28代目スレ 2009/04/21(火)
【屋上】
ゼラド「あっ、いたいた! ユウカさーん!」
ユウカ「ン?」
ゼラド「ねえ、これの弾き方教えてくれない!?」
ユウカ「リッケンバッカーじゃない。どしたの、それ」
ゼラド「有名なの? このギター」
ユウカ「ジョン・レノンが使ってたって、
古めのロックファンの間じゃ信仰対象になってるヴィンテージギターよ。
このモデルっていうと、もうあんまり出まわってないはずだけど」
ゼラド「アギラおばあちゃんちの押し入れから出てきたの」
ユウカ「見せて。フーン、さすがに弦はヘタってるけど、コンディションはけっこういいのね。
きちんとメンテナンスすれば、いいオト出してくれると思う」
ゼラド「弾けるかなあ」
ユウカ「弾けるんじゃない。ギターなんて究極、弦弾けば音出る楽器なんだし」
ゼラド「わたし、カスタネットくらいしかやったことないんだけど」
ユウカ「マ、やってやれないこともないんじゃないの。
リッケンバッカーはあとで楽器店に持ってってメンテ頼むとして、
取りあえずあたしの使ったら?」
【給水塔の陰】
ヴィレアム「・・・・・・っ! なぜだゼラド!
ギター習いたいなら、なんで俺のとこに来ないんだ!?」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『お前がギター弾けるの、忘れられてるんじゃね?』
とレラ殿はおっしゃっておいでだが、
友よ、ギターを教わるということは、コードを押さえるときに手が触れ合ったりもするし、
同性のほうが頼みやすかったというだけの話ではないだろうか」
ヴィレアム「俺は! ゼラドと手と手を触れ合わせたいんだよ!」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『ギターの練習とかじゃなく』と、レラ殿、
無理をおっしゃってはいけません」
ヴィレアム「無理とかいうなよ! 心くじけそうになるじゃないか!」
【屋上】
トウキ「さあ、弁当を食うぞ! 屋上で風に吹かれながら、弁当を超食うぞ!」
ミナト「お、ゼラドじゃん」
トウキ「あれ、ゼラド、ギターなんか弾けたっけ?」
ゼラド「これから教わるんだよ」
ミナト「あ、初心者のうちは、ネックを握っちゃうより、支えるようにしたほうがいいぞ」
ゼラド「え? こう?」
ミナト「や、こう」
ゼラド「こう?」
ミナト「いやいや、ちょっと手ぇ貸してみ?」
ユウカ「たまにネックの握り具合でオト調整するひとがいたりするけど、
最初はベーシックに従っといたほうがいいでしょ」
トウキ「ミナト、お前ギターなんか弾けたのか?」
ミナト「ディープ・パープルの『スモーク・オン・ザ・ウォーター』だけ弾けるぜ!
プリッツのCMであややが演ってたやつ!」
【給水塔の陰】
ヴィレアム「なんの抵抗もなく手ぇ触らせてるじゃないか! ミナトに!」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『もう、お前がダメなんじゃね』とは、レラ殿それはあまりにもすげないお言葉。
ほら、友よ、我々のやっているワカメタルは高度なテクニックが要求されるし、
初心者には敷居が高く感じられたのではなかろうか」
ヴィレアム「でも、ゼラドは俺がワカメタルやってるって知らないはずだぞ」
キャクトラ「・・・・・・」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ『こっち見んな』などとおっしゃらないでください。
このキャクトラとて、もうかける言葉が」
ヴィレアム「やめろよ! なんか憐れんだ目で俺を見るなよ!」
【屋上】
ゼラド「うん、たっ♪ うん、たっ♪」ピレポロピレ
ユウカ「取りあえず最初は、ひたすらオト出してれば指が慣れてくるから」
ゼラド「できたら、曲弾けるようになりたいんだけど」
ミナト「俺は、けっこうすぐに『スモーク・オン・ザ・ウォーター』弾けるようになったぜ!」
ユウカ「なんかいばってるけど、あれ比較的イージーな曲だから。
シンプルなコード組み合わせて作られてるから、
よくビギナーの練習曲に使われてるの」
ミナト「弾きたい曲があると、モチベーション上がるぞ!」
ユウカ「なんか弾きたい曲があるの?」
ゼラド「そういうんじゃないけど」
ユウカ「ンン?」
ゼラド「そのぉ、曲を、作りたいなぁって」
トウキ「おいおい、ズブの素人にそれは、ハードル高過ぎなんじゃないか?」
ユウカ「悪かないんじゃないの? ギターなんて、それほどノーブルな楽器じゃないんだし。
それで、どんなの演りたいの?」
ゼラド「う~んっと。お礼っていうか、感謝の気持ちを込めた曲っていうか」
ユウカ「ソフトな感じね。
それだったら、M3やP5を中心に組み立ててけば」
【給水塔の陰】
ヴィレアム「感謝って・・・・・・!
久保さんか! 久保さんに贈る曲っていうことか!
くそっ、くそっ! 音楽は、音楽は俺のフィールドなのに!
音楽までも久保さんに持ってかれてたまるか!」
キャクトラ「おお! 友の前髪から、匂い立つほどの必須アミノ酸が立ち昇っている!」
レラ「・・・・・・」スチャッ
キャクトラ「『やるか』ですか? いいですとも!」
ヴィレアム「うぉぉぉぉーっ!
刃突き刺し茎を2等分から3等分に切り分け
茎から雌株を左右に引き千切り奪い去り雌株と茎を永遠に断絶断絶
葉を切り刻み煮えたぎる熱湯にくぐらせ
茹でて茹でて揚げろーっ!」
SOUSHITSUせよ! SOUSHITSUせよ! SOUSHITSUせよ!
ヴィレアム「茎を2ミリから5ミリの厚さに切り刻み雌株共々熱湯地獄へ道連れだ
抜け抜け抜け落ちろ塩を抜け抜いた塩を吹き上げろ
色を見ろ色を見ろ色を見ろ色が抜け落ちすぎると塩気がない
しかし速過ぎる救済がもたらすは塩辛さ
引き上げると同時に極寒の水を浴びせかけ
そして待ち受けるは白くうねる淫靡な麺もちろん高知産
茹でて茹でて揚げろーっ!」
ゼラド「きゃあっ! あのヘンなバンド!」
トウキ「ヴィレカイザーさんだ!」
ミナト「なんで学校の屋上に!?」
ユウカ「オーライ、来るってんなら、ビートしてやる!」
ズダダダダダダダダダッ!
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「当方にバンドバトルの意志なし! 全力で我々を見逃せ!」
ヴィレアム「悪いがこの楽譜をいただく!」
SOUSHITSUせよ! SOUSHITSUせよ! SOUSHITSUせよ!
トウキ「あれ、行っちゃった」
ミナト「なんだったんだ」
ゼラド「あぁ~ん、楽譜がぁ~!」
ユウカ「どうせ第一稿だったし、いくらでも書き直せばいいんじゃない?」
トウキ「でもさ、感謝の気持ちって、誰にあてて書くつもりだったんだ?」
ミナト「久保さんだろ?」
ゼラド「ううん。
前にヴィレアムくんが、なんかわたしの名前入った歌作ってるの見かけたから。
そしたら、わたしからもなにか作った方がいいのかなぁって」
トウキ「そんなもんを、なんでヴィレカイザーさんが持ってったんだろ」
ミナト「ゼラドの譜面に、ワカメタル的に光るなにかを感じたとか?」
ゼラド「えぇ、それ、どんなふうに光ってるの?」
ユウカ「メタルって、音楽聴かせたいのかギターテク披露したいのかわかんないとこあるから、
素人の譜面なんかに興味持たないはずなんだけど」
ゼラド「もう! あのバンド!
アオラはファンみたいだけど、わたしは大嫌い! ぷんぷん!」
【校舎裏】
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『仮題:ヴィレアムくんへ』とありますね」
ヴィレアム「ああぁぁぁああぁぁ、俺は、俺はなんてことぉぉぉぉぉ~」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「シッ、レラ殿、それは、そればっかりは言い切ってはなりません!」
最終更新:2009年10月17日 13:13