ヴィレアムの逆チョコ


27代目スレ 2009/01/21(水)

 【練習スタジオ】
ヴィレアム「逆チョコ、というものがあるそうだ」
キャクトラ「友よ、藪から棒になんだ」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『四国四十八ヶ所を逆にまわり相手を呪い殺す儀式か』ですと!
 友よ、突然なにを縁起の悪いことを言い出すのだ!」
ヴィレアム「そんな手間暇かかる呪い知らないよ!
 ビックリしたよ、なんだよそれ!」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『逆打ちとは本来弘法大師に会える御利益のあるまじないだが、
 クリヤマチアキとかがこれで生き返ったりしたものだからすっかり呪いのイメージが定着して』
 と、ふむふむ」
ヴィレアム「呪いに興味を持つな!
 逆チョコっていうのはなぁ!
 男でもバレンタインにチョコ上げたっていいじゃないかっていう、
 今年になってから突然発祥した風習なんだよ!」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『お前、お菓子会社の思うつぼだな』と、レラ殿のご指摘通りだと思うぞ、友よ」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『逆って付いてるのがなんか縁起悪そうで、
 仮にもらっても嬉しくないな』と、レラ殿女性ならではのご意見だ」
ヴィレアム「お前の意見なんかどうでもいいよ!」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『今さらだけど、もうちょっと頼りにしてくれてもいいんじゃないのか?』
 と、レラ殿もさすがに心配そうなお顔だ」
ヴィレアム「これはなぁ、天のお告げなんだよ!
 もはや、バレンタインだからってドギマギして待ってる時代じゃないんだ!
 こちらからなんだ! 男からチョコを渡す時代なんだよ!」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『それは天からじゃなくて、お菓子会社にそそのかされてるだけだ』
 と、レラ殿かなり呆れ顔だ」

 【ジェグナンの喫茶店
ハザリア「ん~、チョコレートだとぉ~」
ユウカ「甘い話してんのね」
ヴィレアム「お前、最近さっぱり料理しないとはいっても、料理上手いだろ?」
ハザリア「貴様はなにか勘違いしている。
 俺は、自分の好きなものしか作らん」
キャクトラ「栄養が偏りますよ」
ハザリア「甘いモノより辛いモノが好きだ!」
ユウカ「カシューナッツが好き!」
ヴィレアム「酒飲みの味覚じゃないか!」
キャクトラ「ハザリア様的に、なんですか、ユウカ殿は飲み友達かなにかの感覚なのですか」
ユウカ「サラミ食べる?」
キャクトラ「はあ、どうも」
ハザリア「チョコレートなぞ、適当にいい材料集めてどうこうすれば
 どれなりのものができるだろう」
ヴィレアム「料理マンガとかで、絶対論破される言い草だな」

 【マーズの事務所】
ヴィレアム「あれ、鍵がかかってる」
キャクトラ「留守なのでしょうか」
ラーナ「あ、ロボくんなら
 『造船会社を乗っ取ってやるズラ、ミムラの顔にマカロンぶつけてやるズラ』
 っていって出かけてますよ」
キャクトラ「どこの言葉なんですか、それは」
ヴィレアム「あいつならなんか、怪しいルートでいいカカオ仕入れてくれると思ったんだけどなあ」
ラーナ「はあ、カカオですか」
ヴィレアム「君だって、女の子なんだからバレンタインのことくらい考えるだろ?」
ラーナ「まだ1月中旬なんですけども」
ヴィレアム「なにいってるんだ!
 スーパーだってコンビニだってもうバレンタインコーナー作ってるじゃないか!」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『お前は実にみっともない』と、
 レラ殿、行列ができるラーメン屋さんに行列してる人々を見るような目だ」
ヴィレアム「君は、チョコレート作ったりしないのか?」
ラーナ「え、ええと、ええと、スーパーで大きな板チョコ買ってきて、
 刻んで刻んで刻んで切り刻んで、それから、えっと、それから」
ヴィレアム「うん、悪かった。切り刻んだだけで満足しちゃうんだな、君は」

 【道ばた】
ヴィレアム「参ったなあ、それじゃあ」
キャクトラ「スレイチェル先輩にでも尋ねてみたらどうだ」
ヴィレアム「ダメだよ、あのひと、クリスマスとかバレンタインの話するとむくれるから」

ミツハル「ふふふ、逆チョコか。
 面白いじゃないか。いったい僕は、桜が咲くまでにどれだけの額を費やすことになるのやら」
キャクトラ「なんでいるんですか、ミツハルさん」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『べつにどうしても費やさなきゃいけない行事じゃないだろ』
 と、レラ殿はいたって淡々としていらっしゃいます」
ミツハル「しょうがないね、この思春期クンたちは。
 いいかい、たとえ取るに足らないイベントごとでも、
 贈り物を忘れようものなら、次の日にはお別れメールが来るものと覚悟したまえ!」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『その程度で別れるっていうのは、もうカンペキに最初からモノ目当てじゃないか』
 と、レラ殿が若干憐れんだ顔をしてらっしゃいます」
ミツハル「それがどうしたんだい?
 僕からおカネを取っ払って、まさか人間的魅力が残るとでも思っているのかい?」
キャクトラ「意外とご自分を理解していらっしゃるのですね」
ミツハル「よく聞きたまえ、思春期クンたち。
 女の子というのはね、純愛も好きだけどそれ以上におカネが好きなんだ!」
キャクトラ「すみません。私たち思春期なので、まだそういう現実的な話は」
ミツハル「プレゼントにはね、中身はもちろん包装にも気を遣わなけりゃいけないよ。
 そうだね、僕の場合、最大でマンション付けちゃったよ」
キャクトラ「それのどこが包装ですか」
ミツハル「さすがにマンション付けたら、3ヶ月もったよ」

レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『マンションをもってしても3ヶ月って、どれだけ人間的魅力がないんだ』
 と、レラ殿は途方に暮れております」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『あんたは、どうして大人しく二次元に引きこもっていないんだ』
 と、訳しておいてなんですがレラ殿のご指摘はしてはいけないご指摘なのではないかと」
ミツハル「二次元は二次元でつらいものさ。
 『魔法少女アイ参』は、手強い敵だった!
 でも、僕はくじけないのさ。
 二次元で負けたら三次元に逃げ、三次元で負けたら二次元に逃げる!
 そうやって僕は日々の活力を得ているのさ」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『二次元でも三次元でも負けっ放しじゃないか』
 と、レラ殿それはいってはいけないことです」
ミツハル「だってさ、僕、それなりに英才教育受けてるし、
 家お金持ちだし、けっこう仕事できるし、放っとくとぐいぐい貯金が増えちゃうんだもん。
 でも、どうにも散財っていうことができなくてね。
 じゃあムダ遣いのプロみたいな人種に投げ与えちゃってことで」
キャクトラ「その財力で、派遣村の皆さんを救おうとは考えないのですか」
ミツハル「救ってるよ?
 派遣村で10人ほど拾ってきて、『真・恋姫無双』のどうでもいいルート埋めさせる仕事させてるもの」
ヴィレアム「派遣村のオッサンになにをやらせてるんです!」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『誰なんだ、『真・恋姫無双』のどうでもいいルートって誰のことなんだ』
 と、レラ殿が思わぬところに食い付いていらっしゃいます」
ミツハル「だってあのオッサンたち、介護とか農業の仕事はイヤだっていうんだもの。
 じゃあ『真・恋姫無双』やらせるくらいしかないじゃないか」
ヴィレアム「なんですかその選択肢のなさ!」

 【校舎の中】
ヒューゴ「農業かあ、いいなあ」
タカヤ「憧れますよね」
ヒューゴ「やっぱなあ、人間土と共に生きるのがあるべき姿だよなあ」
タカヤ「でも、徒手空拳で農業の世界に飛び込むのはあまりにも分の悪い賭けじゃないですか」
ヒューゴ「地方の農家の方は、一片の悪気もなく労働基準法無視してくれるからなあ」
タカヤ「自分で農業やるのは、けっこう元手がいりますよね」
ヒューゴ「先生もなあ、コツコツ貯金して、定年後は田舎で田んぼやろうと思ってるんだ」
タカヤ「いいですねえ」
ヒューゴ「ナンブもさあ、リタイアしたら来いよ」
タカヤ「いいんですか?」

キャクトラ「まだ就職もしてない生徒相手に、老後の計画立てるのはやめてください」
ヴィレアム「タカヤ! お前はチョコレート作ったりしないのか?」
タカヤ「チョコレートより、白菜の方が身体にいいよ」
ヒューゴ「白菜いいよなあ、芯が無くなるまで煮込んでさあ」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『おじいちゃんかお前ら』、とレラ殿芯から呆れていらっしゃいます」
ヒューゴ「チョコレートより、ヤモリの方が精付くぞ」
キャクトラ「ヒューゴ先生は、精を付けてどうなさるのです」
ヒューゴ「ほんとだ! 俺、精付けてどうするんだろ!」
ヴィレアム「どうにかすればいいでしょう!」

ヴィレアム「なんだよ、誰も彼も、なんでもっと真面目に逆チョコのことを考えないんだ!」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『どうせ定着しないで忘れ去られるに決まっているからだ』
 と、私もレラ殿と同感だ」
ヴィレアム「そうだ、お菓子作りの得意なヤツがいた!」
キャクトラ「友よ、友はひょっとして、バカなのではないだろうか」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「は、レラ殿、たしかに今さらなのですが」

 【調理室】
カル「イェーガーさん、マクレディさん!」
ヴィレアム「わっ、なんだよ、どうしたんだよ!」
カル「ミナトが、ミナトがっ!」

ミナト「やぁ~しさね、それはやぁ~しさね。
 ビィ~ナスのよぉなココロ持ぉってるぅ~♪」

ヴィレアム「なにやってんだお前」
ミナト「ビーナスムース!
 華やかさではポッキーガールズに劣るものの、
 デビュー以来冷遇されっぱなしなのにムダに完璧なプロポーションを維持し続けた
 いいらさんを始め、卒業直後のごっちん、しっとりモードのまりっぺとよっすぃによる
 容赦なくハイクォリティなビジュアルは、そりゃもうムースポッキー手作りしたくもなるよ!」
カル「あんなこといいながら、ムダに美味しいムースポッキーを手作りするんですぅ~!」
キャクトラ「お菓子作りが得意なカル殿のアイデンティティを踏みにじるような行為を
 平然と行うとは、なんと血も涙もない!」
ヴィレアム「ミナト! お前はどうして伸ばさなくていいスキルばっかりムダに伸ばすんだ!」

カル「・・・・・・私の、私のお菓子作りに賭けてきた年月は」
キャクトラ「しっかりしてください、どうせ向こうは放っておけば飽きます」
ヴィレアム「参ったなあ、これじゃカルにチョコレートの作り方聞くどこじゃないよ」

フィリオ「お困りのようだね」
ヴィレアム「フィリオさん!」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『落ち着け、お前はすでに少し錯乱している』
 と、レラ殿、レラ殿の御言葉は友に届いていない様子です」
フィリオ「美味しいカカオをお探しのようだね」

 【富士山】
 びゅおおおおおおっ
ヴィレアム「ほんとにここなんでしょおねぇーっ!?」
レラ「・・・・・・ぜひ」
キャクトラ「友よ! レラ殿が高山病の症状を出していらっしゃる!」
ヴィレアム「レラ、なんで着いて来ちゃったんだよ!」

フィリオ「ははは、最近の若い子はだらしがないなあ」スッサスッサ
キャクトラ「あんなにスッサスッサ登るとは、なんたる健脚!」
ヴィレアム「あなたはいったいなんの病気なんですか!」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『死ねない病気なんじゃね?』とレラ殿が新説を提唱していらっしゃる」

フィリオ「さて、日本で初めて富士山に登ったのが聖徳太子だということは有名だけれど」
ヴィレアム「そうだったんですか!?」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「友よ、レラ殿が『騙されるな』と諦め半分に呟いていらっしゃる」
フィリオ「その聖徳太子が、登山記念に富士山山頂から微妙に外れたところに
 カカオを植えたという伝説があるのさ」
ヴィレアム「なぜぴったり山頂じゃないんだ!」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『聖徳太子、登れてないんじゃね?』とレラ殿も推察していらっしゃるが、
 友よ、カカオというのは暖かい地方に生えるのではないか?」
フィリオ「だからこそ希少価値があると、そうは思わないかい?」
ヴィレアム「それもそうだ! よぉし、やるぞ!」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「レラ殿、申し訳ありませんがこのキャクトラ、そろそろ訳す気力すら萎えてきました」

 ずさっ ずさっ
ランディ「ウエノノモリ美術館は、どこだ・・・・・・」
ミズル「Pちゃぁ~ん、つかれたぁ~、おんぶぅ~!」
ランディ「甘えるな」

ヴィレアム「Pちゃん、どうしたんだPちゃん」
キャクトラ「Pちゃんさんも伝説のカカオを求めているのですか?」
ランディ「当たり前のように俺をPちゃんと呼ぶな」
ミズル「ウエノノモリ美術館に行こうと思ってたんだけど、
 途中からPちゃんにハンドル握らせたら、ごらんの有様だよ」
キャクトラ「Pちゃんさんは極度の方向音痴だとわかっているのに、
 どうしてハンドルを握らせるんですか」
ミズル「Pちゃんにハンドル握らせると予想だもしない場所に行けるから面白いよ」
ランディ「面白がるな」
ヴィレアム「Pちゃんもカカオ探しに行くか?」
ランディ「は? なんでカカオなんか」
ヴィレアム「知らないのか? 逆チョコっていってな、最近は男からもチョコレートを渡すんだ!」
キャクトラ「友よ、得意げな顔が若干鼻につく」
ランディ「俺、しばらく海外にいたりラ・ギアスにいたりしたからなあ。
 いつの間にそんな風習ができたんだ」
キャクトラ「具体的にいうと、あまりの不景気にお菓子会社の社員さんが頭おかしくなってからだ」
ミズル「Pちゃん! やめてPちゃん!
 ラ・ギアスとか、ネトゲ世界を現実にあるものみたいにいわないで!」
ランディ「お前はいい加減ラ・ギアスの存在を信じろ!」
ヴィレアム「でも、ネトゲは大概にしとけよ」
ランディ「親父にいえ、そういうことは!」
フィリオ「シッ、あまり騒ぐと」

 ごろごろごろごろごろごろ!

キャクトラ「なんと! 雪玉が転がってくる!」
ヴィレアム「怯むなキャクトラ! こっちにはランディ1/2がいる!」
キャクトラ「そうか、爆砕点穴がある!」
ランディ「ねえよ!」
ヴィレアム「じゃあ獅子咆吼弾だな!」
ランディ「だな、じゃねえよ!」
フィリオ「ランディ1/2君の気分が重くなるようなことをいうんだ」
ランディ「重くなっても獅子咆吼弾なんか出ないから!」
ヴィレアム「Pちゃんお前、ビックリするくらい色恋沙汰の匂いがしないな!」
ランディ「お前ら見てるとその気もなくすよ!」
キャクトラ「あの雪玉をシンゴママだと思って撃つのです!」
ランディ「俺はシンゴママなんかになんの遺恨も持ってねえ!」
ヴィレアム「アーディガンさんとこのアカネさんは元OZと結婚したらしいぞ!」
ランディ「それがどうしたぁっ!」
フィリオ「やはり、アカネさんを呼んできて直に『大っ嫌い』といってもらわないとダメなようだね」
ランディ「そりゃ一面識もないひとにいきなり『大っ嫌い』っていわれりゃヘコむだろうけど、
 アーディガンさんとこのアカネさんがどこの誰と結婚してても俺の知ったことじゃねえっ!」
キャクトラ「一途なのですね、Pちゃんさん!」
ランディ「なぜ感動する!?」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「なんですレラ殿、は、
 『カウボーイ・ビバップがカラサワさん主演でハリウッド映画化するらしいぞ』ですと!?」
ランディ「ハリウッドまで巻き込んでヤマちゃん個人にイヤガラセをしようとするなぁっ!」
ヴィレアム「でも、カラサワさんならやってくれるかもしれないぞ!」
キャクトラ「たしかに、カラサワさんは凄い役者さんです!」
ランディ「カラサワさんの役者としての実力は俺も認めるところだけど、
 だからってスパイク役はねえよっ!」
フィリオ「でも、嫁勝負ではカラサワさんの圧勝だよね」
キャクトラ「たしかに、ヤマグチトモコさんはいくつになってもキレイで素敵です!」
ヴィレアム「かたやこっちはロリ声声優と離婚してるしなあ」
ランディ「たまには『犬夜叉』でいじれっ!」
ヴィレアム「それはムリだ」
キャクトラ「ええと、奈落がまた逃げたそうです」
フィリオ「『人魚』シリーズなら詳しいんだけど」
ヴィレアム「なぜ『人魚』シリーズに詳しいんだフィリオさん!」
フィリオ「さあどうしてかな」
キャクトラ「やはりどこかで人魚の肉を食べたのですかフィリオ殿!」
ランディ「お前ら、『犬夜叉』をないがしろにするなぁっ!」
 ばっ

ランディ「風の精霊よぉっ!」

 びゅおおおおおおーっ!

ランディ「どうだ、これで文句ないだろ」
キャクトラ「はぁ」
フィリオ「君にはガッカリだよ」
ヴィレアム「Pちゃん空気読めよPちゃん」
ランディ「あのなぁ! 俺が爆砕点穴とか獅子咆吼弾とかできる方がよっぽどおかしいからな!」
レラ「・・・・・・!」バンッバンッ
キャクトラ「『風の精霊よって、風の精霊ってお前』
 と、レラ殿、かなりツボにハマったご様子」
ランディ「笑うなよ! そこを笑うなよ!」
フィリオ「風の精霊なんて、君のお父さんだって使ったことないのに」
ランディ「一概に否定もできないから困る!」

ヴィレアム「あっ、見ろ、雪煙の向こうに!」

 【平地】
 ぐつぐつぐつ

ランディ「なにをしているんだお前は」
ミズル「あっ、Pちゃん。スゴくイイ色出しそうな草見つけたからさ、
 いま煮込んで染料にしてるの」
ヴィレアム「煮込まれてたまるかぁーっ!」

ミズル「えーんえーん、おれの染料がぁ~」
ランディ「雪玉が転がってきたあたりから見ないと思ってたら、お前ってやつは」
キャクトラ「はい、Pちゃんさんたちにもカカオを分けてあげますから」
ランディ「こんなもんもらっても、カカオからチョコレート作る方法なんか知らねえよ」
ミズル「Pちゃんは逆チョコなんかしなくても、
 マキネさんからキロ単位の煮えたぎるホットチョコレートを口に流し込んでもらえるからいいじゃん」
ランディ「量もさることながら煮えたぎってるのかよ!」
ミズル「すごい煮えたぎらせるって張り切ってたよ」
ランディ「俺、ちょっと四魂の玉探す旅に出るよ」
ミズル「そういえばおれ、バレンタインにチョコレートってもらったことないなあ。
 毎年デスピニスさんがくれるのと、あと知らないうちに枕元に一個置いてある怪奇現象が」
ランディ「お母さんだ、それはお前のお母さんからだ」
ヴィレアム「たしかにお前のお母さんは若干影が薄いけど」
キャクトラ「従姉妹さんは、くれないのですか?」
ミズル「ラーナはダメだよ。おれのことキライだもん」

 【翌日 学校】
ヴィレアム「なんとか作り上げてきたわけだけど」
キャクトラ「友よ、よくわからないが、ひと晩でカカオからチョコレートを作れるものなのだろうか」
ヴィレアム「ところで、逆チョコって何日に渡すんだ?」
キャクトラ「友よ、なんという詰めの甘さだ」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『バレンタインが2月14日でホワイトデーが3月14日なんだから、
 1月14日か4月14日なんじゃないのか』とレラ殿が当てずっぽうにおっしゃっている」
ヴィレアム「1月14日じゃ、もう過ぎてるじゃないか」
キャクトラ「しかし、4月14日は韓国でいうところのブラックデーで」
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「『じゃ、5月14日なんじゃね』と、レラ殿、相当どうでもよさげだ」
ヴィレアム「どんどん延びてるじゃないか!
 構うもんか、思い立ったが吉日だ!」

ゼラド「え、くれるの?」
ヴィレアム「あ、うん、受け取って、くれるかな?」
ゼラド「みんなぁ~、ヴィレアムくんからチョコもらったよぉ~!」
レイナ「あら、気が利くじゃない」

ヴィレアム「あれ?」
キャクトラ「友よ、単に日常的にお菓子をくれただけだと思われたのではないだろうか」
ヴィレアム「そんな! じゃあ俺はなんのために!」
キャクトラ「友の努力は、割と実ったことがない」
レラ「・・・・・・カカオ」
ヴィレアム「なんでレラだけホクホク顔なんだよ!」

キャクトラ「おや、そういえばハザリア様は欠席なのでしょうか」

 【ガテマラ】
ハザリア「クリオロ種だ!
 数あるカカオの中でも特に希少で香り高いクリオロ種を出せ!
 今年獲れた中で一番出来のいいものだ!」
カカオ農家のエルダー兵「ぺろぴれぽるぽっぽ」
ハザリア「現地の古い言葉で喋ってもムダだ!
 俺の語学力を舐めるな!
 なに、一番出来がいいのは神への供物だから渡せない?
 知るかそんなもの! 出せといったら出せ!」

マリ「なぁ、やめろよ。カカオ農家のエルダー兵が困ってるじゃないか」
ハザリア「猛虎高飛車出すぞ、猛虎高飛車!」
マリ「いや、できそうだけどさあ」
ハザリア「かっ、勘違いするなっ!
 べつに、あやつに持っていってやろうなどと考えているのではないのだからなっ!
マリ「なあ、そろそろぶっ飛ばすぞ」

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最終更新:2009年10月17日 13:16
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