20代目スレ 2007/12/08(土)
今までこのスレでメインになったことの無さそうな、この人?を主役で長編投下っと。
私はとある機動兵器。数多世界を渡り、世界を乱す存在を消し去ってきた。
この身は異形なり、またその存在も邪悪に満ちる。故に我、漆黒の堕天使にして悪魔の王なり。
イングレッタ「退屈ね、この世界は」
アストラ「まあ、あまり発展した世界とは言いがたいが、18世紀中ごろ程度の文明はあるようだが?」
イングレッタ「それで、夜の0時に何か面白いものでも見られるのかしら?」
アストラ「まあ、それはそう……というかお嬢、寝ていればいいのでは。見張りなら私が」
イングレッタ「いいわ。野宿する趣味は無いしかといってコクピットに入ろうにもこの世界じゃ……」
アストラ「機動兵器状態の私は目立ちすぎる」
イングレッタ「分ってるなら言わないで。別に2、3日の徹夜くらいどうって事無いわ」
実際、お嬢にとって体力的にはこの程度のことはどうという事は無いだろう。だが、精神の疲労は果たして
どれほどのものだろうか。心の安息も無く戦い続けることの危険性は元のあるじも懸念していた。
最近妙に機動兵器である私への口数が増えたことや、まるで人恋しいような態度を取るのもそのせいだろう。
私がこの世界にあわせてテンガロンハットに黒いタキシードという格好をしてると、いきなり
「ねえ、『俺は童貞だ』って言ってみて」などと言い出したときは、さすがにどうしたものかと頭を悩ませた。
イングレッタ「ねえ、何か面白い話はないかしら」
アストラ「話……というと?」
イングレッタ「私は生まれたときから使命を持って貴方と行動を共にしているわ。でもそれ以前の事は知らない」
アストラ「とはいえ、ほとんどの話は元あるじから聞いているはずだが」
イングレッタ「真面目な話や戦闘の記録なんて今は聞きたくないの……何かどうでもいい話は無いかしら?」
アストラ「では、こんな話は……」
お嬢は、生まれたときからタイムダイバーとして完成していた。だから、今までずっと孤独に戦い続けてきた。
だが、人としては?その心は純粋だがそれは人と言うにはあまりに未成熟だ。精神は強くとも心には弱さがある。
元あるじや妹の主人は、数多戦いの中で人と人とのつながりや心の強さを身に着けてきた。
だが……我が主は……
イングレッタ「……スゥ……」
アストラ「お嬢……寝てしまったか……。しかし、私の話はそこまで退屈だったか?」
翌朝
イングレッタ「何時の間に寝てしまっていたんだけど、次元震が強くなってきたわね。私でも感じられるわ」
アストラ「おおよその座標はつかめた。ここから3キロ。近いな」
イングレッタ「で、敵は何かしら」
アストラ「このパターン。おそらくエクサランスだろう」
イングレッタ「そう。それじゃあ移動しましょう」
アストラ「今回は生身で……か?」
イングレッタ「そうね、この反応の大きさなら恐らく相手は機動兵器形態ではないでしょう」
アストラ「だが、それなら尚のこと注意せねば。そういう時の奴は恐ろしく狡猾だ」
イングレッタ「ええ、わかってるわ。さあ、行きましょう」
アストラ「あれか」
???「おや、どなたですか?」
イングレッタ「私たちの事を知らない……どういうこと。エクサランスじゃないの?」
エクサランス「いえ、エクサランスですよ。もっとも、世界をどうこうするほどの力も無いのでいつも隠れて行動してきた
非力な個体ですがね」
イングレッタ「それで?その『よく言ったマイ同士よ!』とか同人誌即売会で言ったら似合いそうな姿は何?」
エクサランス「これは、エクサランスにたまたま乗っていた人物の姿ですよ。乗っているなかでは一番知的そうだったので、この姿をしています」
イングレッタ「そう。でも貴方の姿形がどうであろうと、私のやる事は一つよ。その存在そのものが世界を乱す以上」
エクサランス「私を破壊するんですか?」
イングレッタ「良く分ってるじゃない。じゃあ、さようなら」
お嬢が銃を構える姿には、ためらいが無い。相手が人間の姿だというのに。
だが、それは相手を人間として意識していないからだ。もっとも相手が知人でもお嬢が容赦するとは思えない。
しかし、あのエクサランスの余裕は何だ?自分の存在の消滅を恐れていないようでもないが。それにしても……
エクサランス「所で、私は世界をどうこうする力は無いといいましたが、代わりにこんな事が出来るのですよ(パチンッ)」
イングラム「イングレッタ……ひさしぶりだな」
イングレッタ「!……くっ、ハッタリね。イングラムは私をイングレッタとは呼ばないわ。第一、イングラムは霊体よ。でもそいつは生身じゃない」
エクサランス「ふふ、でも最初から霊体ではないんでしょう。私は貴方が一番大切に思っている存在を抽出し、時間軸の中から1フレームほど抜き出して
ここに持ってきたんですよ。ついでに記憶のほうも別の時間から1フレームほどとってきて、くっつけて、後は軽く洗脳する。
まあ、私なら1秒かからずできますね。問題があるとすれば人間くらいの質量までしか取ってこれないことですが……」
イングレッタ「くっ……、ハァァァッ!」バン!
イングラム「ぐぉ……」
エクサランス「撃ちましたか。案外容赦ないんですね。でも、これだとどうでしょうか?(パチンッ×4)」
イングラムb「ククククッ」
イングラムc「ククククッ」
イングラムd「ククククッ」
イングラムe「ククククッ」
イングレッタ「ヒッ……!」
エクサランス「おや、随分と可愛らしい悲鳴がしましたね。まあ普通ならこの時点で発狂して喚き声を上げているところですが。で、これらも全て殺せますか?」
イングレッタ「ア……アアア……」
エクサランス「では、存分に苦しんでください。私はここで見ていますから。フフフ、ハハハハハハハハハハハッ!」
アストラ「お嬢。下がっていろ」
イングレッタ「え……」
アストラ「ZOソード。ハッ!」
イングラムb&c「ゴアアアアアッ!」
イングレッタ「
アストラナガン……」
アストラ「お嬢、私は常にお嬢の剣として存在する!」
イングラムd「グアッ!」
アストラ「お嬢が倒れるそうになったら、私はその身でお嬢を支えよう!」
イングラムe「ヌアアアアッ!」
アストラ「私は!今はただそのためだけにここに在る!お嬢に代わりこの手を血に染めようとも、私はそれをためらわない!」
私は、妹にその存在をゆだねた時に消えるはずだった。こうして元あるじから許しを得て、存在していられるのは
お嬢が居るから。ならば、この身もこの魂も全てお嬢の物。醜き漆黒の堕天使の本性と、悪魔の王の名は全てお嬢の力。
この身朽ち果て、永劫の時の中に消え去ろうとも、その時まで私はお譲と共にある。
イングレッタ「アストラナガン……そう、そうだったわね。貴方はいつも……そばで」
エクサランス「くっ!なら貴方の一番大切なものを……な、バカな!」
アストラ「私が最も愛するのは元あるじと共に守ると誓ったあの青い星!貴様ごときにどうこうできると思うな!」
エクサランス「この私が、バカな負けるだと!こ……このクソがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!(パチンッ)」
イングレッタ「エクサランス・ライトニング!機動兵器は呼べないというのはハッタリ?!」
エクサランス「自分自身なら幾らでも作り出せる!さあ見せてやる!私の力を。リアクター・スマッシャー!」
アストラ「グッ、オオオオオオオオオオオオッ!」
エクサランス「ははははははは。消えたか!後はお前も消滅させれば」
イングレッタ「あら、私だけでいいのかしら?」
エクサランス「何……、む!」
アストラナガン「オオオオオオオオオオオオッ!」
エクサランス「な!何だ貴様!機動兵器なのか!」
イングレッタ「こそこそと隠れて、他のエクサランスとの交流を絶ったのが不味かったわね。私たちの事を知らなかったんだから。
貴方程度のエクサランスなら、普通は私達と出会えばすぐ逃げ出すのに」
エクサランス「な、なんなんだ貴様達は!」
イングレッタ「私は次元の番人、イングレッタ」
アストラナガン「ワレは悪魔の王、アストラナガン。さあ小さきエクサランスよ、貴様が誰にたて突いたか思い知らせたやろう。お嬢!」
イングレッタ「分ってるわ。コクピットを開きなさい!」
エクサランス「させるか……グアアアアアアッ、なんだこいつら」
イングレッタ「ガン・ファミリアも抜けられない程度で、私達に挑まないことね。さあ破壊してあげるわ」
エクサランス「無駄だ!何度破壊されても時間を複写すれば、この身も何度でも蘇る!」
イングレッタ「あら……じゃああらゆる時の中から、その存在を抹消するわ。インフィニティーシリンダー」
アストラナガン「デットエンドシュート!」
エクサランス「アアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
イングレッタ「アストラナガン……今回は助かったわ」
アストラ「気にするな。私はお嬢の剣。常にお嬢と共にある。まあ、今回はすこし出過ぎたが」
イングレッタ「あら、自己主張が強い人は嫌いじゃないけど?」
アストラ「それはからかいやすいからだろう。それとお嬢、そろそろ休暇をとった方がいいと思うのだが」
イングレッタ「別に疲れてないけど」
アストラ「精神面の話だ。今回のことも、もう少し心に余裕があればあそこまで追い詰められはしなかっただろう」
イングレッタ「そう……なら休むわ。で、あなたも付き合ってくれるかしら?」
アストラ「言われるまでもない。お嬢が何処かに行くというのなら、私も常にそばに居る」
イングレッタ「どうでもいいけど、常に共にとか人前であまり言うものじゃないわよ。変に勘ぐる人もいるだろうし」
アストラ「?……いまいち意味が分らないのだが」
イングレッタ「やっぱり……貴方は機動兵器なのよね」
アストラ「そうでなければ、お嬢のそばにいる意味すらないだろう」
イングレッタ「なら機動兵器として、いつまでも私のそばに居なさい」
アストラ「お嬢がそれを望むなら」
私はとある機動兵器。数多世界を渡り、世界を乱す存在を消し去ってきた。
この身は異形なり、またその存在も邪悪に満ちる。故に我、漆黒の堕天使にして悪魔の王なり。
されど、私を必要とする人が居る。だから私は彼女と共にある。
おまけ
イングラム「さっきから何故か嫌な気配がする」
クォヴレー「何だ?」
イングラム「まるで俺が何度も死んだり、グレちゃんに男が近づいているような、そんな気配が」
クォヴレー「お前はもう何度も死んでるから、今更1度や2度くらい関係ないだろ」
ディストラ「それにイングレッタさんには兄さんがついてますから、男なんて近寄れませんよ」
イングラム「まあ、それもそうか」
イングレッタ「ねえアストラナガン、また話を聞かせてもらえないかしら。貴方の話を聞くと不思議と良く眠れるの」
アストラ「ああ、そういう事か。ならこんな話を……」
最終更新:2009年10月17日 12:52