AM11:40
タカヤ「ハァ……ハァ……」
イルス「さすがに、これだけやって破れないとちょっと……きっついかなぁ」
アーク「つっても、あんた等二人じゃないとこのバリアを破るなんて無理だろ」
トウキ「俺達が肉弾戦をしかけてどうこうなるものでもないし」
レラ「私……ビット……もダメ……」
ハザリア『おい、お前達聞こえるか』
アイミ「何?」
ハザリア『今その面倒なバリアを突破するための物をそっちに送った。後30秒ほどで上から到着するから、ガンエデンで受け止めろ」
ミィ「上……ですの?」
ミナト「おい!何か来てるぞ!光る何かが落ちてきてる」
イルス「しょうがないなぁ……いっくよぉ!」
ガシッ!
真龍「受け止めた!」
イルス「フゥ……ちょっときつかったー。で、これどうするのかな?カプセルっぽいけど」
シュウヤ「宇宙軍が使う投下ポットですか。しかし、市街地に落とすものではありませんよ」
レモン『しょうがないでしょ、さっさと届けないといけないし』
ゼフィア『イルスがいたからな。それに無事受け止められただろう』
イルス「せめて事前に言って欲しいよ。痛かったし」
ハザリア『そいつを開いてみろ。中にいいものが入っている』
タカヤ「これはアルトアイゼン・ナハト」
ハザリア『レプリカだが総合性能は本家リーゼと同等だ。ではこれから言うようにしろ。まずそれにタカヤが乗れ』
タカヤ「それは構わないけど、アルトの火力じゃどうやってもこのバリアは」
ハザリア『それを説明するといっている。少し静かに聴け』
ラン「坊!あんまりふんぞり返って威張っていると、後で道場でお説教よ」
ハザリア『ぐっ!分った分った。後の解説は頼むぞ』
ゼフィア『ああ。どうやらそのバリアは攻撃を受けると、そのエネルギーを受け流すためにバリアの表面を蒸発させて、そのエネルギーで逸らして
いるらしい。もちろん、バリアのエネルギー補填が早いから幾ら打ち続けてもバリアが完全に蒸発することは無いが。だが、蒸発中のバリア
にさらに別のエネルギーを一転集中で打ち込めばバリアは決壊するのが分った。どうやら破れれば再度展開するのが困難なバリアのようなので
一度破ってしまえば再度形成されることはないらしい』
レモン『だけど、ちょっと問題があってね。バリアの蒸発でバリアの密度が下がっている中に一転集中の攻撃するっていうのが、まあ今のところ最良
の手段のようなんだけど、バリアの密度が下がるほどの攻撃の中には別の攻撃を打っても弱ければかき消されるし、強ければバリアの密度を
下げる攻撃を相殺してしまうのよ』
キャクトラ「では、絶妙のバランスに出力を絞って攻撃をするのですか?」
ゼフィア『いや、そんな調整をしている時間はない』
レモン『そもそもそこまでいくと、ここで一番機械系に詳しいルナでもどうにもならないし。で、結局話し合った結果、どうにかなりそうなのは
バリアを装備せず、装甲の頑強で、かつ一点集中攻撃が可能な機体がバリアが弱まるほどの攻撃の中に突っ込んでいって、強引にバリアを
ぶち破るって方法だったわけ』
タカヤ「つまり、俺がアルトアイゼン・ナハトでそれをすればいいんですね」
トウキ「大胆な作戦だな」
ゼフィア『そして極めて危険な作戦でもある。高密度エネルギーに突っ込むわけだが、エネルギーを出来る限り減少させないためにバリアは無し
でそれに飛び込む事になる。そんな状況だから脱出装置も意味を成さん』
ゼフィア『失敗すれば蒸発するだろうな』
ミィ「そんな……タカヤにそんな危ないこと……させませんの」
ハザリア『だがそれならそこで手詰まりだ。後はただ、座して世界が滅ぶのを待つだけとなる。それだけはあってはならん。俺の輝かしい未来のためにも
な。それに貴様の姉も了承しているぞ』
レモン『了承は……ね。そりゃ姉としては、弟にそんな危険なことして欲しくないけど、そうもいかないし。無事にクリスマスイヴを迎えたかったら
タカヤに頑張ってもらうしかないのよ』
タカヤ「やりますよ。世界が危ないんだ。俺だって体を張って見せます」
イルス「でもダーリンを撃つのって私なんだよね。なんか嫌なんだけど」
ハザリア『グダグダ言うな。それに男の覚悟に水を刺すものじゃないだろう!行くといっている奴は行かせてやるべきだ。そして、この俺様の魂だ
とかいって突っ込むのもやむなグフォォ!』
ユウカ『ちょっと熱くなりすぎ、クールな冷えた頭で語るべきだね』
リトゥ『ハザリア君が脳震盪起こしてるからかわりに私がちょっと指示を出すね。とりあえずそれでバリアを破れたら全員で建物内に突入して。
ただ、タカヤくんとイルス先輩が疲れてるようだったら二人は後から追いかけてくれればいいって。二人ならすぐ追いつけるだろうからって
ハザリア君が言ってたよ』
咲美「じゃあ私達はすぐに突撃できるようにしておくわよ」
タカヤ「じゃあ、すぐにアルトをセットアップします。先輩も力を蓄えて置いてください」
イルス「おっけー!」
タカヤ「アルトアイゼン・ナハト。全ステータス正常。BMセレクターのインターフェース面を全てリボルビングステークの制御に集中。
姿勢制御はフルオート。ダメージコントロール背面及び腕部に集中。セットアップ完了。いけますよ」
イルス「こっちも大丈夫」
トウキ「頼んだぞ!」
ミナト「一発ぶちかませ!」
アーク「分の悪い賭けってのを見せてくれよ!」
リトゥ『開始してください』
イルス「あんまり得意じゃないんだけど、出力を絞って……キャッチ・ザ・サン!」
タカヤ「踏み込みの速度なら父さん譲り!ただ一点を撃ち貫くのみ!」
ラン「キャッチ・ザ・サンの中にアルトが入った!」
レラ「目……チカチカ……」
タカヤ「全弾持って行けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
ゼフィア『バリアに亀裂を確認!このままなら行けるぞ!』
ルル『まずいですわ!アルトアイゼン・ナハトの負荷が大きすぎます!機体ダメージ70%を突破!』
タカヤ「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
ルナ『強度計算のミスだ!ナハトでは突破まで機体が持たん!』
ルル『ダメージ90%を突破!』
タカヤ「くっ!アアアアアアアアッ!」
レモン『タカヤ!』
ミィ「…………!」
真龍「そんな」
アイミ「これじゃあ……」
ゼフィア『ちょっと待て!エネルギー反応増大!このパターンは!』
タカヤ「まだだ!まだ俺はいけるぞ!」
ルル『タカヤさんはテックセットして顕在!エネルギーなお増大中!』
イルス「ダーリン!」
タカヤ「俺の持てる力の全て!一つに束ねて撃ち貫く!」
レモン『このエネルギーなら……行けるわ!』
タカヤ「キャッチ・ザ・サン・クラッシュイントルード!」
ルル『バリア消滅!』
マリ『タカヤの安否は!』
タカヤ「……ハァ……無事だ……でも、ちょっと休ませて……」ドタッ
イルス「ダーリン!」
ミナト「ちょ、先輩は何かの時のためにガンエデンでいないと」
トウキ「いや、今はいいだろう。それとアルフィミィ先輩もそんな怖い顔しないで下さいよ」
ミィ「タカヤの介抱は私がしますの」
ハザリア『……ぐっ、とりあえず二人とも休ませてやれ。後でまた働いてもらうかもしれんからな。他のはトラップの類に警戒しながら
中に突入しろ……、しかしまだ頭がぐらぐらするぞ。貴様はもう少し加減をしろ』
マリ『いや、それでいい。こいつは少し静かにするべきなんだ』
トウキ「とにかく行くぞ。先頭は俺とミナトで行く」
ミナト「後ろ遅れんなよ。特にアークとレラ」
アーク「へいへい、どうせ俺はお荷物だよ。レラはまだビットがあるけど、俺は役立たずだしな」
シュウヤ「ぼやくものではありませんよ。それに、案外役に立つ場面があるかもしれませんし」
ラン「とにかく、せっかく二人が頑張って開いてくれた道なんだから、みんな早くかな」
真龍「じゃあアオラさん、ルルさん、ラッシュさん、行って来ますね」
PM00:10
咲美「外から見たらだいぶ小さい建物かと思ったけど、なんか中は異様に広くない?」
ハザリア『恐らく時空を歪ませてそういうつくりにしているのだろう。まあせいぜいスペースの拡張が限度だろう』
???「ふふふ、また随分と大勢で来て下さいましたね」
トウキ「誰だ!」
???「あなた方が探しているであろう人物……と言えばいいですか?今回の事で脳みその役目を負っています」
シュウヤ「あなたはなんでこんな所に……どうして貴方がそんな所にいんるですか」
アーク「シュウヤ!?」
ラン「なあ、今の声ってシュウヤちゃんと似てない?」
アイミ「それってまさか!」
リトゥ『ちょっと、勝手に通信に割り込まな……キャッ!」
クリス『お、お父さん!なんでお父さんがそこに!』
シュウ「ふふふ、という事は二人は私の血縁と言うことですか。10年以上会っていないから分りませんでしたよ」
シュウヤ「それ以前に、そんな濁った瞳では私達の事をまともに見ることなど出来ないでしょう。ヴォルクルスの洗脳に
かつて打ち勝った人がなんで今更」
シュウ「何故かと問われると、どうもその辺りの記憶は曖昧なので答えられませんが……まあそんな事はどうでもいいでしょう」
ハザリア『で、わざわざ首謀者がこちらに声をかけてくるのはどうしてだ。わざわざ俺達に取り合う必要などないだろう』
シュウ「貴方がこの作戦の指揮官ですか。そうですねえ、まあ暇つぶしですよ。あと1日で世界が私達の物になるんですし」
ハザリア『ほう、言ってくれるな。で、暇つぶしに次は何をするんだ』
シュウ「こちらを煽ってもそちらが得をするとは思えないんですが、まあそうですねえ。ではこの先の階段に仕掛けをしましょう。
6人ほど階段に足を踏み入れた時点で人の出入りを不可能にするバリアを展開すると言うのはどうでしょう。そして残った
人は彼らと戦ってもらいます」
ミーレス「…………」
ハザリア『なるほどな、こちらの戦力を分断しお互いがどうなっているか分らない状態にして、混乱を誘うと言うことか。しかも、
下に残ったほうは6人がどうにかするまでそいつらと戦い続けるという事になるわけだな』
シュウ「半分だけ正解です。別に分断することで混乱を誘うとかではなく、限られた人数で突破できるかと言う力試しのようなものですよ。
では今から攻撃を開始させていただきます。どうぞご自由に6人を選び階段に行かせて下さい。ただし、通信は繋がる
ようにしておくので、6人への指示はご自由に。もしもその6人が階段を上りきり、私のところにたどり着いたら、私を確保する
チャンスを差し上げますよ。」
ヴォルクルス「…………!!」
シュウ「分っていますよ。私は正常です。やるべき事はしますよ。これはほんの戯れですよ。ではミーレスの皆さんはかかってください」
トウキ「来たか、この!」
ミーレス「……グゴッ…!」
リトゥ『ハザリア君早く指示を!』
ハザリア『上にはミナト、アイミ、シュウヤ、アルフィミィ、レラ、咲美の6人が行け!最初の二人は白兵戦をし、レラとアルフィミィ
はそのバックアップ!そしてその二人をサポートするのに咲美、そして首謀者との交渉にシュウヤだ。残りの奴らはとにかく
外でだれている二人が起きるまでそこで何とか粘れ!」
ラン「最近は小さく収納して、必要なときに大きく出来る鉄球があるんよ!さあ、覚悟しい!」
ミーレス×5「ゴアアアアアアッ!?!?!?!?」
真龍「ラスタバンビーム!」
ミーレス「ギアッ!」
アーク「くそっ!俺がおとりになる、階段上る奴は行け!」
ミナト「うおおおおお!」
アイミ「ハッ!」
アルフィミィ「行きますの」
シュウヤ「父さん!何があったかは知りませんが、無理矢理にでも吐かせて、ヴォルクルスとの関係を断ち切って差し上げます!」
アーク「咲美!レラ!急げ!」
レラ「ひは…………かっ……ひ……」
咲美「レラ!頑張って!」
ミーレス「…………!」
咲美「くっ、兄さん!レラをお願い!ハアアアアッ!」
ミーレス「グオアッ!」
アーク「レラ!俺の手につかまれ!」
レラ「……は……ひ……」
ガシッ!
アーク「うおおおおおおおおおお!行くぞ!」
ミナト「ハア……ハア……無事かお前ら」
アイミ「一応」
シュウヤ「ええ」
アルフィミィ「なんとかですの」
アーク「てか勢いで俺がこっちに来ちまったんだけど。てかレラが真っ青でちょっとしばらく動けそうに無えぞ」
ハザリア『まったく、とんだ誤算だな。まあもともとそいつのニュータイプ能力に期待して階段組みに選んだだけで
護衛役のあの女は別に単なるサポートだから居なくてもいいんだがな』
アーク「じゃあ俺がかわりにレラの護衛をすりゃいいんだろ。体張れば1回くらいは盾になれるし」
レラ「アー……ク……死……よ……ヒゥッ……」
シュウヤ「息が整うまで喋らないほうがいいですよ。で下はどうなっていますか。階段に入った瞬間下の様子が見えなくなったんですが」
マリ『全員無事だ。そもそもそんな簡単にやられる奴らじゃないしな』
クリス『あの、兄さん』
シュウヤ「わかっていますよ。とにかく操られているらしい、うちの親を元に戻しますよ」
ハザリア『ところで、本当に操られているのか?かつてお前の父親はヴォルクルスの信奉者だったそうだが』
シュウヤ「あの頃も操られていたそうですよ。それに父がこの世で最も嫌ったのは自分を利用する存在と自分への邪魔でした』
ハザリア『つまり、以前自分を操っていたヴォルクルスに対して貴様の父親は強い恨みを持っている訳だな。なら確かに洗脳でもないとありえんか』
シュウヤ「それに、邪魔されるのが大嫌いな父が、わざわざ私達にチャンスをくれた。たぶん父の意思がどこかでまだヴォルクルスに抵抗している
証拠だと思います」
ハザリア『ならば、出来るな』
クリス『兄さん、おねがいです、父さんを救ってください』
シュウヤ「善処します」
ミナト「とりあえず、レラの呼吸が整ったら上に向かおうぜ」
アイミ「ところでさ……この階段変じゃない?」
ミィ「先が見えませんの。何処までも続いていますの」
PM01:00
クォヴレー「先行している3人に追いついたぞ」
ヴィレアム「父さん、母さん!」
ヴィレッタ「ヴィレアム……来たのね」
ギリアム「戦うなとは言わない、だが死ぬことだけは無いようにしろ」
ヴィレアム「分ってる」
イングラム「グレちゃんは……それにあの二人もそろそろつくころじゃないのか?」
イングレッタ「今ついたわ」
ラウル「なんだか知らないけど、世界の危機だって言うならエクサランスが関わってなくても協力する」
フィオナ「私達にはそのための力があるし、貴方達の機体より時空を越えることに関してはこっちの方が上よ」
イングラム「ああ、それを期待して呼んだんだからな。頼むぞ」
ラウル「ああ……リアクター・スマッシャー!」
フィオナ「ファイナルグランドクロス!」
ヴィレアム「すごい……」
クォヴレー「このペースなら行けるか」
イングレッタ「私達は温存しておくわ……頼んだわよ」
PM05:10
シュウヤ「参りましたね……幾ら登っても……階段が終わらないなんて」
ミナト「う、ああ……そうだな……」
アイミ「こうなると……ねえ……ちょっと休まない」
ミィ「疲れましたの……」
アーク「ぜひ……ぜひ……ぜひ……」
レラ「アーク……ゾナハ病……みた…な……呼吸……てる」
ミナト「そりゃ人一人背負ってここまで登って来たら鍛えてないアークじゃそうなるだろ」
アイミ「確かにレラの体力を考えたら、いざって時のために歩かせるべきじゃないけど……でも私達で交代で背負えばよかったんじゃないの?」
アーク「クッ……カハッ……んな事いってもよ……カッ……俺なんて……まさにお荷物なんだし……グフッ……これくらいしか」
シュウヤ「呼吸するたびに咳き込んでおいて、何をいいますか。少し休みましょう」
ミナト「ああ、このままじゃどうにもならねえしな」
PM05:25
ミナト「けど、マジでどうすんだよ、この階段」
シュウヤ「無限回廊とでも言うのでしょうか。まったく困った話ですよ」
アイミ「ねえ、誰か飲み物持ってない?のど渇いてしょうがないんだけど……」
ミナト「いちおあるぜ、栄養補給のためのだけど……ただ1本しかねえぜ」
ミィ「困りましたの……」
アーク「回し飲みでもするか?」
アイミ「え!ちょっそれは」
シュウヤ「いえ、ここはそうするべきですね。全員それなりに疲労はしていますから」
ミィ「仕方ありませんの」
アイミ「だったら、まず男達で回し飲みしなさい。それから私達が飲むから」
ミナト「なんでだよ。別にいいだろ順番なんて」
アイミ「まさか男の癖に女の子が唇つけたものにしゃぶりつこうって言うの?」
ミナト「いっ……分った分った。先に飲むって。まず一番疲れてるアーク、それからシュウヤ、んで俺だ」
アイミ「え……」
アイミ(つまりミナトが最後ってことで……ならこの3人の誰かが関節……)
ミナト「プハッ……俺達は飲み終わったけど、お前らはどうすんだ」
アイミ「じゃあ私が……(関節……関節……)」
シュウヤ「ちょっとお待ちを」
アイミ「何」
シュウヤ「飲み口はこのハンカチで拭ってください。一応男性と女性のことですし」
アイミ「あ、ありがと(余計な事を……)」
ミィ「次は私ですの」
レラ「じゃあ……最後……私……」
アイミ「ハァ……(まあ今は仕方ないか……)」
PM05:35
ハザリア『お前達、今のところどうなっている?』
シュウヤ「どうもこうも、一向にどこにもたどり着けそうにありませんよ」
ミナト「所で下はどうなってんだ?」
マリ『さっき
バルマーの増援が届いた。メギロートの小隊がミーレスを鎮圧したから下はもう問題ない』
アーク「咲美達は無事なのかよ」
クリハ『みんな無事よ』
ルサイケ『でも何人か怪我してる……』
アイミ「誰がどうなったの」
リトゥ『ランさんが鉄球の回しすぎで肩を外しました、それにレイナが鞭を強引に引っ張られて手首を捻った。あとキャクトラ君が
何回か皆の盾になって何箇所か打撲したみたい』
アイミ「レイナが……」
ミナト「兄貴は無事か」
マキネ『トウキはヒットアンドアウェイが得意だから』
ハザリア『貴様ら無駄話はいい加減にして真面目に働け。ていうかマイクの割り込みをかけるな。横で流しているジュデッカOOの11話目が
処理落ちして画像と音がずれる!』
マリ『お前が一番真面目に働け!というか言う事があるんだろうが!』
ハザリア『ちっ、さっきな貴様らが通ったと言うバリアについて調べてみたが、電波が通ってるから何か別のものも通せないかと試してみたら、
まさか言っていたとおり「人の出入りを不可能にするバリア」だったぞ。人間以外ならおおよそ何でも通すなんだこれは?と
いう珍妙な障壁だった。で、考えたんだがどうやら敵は人間の精神を操作しているようだ』
シュウヤ「精神操作……つまり人間は何らかの精神干渉でその先に踏み込めないという事ですね。そしてこの無限回廊も」
レモン『恐らくそういうことよ』
ミナト「そういう事ってどういう事だよ」
アイミ「体育会系にも分るように説明して欲しいんだけど」
アーク「体育会系じゃないけどわかりませーん」
ゼフィア『そういう自虐はいい。それにダグラスは将来パイロットを志望しているなら勉強もそこそこしておけ』
ミィ「体育会系に進みたくても妹に才能で負けて、その道を諦めた人はいう事が違いますの」
ゼフィア『グホッ!』
レモン『まあいいんじゃないの、頭は優秀だし、頭は』
ハザリア『ええい、黙れ!黙れよ!俺に話させろ、指揮官は俺だ!』
ラッシュ『それ以前に時間が後7時間ほどしかないんですけど』
ゼフィア『分っている。で、説明すると、相手は精神を操ることで建物を大きく見せ、さらに階段が終わらないと思い込ませているだけだ。
幻覚を見せられていると思えばいい』
アーク「一応なんとか理解できた」
レモン『貴方が理解できたなら問題ないわね。で、どうしようかって考えた結果、どうにか打開策は見つかったわ』
ミナト「その打開策ってのは?」
ハザリア『今、助っ人がそっちへ向かっている。そいつの到着をまず待て』
PM05:40
ラン「アイタタタタ……」
キャクトラ「鉄球を3時間以上も振り回し続ければそうもなりますよ。他の皆がインターバルをとっているのに無理を続けて」
ラン「そういうキャクトラちゃんも、何回か人の盾になって痛かったんと違うん?」
キャクトラ「いえ、私の場合痛みはコントロールできますから」
ルナ『キャクトラよ、あまり無茶をするでない。これが終わったらしっかりと静養するのだぞ』
キャクトラ「はっ!」
真龍「顔が妙にニヤケて、おまけにガッツポーズまでして……」
トウキ「あの一言で報われるから、従者が出来るんじゃないのか?」
ラッシュ『真龍は大丈夫か?怪我とかないか?』
クリハ『トウキ君もほんとに大丈夫よね……ちゃんと帰ってきてよ、私待ってるから』
真龍「はい!大丈夫です!」
トウキ「まかせとけ!必ず世界を救って帰ってきてやる!」
咲美「あんたらも言葉一つで有頂天じゃないの。はあ……」
レタス『とりあえず私なんかで悪いですけど、お疲れ様』
咲美「まあ、別に声をかけて欲しい相手もいないし……ね」
レタス『そうとは思えないのですけど。何でしたらアークたちへ回線を開いて差し上げましょうか?』
咲美「いいっていいって、迷惑だし!っていうか、なんで兄さんなのよ!」
レタス『あら?それが一番だと思いましたけど、まあそういう事なら別に構いませんわ。それとアークはちゃんとレラのサポートをしていますわ。
普段はいい加減な人ですけど、アレで真面目なところもあるようですし』
咲美「でも生粋の馬鹿で、どうしようもないスケベなのよね」
レタス『半分は父のせいなので、ちょっと耳が痛いですわね』
レイナ「あれ……新しいメギロートがはいってくるわよ」
キャクトラ「輸送用のメギロートですね。ですがあまり大きな物は入らないはずですが。あ、開くみたいですね」
プシュウ……
マーズ「いやホント勘弁して欲しいよ。いきなり梱包されてこんなん放り込まれるんだもん。俺そりゃロボだけどさあ一応センサイなパーツも
けっこー使われてるしさー、世界の危機なんて桶屋も儲からないよーなことに関わらせないで欲しいんだけど。あとこれ解いて」
咲美「はいはい。てか何で来たのよ」
マーズ「まあ一応人間の命令には服従だしね」
ハザリア『とか何とか言っているが、実際は報酬にセプタギン級用の高純度ズフィルードクリスタルをつけると言ったら、ホイホイ釣られただけだがな』
マーズ「だって一度手に入れたらマツタケみたいに、手入れしとけば毎年取れるって言うし、純度の低いクリスタルはメギロートにも入ってるけど
純度が高いのはボアザンとかゾヴォーグあたりに高く売れるって言うからさ。しかも貴族がわざわざ血判状つけて来たし、あんちゃん
リューガクセイだから万が一逃げても簡単に足がつくし、親は逃げ隠れできないところの人だからさあ」
ハザリア『別にズフィルードクリスタルごとき、バルマーでは山の幸みたいなものだ。いくらでも取れる』
マーズ「イナカモンのゴーマンだよそれ。地元の人がタダで食べてる山の幸でごーていが建つご時勢なんだよ。てか隕石で吹っ飛ぶ前のバルマーなんて
天辺の人がアホみたいに負債抱えて、首回んなくなったらセプタギンそこらじゅうにばら撒いて侵略して稼いでたよーなテロ支援国家だった
じゃん。いくら天辺の人が変わって、サイコーしてひょーばん良くなって最近はよその企業をガンガン誘致してバリバリ発展してる
新興工業経済地域になっても昔からの貴族ってのは、こんなゴロツキ一歩手前のぼっちゃんだもん。血判状にとりあえずサインしたらいきなり
縛られてメギロートがパックンしてくるしさー、あーもうやだやだ、二度とバルマーには関わらない」
レイナ「どうでもいいけど、その負債抱えて首回らなかったテロ国家の天辺の人ってのはあのエセ霊帝なわけよね、ハァ……」
ラン「ま……まあ、反省して今はちゃんと真面目に先生しとるし、許してあげてもええでしょ」
レイナ「真面目な顔で歴史の授業の最中に聖徳太子は実はジャージ姿で、隋の皇帝の煬帝の正体はタコタコ星人とか言い始めますけどね」
マーズ「で、俺が呼ばれたのってどーいうワケよ」
ハザリア『一つ聞きたいのだが、お前の目から見てこの空間はどう見える?』
マーズ「えーっと、そこらじゅうにゴミだの転がってるきったねー部屋だね。この建物もバブルのときに調子に乗って建ててみたけど、
立地から何から最悪で買い手がつかなかったって感じ?」
ハザリア『そうか。ちなみに俺達には柱も何も無いクソ広い空間しか見えん。それに計器もそう示している』
トウキ「どういうことだよ。マーズと俺達とで見え方が違うってのは」
ゼフィア『恐らくだが、この空間に関するあらゆる情報が人間に対してのみ歪められていると考えられる。視覚情報は当然だが、計器が導き出した数値
すらも改変されて俺達の目に届く』
レモン『でも機械は騙せないようね。メギロートが妙な動きをするからAIを調べてみたけど、どう考えても機動ステータスと内部の情報が違うのよ。
いくら、この空間の情報はごまかせても、メギロートの機動ステータスの方は誤魔化せないみたいね。で、その情報の食い違いから、人間で
なければこのバリアを越えていけると考えたのよ』
マーズ「そーいうことね。で、その先で俺はなにすんの?」
ハザリア『そっちの連中が立ち往生しているからな、ちょっと押すか引っ張るかしてやれ』
マーズ「いまいちわかんねーけど、へーへー人間様の命令だしハイハイ言っときますよー」
トウキ「気をつけろよー。んで帰って来いよ」
マーズ「ん、そりゃ当然そうするって。ダイジョーブダイジョーブ、金がかかったら俺強いから」
トウキ「そうじゃなくて、命令だ。こうすりゃとりあえず、お前は全力で帰ってくるんだろ」
マーズ「どっかのリアル邪気眼アニメの絶対遵守の力かよー、ま、いいけどね。んじゃ通るよ」
マーズ「さってと、何時間も前に入ったって言うから追いつくのはけっこうきついかも……」
ミナト「ウワッ!どっから湧きやがった!」
マーズ「ってアレー!?」
アーク「助っ人ってお前かよ」
アイミ「でも今回はお金の話じゃないでしょ」
マーズ「いや別に金のことしか出来ないわけじゃないよ、もともとヴァルストークの備品だし。てかんな話はどうでもいいって。あんちゃん、次の
指示をくれよ」
ハザリア『ああ。まずお前らは階段を上ってみてくれ』
ミナト「わかった」タンタンタンタン
ハザリア『で、4本足よ。お前にはどう見える』
マーズ「どうって、みーんなそろって足踏みしちゃってるよ。いっぽも進んでねーし。てか、この階段全部で18段しか無いじゃん」
シュウヤ「幻覚ですか……、でどうするんですか?」
アイミ「誰かが突き飛ばしてみれば進めるとか?」
ゼフィア『止めておけ、どうせ突き飛ばしたと思っても実際には突き飛ばす直前で体が止まるだけだ。むしろ、それで転んだと思い込めば
蚯蚓腫れの一つも出来るぞ。』
レラ「暗示で……やけど……みたいな……の?」
ゼフィア『そんなところだ。だが、それならその影響を受けない者がどうにかすればいいというだけでな』
レモン『てなわけで、君ちょっと皆を引っ張ってもらいたいんだけど。最初はそこのジキミからで』
マーズ「へーいへーいっと、そんな事ならお安い御用で」
アーク「なんで最初に俺?」
ハザリア『まあ、その方法が確実とは決まってないからな。他の連中は戦力だが、お前は別になんでもないし、ぶっちゃけ毒見みたいなものだ』
アーク「ハハハハハー、覚悟してたけどさー、あんた等そろいもそろって俺を戦力外かよ、あーもうやってやるよ、ほら引っ張りやがれ」
ハザリア『で、全員無事に階段を上りきったな』
アーク「無事じゃありませーん、最初強引に引っ張られたからつまづいて転んで顔面打ったから、なんか前歯がグラグラしまーす」
マリ『不死身補正が消えたとたん、いきなり弱くなったな』
リトゥ『前は、4階の窓が外れて落ちてきて、頭にそれが直撃しても大丈夫だったのに』
シュウヤ「それより早く行きましょう。建物の構造的に父はこの先に居ます」
ハザリア『改めて確認しておくが……父親を打たねばならん可能性もあるぞ。日柄、下着だのゲームだのとやっているお前に出来るのか?』
シュウヤ「その手の挑発はマリさんやユウカさんには通じるでしょうが、あいにく私は根っこまで熱血が無い男でして」
ハザリア『だが熱血無しで魂を覚えるような性分だろう。まあ妙な言い回しは無しだ、貴様の内側にあるそのぎらついた魂が見てみたくなった。
父親が敵になったと言うのに、一秒たりとも崩れなかった冷静な顔の下で、煮えたぎった狂戦士のスピリッツをぶちまけて見せろ』
シュウヤ「ふっ、いいでしょう。ですが、先に断っておきますよ、私はこう見えても熱いシチュエーションは大好きでして、もしかしたら
あなたの予想を遥かに上回る何かが起こるかもしれませんよ」
ハザリア『ふははははははッ!いいぞ貴様!その言葉のふちぶちに澱んだ気迫が満ちている!今度劇に出してやりたくなったわ』
シュウヤ「謹んでお断りしますよ」
クリス『シュウヤ……お父さんは、どうしてあんな事になったんでしょうか』
シュウヤ「それはわかりません、父の身に何があったのか。ですが、それでも一ついえるのは……邪神ヴォルクルスを私は許さないという事です」
クリス『シュウヤ……おねがい、父さんを……』
シュウヤ「そこから先は言わなくてもいいですよ。では行きましょうか」
PM06:00
ハザリア『おい、ゼラド救出組み、調子はどうだ』
ヴィレアム「今のところエクサランスの二人が道を開いてくれている。こっちは温存中だ。ちなみに敵らしい敵の姿は居ない」
イングラム「だがこのパターンは、調子に乗って近づいたところにいっきに敵が出てくると言う奴だとは思うが……」
クォヴレー「罠と分っていても引くわけにはいかん」
イングラム「とまあ、そういう事だ」
ラウル「おい!もうすぐ目的の時空につくぞ」
フィオナ「ただ、エクサランスも限界みたい。ミズホも居ないし自己修復機能があるわけじゃないからここから先は無理よ」
ハザリア『エクサランスは戦線離脱か。時間も無い、一気に突入だ!』
ヴィレアム「言われなくても!」
ヴィレッタ「待ちなさい!」
ヴィレアム「えっ……」
アインスト・レジセイア「…………」
ギリアム「ウルタイア・クラフトか!……くっ、スタングレネ-ド射出!」
アインスト・レジセイア「!!!」
ヴィレアム「……ご、……ごめん、父さん、母さん」
イングラム「いちいち謝る余裕も無いぞ」
イングレッタ「今まで出てこないと思ったけど、まさかここまで出し惜しみしてるなんてね」
クォヴレー「アインスト・レジセイアが何体居るんだ?」
ディストラ「だいたい200くらいです」
クォヴレー「だいたいとは何だ!?」
ディストラ「アインストのほとんどが存在確立が不安定なんです。腕の一本や頭しかないのも全て1体にしたら7万6千4百2十体です!」
イングラム「つまり、タイムリミットを迎えると同時にそれが全てアインスト・レジセイアになるわけか」
ギリアム「あれは……!アインストの群れの一番奥に居るヴォルクルスの上半身……あれが抱えているのは」
クォヴレー&ヴィレアム「ゼラド!」
イングラム「仕方が無い、突破を図るぞ!」
クォヴレー「ああ、わかっている!」
アストラ「お嬢、最初から全開で行く」
イングレッタ「ええ、こっちもそれにあわせるわ」
ガイスト「ヴィレアムさん、もう止めません。私もあなたの全力を出来る限り引き出します」
ギリアム「お前の力はまだその限界を見せていない。その力で、守るべきものを守れ!」
ヴィレッタ「でも、死んだりしたらだめよ。もしも幽霊になって出てきたら文句の億や兆の小言を言ってあげるわ」
ヴィレアム「みんな……ああ、やってみせる!そして……ゼラド、必ず助けてやる!」
最終更新:2009年10月17日 12:57