22代目スレ 2008/02/22(金)
【練習スタジオ】
ヴィレアム「悪い、遅れたー」
レラ「Layla, darlin', won't you ease♪」
ヴィレアム「なにやってるんだ?」
キャクトラ「シッ、友よ、喋ってはいけない」
イングレッタ「いま、大事な話をしているのよ」
ミツハル「や、君らがバンドを組んでいたとは知らなかったなぁ」
ヴィレアム「ミツハルさん?」
ミツハル「実は今度、イスルギミュージックの代表を兼任することになってね」
キャクトラ「いろいろやっているのですね、最近のイスルギは」
ミツハル「ここんとこ平和だからねえ。ロボだの鉄砲だの、売れやしないのさ。
で、ひとつ、音楽業界に力入れてこうって話になってね。
具体的には、3月15日までそっちに居着くつもりさ。
ははははは。ホワイトデーのお返しなんか誰がするもんか」
ヴィレアム「帰ってくれませんか」
ミツハル「おぉっと手厳しい」
イングレッタ「落ち着くのよ。
彼が受け取ったチョコレートは本命とか義理とかではなく、純然たる投資なのよ」
ミツハル「いやぁ、イングレッタさんには敵わないなぁ」
キャクトラ「イングレッタ殿は、ミツハル氏と面識がおありだったのですか?」
ヴィレアム「若い母さんの交友関係は意味わかんないよ」
ミツハル「いやね、ひと頃我がイスルギフードで新製品を開発するたび、
試作品が消えてなくなるという事件が連続してね。
そこで、犯人を捕まえるべく僕みずから張っていたところ、現れたのが彼女だったというわけさ」
イングレッタ「そしてわたしは彼に鮮やかなレバーブローをねじ込み、
その日も滞りなく試作品を頂戴したという顛末よ」
ヴィレアム「若い母さん、それは強盗じゃないだろうか」
イングレッタ「失礼ね。居直り強盗といいなさい」
ヴィレアム「よりタチが悪くなってるよ。若い母さん」
イングレッタ「以来、わたしはアドバイザーとしてイスルギに協力してやってるわ」
ミツハル「ははっ、イングレッタさんの正鵠を得たご意見は、常々参考にさせていただいております!」
ヴィレアム「なんで若い母さんの方が立場的に上っぽいんだよ!?」
ヴィレアム「で、俺たちになんの用なんですか」
ミツハル「スカウトさスカウト。決まってるだろう?」
キャクトラ「おぉっ、友よ! 我々にもついにメジャーデビューの道が!」
ミツハル「我々? おっと、勘違いさせちゃったかな。
僕が欲しいのは、この子だけさ」
レラ「・・・・・・、・・・・・・?」
ミツハル「ちっちゃくてカワイイねぇ。お兄ちゃんのお膝に乗るかい?」
レラ「・・・・・・、・・・・・・!」
ミツハル「おぉっと、ビットによる全方位からの包囲はカンベンしてくれないかな。
僕は100パーセント混じりっけのない普通人なんだから」
ヴィレアム「そういえば、ニブハルさんて何人なんですか」
ミツハル「最近、実はただのインド人なんじゃないかっていう噂が囁かれてるよ」
ヴィレアム「あれだけ引っ張ってオチがそれじゃ、誰も納得しませんよ」
ミツハル「父とは数えるほどしか会ったことないから、どうでもいいんだけどね」
レラ「・・・・・・い、わた・・・・・・ド」
キャクトラ「『お前の親のことなんかどうでもいい。わたしはバンドでやっていくつもりなんだ』
レラ殿はそうおっしゃっております」
ミツハル「おいおい、君たちだってちっちゃな子供じゃないんだ。
時代を見ようじゃないか。いまどき、ガチガチのバンドなんか流行るはずないだろう?
僕はね、この子を甘ぁ~くて、ぬるぅ~い感じのアイドルとして売り出すつもりなんだ」
レラ「・・・・・・、・・・・・・!」
キャクトラ「それは我々の音楽への冒涜か! と私がいっている!」
ヴィレアム「キャクトラ、セルフ訳はいらないと思うぞ」
キャクトラ「友はなにを落ち着いているのか!」
ヴィレアム「いいから、お前も落ち着いて、ちょっと座ってろ。
ミツハルさん、そういうことでしたら、レラをお願いします」
キャクトラ「友はなにを言い出すのか!?」
ミツハル「それで? イングレッタさんのご意見は」
イングレッタ「ピンチはチャンスよ」
ミツハル「よくわかんないけど、OKということで解釈しますよ。
じゃ、この子はうちで面倒見るから」ヒョイ
レラ「・・・・・・た、・・・・・・は」
キャクトラ「『わたし本人の意志はどうなっている』とレラ殿も疑問を呈していらっしゃる!
待たれよ、ミツハル氏!」
ミツハル「じゃねぇ」
バタン
キャクトラ「友よ、なにを考えているのだ!?
あれか、友の歌は好き嫌いが分かれやすいから、
徐々にレラ殿メインボーカルにスライドしていこうと我らが話していることを知ってのジェラシーか!?」
ヴィレアム「いや、そんな話は知らなかった。お前ら、俺がいないとこでそんなこと話してたのか」
キャクトラ「では、なでレラ殿を放り出すようなことを!」
ヴィレアム「じゃ、なんだよ。お前は、レラにずっと俺たちとバンドやれっていうつもりなのか?」
キャクトラ「当たり前だ! 我ら三人手に手を取り合い、
この、現代の乾いたミュージックシーンをお湯で戻して増やしていこうと、あの日誓い合ったではないか!」
ヴィレアム「いや、そんなこと誓った覚えないし。
あのさ、悪いんだけど俺、そこまでバンドに入れ込んでないんだよ」
キャクトラ「友はなにを言い出すのか!?」
ヴィレアム「お前だってさ、卒業したら
バルマーに戻らなきゃだろ?」
キャクトラ「それは、たしかにそうだが」
ヴィレアム「でもさ、レラはさ、あいつは違うじゃないか。
なんでだか知らないけど、あいつのバンドに注ぐ熱意、尋常じゃないだろ?」
キャクトラ「たしかに、レラ殿のビットだこには鬼気迫るものがある」
ヴィレアム「うん。ビットだこっていうのが、どんなもんなのかはわかんないけども。
今回の話はさ、あいつにとってチャンスなんだよ。
俺たちがジャマしちゃ悪いだろ」
キャクトラ「しかし友は! 友はそれでいいのか!」
ヴィレアム「べつにいいんだけど。
どっちかっていうと、お前がなんでバンドに対してそんなに真剣なのかわかんないよ」
【イスルギミュージック】
フィリオ「ゆらゆらスウィミン♪ ゆらゆらドリーミン♪ 愛が揺れぇる~♪
わかるかい? ここの手首の返しが重要なんだ」
ミツハル「ああ、我が社の特別顧問という名のムダメシ食らいが、
新規開拓事業部の生ける屍が、宇宙開発事業部の死なない屍が、働いているよ!
見ているかいおばあちゃん? 見ているかいママ? 僕の手腕だよ!」
フィリオ「じゃ、ここから先は宿題だ。
明日までに、このWINKのライブ映像を納めたセルビデオをすべて見てくるように」
レラ「・・・・・・セル?」
ミツハル「フィリオ先生、張り切るのも結構ですが、あんまり難しい振り付けしないでくださいよ?
この子のターゲットは小中学生の女の子なんですから。
簡単に真似できるような振り付けじゃないと、おカネ落としてもらえませんからね」
レラ「・・・・・・セル?」
ミツハル「おいおい、セルビデオを物珍しげに眺めてる場合じゃないよ。
君、これから忙しくなるんだから。
んー、こういう場合まずは5キロ落としてこいとか指示するもんなんだけど、君の場合は必要ないねえ。
むしろ、胸がちょっと足りないか。
ま、いいだろ。そのうち、ちょろっと海外行って増やしてこよう」
レラ「・・・・・・増や?」
ミツハル「染みやホクロはないね? じゃ、あとはお目々をパッチリさせるくらいでいいか。
なぁに、心配ないさ。一発当てれば、費用分なんか余裕で稼げるんだから」
フィリオ「感心しないな。さっそく整形させようとするなんて」
ミツハル「なにいってるんですかフィリオ先生。
外見を売り物にする商売ですよ? 念入りにメンテするのは当たり前じゃないですか。
床屋がゾーリンゲン製のカミソリ買うようなもんですよ」
フィリオ「君はわかっていない。アイドルとは、無垢な存在なんだ」
ミツハル「古いんですよ、超人がアイドルやるのなんて。
クラスで一番の美人じゃないけれど、2番目か3番目には位置してて
『あれ、自分でも付き合えるんじゃ?』と思わせるような、
メトロに乗って会いに行けるような、そういうお手軽さが受けるんですよ、いまは」
レラ「・・・・・・た、・・・・・・は?」
ミツハル「歌? ああ、いいのいいの、そんなのはクチパクで。
まずはゲリラライブで話題作って、しかる後にバラエティ番組デビューっていうのが君の売り出し方だ。
いまのうちに、お笑いの大御所にうまいこといじってもらえる天然不思議エピソードを考えておいてくれたまえ。
あぁ、口調はなるべく舌っ足らずでバカっぽくね。
アイドルなんて、客に舐められるのが商売なんだから」
フィリオ「悪いが、僕は降りるよ。どうやら君にはアイドルに対する美学がないようだ」
ミツハル「はいはい、どうぞ。はなからあまり期待してませんでしたから」
【
ジェグナンの喫茶店】
ユウカ「ノン」
キャクトラ「しかし、ドラムがいなくなってしまったんです」
ユウカ「たしかにあたし、リズム感には自信あるけど。
カレーが辛かったからって帰っちゃったり、ヴィジュアルが微妙な鼻ピアイドルと結婚後太ったり、
ヘンなテンションでゴジラファイナルウォーズに主演したりなんかできない」
キャクトラ「そんな突き抜けたドラマーは求めていませんから。
たまに来て、少々叩いてくださればよいのです」
ユウカ「片手間でやれって? それはあたしのミュージックソウルに対する冒涜ね」
キャクトラ「しかし、弱りました。私どものバンドの楽曲は、要所要所で入るドラムソロが肝心なのです」
ユウカ「だったらあたしはダメでしょう。
女にそんな、パワフルなドラムプレイができるわけない」
キャクトラ「しかし、前のドラマーも女性でしたし」
ユウカ「あら、レアなケースなのね」
キャクトラ(そうか、この方は、私がベースをやっていることは知っていても、
ODEの正体だとは知らないのか。無理もない。メイクで人相がまったく変わってしまっていますから)
ユウカ「その、前のドラマーはどうしたの。ケンカ別れでもしたの」
キャクトラ「それが、イスルギミュージックというところにスカウトされてしまって」
ユウカ「イスミュね」
キャクトラ「ご存じなのですか?」
ユウカ「評判の悪い会社よ。しょっちゅうオーディション開いては、
落選した人間を系列の音楽専門学校に入学させて受講料吸い上げてるとか。
物販が不自然に高いとか、
マネーにあかせて大物ミュージシャン引っ張ってきて、しょうもない企画ソング歌わせるとか、
売り出すときはゴリ押しもいいとこなのに、
ちょっと人気がかげってきたら容赦なくポイ捨てするとか。
いわゆる、音楽業界のヴァンピーアレーザーのような存在」
キャクトラ「それは、本当なのですか!?」
ユウカ「そう、いまのヴァンピーアレーザーという発言は、笑いをターゲットインサイトしたもの」
キャクトラ「こうしてはいられない! ユウカ殿、それでは!」
ユウカ「スルーされた」
バタンッ!
ユウカ「ダメね。ダディ、あたしはどうしてこう、友達を作るのが上手くないのかしら」
ユウキ「ユウカ、お父さんお前のそういうところ、嫌いじゃないぞ」
ユウカ「ダディ、キスしたげる」
ユウキ「キスぐせを直しなさい、お前は」
【繁華街】
ルル「あら、なんでしょうあのトレーラーは」
アオラ「誰かがゲリラライブでもやるのかな」
ルル「コンテナが開きますわ」
レラ「・・・ゆめを・・・しんじて~つばさひろげて~」
ルル「まぁ、なんてあからさまに作られた感のあるアイドルなんでしょう!
メイクやウィッグで飾りすぎて、素顔がほとんどわからないではありませんか!」
アオラ「でも、なんだろう、この歌声。なんだか、すごく悲しそうだ。
演技でやってるとしたら凄いけど、違ってたら」
ルル「ええ、歌っているというより、助けを求めているかのような」
アオラ「待てっ! 感じないか、このミネラル臭を!」
ルル「アオラさま! いつの間にそのようなスキルを!?」
SOUSHITSUせよ! SOUSHITSUせよ! SOUSHITSUせよ!
ヴィレアム「悪いがこのステージをいただく!」
キャクトラ「カネの手垢にまみれたアイドルなど、我らのお湯でふやかしてくれるわぁーっ!」
アオラ「ヴィレカイザーさんだぁーっ! ヴィレカイザーさんがご降臨なされたぞぉーっ!」
ルル「きゃーっ! キャク様もいつにないハイテンションですわぁーっ!」
アオラ「しかし、レミュさんは! レミュさんはどうしたんだぁーっ!」
ルル「レミュさんのドラムがないと、イマイチ締まりませんわぁーっ!」
レラ「おま・・・・・・ら、どし・・・・・・て」
ヴィレアム「マジかよお前のテンション!」
キャクトラ「ローテンション!」
ヴィレアム「死にかけながらビット撃つ!」
レラ「・・・・・・・・・・・・!」
ズバババババーッ!
アオラ「なんだぁーっ!? 突然アイドル側のステージが、爆煙に包まれたぞぉーっ!」
ルル「あぁっ、あれを!」
アオラ「煙が晴れて、あれはぁーっ!」
レラ「・・・・・・」ズダダダダッ
アオラ「レミュさんだぁーっ!」
レラ「まさか、先ほどまでの既製品臭バリバリのアイドルは、レミュさんの仮の姿でしたのぉー!?」
アオラ「レミュさんにとってアイドルなど、サナギの皮程度のものでしかないんだぁーっ!」
レラ「きゃーっ! これですわこれ! 縦横無尽のビットドラム奏法!」
アオラ「今日はまた一段と、ニュータイプ的なプレッシャーを感じさせるビートだぁーっ!」
ミツハル「ストップストップ、ストォーップ。なんだい君たち」
アオラ「ミツハルさんだぁーっ!」
ルル「捏造キャラのくせにODEの演奏をジャマする気なんですのぉーっ!?」
ミツハル「なるほど、君らが噂のODEか。
ひどいインディーズ臭のする装いだねえ。はははは。カネの臭いがいっさいしないよ」
キャクトラ「黙れ! 貴様の悪事、我らワカメの目にはまるっとお見通しだ!」
ヴィレアム「カネにあかせて音楽ゴロぶり!」
ミツハル「おやおや、参ったね、これは。
君たち、僕を気のいいお兄さんだとでも思っていたのかい?」
アオラ「悪い顔だぁーっ! ミツハルさんが、ものすごく悪い顔をしているぞぉーっ!」
ルル「ミツハルさんのくせにナマイキですわぁーっ!」
ミツハル「青臭いこというんじゃないよ。ビジネスなんだよビジネス。
CDなんか売れない時代なんだ。
マーケティングとプレゼンいかんなんだよ、今日びの歌手なんてね。
僕はこれでも、ずいぶん音楽業界に貢献してると思っているよ?」
ヴィレアム「貴様ごときが音楽を語るな! 我がワカメタルへの冒涜と取るぞ!」
キャクトラ「この悪党めが!」
ミツハル「やれやれ、わかっちゃいないなぁ。
いいかい? 僕んちはね、代々悪党とか善玉なんてみみっちい価値観で生きちゃいないんだ。
経営者という生き物なんだよ。
千人単位の従業員と、その家族の生活に責任持ってるんだ。
夢見がちな若者の人生なんて、10や20どうなろうと、知ったこっちゃないね。
一瞬でもいい夢みさせてあげてるんだ。感謝してもらってもいいくらいさ」
キャクトラ「黙れ!」
ヴィレアム「そして聴け! このヴィレカイザーの、ワカメタルを!」
ヴィレアム「両手だけじゃ抱えきれない重さを感じた♪」
キャクトラ「君の背中追いかけた、ここから始まるメモリー♪」
アオラ「なんだ? この曲は」
ルル「ODEっぽくありませんわ」
ミツハル「あ、あぁ・・・・・・、あぁ~っ!」ブワッ
アオラ「滂沱だぁーっ! ミツハルさんの目から、滂沱の涙がぁーっ!」
ルル「いったい、なにが起こったというのですのぉーっ!?」
アオラ「なんなんだ、この曲はぁーっ!?」
マキネ「『終わらないメモリー』。
恋愛育成シミュレーションゲームの草分け的存在である『ときめきメモリアル』!
そのメインヒロインである藤崎詩織のキャラクターソングのうちのひとつ!
容姿端麗品にして成績優秀、スポーツ万能にして品行方正と、
現実に遭遇したらこれほど目を合わせづらい人物もいないというキャラクターであるにもかかわらず、
彼女に恋いこがれた当時の男子たちは、
こっ恥ずかしいジャケットのキャラクターソングを買いに走ったのであった!」
アオラ「マキネさんだぁーっ! マキネさんがどこからともなく現れたぞぉーっ!」
ルル「なんて焦点を合わせる気のない解説なんですのぉーっ!?」
ヴィレアム「忘れたか、現実には決して上がらないパラメーターを上げ続けたあの日々を!」
キャクトラ「忘れたか、恋愛シミュレーションのはずなのに、なぜか番長と戦い始めたあの日々を!」
ヴィレアム「忘れたか、難攻不落のメインヒロインを攻略したときの感涙を!」
キャクトラ「忘れたか、バッドエンディングのときの悲しさを!」
ヴィレアム「忘れたか、罵倒エンディングのときの、不思議な胸の高鳴りを!」
ミツハル「あぁ・・・・・・、あぁっ! そうだ、そうだった! 僕は、僕は忘れていた!
まだギャルゲーという概念すら希薄だったあの時代、
あんなややこしいゲームが売れるだなんて、誰にも予想できるはずがない!
でも、僕は! 僕たちは! 伊集院家に電話をしまくったんじゃないかぁーっ!」
アオラ「なんなんだ、ミツハルさんのこの、ときメモへの思い入れはぁーっ!?」
ルル「いったいときメモのなにが、ミツハルさんをああまで熱くさせるんですのぉーっ!?」
アオラ「さては微妙に嗜好が古いオタクなのか、ミツハルさんーっ!」
ミツハル「フ、ふふふ、どうやら、教えられてしまったようだね。
そうさ。マーケティングなんか、実は大して意味がないんだ。
クリエイターの情熱とユーザーの魂が合致すれば、そこに奇蹟が産まれるんだ。
そうだ、そうだったんですね! ヴィレカイザーさん!」
ヴィレアム「ねらわれたアイドル誘拐監禁事件」
ミツハル「ぎゃああぁぁぁぁぁぁっ!」
アオラ「絶叫だぁーっ! ミツハルさんが絶叫したぁーっ!」
ルル「倒れましたわぁーっ!」
アオラ「そして、動かないーっ!」
ルル「いったい、なにが起こったんですのぉーっ!?」
マキネ「ブーム絶頂期、ときめきティーンズコンテストのグランプリに輝き、
芸能界デビューしたひとりの少女がいた。
スピンオフ作品に出演してみたり、ドラマやバラエティにバーター出演してみたり、
そこそこ力を入れて売り出されたものの、ぱっとしないまま消えた人になるかと思われた。
ところが2005年! SMやセミヌードをさらした写真集をひっさげ、謎の復帰をはたす!
いったい誰のハートをときめかすつもりなのかわからないこの復活劇は、
現実世界のしょっぱさをボクらに教えてくれたのであった!」
アオラ「ひどぉーい! これはひどぉーい!」
ルル「あれだけ持ち上げておいて、突如奈落に落とすだなんて、まさにワカメの所業ですわぁーっ!」
アオラ「ヴィレカイザーさんにとってコナミなど、うっかり実写版ときメモ作っちゃう会社でしかないんだぁーっ!」
ルル「実写版藤崎詩織など、フキイシカヅエさんでしかないんですわぁーっ!」
ヴィレアム「コナミコンピュータエンタテイメントなど、
このヴィレカイザーみずからウイイレを楽しんでくれるわぁーっ!」
キャクトラ「飽くこともなくツインビーをプレイしてやろうかぁーっ!?」
レラ「あい・・・・・・こと・・・ば・・・・・・」
ワァァァァァァッ!
ルル「きゃーっ! ODEによる新曲ですわぁーっ!」
アオラ「なんて絶妙なセッションなんだぁーっ!」
ルル「やはりODEは三位一体!
みそ汁に例えるならばワカメとジャガイモと玉ねぎですわぁーっ!」
アオラ「いやっ! これはもはや、ワカメとシジミとアサリだぁーっ!」
ルル「それは海産物多すぎですわアオラさまぁーっ!」
【ライブ後】
レラ「・・・・・・、・・・・・・」
キャクトラ「『べっ、べつに助けてなんていってないんだからねっ』とおっしゃっておられる」
ヴィレアム「ツンデレぶるなよ」
レラ「・・・・・・で・・・・・・な、・・・・・・た」
キャクトラ「『でも、なぜ来たんだ』と尋ねておいでだ」
ヴィレアム「なんで、なんだろうな。
俺にとってこのバンドは、わりとどうでもいい存在のはずだったんだ。なのに」
キャクトラ「やはり我ら、レラ殿のドラムがないとイマイチぱっとしません!」
ヴィレアム「卒業まで、一年と少しか。それまでバンドやってみるのも、いいのかもしれないな」
レラ「・・・・・・、・・・・・・」
キャクトラ「『
OG町のミュージックシーンを牛耳るには、長すぎる時間だ』といっておられる!」
ヴィレアム「ほんとに、そうなのかもな。
俺と、キャクトラのベースと、レラのドラムがあれば」
レラ「・・・・・・ぞっ! ・・・・・・ぞっ!」
キャクトラ「『獲んぞ! てっぺん獲んぞ!』。はっ、我ら三人、あらためて一丸となり!」
ヴィレアム「や、だからな、そこまでテンション上げられると、俺はちょっと引くっていうか」
レラ「・・・・・・ば、・・・・・・?」
キャクトラ「『そういえば、どうしてゲリラライブの時間と場所がわかったんだ?』
とレラ殿は疑問のご様子だ」
ヴィレアム「キャクトラが騒ぐし、あと、ちょっと頼まれてさ」
【路上】
フィリオ「アキナ・ナカモリ。
かつて時代を二分した大アイドルの人生は、決して平穏なものではなかった。
破局、事務所トラブル、スキャンダル、詐欺事件。
しかし、彼女は決して潰れはしなかった。
そう、アイドルとは神に愛された存在なのさ。
どんな逆境にあっても、不死鳥のように復活する。
フフ、ODEか。なかなか面白い新人が現れたものだ。
これは当分、死ねそうもない」
マキネ「フィリオさんはさ、ほんとに死ぬ気あんの?」
最終更新:2009年10月17日 14:39