27代目スレ 2009/01/28(水)
ゼラド「お母さんのわからず屋っ!」
ゼオラ「あっ、待ちなさいゼラド!」
ゼラド「もう、出てってやるんだからっ!」
ばたんっ
【レシタール家】
ゼラド「レイナぁー、いるー?」
ばたばたばたばた
ルアフ「や、バランガくん、いらっしゃい」
レイナ「あっ、ゼラド! そのオッサン捕まえて!」
ゼラド「先生、出かけるんですか? こんな夜中に?」
ルアフ「ふふふ、実は今度、ルパン三世と共演することになってね」
ゼラド「えっ、ほんとですか!」
レイナ「実現されてたまりますか!」
ルアフ「来てる! 来てるよぉー! 時代の波が僕に来てる!
行ける! この勢いなら!
実写版ドラゴンボールの悟空役!」
レイナ「なんでノザワさんのポジションを虎視眈々と狙ってるのよ!」
ルアフ「鬼太郎はノザワさんかトダさんじゃないと認めないとか、うるさいんだよ!」
レイナ「視聴率獲れてるんだからいいじゃない!」
ゼラド「映画面白かったですよ、映画!」
ルアフ「五大鬼太郎共演の撮りでもマジダメ出しだよ!」
レイナ「だからって、ルパン三世と共演てなによ!
なんで誰も止めなかったのよ!」
ルアフ「平成ライダーが無理矢理共演するこのご時世、
ルパン三世とコナンが共演したって不思議はないじゃないか!」
レイナ「不思議でいっぱいよ!」
ゼラド「あ、レイナ、今夜ね」
レイナ「え、なに? 悪いけど、明日にして!
あのオッサン止めないと!」
ルアフ「最終的には天才少年ドギー・ハウザーと共演してやるよ!」
レイナ「なんでよりにもよって天才少年ドギー・ハウザーなのよっ!」
【
バルマー寮】
ルナ「家出をしてきたと?」
ゼラド「だってお母さんが」
ルナ「それはいかぬな。家族は大事にしないと」
ゼラド「う~、それはそうだけどぉ~」
ハザリア「おぅおぅ、反抗期に入ったとたんバレバレの男装をするという謎の反抗ぶりを見せ、
『あれはどういうことでしょう』、
『オレは男だとか言い出す始末ですし』、
『しかしここのところ、お胸はますます膨らむ一方』、
『なるほど自身の急激な性徴に戸惑っておられるというところですかな』、
『単に地球のマンガかなんかの真似してるだけかもわかりませんよ』、
『まあルナも思春期ですし』
と議会で話しあった結果、放っとけば目も冷めるだろうから、
とりあえず何枚か写真を撮っておいて生温かく見守っていこうと決定された女が語るではないか」
ルナ「そんなふうに思われていたのか!?」
ハザリア「フハハハハ!
議員どもの間では、『ルナ姫青春の過ち男装編』写真集が出まわっていたと思い知れ!」
ルナ「写真集にするでない! 忘れろ! 忘れてくれ!」
キャクトラ「そんなものが出まわっていたのですか!」
ルナ「お主も、興味を持つでない!」
ゼラド「お母さんとは明日話し合うから、今夜だけでも泊めてもらえないかなぁ」
ルナ「それは構わないが、生憎と部屋がな」
ハザリア「フハハハ! よかろう。
気を利かせて、俺が出てってやろう」
ルナ「出て行かれたからとて、お主の部屋などゼラドに使わせるわけにはいかぬだろう!」
キャクトラ「そうです! どれだけお掃除をしておられないのですか!」
ルナ「お主の部屋ときたら、最後に畳が見られたのはいつなのだ!」
ハザリア「ああ、右から左からやいのやいの喚くな!」
ゼラド「畳なんだ、バルマー寮」
ハザリア「このような口やかましい連中のいる場所にいられるか!
俺は夜遊びに出るぞ!」
ルナ「放っておいてもお主は週の半分も寮にいないではないか!」
キャクトラ「毎晩毎晩、どこに行っておられるのですか!」
ハザリア「やかましやかましい!」
ゼラド「なんか、泊めてもらえる状況じゃなさそうだね」
キャクトラ「申し訳ありません。
空き部屋はいくらかあるのですが、あのご兄妹のものでいっぱいで」
ルナ「母上と、よく話し合うのだぞ?」
【ダグラス家】
ゼラド「アイミちゃーん」
アイミ「きっと~♪ きっと~♪ しあわせにぃ~♪
もっと~もっと~♪ お互いに~♪
生まれてきたからは~♪ 一生かけて幸せにぃ~♪」
ゼラド「なにしてるの?」
アイミ「わっ、ゼラド! どうして!」
ゼラド「ドア開いてたし、なんか音してたから」
アイミ「こっ、これは違うのよ!
ア、アイっ、じゃなくて、アバチャ! そう、略してアバチャで!」
ゼラド「なにを略してアバチャなの?」
フィリオ「アイミちゃんガンバ、チャチャチャ、略してアバチャさ」
ゼラド「フィリオさん、アイミちゃんちに住んでたんですか?」
アイミ「そうじゃないんだけど。そういえば、普段どこに住んでるんですか?」
フィリオ「ふふふ、なにしろ、住宅ローンを支払い終えるまで生きてはいられない身だからね」
アイミ「うちのローンなら、もうすぐ払い終わるってツグミお母さんがいってましたけど」
フィリオ「払っていないことは事実さ」
アイミ「払っていないんですね」
ゼラド「じゃ、どうして今日はアイミちゃんちにいるんですか?」
フィリオ「ああ、アイミちゃんが
『コンセプトはちょい悪美少女6人組』って、
おいおいハロプロはもともと地方の軽ヤンの集まりじゃないかって思ってたら、
意外と初期娘。とEE JUMPを足したようなサウンドが魅力の
THEポッシボー、『幸せの形』をマスターしたいって言い出したのでね」
アイミ「わっ、わっ! フィリオさん、しーっ、しーっ!
ゼラド、ゴメン! ちょっと外して!」
ゼラド「うん、なんか、ゴメン」
【道ばた】
ゼラド「う~ん、どこも、泊めてもらえそうもないなあ」
プップー
ランディ「おーい、どうしたんだよ、こんな時間に。
女の子ひとりじゃ危ないぞ」
ゼラド「Pちゃんくんたちも、いい加減無免許でクルマ運転するのやめないと捕まるよ?」
ランディ「送ってってやろうか。
おいミズル、ドアあけろ」
ミズル「・・・・・・ぐずっ、ぐずっ」
ランディ「わっ、どうしたんだよ」
ミズル「・・・・・・ぐすっ、あのね」
ランディ「はぁ、ふんふん」
ゼラド「どうしたの?」
ランディ「なんか、ゼラドはシンメトリー過ぎて、見てて怖いんだって」
ゼラド「よくわかんないポイントで怖がられた!」
ランディ「こいつの感性ってちょっとヘンだから、気にしなくていいよ。
ほら、乗れって」
ぶろろろろろ
ランディ「ふ~ん、家出ね」
ゼラド「だってね、お母さんたら!」
ランディ「帰る家があるだけ、いいじゃないか」
ゼラド「えっ、あの!」
ミズル「Pちゃんだって帰る家はあるんだけどね。
辿り着かないだけで」
ランディ「辿り着いてもマキネが家に入れてくれねえんだよ!」
ミズル「ダメもとでアンドーさんち行ってみる?
たぶんムダだろうけど」
【アンドー家】
マキネ「はあ、家出ね」
ゼラド「うん、悪いんだけど、今夜泊めてもらえないかなあ」
ランディ「ダメもとでいってみるけど、いい加減俺を家に上げてくれねえかなあ?」
マキネ「ダメもとってわかってんじゃん?
油そば食って帰んなよ」
ランディ「俺はもう、カロリーカットヌードルしか食わねえ!」
ミズル「さっぱりしててけっこう美味しいよ!」
マキネ「まあ、このとおり古くてでっかいだけの家だから、空き部屋なんかいくらでもあるけどさ」
ゼラド「いいの?」
マキネ「
ムラタ、おーいムラタぁー! お客さんだよー、挨拶しなー。
あれ、いないや。
えっと、ベッドの下とかでムラタが雌伏してるけどいいよね?」
ゼラド「えぇっ、それはちょっと!」
マキネ「まったくもう、ブラッシングしてやるっつったから逃げたな」
ランディ「返す返すもいうけど、ムラタはイヌやネコじゃねえ! オッサンだ!」
【
マーズの事務所】
マーズ「そりゃまー、おれはゲンミツにいやぁーオスでもメスでもねーわけで、
ロボット三原則があっからゼラドちゃんに危害くわえられるわけねーけどもさ」
ゼラド「うん、なんだか、どこの家も事情があるみたいで」
マーズ「家出ね。そーいやーおれも家出中みてーなもんだ。
うわっ、おれ、住所あるじゃん!
やたっ! 住所不定のおやじを越えた!
あれ、でもトレイラー心得『何事にも束縛されず自由であれ』的には負けだ!
ちくしょー!」
ゼラド「複雑な勝ち負けなんだね」
マーズ「泊めるなぁー構わねーよ。聖闘士聖衣体系コレクションに触んねーなら」
ゼラド「触らないよ、触らないから!」
マーズ「え、触るくらいはいーよ?」
ゼラド「触って欲しいの?」
マーズ「でも、金メッキに指紋つけちゃヤダよ」
ゼラド「見せたいんだね、つまり」
マーズ「ん~、でもさ、ダイジョーブなの?
おれァーこのとーりの4本脚で寝転がれねーからベッドなんかねーし。
ナマ野菜しか食わねーからおリョーリなんかねーし。
あと、忘れてた。まず空調がねーや。
あんま、ニンゲンが快適に夜を明かせるトコじゃねーと思うよ」
ゼラド「う~ん、この寒さで空調がないのは、ちょっと」
【道ばた】
ひゅるるるるる
ゼラド「ぶるるっ、寒いなあ。
でも、どこの家もいろいろ事情があるみたいだし」
ゼラド「ううん! でも、家になんか帰らないんだから!」
ゼラド「わたし、ワガママいってるのかなぁ」
???「お悩みのようね」
ゼラド「あっ、あなたは!」
玉アヤ「お久しぶりね」
ゼラド「玉アヤ先生!」
玉アヤ「どうしたのかしら、こんな夜更けに」
ゼラド「玉アヤ先生こそ、どうしてブロック塀の角っこに絶妙な感じに立ってるんですか?」
玉アヤ「寝ころんでいるのよ」
ゼラド「玉アヤ先生はすごいなあ。
ブロック塀の角っこでそんなにくつろげて」
玉アヤ「人間、なにごとも修行よ。私は玉ですけれどね」
ゼラド「玉アヤ先生は、ふだんどこで寝泊まりしてるんですか?」
玉アヤ「小さいころ、川べりで拾ったキラキラ光る石を宝物にして持って帰ったことはない?」
ゼラド「ありますけど。そういえば、あれどこ行っちゃったんだろ」
玉アヤ「その中のどれかが、私よ」
ゼラド「あれ、玉アヤ先生だったんだ!」
玉アヤ「勝手気ままな玉ですからね。
私はね、なにも背負うものがないの。手足もないんだけれどね」
ゼラド「わたしは、なんかダメです。
こう寒いところで考えてると、ちっちゃいことで家飛び出して来ちゃったなあってわかるし。
家出っていっても、明日には帰ろうと思っちゃってるし。
そんなことで、夜中みんなの家に押し掛けて迷惑かけちゃってるし」
玉アヤ「そうね迷惑ね」
ゼラド「あぅ」
玉アヤ「そうやって落ち込んで、すごすご家に帰るようなら、
あなたは昨日までとなにも変わらないあなたのままよ」
ゼラド「え」
玉アヤ「子供はね、みんな一度は家出するものなの。
時間にして10時間にも満たないかも知れない。
でも、その数時間で、数年間分も成長できるものなのよ。
親たちも、それはわかっているの。自分も経験したことですからね。
あなたのお母さんは、いま嬉しいような寂しいような、そんな気持ちのはずよ」
ゼラド「成長? わたしが?」
玉アヤ「子供もいない玉が、無責任にいっているだけですけれどね」
ゼラド「そんなことないです! 玉アヤ先生は立派です!」
玉アヤ「ふふ、こんな玉を先生だなんて呼んでくれたお礼に、ひとつだけ教えてあげるわ」
ゼラド「なんですか?」
玉アヤ「段ボールは、意外と温かいのよ」
ゼラド「わかりました、玉アヤ先生!」
アオラ「姉ちゃーん」
ゼラド「あ、アオラ!」
アオラ「やっと見つけた。あちこちでなにしてるんだよ。
なんかすごい言い合ってたけど、あれなにを怒ってたの?」
ゼラド「だってお母さん、お茶碗に大盛りで食べるなら最初からドンブリで食べなさいなんていうんだもん!」
アオラ「想像以上のどうでもよさだね」
ゼラド「風情が違うの、風情が!」
アオラ「も、いいから、わかったから。ほら、帰るよ。
母さんたちだって心配してるよ」
ゼラド「ううん! ゴメン、アオラ、お姉ちゃん、帰んない!」
アオラ「お茶碗とかドンブリのことで、なにムキになってるんだよ」
ゼラド「違うの、そうじゃないの!
ゴメン、お母さんには謝っといて。
でもね、わたし、いつまでもみんなを頼りにしてるようじゃダメだと思うの。
だからお姉ちゃん、今夜成長する!
誰の力も借りない!
ひとりで立派に、段ボールにくるまって夜を明かせる女の子に成長する!」
アオラ「姉ちゃん、世間一般でそれは、成長じゃなくて転落っていうよ」
【イェーガー家】
ハザリア「勘違いするなっ! 俺は、夜遊びのついでに寄っただけなのだからなっ!
決して、貴様のとこは両親が留守がちで晩飯など困っているだろう
などと考えているわけではないのだからなっ!」
ヴィレアム「勘違いなんかしないから、毎晩来るなよ。
母さんだって、あれで台所いじられると不機嫌になるんだから」
ハザリア「なに、では、やむを得ないな!
台所を片しておいてやろう!」
ヴィレアム「なにがやむを得ないんだよ!」
ハザリア「昨日作っておいたカレーはどうなっておる!
ひと晩おいて、旨くなっているころだろう!
かっ、勘違いするなっ! 俺は、あくまでも自分で食うために作ったに過ぎんっ!
貴様のとこの台所に置いていったのは、イヤガラセだと思え!」
ヴィレアム「ああ、イヤガラセだと思ってるから」
ハザリア「は・・・・・・?」
ヴィレアム「涙目になるなよ。俺、どうリアクションしたらいいのかわかんないよ」
最終更新:2009年10月17日 13:13