タカヤ41・2Mそこのけ


24代目スレ 2008/07/08(火)

マーズ「う~んと、髪がちっと赤みがかってっから、こいつを染めて、と」
アクセル「肩幅はもう少しあるな」
マーズ「あいあい、んーと、じゃーこの、なぜかキツネさん専用だったATXジャケットにパット詰めて」
タカヤ「なぁ」
アクセル「それから、口調が違う。これがな。
 やつはもっとこう、単語がぶつ切りで、前後の意味が通っていなくて、
 スキあらば右腕を再生するような口ぶりで喋る」
マーズ「まだ失ってもいねー右腕再生させよーとすんだ。すげー、こえー」
アクセル「ああ、怖いぞ、壮絶にな」
タカヤ「だから」
アクセル「なんだ、巨大化か、巨大化するつもりか。
 全長41.2Mのソウルゲインを子供扱いするほどに膨らむつもりか。
 来るなら来いやってやる狭いところに追い込んでな41.2Mが楽々動けるくらいの狭い場所に追い込んだ上でな、これがなあれがなそれがな」
タカヤ「どれだけトラウマになってるんですかっ!?」

タカヤ「で、どうして俺が父さんのカッコさせられてるんだ?」
マーズ「えーとだね、おれがオシボリ納めてるカジノで」
タカヤ「君は、またそんなところに出入りして」
マーズ「べつに、違法なとこじゃねーよ。合法でもねーけどね。
 おれ、そーゆーグレイなもんに関しちゃー、オッケーってことにしてんの。
 そのうち法律が変わってオッケーになっちまうのがほとんどだかんね」
タカヤ「違法か合法かとかじゃなくて、子供がそういうとこ行くのは」
マーズ「賭場としちゃー、ちょぼいもんなんだよ。
 仕事帰りのリーマンが、タバコ銭やり取りしてるぐれーのレベルでさ。
 ところがぎっちょん、最近ちょいと雲行きが怪しくってね。
 そーゆーとこで、くーき読まずにバカ勝ちするヤツがいるんだってさ。
 いわゆる、賭場荒らしとゆーやつね」
タカヤ「それが、俺とどういう」
マーズ「オーナーさんに泣き付かれちゃってさ。
 賭場荒らしが何者かはわかんねーけど、どーせギャンブラーくずれだろ。
 そこで、賭博黙示録でゆーめーな孤狼さんに睨みを利かせてもらおーと」
タカヤ「そういうことだったら、なにも俺に変装なんかさせなくても。
 父さんを直接連れてくればいいじゃないか」
マーズ「ムチャいわねーでよ。
 そんな、明らかにせーぎょふのーな上に、会話がせーりつしねーよーな相手は、
 おっかなくて雇えねーよ」
アクセル「お前では、噛み砕かれるのがオチだ」
マーズ「こえー」
タカヤ「君は、わりとすぐにひとのいうことを信じるんだな」
マーズ「ね、いーじゃんいーじゃん、ギャランティは払うって」
タカヤ「でも、俺は分の悪い賭けなんて」
マーズ「べつに、賭け事そのものをする必要はねーんだよ。
 賭博黙示録のフリして、ムッツリ座ってりゃーいーんだから」
タカヤ「もしも勝負を吹っかけられたら、どうするんだ」
マーズ「そーゆーときはこの、ニュータイプくずれのおじさんの出番だよ」
アクセル「見るか、ニュータイプの修羅場を、これがな」
タカヤ「アクセルさんがニュータイプだったのって、相当昔のことじゃないですか」

 【カジノ】
 ワー キャー アッハッハッハッハ
タカヤ「ふわぁ~」
 グギャギャギャギャ
マーズ「タイクツそーだね」
タカヤ「君、DSでひぐらしやるのはいいけど、イヤホン付けてくれないか」
マーズ「たまに、思い出したよーにボイス出るのが逆にこえーよね」
タカヤ「それ、CERO Dじゃなかったかな」
マーズ「これと『無限のフロンティア』だと、
 僅差で『無限のフロンティア』のほーがきょーいくにわりーと思う」
タカヤ「やっぱ、ゲームに規制って必要なのかもしれない」
マーズ「タイクツなんだったら、なんかゲームでもしてたら?」
アクセル「ソウルゲインっ、俺を、俺を勝たせてくれ!」チーン
タカヤ「アクセルさん、なにスロットにはまってるんですか」
マーズ「そんなお願いされても、ソウルゲインは困ると思うよー?」
アクセル「よぅし、よくやったぞソウルゲイン。
 いまこの瞬間だけは、流れは俺たちにあった」
マーズ「ごーけー1000円も出し入れしてねーのに、なに大勝負したふーなくーき出してんのさ」
タカヤ「給料安いのかな、用務員て」

タカヤ「でも、ほんとにヌルい賭場なんだな。
 みんなビールなんか飲みながらテーブル囲んでるし。
 現金じゃなくて飴玉やり取りしてるとこまであるし」
マーズ「ものたりねーってツラしてんね」
タカヤ「そういうんじゃないけど」

 ざわ・・・・・・っ

タカヤ「なんだ? 空気が変わったっていうか」
マーズ「あっ、見てよ、あすこのテーブル!」

 ざっ
レタス「ベット、2枚」
ディーラー「ヒット OR ステイ?」
レタス「ヒット」
ディーラー「ヒット OR ステイ?」
レタス「ヒット」
ディーラー「7+6+10。バースト」
レタス「では、次は4枚をベットで」

 ざわ・・・・・・ ざわ・・・・・・ ざわ・・・・・・

タカヤ「レタスさん、なにやってるんだ」
マーズ「ブラックジャックみてーだね」
アクセル「まさか、賭場荒らしとは彼女か」
タカヤ「違うんじゃないでしょうか。
 見てると、負けたら賭け金を2倍にしてるみたいだし。
 あれなら、負け金を堅実に取り戻せるし」
マーズ「あいあい、ちょいとさんすーしてみよーか?
 ありゃーモンテカルロ法っつってね、まーギャンブルの必勝法みてーにいわれてっけど、
 たいりょーのタネ銭がねーと、まずドボンしちまうもんなんだよ。
 まー、たいてーはドボンすんだけどね」

タカヤ「まさか、レタスさんはそれを知らないで?」
マーズ「やー、あの顔見る限り、じゅっちゅーはっく、知ってんだろーね」
タカヤ「じゃ、なんのためにあんなことを」
マーズ「さー、こっちゃー大枚持ってんぞってアピールしてんじゃねーの。
 マンガとかであーゆーことしてっと、『お客さま、こちらへ』
 とかなんとかいって、ヒミツの裏カジノみてーなとこに通されるもんなんだけど」
アクセル「あるのか、裏カジノが」
マーズ「ねーよ、ンなもなぁー。
 ここんちの裏にあんなぁー、コインランドリーとカラオケボックスだけさ」
タカヤ「じゃ、レタスさんのやってることに、意味なんかないじゃないか」
マーズ「そーでもねーみてーだけど」

 ざわ・・・・・・ ざわ・・・・・・
レタス「10枚、ベット」
リーマン「じゃ、私は5枚で」
リーマン「こっちは8枚だ!」

マーズ「あのおねーさんに吊られて、まわりのリーマンまで賭け金上げ始めちまってるよ。
 あーあ、おうちのお土産持ってくカネとか残しとかねーでいーのかなー?」
レタス「あら、タカヤさんではありませんこと?」
タカヤ「なにやってるんだ、君は」
レタス「なにって、見ればわかるのはなくて? ギャンブルでしてよ」
タカヤ「この際、君がこんな時間にカジノに出入りしてることはどうでもいいよ」
レタス「それについては、同罪ですものね」
タカヤ「問題は賭け方だ。どうしてそんなムチャな賭け方を」
マーズ「そーだそーだー。ここはリーマンたちの憩いの場だぞー。
 そーゆーくーき読まねー賭け方は、ヨソでやってくんなぁー」
タカヤ「大きなギャンブルがしたいなら、もっと玄人向けのところに行けばいいじゃないか」
レタス「ウフフ、滑稽でしてよ、タカヤさん。
 あなた、わたくしに説教するフリをして、その実ご自分の本音を漏らしているだけではなくて?
 そう、こんなヌルい場所はギャンブルにふさわしくない。
 ギャンブルとはもっと、熱くヒリつくものだと」
タカヤ「そんなこと考えてないし、俺はギャンブラーなんかじゃない!」
レタス「では、黙っておいでなさい。
 ギャンブラーでない者に、わたくしのやることはわからなくってよ」

アクセル「聞く耳持たずだ、あれはな」
マーズ「もー、めんどくせーから、オッパイ揉んでゆーこと聞かせちゃえばー?」
タカヤ「なんてこというんだ、君は」
アクセル「甘いぞ坊主、それはな。
 オッパイ揉んだくらいで女がいうこと聞くと思ったら大間違いだ。
 むしろ、いいオッパイとは揉んでも揉んでも言うこと聞かない奔放なものであって」
タカヤ「アクセルさん、口開くたびに残念な感じになってるから、黙っててくれませんか」

 ・・・・・・ざわっ!

レタス「ベット、20枚」
タカヤ「待ってくれ! なんのためかわからないけど、
 君がみすみすリーマンのお小遣いを削るのを見過ごすわけにはいかない!」
マーズ「ちょちょちょ、なにやる気出しちゃってんのさ。
 実際のギャンブルやんのぁー、ケーヤク外だよ。
 じゃねーと、ニュータイプくずれのおじさん連れてきたイミがねーよ」
アクセル「先にいっておくことがある。おれはすでにニュータイプではない」
マーズ「いまさらなにいってんのさ。
 じゃーなに、耳から血ぃでも出んの?」
アクセル「出ない。ただ、油断すると脇腹から触手的なものが出る、これがな」ニョロ
マーズ「キモッ!? それ、明らかにニュータイプとは別のモンだよ!
 なんでそーゆー経歴詐称すんのさ!?
 なんのためにラーメン5杯も平らげたのさ!?」
アクセル「ラーメンが、あまりにも美味過ぎて」
タカヤ「えっ、アクセルさんラーメン5杯で雇われてたんですか?
 やっぱり給料安いんですか?」

レタス「まわりくどいお方。はっきりといえばよろしいのに。
 熱いギャンブルに身を浸したいと」
タカヤ「いっておくけど、俺は分の悪い賭けなんかに興味はない」
レタス「では、なんですの? やはり、わたくしのオッパイに未練があるので?」
タカヤ「君のオッパイなんか、もっと興味がない!」
レタス「なんかって」
マーズ「あー、ひっでー、ひっでー」
アクセル「読みが甘い、それはな。
 このチビウルフ、こう見えてもオッパイのこととなると、
 全長41.2Mそこのけに巨大化するポテンシャルを秘めている。朝方にな」
レタス「ま」
タカヤ「勝手なこといわないでください!」

タカヤ「種目はブラックジャックか」
レタス「いいえ。あなたのカード勝負も、もう飽きが来ていましてよ。
 ここは、歴史あるカジノゲームに移行しませんこと?」
タカヤ「ルーレットか」
レタス「もちろん、わたくしはテーブルにチップを置くだけ。
 ホイールにもボールにも、指一本ふれませんことよ」
マーズ「ちょいちょい、おれのシノギだからおれがタネ銭出すけどさ、
 おれぁ、分の悪い賭けなんざぁどっちでもいータチだかんね。
 どっちでもいーレベルのカネしか出さねーよ」
タカヤ「構わないさ。べつに大勝負しようっていうんじゃない」
レタス「いつまでブラフを続けていられるか、興味深いこと」
タカヤ「ブラフなんかじゃ」

マーズ「ヘイヘイヘイ、ディーラー、ホイールをチェックさせてもらうよ」
ディーラー「どうぞ」
マーズ「んー。ボールはアルミ製。こんなら、ゴトはムリかな。
 プラスチックとかじゃねーのが、ちっと気になるけど」
アクセル「すると、俺が一生懸命作ってきた磁ビールは役に立たないのか、これがな」
マーズ「なにをそーてーして、そんなもん作ってきたの。しかもイッショーケンメーに」
アクセル「寂しかったんだ、あの夜」
マーズ「もっとゆーいぎなことしよーよ、おじさん」

 ざわ・・・・・・    ざわ・・・・・・
     ざわ・・・・・・

タカヤ「ノワール、50枚ベット」
レタス「ロウ、1、2、3。100枚ベット」
ディーラー「ノワール、15」
 チャリン
レタス「ずいぶんツイていますのね」
タカヤ「わかっているのか。君、メチャクチャな賭け方をしているぞ」
レタス「ベット、200枚」
タカヤ「いい加減にするんだ! いったい、いくらタネ銭を持ってるのかしらないけど!」
レタス「ウフフ、タカヤさん、あなた大切なことを忘れてましてよ」
タカヤ「え?」

 ・・・・・・ざわ
レタス「念動力者なんですの・・・・・・、わたくしの両親、ふたりとも・・・・・・!」
タカヤ「・・・・・・あっ」
レタス「念動力が高めるんですのよ・・・・・・!
 起死回生の可能性を・・・・・・っ!」
マーズ「呑まれてんじゃねーよ、おにーさん!
 そんなのぁー三味線に決まってらぁー!
 念動力って、あれでしょー? T-Linkとかなかったら、
 せーぜー敵増援の直前に『あぅっ』とかゆーくれーしか能のねーれんちゅーのことでしょー?
 ボール動かすなんてゆー芸当、できるわけねーや!」
アクセル「たまたまT-Linkなどに適合するものを便宜上念動力者と呼んでいるだけで、
 本来は誰にでもある能力だといっていたな、あのとき」
マーズ「リュウセイさんとかブリットさんレベルでも、日常生活で念動力使うよーなこたぁーなかったじゃねーの!
 まして、クンレン受けたわけでもねーおねーさんがさ!」
レタス「なら、念動力とはべつの力なのかもしれなくてね。
 わたくしにはね、見えるんですの。ボールがポケットに収まる場所が」
タカヤ「バカげているよ、そんなことが都合よく!」
レタス「では、ご覧あそばせ?
 ストレートベット、ルージュの7番。200枚」

 カラララララララ・・・・・・・・・

  ざわ・・・     ざわ・・・    ざわ・・・

    カラララララララ・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ざわ・・・                ざわ・・・・・・

 カラン

レタス「ウフッ、ウフフッ、恐ろしいこと。ねえ、タカヤさん」
タカヤ「バカな」
レタス「本当に、博奕は恐ろしい・・・・・・っ!」
ディーラー「ルージュ、7番」

 ざわっ!

アクセル「ストレートベットの一点賭け。オッズは35倍。
 一気に負け分を取り戻したな、あの子は」
レタス「では続けて、ノワール15番。400枚」
タカヤ「俺はっ・・・・・・!」
マーズ「ちょいちょい、待とーよおにーさん。
 そろそろこっちのタネ銭が尽きるよ。
 これ以上は、どっちでもいーとかいってらんねーエリアじゃねーの。
 どーしてもやるってーなら、利息が発生しちまうよ!」
タカヤ「構わない」
マーズ「構わないとかゆっちゃダメだよ!
 ねーねー、冷静に考えよーよ。
 そこのおねーさんにギャンブルで勝つヒツヨーなんざぁ1個もねーじゃねーの!
 こっちとしちゃーさ、いくらか包んで、別のトコに河岸替えてくれりゃーオッケーなの!」
タカヤ「それじゃ、なにも解決しない」
マーズ「や、おれの依頼は完結すんだけど」
タカヤ「ここで止めさせなかったら、彼女はギャンブルから抜けられなくなるじゃないか。
 そんなの、放っておけないよ!」
レタス「ウフ、お優しいのね、タカヤさん。
 でもね、その優しさ、鬱陶しくってよ」

 チャリンッ

タカヤ「え?」
アクセル「使え、そのチップをな」
タカヤ「アクセルさん、どうして」
アクセル「見てみたいのさ。チビウルフが巨大化する、その様をな」
マーズ「おじさーん、それ、シンセツなフリして毒の一手だかんねー」
アクセル「まぁ見ろ、坊主、あの背中をな。
 あのチビウルフが、全長100Mくらいに見えないか、あれがな」
マーズ「そりゃー、いくらなんでもおっきく見えすぎだと思うけどー」

タカヤ「こっちは、これで最後だ」
レタス「よろしくてよ。万一あなたが勝てたら、
 わたくしの靴を舐めさせてあげても」
タカヤ「君は、俺がそれで喜ぶとでも思っているのか?」
マーズ「え?」
アクセル「喜ぶだろう、お前はな」
レタス「だってあなたは、いつも」
タカヤ「俺がどう思われてたのかは、よくわかった」
レタス「では、わたくしが勝ったら、そうでしてね」
タカヤ「悪いけど、君は勝てないと思う。
 ついさっき、なにかが見えそうだったんだ。次は見逃さない」
レタス「まぁ、それはいったい」
アクセル「落ち着けチビウルフ、その頭をな。
 白いシャツにイエローのブラだ。冷静でさえいれば、透けて見える。あれはな」
レタス「ま」

タカヤ「だから! おれはレタスさんの胸なんか、心底どうでもいいんです!」
レタス「ひと晩のうちに二度も胸を全否定とは、女として地味にヘコむんですけれど。
 決めましてよ。わたくしが勝ったら、100の言葉でわたくしの胸を褒め称えなさい!」
マーズ「わー、地味に難しーヨーキュー来ちゃった」
タカヤ「いいだろう。じゃ、ルージュの19番、400枚!」
ディーラー「では」

 カラララララララ・・・・・・・・・

レタス「ウフ」
タカヤ「えっ?」

 ラララララララ・・・・・・・・・・・・

  ざわっ ざわ・・・・・・ざわっ! ざわっ・・・・・・!!

 カラン
ディーラー「ノワール33番」

アクセル「両者はずれか、あれはな」
マーズ「ほらごらん、ほらごらん!
 だからギャンブルなんてなぁー、どっちでもいーと思えるぐれーのレベルにとどめとくべきなんだよ!」

タカヤ「そうか、そういうことだったんだな」
レタス「お礼をいいましてよ、タカヤさん」
タカヤ「こういうことか!」
 バタンッ

 シャララララララ・・・・・・
マーズ「テーブルの下に、回転する電磁石?
 そーか、そーゆーことか! 電磁誘導現象をりよーしたな!?
 磁界の中にアルミなんかの良導電体をとーすと、
 渦電力がはっせーして勢いよく弾け飛ぶ! ゴミの中からアルミ缶を選別すんのとおんなし理屈だ。
 あれ? でも、なんで? これじゃー、アルミ製のボールを引き寄せることはできねー」
タカヤ「つまり、イカサマをしていたのは彼女じゃない。店側だ!」
レタス「どうやら、ひとりまでは目こぼしするシステムだったようですのね。
 ふたり同時の大賭けをしてくださったから、暴き出すことができました。
 マニュアル通りに動く人間とは、御しやすいこと」

 ざわ・・・・・・っ

ディーラー「お客さま、なにを」
マーズ「でも、なんでさ。
 でっけー賭場ならともかく、なんでこんなショボいカジノでセコいサマするひつよーなんか」
レタス「大勝ちをする人間がいたら、困る事情があるのではなくて? この店には」
ディーラー「チッ!」カチャ
アクセル「でぃぃぃぃぃぃぃっや!」

 ばたーんっ!

ディーラー「ぐっ・・・・・・!」
マーズ「あっ、こんにゃろー、ナイフなんか持ってやがった!」
タカヤ「アクセルさん!」
アクセル「ラーメン3杯分は働くさ、これがな」
マーズ「5杯分働くつもりはなかったのぉーっ!?」
アクセル「ない。毛頭もな」
マーズ「あーん! ひでーよひでーよ!」
タカヤ「そもそもラーメン5杯で雇うっていうところが、君は」

 【夜道】
マーズ「つまりあの店はブラック業界ご用達のマネーロンダリング施設だったわけだ。
 現金をちびっとずつすり替えてーから、あんま大枚張られっと不都合だったとゆーことね。
 ちぇっ、よりにもよって、おれに犯罪のカタボーかつがせるよーなマネしやがって。
 オトシマエはきっちり付けるよ。
 れんちゅー、もーこのカイワイじゃーショウバイできねーよーにしてやんよ」
タカヤ「店の不正を暴き出そうとするのはわかるけど、なんでひとりであんなムチャなことを」
レタス「ギャンブルは闇、マジックもまた闇。
 ともに卑しいもの。でも、そんな中でも誇りは存在しますの。
 だから、わたくしはヌルいやり口で不正を働くあの店が許せなかった。
 わたくしは、誇り高き賎民でありたいんですの」
タカヤ「君のいうことは難しいけど、なんとなくは、わかるよ。
 その、うちの父さんも、べつに立派じゃないけど、自分なりの美学みたいなの、持ってるひとだから」
レタス「結局、勝負は引き分けに終わってしまいましたのね」
タカヤ「そうだね」
レタス「どうします。わたくしのつま先だけでも舐めていきますか」
タカヤ「舐めないよ!」
マーズ「じゃー、これで解散ってことで。あーあ、どーもおれにゃーウマミのねーひと晩だったな」
タカヤ「いや、その前に、そうだな、歌でも聴かせてもらおうかな」
レタス「は・・・・・・?」

 【カラオケボックス】
レタス「♪わっげもぅ~わぁがらずにぇ~らんまらんまで陽が暮れりゃぅ~」

 ざわ・・・・・・ ざわっざわ・・・・・・っ
マーズ「えーっと、おれ、歌の上手いヘタってよくわかんねーんだけど、これ、どーなの」
タカヤ「どうなのっていわれても」
アクセル「まぁ上手くはない、これはな」
タカヤ「じゃあもの凄くヘタかっていうと、そうでもないし」
マーズ「取りづれー、リアクション取りづれー。
 どーすんのよ、このくーき」
アクセル「世の中には、面白い音痴と面白くない音痴がいる。あれは」
レタス「せめて笑ってくださいましっ!」
タカヤ「あ、いや、上手いよ」
レタス「鬱陶しくてよ! その作り笑い!」
アクセル「取りあえず、選曲のセンスはナシだと思う。それはな」
レタス「タカヤさん! 次はあなたでしてよ!
 50の言葉で、わたくしの胸を褒めなさい!」
タカヤ「えっと」

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最終更新:2009年10月17日 12:47
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