29代目スレ 2009/06/10(水)
ゼオラ「そう、とうとう、気付いてしまったのね」
ゼラド「お母さん?」
ゼオラ「あなたがそのことに気が付いてしまった瞬間、この永遠に閉鎖された時は崩れてしまうの。
時は正常に流れ始めてしまうのよ。
でも、悲しまないで頂戴。
これであなたは、時の荒波の中で成長を重ねていくことができるんだから」
ゼラド「お母さん? なにいってるの?」
ゼオラ「よく聞きなさいゼラド!
実はあなたは17歳じゃないの!
今年、21になるのよ!」
ゼラド「えぇっ! 21歳!?」
ゼラド「お母さん、21歳って、微妙だよ。
もっとこう、二十歳ちょうどとか社会人一年目とか、区切りになる年齢にしようよ」
ゼオラ「しょうがないじゃない。あなた妙なタイミングで気付いちゃったんだもの。
はい、おべんと持って、大学行ってらっしゃい」
ゼラド「お母さん、高校のときと大して変わんないよ」
ゼオラ「実家暮らしの大学生なんて、そんなもんよ。
急ぎなさい、今日は必修の授業があるんでしょ?」
【町中】
ゼラド「なんか、実感わかないなあ。
私服通学っていうだけで、大学も町内にあるし。
あ、そうだ、21歳っていうと、大人だよね?
えへ、お酒とか、飲んでみちゃおうかな。
でもまだ昼間だしなあ」
マーズ「マジマジマジ、やらしーとか、そーゆーの全然ねーから」
ミズル「ギャラリーとかもあるしさあ」
エルダー星人少女「えぇ~、どうしようかなぁ~」
S-1星人少女「ふたり、なにしてるひとなのぉ?」
ミズル「マーくんはね、若手実業家さんなんだよ?」
マーズ「ミズッちゃんはね、新進気鋭のアーティストさんなんだよ?」
エルダー星人少女「えぇっ、ほんとぉ!」
S-1星人少女「ふたりとも、すごいんだぁ!」
マーズ「ま、ま、ま、そんなこたねーけども」
ミズル「自分ができることを精一杯やったっていうか」
ゼラド「ふたりとも、ちゃらく育っちゃって」
マーズ「あ、ゼラドちゃんだー」
ミズル「こんちゃー」
ゼラド「マーズくん、せっかく2本脚になったんだから」
ミズル「杖つかないと歩けないけどね」
マーズ「看護学校のコとかがヤサしくしてくれるもんね」
ゼラド「もうちょっとほかにすることあるんじゃないの?」
マーズ「ナンパ?」
ミズル「合コン?」
ゼラド「もう!」
マーズ「おれら、モテるもーん」
ミズル「ねー!」
ラーナ「へえ」
マーズ「きゃーっ!」
ラーナ「あなたというひとは、最近商売もおろそかにして、なにをしているんですか」
マーズ「や、や、や、おれもそろそろ7歳になるわけで、いつまでも仕事仕事じゃ」
ラーナ「もしもし、はい、L&E法律相談部門です。
先日のマンションの方ですね? いまから、当社の法律担当を連れて参りますので」
マーズ「きゃーっ、いやーっ!」
ラーナ「ミズル、あなたもさっさとアトリエに戻ってデッサンの練習をなさい。
あなたの絵は奔放すぎて美大の入試に向かないといわれたばかりでしょう」
ミズル「マーくーん!」
マーズ「ミズッちゃーん!」
【大学】
レイナ「あら、今朝は早いじゃない」
ゼラド「え、早い? もう10時過ぎてるよ?」
レイナ「早いじゃない」
ゼラド「大学生の時間感覚って、わかんないなあ」
レイナ「なによ、高校生みたいなこといっちゃって」
ゼラド「あっ、そうだ! あのね、わたしこないだまで高校生だったけど、実は21なんだよ!」
レイナ「なにいってるの? 4年前17だったんだから、いま21なのは当たり前じゃない」
ゼラド「お酒飲んでみよう! お酒!」
レイナ「飲めばいいんじゃない? あんた、そんなにお酒好きだっけ?」
ゼラド「あれ、わたしの意識がおかしいのかな」
レイナ「飲み会やるんなら、部室棟あたりでみんなに声かけてかない?」
ゼラド「あれ? レイナどこ行くの?
これから授業なんじゃないの?」
レイナ「代返だったらもう済ませたから」
ゼラド「これでいいのかなあ、大学生って」
レイナ「なにいってるの、昨日今日大学生になったわけじゃあるまいし」
ゼラド「今日大学生になったんだけどなあ」
【部室棟】
じゃらじゃらじゃらじゃら
タカヤ「あれっ、もう昼か!」
レタス「つい徹マンしてしまいましたのね」
ゼラド「え、みんな、まさかずっと麻雀してたんじゃ」
克夜「授業そっちのけで麻雀三昧は、大学生のお約束だよね」
レイナ「咲だってそんなに麻雀しないわよ」
ミナト「いや、咲は麻雀しまくりだよ! お前なにいってるんだよ!」
レイナ「あ、カノウ兄弟のヤラハタのほう」
ミナト「ヤラハタとかいうんじゃねえよチクショーっ!」
タカヤ「まずい! 今日は必修の授業が!」
克夜「タッちゃんは真面目だなあ」
レタス「真面目なひとはハナから徹マンしないと思いますけれど」
ゼラド「あ、ねえ、ルナちゃんは?」
レイナ「あんた、今日はちょっとヘンよ?
ルナだったら高校卒業と同時に星に帰ったじゃない」
ゼラド「そうだっけ?」
レイナ「あんただって送別会に出てたでしょ?」
ゼラド「えっと、じゃ、アイミちゃんやクリハは?」
レイナ「アイミはスポーツで別の大学に進んで、
クリハは、なんかどっかの研究室に入ったじゃない」
ゼラド「う~ん、大学っていっても、みんながみんなずっと一緒っていうわけじゃないんだなあ」
ハザリア「ぷか~」
ゼラド「それで、なんでハザリアくんはいるの?」
レイナ「さあ、なんでいるのかしらね。一向に星に帰る気配がしないし」
ハザリア「つまらぬなあ、つまらぬ、つまらぬ。
大学がこうもつまらん空間だとは思わなかった。
だいたい、なんだ、校舎全室禁煙というのは!
床じゅうに点々と付いておる焦げ跡はどう説明つけるつもりだ!」
レイナ「床をそんなふうにしちゃうひとたちがいるから、全室禁煙になったんじゃない」
ハザリア「ああ、つまらぬ! こんなことなら、大学になど進むのではなかった!」
ルアフ「まったくだよ。
僕のころは、バリケード組んだり火炎瓶投げたり色々大変だったのに!」
ゼラド「ルアフ先生が大学行ってたのって、いったいいつの話なんですか?」
レイナ「あんたはなんでいるのよ!」
ルアフ「客員教授?」
レイナ「なにを教授するっていうのよ!」
克夜「教授の乳揺れ概論は、実に目を見張るものがあるよ」
レイナ「講義するな! そして受けるな!」
レイナ「あのさあ、ゼラドがヤケに飲み会やりたいとかいってるんだけど」
ゼラド「そんな、ヤケにってわけじゃ」
ルアフ「仕方がない、昼酒と洒落込もうか」
レイナ「あんたは呼んでない!」
レタス「わたくしは、べつに構わなくてよ?」
ミナト「あ、悪いけど俺は『AKB0じ59ふん!』の収録見に行かなくちゃだから」
レイナ「あんたは一生そんなこといってなさい」
ゼラド「ねえ、ゼフィア先輩とかは?」
レイナ「ゼフィア先輩は、進学先に迷うあまり山ごもりしたり自称パチプロになったりしてるじゃない」
ゼラド「スレイチェル先輩は?」
レイナ「一応在籍はしてるみたいだけど、
なんか、お店の経営が面白くなっちゃったみたいで、ずっとそっちにかかり切りよ」
ゼラド「ヴィレアムくんは?」
レイナ「は?」
ゼラド「え?」
レイナ「あんた、覚えてないの? あいつがいるわけないでしょ!」
ゼラド「いないの?」
レイナ「いるわけないでしょう! だってあいつは!」
ゼラド「え?」
ゆさ ゆさ ゆさ ゆさ ゆさ ゆさ ゆさ
ゼオラ「ゼラド、ゼラド! 起きなさい!」
ゼラド「あれ、お母さん?」
ゼオラ「もう、お腹出して寝てると、風邪ひくわよ!」
ゼラド「わたし、大学にいたんじゃなかったっけ?」
ゼオラ「なにいってるの。大学進学より、進級が心配でしょ、あなたの場合」
ゼラド「あれ? あれ? あれ?」
ゼオラ「顔でも洗ってきなさい。もう夕ご飯できてるから」
ゼラド「なんだろう、わたし、あの世界が『イヤ』だと思った」
最終更新:2009年10月17日 13:03