのか!」
クリハ「そんなことない! わたしはただ、トウキくんの理想の女の子になりたくて!」
トウキ「だったらもう、お前は完成体だーっ!」
クリハ「トウキくーんっ!」
ラーナ「次行ってください」
フィリオ「桜の下には死体が埋まっているという。
来年にはもう、僕はこの桜の下にいるのかもしれない」
カーン
ラーナ「0点」
フィリオ「おかしいな。命をテーマにした、だいぶ重いウソだったのに」
トウキ「いまのをウソだと認めたくありません、次!」
咲美「実はわたし、ものすごく生徒会長になりたかったのーっ!」
カーン
ラーナ「3点」
トウキ「それさ、ウソじゃないんじゃないのか?」
咲美「ウソよ! 生徒会長なんて、当選したらどうしようかと思ってたわよ!」
ラーナ「2月に1回ペースくらいで、
『あのとき当選してたらその後の人生変わってただろうな』
と思ったことがないと、言い切れますか?」
咲美「やめて! 心を抉らないで!」
ゼラド「実はわたし、お兄ちゃんじゃなくって、
ちいちゃいころから近所に住んでる幼馴染みの男の子のことが大好きなのーっ!」
ラーナ「えっと」
トウキ「中断、中断! 審議入りまーす!」
【司会席裏】
トウキ「円陣!」
クリハ「どう思う、いまの?」
ラーナ「本人がウソっていってるんだから、ウソなんじゃないんですか」
トウキ「引っかかるのは、『近所に住んでる幼馴染みの男の子』なんていうややこしい言い回しだよな」
クリハ「単にウソつくなら、そのへんの犬とかおじいさんとかでいいのに」
トウキ「ウソって、意外と本心出るからなあ。
ポロッと自覚してない感情が出ちまったのかも」
クリハ「待って。わたしたちなんとなくヴィレアムくんのことだと思ってたけど、そうなのかしら。
『近所に住んでる幼馴染みの男の子』って、あと何人かいるし」
トウキ「えぇっと、スレイチェル先輩はよくわかんないとして、ゼフィア先輩と・・・・・・。
あれ、けっこう少ねえな。
あとは俺とミナトぐらいか?」
クリハ「ゼラドったら、まさかトウキくんに横恋慕を!」
トウキ「バカヤロウ、もしそうでも、俺の心は決まってるぜ」
クリハ「やだ、もう」
ラーナ「あの、わたし、女子中学生なのでそういう恋愛の機微とかわからないんですけれども」
クリハ「中学生でも、恋は知ってるでしょう?
だってわたしは、あのころからトウキくんを」
トウキ「そうだったのか、気付いてやれなくて、悪かったな」
クリハ「いいの。言い出せなかった、臆病なわたしが悪いんだから」
トウキ「ははは、怖がり屋さんだな、クリハは」
クリハ「えへ、トウキくんについては、怖がりなの」
トウキ「こいつぅ」
ラーナ「すみません、次行ってください、次」
ルナ「では、わたしは、まだお父様のことを許していないーっ!」
【公園の入り口】
ビシッ ビシビシッ!
クォヴレー「今日はまた、ずいぶんと動きまわるな」
ヴィレアム「悪いがあなたを追い詰めさせていただく!」
まだお父様のことを許していないーっ!
いーっ!
イーッ!
イーッ!
クォヴレー「なっ!」
ヴィレアム「隙有り!」
ずびしっ!
ヴィレアム「やったぞ! ついに久保さんに一撃入れた!」
トウキ「あ、ヴィレアムだ」
クリハ「あ~あ、ヴィレアムくんだ」
ラーナ「よりにもよってイェーガーさんです」
咲美「この場で、ヴィレアムくんだ」
ヴィレアム「なんだよ! このまんじりともしない雰囲気!
なにがあったんだよ! 少しは俺を祝福しろよ!」
【少し離れた桜の木の下】
ハザリア「だからなぁ~、俺は、ほんとのところ貴様には感謝しておるのだ」
マリ「はいはい、エイプリルフールエイプリルフール」
ハザリア「ちゃんと聞かんかぁっ!」
マリ「近い、顔が近い。あと酒臭い。
お前、普通に飲酒するのやめろ」
ハザリア「貴様がなぁ~、おらなんだら、俺はぁ~、舞台など、とぉ~に投げ出していた」
マリ「うるさいなあ」
ハザリア「頼むから俺を捨てないでくれっ!」
マリ「しがみつくなよ、暑苦しい」
ハザリア「俺は貴様がおらんとダメなのだぁ~っ!」
マリ「わかりきったこというなよ」
トウキ「なにをしてるんだよ」
マリ「わぁっ! 違うよ、これは違うよ!」
ラーナ「なにが違うんですか」
クリハ「ああ、エイプリルフールだから」
ラーナ「あ、なるほど」
マリ「だから、違うんだって!」
ゼラド「マリちゃんたちは、伝説の桜の下でお花見しないの?」
マリ「伝説? なんだそれ」
ゼラド「ほら、あそこに見える。
あの下でお花見すると、願いが叶うんだって」
マリ「あの木が? わたし、よくこの公園来るから知ってるけど、
あの木って1年くらい前に植え替えられたんだぞ」
ゼラド「え?」
マリ「なんかのコンクールで優勝した木を、町が買い取ってきたんだってさ。
だから、まわりの桜より立派だろ?」
ゼラド「じゃあ、伝説って」
ハザリア「むにゃ。桜の下にはぁ~、鬼がいる。
人恋しくて泣いているぅ~、悲しい悲しぃ~い、鬼がいりゅ」
咲美「なんでハザリアくんが伝説の一節を?」
マリ「なにいってるんだよ。これ、次の舞台のセリフだよ。
桜の木の下で泣き続けている鬼が、ひとりぼっちの女の子と交流するって」
クリハ「それ、まだ公演してないよね?」
ゼラド「なんでそれが伝説だなんていって広まってるの?」
マリ「わたし、よくここでホン読みしてるから、
塾帰りの小学生なんかが聞きつけたんじゃないのか?」
咲美「じゃあ、伝説の話は」
マリ「尾ひれだろうな」
クォヴレー「そうか、ルナは、まだ俺のことを・・・・・・。
無理もない。長い間ほったらかしにしてきたのは、この俺だ。
受けて当たり前の報いすら忘れていた、俺など」
ルナ「お父様!? 申し訳ありません!
まさかいらしたとは思わず!
違うのです! いまのは、エイプリルフールという地球の風習で!」
クォヴレー「いいんだ、ルナ。
エイプリルフールだからといって、ウソまでいって俺への憎しみを隠そうとする必要はない」
ルナ「お父様! わっ、わたしは! お父様にお会いできて嬉しくありません!
これからまた、ずぅっとお父様と一緒に暮らしません!
今日はエイプリルフールではありませぬから!」
ラーナ「なんですか、あれ」
トウキ「ウソ800だよ」
最終更新:2009年10月17日 12:35