リトゥと子犬


20代目スレ 2007/11/17(土)

OG学園 A組

ゼラド「はぐはぐ…」
レイナ「毎度のことだけど、よく食べるわね。昼はまだまだ先よ?」
ゼラド「だって…おなか空いたんだもん。」(うるうる…)
レイナ「わかったわかった、取りはしないから。涙目で私を見るな。」
ゼラド「ならよし!はぐはぐ…」
レイナ「あら、その指どうしたの?料理の時にでも怪我をした?」
ゼラド「うん?これ?違うよ、ちょっとドジしちゃって転んでね…折っちゃった。」
レイナ「折っちゃった、てか骨を?骨折?」
ゼラド「うん。ポキッて。」
レイナ「ちょ、そんなお菓子じゃないんだから。随分ケロリとしてるけど大丈夫なの?」
ゼラド「大丈夫だよー。三日くらいで治るって。」
レイナ「骨折は三日くらいじゃ治んないわよ。指の骨でも三週間はないと。」
ゼラド「治るよー。この間、足折っても治ったもん。」
レイナ「この間?!いつ?!あんた足も折ってたの?!」
ゼラド「うん。」
レイナ「知らなかった…。」
ゼラド「その時もね、お医者さんにはレイナの言うとおり『三週間くらいでしょう。』っていわれたんだけど。でも、一日目で痛みが収まってね、二日目で普通に歩けるようになって、三日目で違和感も消えたんだ。」
レイナ「……。」
ゼラド「だから、その日またお医者さんに診てもらったら『治ってる』って。」
レイナ「言われたの?」
ゼラド「うん。」
レイナ「信じらんない…。『新陣代謝が常人より活発』ってレベルを超えてるわね。あんた体がズフィルードクリスタルかラズムナニウムで出来てるんじゃない?」
ゼラド「む、ちゃんと体は肉で出来ているよ!」
レイナ「そういえば、この前にも爪や髪も伸びるの早いって言ってたわね。」
ゼラド「うん。私はこれが普通だと思ってたけど。」
レイナ「私くらい髪が伸びるまではどのくらいかかる?」
ゼラド「んー…、伸ばしてみたことないから適当だけど、肩から腰くらいまで伸びるには二週間くらいかかるかな?」
レイナ「くらいかかるかな、て。私の数十倍の速さじゃない。」
ゼラド「レイナちゃんはどれくらいかかったの?」
レイナ「んー…数年。」
ゼラド「えー?!」
レイナ「それはこっちのセリフよ!」


続き

レイナ「でも、伸ばしてみようか、とか思わなかったわけ?それだけのスピードで伸びるなら、切ったり伸ばしたりもいろいろ試せるじゃない?」
ゼラド「お兄ちゃんの気を引けるなら、もちろんそうするんだけど…。その辺りには興味ないみたいだし。あとお母さんには、伸ばさない方が良いって言われた。」
レイナ「何で?」
ゼラド「ほら、私の髪って前髪だけはまだしも、後ろの方とかはさ。お父さんからもらった…。」
レイナ「あー、なるほどね。確かにハネてるわ、コレ。」
ゼラド「うぐ…。そう、クセ毛だから伸ばせば伸ばすだけ変になるって。ストパーかければ何とかなるみたいだけど…。」
レイナ「あはは。でも、あんたの再生能力じゃ永くは保たないわね。」
ゼラド「マシンセルみたく言うなー。」
レイナ「あはは…あーおかしい。私もねここまで長いと毛先とかも傷んでさー。」
ゼラド「リンスしてないの?」
レイナ「せめてトリートメントって言いなさい、せめて。ちゃんとしてるわ、それでも限界があるのよねー。その道のプロじでもないし。」
ゼラド「クリハちゃんもけっこう長いよ?」
レイナ「あそこの家は体調管理に一所懸命だから。髪を活性化させるのも簡単なんじゃない?主に汁で。」
ゼラド「命削って体調管理ってどうなのかな?今日健康なら明日はいらないのかな?」
レイナ「あと長いといえば、ルナかしら?」
ゼラド「マリちゃんもだよー?」
レイナ「バルマーの連中はクリハのとこと似たようなもんだしねー。特にハザリアは嬉々として汁飲んでるし。」
ゼラド「食文化が似てるらしいよね。バルマーとクリハ汁。」
レイナ「食材の栄養素にだけ注目して作っていたのかしら、味を考えずに。それとあなた、よだれ垂れてるわよ。」

ゼラド「残るのはマリちゃんだね。お母さんに似たのかな、すっごいサラサラだよねー。」
レイナ「そうそう。うらやましいな、特に汁飲んでたり、大食いでもないところが。」
ゼラド「あれあれー、さり気にひどいこと言われてるよー?」
レイナ「キニシナイキニシナイ。両親が念動力者って言うのがポイントなのかしら。ホラ、マリも念つかえるじゃない?それで、細胞を活性化させてたりしててさ。常人よりも若さを保てる、みたいな。」
ゼラド「あー、そっちの念じゃないと思う。そして、レイナちゃんは漫画に影響されすぎていると思う。」
マリ「ああ、さすがに鎖を具現化させたり、生物にアンテナをさしてラジコンにすることは出来ない。」
レイナ「うわっ、いつの間に!今のが『絶』?もしくは『神の不在証明』?」
マリ「まあまあ、落ち着け。今のは『空気を演じていた』だけだ。もっとも、まだ発展途上で現役時代のヒューゴ先生には遠く及ばないが」
ゼラド「言った!今、確実にひどいこと言った!」
レイナ「自分でもネタにしている節があるし、大丈夫じゃない?」


さらに続き

マリ「で、私と念がどうしたって?」
ゼラド「マリちゃんの髪がサラサラなのは何でかな?って話してたの。」
レイナ「そして、念が関係しているという仮説にいたった訳で。」
マリ「ああ、なるほど。まず、結論を言ってしまえば答えはノーだ。この髪はただただ母親からの遺伝、そういう結論になる。」
レイナ「なあんだ。」
マリ「しかし、念にはレイナの言うような使い方もある。それこそ、筋力を強化して小型ミサイル並みのパンチを打つことも可能ではある。」
ゼラド「出来るんだ。『超破壊拳』は可能なんだ。」
マリ「念には、個人によって向き不向きがあってな。それは大まかに言うと一族単位で決まる。つまり私の家族が、ある分野に特化した念動力者な訳だ。」
レイナ「つまり、あなたにも得意な念があるのよね。」
マリ「そう。私の家系の場合は超能力。スプーン曲げとかテレパシー、あと洗脳?」
ゼラド「洗脳?洗脳も出来るの?!」
マリ「いや…お前たちの考えてる洗脳とはおそらく違う。洗脳とは言葉が悪かったな。暗示、催眠術のほうがまだ合ってるか。」
レイナ「わかったような、わからないような…。」
ゼラド「ふうん、でもいろんなことが出来るんだね。」
マリ「ハザリア辺りはもう少し器用なことが出来るんだろうが…。私はあまり念は使わないからな、きっと錆び付いているだろう。今度あのバカで練習してみるか、リハビリも兼ねて。うん、そうしよう。
普段は家の塩や醤油やテレビのリモコンを取るときに、ちょちょいと使うだけで。」
レイナ「いやいや十分十分。」
ゼラド「リトゥちゃんはどうなの?念は使えるのかな?」
レイナ「あの子にはそんな印象はないわよね。」
マリ「いや、あいつは毎日、いや常時使っているぞ。」
レイナ「え、ウソ?」
マリ「本当だ。あいつの場合、その事に対して全力で使ってるからな。他に念を使う余裕はない。結果的に普通の人間に見えるだけだ。」
レイナ「で、どういうことなの?」
ゼラド「いいのかなあ…?」
マリ「まず先におさえておくポイントは、私とリトゥの父親はリュウセイって人であること。」
ゼラド「うん、それは知ってる。この前、街で偶然会った。」
マリ「なら、わかると思うが、すごいクセ毛なんだ。特に前髪。」
レイナ「え?!あれ、スタイリングしてるんじゃないの?!」
マリ「いや、アルティメットナチュラルパワーだ。正直、イガグリかグリーンフラワーつけてるみたいだろ、アレ?」
ゼラド「信じられない…。」
マリ「ユキコおばあちゃんの話では、おじいちゃんからの遺伝だったらしいが…。まあ、それは置いといて。その特徴である、例の髪は私には現れなかった。だがしかし…。」
ゼラド「まさかリトゥちゃんに?!」
レイナ「それこそ信じられないわ!ウェーブのかかった可愛い髪してるのに…。」
マリ「ああ。だがそれは、念動力でクセ毛を押さえつけた副産物なんだよ!」
ゼラド&レイナ「「なんだってーー!!」」


まだ続き

マリ「あいつ、授業とかも居眠りは絶対しないだろ?睡眠などで意識がなくなると、途端に髪が逆立つからなんだ。あと、入浴中に気が緩むと顔を出す。」
ゼラド「うん、確かに見たことない。リトゥちゃんが寝てるのは。」
マリ「初めてその姿を見せたのは、小学生の時だったな。それも突然だ。朝起きたら、リトゥの頭が大爆発。最初は性質の悪い寝グセが何かと思っていたんだが、全く直らなくてな。父さんは昔見たアニメのキャラにそっくりだ、て言って喜んでた。なんて言ってたかな…。」
ゼラド&レイナ「「?」」
マリ「スーパー…。スーパー…ベジタリアン?何かそういうの。まあ、とにかくだ。その突然変異の日以来、リトゥは自分のクセ毛を自分の念で押さえつけてるんだ。毎日、朝から晩まで。だから、そのことに全力を注いでいて、他のことに念を使わない。使えないんだ。」
レイナ「なんと言う才能と素質の無駄遣い…。本人にとってはそれだけ重要なんだろうけど。」
マリ「故に、もしリトゥが私と同じように念を使ったならば、少なくとも精度は私を遥かに凌駕する。あいつ天才だから、本人が苦手といってる事もまず人並みには確実にこなすし。私には、常に念を使い続けることは出来ない。精神力が保たない。」
ゼラド「じゃあ、マリちゃんリトゥちゃんの家族以外でそのスーパーリトゥちゃんを見た人は居ないんだね。」
マリ「ん?」
レイナ「あー、何かそういうの。ウズウズするな、なんて言うの?研究欲というか、あーもう、見てみたいなー。」
ゼラド「レイナちゃん、それは多分怖いもの見たさだよ。そんなだから、普通にジャーナリストが外国で死んじゃうんだよ。」
マリ「そういえば…。」
ゼラド「うん?」
マリ「いや、一度あったな。衆人環視のなか、その頭晒したこと。ほんの少しだが。」
レイナ「なになに?聞かせて?」
ゼラド「レ、レイナちゃん…。」
マリ「中学生にあがった頃か、それからしばらく経った頃かな。今からは随分前のことだ。」
レイナ「うんうん。」


まだまだ続き

回想 数年前
マリ「帰りに買っていくのは、今ので全てか、リトゥ?」
リトゥ「うん、ちゃんと確認も取ってきたし、暗記には自信あるから。」
マリ「買い物の23品をグラム単位で暗記とは、私には無理だ。…暗記パンか何かを食べてるのか?」
リトゥ「食べてないって。それより、私はこの頭をなんとかしたい。」
マリ「外から見れば分からないし。問題無いじゃないか。」
リトゥ「マリには判んないだろうけど、けっこう神経削るんだよ、これ。ただ固めてるだけじゃなくて、動きにあわせて髪をなびいて見えるように調整したり。急に風とか吹かれると、特に対応するの大変なんだから。」
マリ「…凝ってるな。というか髪の動き一つ一つを監督してるのか?」
リトゥ「うん、ほら。」(さらさら…)
マリ「風が無いのに、髪がなびいている…。」

マリ「さあ、店に着いたぞ…。と、少し暗くないか?」
リトゥ「あ、大変!今日、臨時休業だって。」
マリ「ヤックデカルチャー…。」
リトゥ「はい?」
マリ「いや、『なんてことだ』という意味らしいから言ってみた。それより、どうする?買い物が出来ない、夕食も作れない。」
リトゥ「隣町まで行くしかないわ。駅も反対側だし、歩きの方が多分速い。」
マリ「やれやれ…。」
リトゥ「ほら、歩く歩く!」

マリ「意外にも早く着いたな。軽い小旅行を覚悟していたんだが。」
リトゥ「マキネちゃんじゃないんだから、隣町に行くぐらいで迷子にはならないわ。あ、ほら知ってる顔もいる。みんな考えることは同じね。」
どっかのおばさん「あらあら、あなたたちはダテさんのところの娘さんじゃない。隣の町までお買い物?」
リトゥ「はい、近所が休みだったもので。」
マリ「連れてこられました。」
どっかのおばさん「うちもそうなのよ。いや、参っちゃうわね。いきなり、お休みなんですもの。さあさ、あなたたちも急いだ方がいいわ、今日、この店人がいっぱいだからね。」
リトゥ「はい、ご親切にどうも。」
どっかのおばさん「それじゃあ、またね。」
リトゥ「ふう。マリ、急がないと、売り切れになっちゃうわ。」
マリ「呼び止めたのは向こうだろう。」
リトゥ「はい、そゆこと言わない。さあ、早く早く。」

マリ「どうにか、目的のものは全部買えたな。小麦粉はギリギリだったラス1だった。」
リトゥ「マリが大きなカートで道を塞いだおかげね。ノロノロ動いて明らかに時間稼ぎだったけど。」
マリ「あれは、商品をじっくり見ていただけだ。そう主張していればいい。」
リトゥ「はいはい。でも、随分暗くなったわ、急いで帰るわよ。」



やっと半分?ごめん、まだ続き

マリ「ん?」
リトゥ「どうしたの、マリ?」
マリ「いや、橋の下に人だかりが。ちょっと行ってみる。」
リトゥ「あ、こらマリ。急ぐって言ったでしょう、もう!」
マリ「皆、上を見てる?あの、どうしたんですか?」
おじさんA「え?ああ、犬だよ。橋の裏側に犬がいるんだ。大きさからすると子犬だな。どこからか迷い込んだんだろうな。降りようにも高さがありすぎてどうにもならない、て状況だ。」
リトゥ「全くもう、マリってばどんどん先に行って…。」
マリ「リトゥ。犬だ、子犬がいるらしい。」
リトゥ「子犬?」
おじさんA「ほら、嬢ちゃんたち、あそこの下の部分だ。見えるかい?今、白いのが動いただろう。アレだ。」
マリ「あ、本当だ。リトゥ、見えたぞ。子犬だ。」
リトゥ「あら本当、じゃなくてねマリ。帰るわよ、急がなきゃ。」
マリ「いや、私はあいつの運命を見届ける。」
リトゥ「運命ってちょっと。あんた、あの犬の何を知ってるの?ねえ、ちょっとマリ、こっちを見なさい!」
おじさんA「お、やっとこさ救助隊がきたようだ。もう大丈夫だろう。」
マリ「救助ってどうするんだ?」
おじさんA「文字通りすくい上げるんだ、網でな。犬を網に誘導して捕まえるんだ。」
マリ「どうやって?」
おじさんA「さあ、それは救助隊に任せだ、これがな。と、おいおいアイツら本気か?」
マリ「なんだ、どうしたんだ?」
おじさんA「救助隊は誘導せずに棒で犬をつついて、網の中に叩き落すつもりらしい。確かに、ほっとく訳にはいかないが、もう少しスマートなやり方もあるだろうに」
マリ「それが、救助?虐めてるだけじゃないか!」
リトゥ「あの子犬、かわいそう…」

リトゥ「やっぱり、子犬が嫌がってる…」
おじさんA「まあ、落ちたくはないだろうからな。そりゃもう、必死だろう。お、救助隊もいよいよ苛ついてきてるんだな、これが。」

マリ「あ!」
リトゥ「それはダメ!」
おじさんA「馬鹿野郎が、力の入れすぎだ!網が間に合わずに落っこちるぞ!」
リトゥ「マリ、おじさん!これお願いっ!!」
おじさんA「ぬわっ?!」
マリ「おい、リトゥ何をする気だ?!」



つ(ry

場面は教室に
レイナ「それでそれで?」
マリ「あいつそこで、ついに念を開放したんだ。落下する犬に屋根、電線、看板が激突しないように軌道修正をかけつつ、自身を落下地点にテレポートさせ、さらに着地の瞬間のダメージを軽減するために落下速度を減衰させたんだ。その上であいつが犬を受け止めた。」
ゼラド「えー…。」
マリ「その時だよ、あいつが初めて人前であの姿になったのは。逆立った頭で、犬を抱いていた。」
レイナ「そのあとは?」
マリ「救助隊に犬を押し付けて、ダッシュで逃げた。」
レイナ「え、なんで?」
マリ「あいつの言うことにはな。」

再び回想
リトゥ「はあ…はあ…。ここまで…来れば…。」
マリ「はあ…リトゥ…はあ…どうしてだ…?」
リトゥ「はあ…え…?だって…無我夢中…だったから…はあ…。」
マリ「子犬を…助けたことじゃない…。その後…なんで逃げた…?つまり…今の状況だ…はあ…。」
リトゥ「だって…こんな…頭じゃ…恥ずかしいじゃない…。」
マリ「おいおい…。晒した…以上、同じじゃないか?写真も…撮られてたぞ、きっと。それに、メガネどこにやった?」
リトゥ「え?あ…、受け止めた時に落としたんだ、多分…。」
マリ「戻るか…?」
リトゥ「ゼッタイ…イヤ…!」


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再び教室へ
マリ「だそうだ。」
レイナ「が、頑固なのね。あの子。」
ゼラド「あー、それもしかしたら、私知ってるかも。昔、新聞で読んだ気するー。」
マリ「ああ、翌日には新聞に載ってたな。写真付きで。」
ゼラド「あー、やっぱりー。」
レイナ「え、私知らない!」
ゼラド「私もほとんど偶然に見たんだけど。えーと、確か『謎の不良少女、迷い犬を見事救出』みたいな感じだった。そっかー、不良少女ってリトゥちゃんのことだったんだー。」
レイナ「不良少女?」
マリ「凄い頭だからな。ヤンキーに間違えられたんだ。リトゥは個人として判明してないからノーカウントって言って喜んでいた。」
ゼラド「そういえば、中学で変なアンケートやらなかった?『犬を助けたことがあるか?』とか『どこで助けた?』とか。」
レイナ「あー、あったよーな…なかったよーな…」
マリ「学校も必死になって探してたな。何が何でも見つけ出したかったらしい、学校の評判を上げるためにな。」
リトゥ「うんうん、ゼッタイ名乗り出るもんか、て思った。」
マリ「そうそう、リトゥもそう言って…て、いつの間に?!」
リトゥ「ついさっき。でも話の流れからも見て、何を話していたかは大体想像はつくから。そして、マリ?」
マリ「う…な、なんだ?」
リトゥ「このことはぁ、家族以外ぃ、他言無用とぉ、口をすっぱくして教えていた筈よ?」
マリ「あ、ああ…いや、はい。」
リトゥ「そうだ、久しぶりに念使ってみようか。それも思いっきり。どう思う、マリ?」ピンッ!
ゼラド「(か、髪が…!)」
レイナ「(一部立った…!)」
マリ「うん、たまには思いきり羽根を伸ばすのも…い、いいと思うぞ…。」
リトゥ「そうね。じゃ、同意も得たことだし付き合ってくれる、マリ?」ピンッ!ピンピンッ!
ゼラド「(さ、さらに…!)」
レイナ「(心なしか…い、いや確実に、性格も黒く…!)」
マリ「い、い、いや、私は、その、の、の…」
リトゥ「あなたたちも、どう?」ピンピンピンピンピンピン……!
ゼラド「(ほい来た、巻き添えENDーーー!)」
レイナ「(もうだめぽ)」
アクセル「スゥポータ、リトゥ・スゥポータはいるか?」ガラッ
リトゥ「アクセルさん?何か用ですか?」スゥ…
ゼラド「(も、戻った…?)」
レイナ「(この隙に何か、逃れる策を…!)」
アクセル「ようやく見つけたぞ。すまんが来てくれ!」ガシッ
リトゥ「え、ちょ、あ、アクセルさん?アクセルさーん…?!」ズルズル……
三人「「「た、助かった…」」」


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リトゥ「いったいどうしたんですか?いきなり用務員用の部屋に連れてきて…。」
アクセル「まあ、警戒するのも分かるが…。お前に渡すものがある。俺としたことが、あの日から今日まで全く気付かなかった、これがな。」
リトゥ「あの、だから何ですか…?」
アクセル「まずはこれをお前に返す。」
リトゥ「!……これ、あの時に落としたメガネ…。でも、どうしてアクセルさんが?」
アクセル「俺があの後拾っといた。落っこちた衝撃で、レンズとか幾つかイカレた部分があってんで、俺の出来る範囲で直しといた。」
リトゥ「まさか、あのときの…!」
アクセル「いくら何でも『おじさん』はないんだな、これが。」
リトゥ「やっぱり!」
アクセル「それともう一つ。こっから外に出ろ。ああ、上履きのままでいい。」
リトゥ「ここって庭、ですよね。」
アクセル「よし、そこで待ってろ。」
リトゥ「?」
アクセル「ピーーーーッ!」←指笛

ワンッ!ワンッ!ワンッ!
リトゥ「この犬は!」
アクセル「ああ、お前が体を張って助けた子犬だ。今は俺の飼い犬だ、これがな。」
リトゥ「あは、くすぐったいっ!」
アクセル「時間が経とうともこいつにはお前のことが、ちゃんとわかるようだ。もっとも、飼い主の俺は近くにいながら、今日まで気づけなかった、これがな。」
リトゥ「この子は、ずっとアクセルさんが?」
アクセル「ああ、あの日にお前のメガネを拾ってな。そのときの救助隊に頼み込んで、飼うことになった。どうせ、ほっといても保健所いきだったからな。」
リトゥ「実は、あの日から心配だったんです。元気にしてるのか、また変なところに迷い込んでないか。よかった、元気でいてくれて。そうだ、この子なんて名前なんですか?」
アクセル「ん?麒麟。コード麒麟。」
リトゥ「犬なのにキリン?ダメじゃないですか、もっと可愛い名前にしてあげないと。」
アクセル「麒麟だ。麒麟なものは麒麟なんだな、これが。」
リトゥ「…わかりました。あの、またキリンに会いに来てもいいですか?」
アクセル「ああ、かまわん。そのために、連れてきたようなもんだな、これが。」
リトゥ「ありがとう、ございます…。アクセルさん!」
アクセル「おおっと、ちょい待ち!」
リトゥ「はい?」
アクセル「学校には内緒なんだ、これがな。そのへんよろしく頼む。」
リトゥ「はあい!」




ゼラド「あ、戻ってきた。あれ?」
レイナ「いい?作戦通りに行くわよ?」
マリ「あ、ああ。」
ゼラド「(リトゥちゃんのメガネが変わってる?気のせいかな?)」
リトゥ「あ、みんな待っててくれたの?」
ゼラド「はい、リトゥちゃん肉まんあげるから、これで許して。食べ欠けだけど。」(棒読み)
レイナ「アホか、そんなんで許してもらおうとは、ふてぇ野郎だ。」(棒読み)
マリ「いやいや、レイナさんの足の太さにはかなわn」
レイナ「ぬぁんですってぇ?!」(大マジ)
マリ「いだだ!ちょ、打ち合わせと違っ!作戦と違っ!」
ゼラド「あーあ、作戦失敗ー。」
レイナ「大体、ゼラドが掴みは任せて、ていうから任せたのに。何あのやる気の無さっぷり!」
マリ「おい、私はただのボコられ損じゃないか。」
リトゥ「みんな、随分のんびりしてるけどいいの?」
三人「「「何が?」」」
リトゥ「次の時間、というか今の時間は体育よ?いかないの?」
ゼラド「……。」(レイナを見る)
レイナ「……。」(マリを見る)
マリ「……。」(ゼラドを見る)
三人「「「忘れてたーーーーっ!!!」」」
ゼラド「どおりでみんないないと思ったら、更衣室に行ってたんだね。」
レイナ「でも、そういうリトゥは随分落ち着いてるじゃない、開き直った?」
リトゥ「いや、私は遅刻する理由があるし。アクセルさんの手伝い(ということにしてもらった)。」
レイナ「ずるーいー!」
リトゥ「いやいや、ずるくない。全然、ずるくない。それより、急いだ方がいいよ?今、臨時の担当でラミア先生だから。『グランド10周!』とかわれるかも言われるかも。」

ラミア「バランガ、コバヤシ、レシタール。グランド20周!無断で遅刻した罰だ、走って来い!」
リトゥ「ごめん、見通しが甘かった。」
三人「「「最悪だーーー!!!」」」
ラミア「スゥポータはいいぞ。隊ちょ…いや、アクセルさんから話は来ている。ご苦労だったな。」
リトゥ「あの、先生。やはり、私も走ります。私自身も、少なからず彼女たちの遅刻の原因ですので。」
ラミア「そうか。自分から罰を志願するとはな。ならば、スゥポータ、お前もグランド20周だ!」
リトゥ「はい、ありがとうございます。」
ゼラド「いいの?せっかく…。」
リトゥ「いいの。さ、早く終わらせましょう?」
マリ「はっ…はっ…せん、せ…。終わ…り…はっ…ま、した…はっ…はっ…。」
ラミア「そうかコバヤシ。グランド20周を40秒足らずで走り切るとは世界新だぞ。どれ、じっくりタイムを計ってみよう、コバヤシもう一度目の前で走って見せろ。何、お前のその足なら1分もかからん。それ走れ。」
マリ「だめだったか。『グランド20周走った人間』を演じてみたんだが。」
レイナ「明らかに使うタイミングを誤爆したわね。」
ラミア「こらー、はやくはしれー!」





ゼラド「おわ…た…。や、と…。はあ…はあ…。」ばたんっ
レイナ「ダイエット…。はあ…ダイエットと思えば…はあ…これぐらい……。やっぱ…むり。」ばたんっ
マリ「はあ…はあ…。なるほど…20周走るとは…こういう感覚…なんだな…。演技の、レパートリーに…加えておこう…。」ばたん
リトゥ「はあ…さすがに…。疲れるわね…はあ…はあ…。」
ラミア「スゥポータ。」
リトゥ「はい…はあ、はあ…。なん、ですか…先生…?」
ラミア「いや、この授業に来てから、ランニング中もずっと嬉しそうにしているのでな、少し気になった。何か良いことでもあったか?」
リトゥ「はあ、は…。はいっ!」
ラミア「ふ、そのメガネを見るに、感動の再開は果たされたというわけだ。」
リトゥ「え、先生…?」
ラミア「何でもない。さあお前たち、集合だ!」
ゼラド「ちょ…せんせ…。」
レイナ「あたしら…走り終わった、ばっか…。」
マリ「……。」(死体の演技)
ラミア「口答えするな、さっさと集合しろ!でなければ、グランドさんj」
ゼラド「ちょ、それ死ぬ!」
レイナ「わかりましたわかりました!こらマリ、早く生き返りなさいよ!」
マリ「返事がないただの屍のようだ。」←裏声
レイナ「返事してるじゃないのっ!ほら、起きなさい!」
リトゥ「ふふ…、アクセルさん。全然内緒になってないじゃないですか。」

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最終更新:2009年10月17日 14:05
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