29代目スレ 2009/06/21(日)
シュウヤ「できましたよ、クリス。
どうしたんですか?いきなりケーキを作れだなんて」
クリス「父様と食べるためですよ。
今日は父の日ですよ、シュウヤ。
今日こそ帰ってくるような気がするのです。
だからこうしてプレゼントに肩たたき券も用意したのです」
シュウヤ「そんなこと言っても、どうせあの人は帰っては・・・
わかりました。わかりましたから、そんなに睨まないで下さい。
じゃあ、ご馳走も用意しないといけませんね。
クリス、何か食べたいものはありますか?」
シュウヤ(自由とは、自由であるように呪われているという事である、誰の言葉でしたかね。
私だって待っていましたよ。
8歳と9歳と10歳の時と、12歳と13歳の時も、私はずっと・・・待っていた。
でも、もう諦めました。
あの人は私たちを捨てたんです。
シュウ・シラカワ。
眉目秀麗で慇懃無礼。
神聖ラングラン王国の元王子。
10に及ぶ博士号を持つ天才。
最強のロボットグランゾンを一から作り上げ、自らパイロットとして操る。
もちろんパイロットとしての腕も超一流。
どこの中二が考えた最強キャラだよって設定を持つ私たちの父。
束縛を嫌い自由を何よりも愛する人。
プールの授業の自由時間に私たちに混じり大はしゃぎしていた人。
クリスにグランゾンの起動キーにした後、忽然と姿を消した人。
グランゾンを使って神か悪魔になれとでも言うつもりですか?
側にいれない貴方の変わりだとでも言うつもりですか、あの機動兵器が!
貴方はいったい何を考えているのですか?)
ガチャッ
シュウ「ただいま帰りました。
久しぶりですね、シュウヤ。クリス」
クリス「わーい、父様。おかえりなさいなのです」
シュウヤ「何であっさり帰って来てるんですか、貴方は!」
シュウ「私は私の望んだときに家に帰る。
それだけのことです」
クリス「父様、父の日のプレゼントの肩叩き券なのです」
シュウ「おやおや、ありがとうございます。
では、さっそく使わせて貰いましょうか」
クリス「了解なのです!
力のかぎり叩くのですよ!
わーい、父様の背中広ーい」
タントン タントン タントントン
シュウヤ「クリス、なんであなたは即効で馴染んでるんですか?」
クリス「父と子なのですよ。これが当たり前なのです。
父様が帰ってこられてシュウヤはうれしくないのですか?」
シュウヤ「いやいやいやいや、うれしいとかうれしくないじゃなくてですね。
おかしいでしょう。
何か大きな秘密があって戻って来れなかったのではなかったのですか?
だから、バイトシュウなんて良く分からない存在でお茶を濁してたんじゃなかったのですか?
何のために四年も引っ張ってきたのですか?
クリスにグランゾンを託した意味は何だったのですか?
その秘密が解き明かされる大長編で私が口先へたれの汚名を返上する大活躍をしてマキネに惚れ直されるんじゃなかったんですか?
私の人生設計どうしてくれるんですか?
何より・・・いつでも帰ってこれるなら、なぜ今まで私たちを放置していたのですか?」
シュウ「子育てであろうと私の自由を妨げることはできない、それだけのことですよ」
クリス「わーい、流石父様!
地上最自由なのですー!」
シュウヤ「なんでクリスは全肯定なんですか!
この人親としての前に、人として最低です!」
シュウヤ「(ええい・・・前触れも何もなくいきなり帰ってきたせいですっかりペースを乱された。
とにかくだ!帰ってきたなら帰ってきたで言ってやりたいことは山ほど・・・いやまずは一発本気でぶん殴らねば!)」
バタン!
クリス「シュウヤ、怖い顔してどうしたですか?」
シュウヤ「・・・?あの男はどこです?」
クリス「父さんなら行っちゃいましたよ?「私は好きにやります。あなたたちもそうしなさい」って」
シュウヤ「ハア!?6月21日の22時にいきなり帰ってきて6月22日0時にはもう行方不明ですか!?
今までどこで何をしてたのかも帰らなかった理由もいっさい告げずそんな人の親として失格もいいところな捨てゼリフを堂々と残して消えたんですか!?
世の中自分の娘がいることに気付きもしてなかった父親もいるようですが、気づいててそのうえで育児放棄するのはより性質が悪い!!」
クリス「クリス、そんなに興奮しないでください」
シュウヤ「クリス!あなたは平気なんですか!私のことはもういい!しかしあなたのようなお馬鹿さんをほったらかしにしてあの男は何も心配していないのですか!」
クリス「・・・わかったです、クリスは寂しいんですね」
シュウヤ「誰が寂しいものですか!あなたこそ寂しいはずです!あんな風にあの男を信頼しきっているのにまた置いていかれたんですよ!?」
クリス「違うです、僕は寂しくないですよ。父さんのことならグランゾンを通して感じていられるです。
OG学園のみんなや、なによりシュウヤがいてくれるですから、僕は寂しくないのです」
シュウヤ「あなたは!・・・・いえ、もういいです。私にはあの男のこともあなたのこともよくわかりません」
クリス「シュウヤ」
シュウヤ「さて、もう休みましょうか。明日こそは寝坊しないようにするんですよ」
クリス「頑張るですよw」
シュウヤ「(まったくもってわかりませんよ・・・あなたのその笑顔は)」
最終更新:2009年10月17日 14:26