ディストラ廃絶命令

30代目スレ 2009/09/28(月)

 【バランガ家 居間】
テレビ『銀河連合安全保障理事会において、
 バルマーアルマナ・ティクヴァー陛下は
 ティプラー・シリンダーを始め、ディーン・レヴ、ディス・レヴ等と呼称される
 一連の次元兵器の廃絶を宣言しました』

ディストラ「はいっ!?」

テレビ『これに対し、地球側のニブハル・ムブハル外務官は、
 宇宙で唯一ディーンの火の被害にあった星の人間として、
 アルマナ陛下の決断に深く共感し強力を惜しまないと』

ディストラ「ご主人様ぁ~!
 私、消されます! 政治的なパワーで消されようとしてます!
 次元兵器が消されたら、私はどうなっちゃうんですか!
 わたしのコクピットシート、もうご主人様のお尻のカタチになっちゃってりゅのにぃ~!」
クォヴレー「もうこの世界では大きな戦争が起きそうな気配もないし、
 大きすぎる力は捨てていった方がいいだろう」
ディストラ「うぁ~ん! おなじです!
 お仕えに上がったばかりの私に、『なんか怪しいから封印しとけ』って言い放って
 軽やかに量産型νガンダムなんかに乗り始めたときと、
 ご主人様はなにも変わっちゃいません!」

クォヴレー「心配するな。その件なら、昨日アルマナからメールで伝えられている」
ディストラ「メール交換してるんですか! その口ぶりは、わりと日常的にメールしてますね!」
クォヴレー「お前のことは、アルマナの方から手を打ってもらっている」
ディストラ「え~、そりゃあ助かるんならありがたいことですけどもぉ、
 私的にはぁ、なんていうかぁ、恋敵から塩送られたっていうかぁ。
 きゃっ、恋敵っていうのは違うんですよ、言葉の綾っていうか願望っていうか」

 ガラッ

キャリコ「お邪魔しまーす。どうしたクォヴレー、
 急に量子波動エンジン1基まわして欲しいなんて」
クォヴレー「ああ、アルマナが次元絡みの兵器は撤廃したいというから」
キャリコ「なるほど、それで、そこの元ヴァルク・ベンちゃんを元のヴァルク・ベンに戻すってことか」
ディストラ「エンジンですよねえ! エンジン換えるだけですよねえ!
 ここからいきなりヴァルク・ベンまでバージョンダウンするって、
 人型機動兵器的にかなりプライド傷つくんですけども!」

クォヴレー「ヴァルク・ベンも悪い機体ではなかった」
キャリコ「だよなあ、カスタムの幅とかけっこう広いし」
クォヴレー「大した調整もなしに飛び乗っても動いてくれる信頼性の高さがいい」
キャリコ「あ、今さあ、ヴァルク・ベン好きでツーリングサークル作ってるんだけど、お前もどう?」
ディストラ「クルマ好きのオッサン同士みたいな会話してるーっ!」

キャリコ「でもさ、この子をヴァルク・ベンまでデチューンすることは決まってるとしても」
ディストラ「決まってません。デチューン前提で話を進めないでください」
キャリコ「その間タイムダイバーの仕事はどうするんだ?
 休むんなら、ちょうど来週サークルで磐梯山ツーリングするんだけど」
ディストラ「どんだけツーリングしたいんですか!」
クォヴレー「問題ない。代わりは手配済みだ。じきに届く」

 ずうぅぅぅぅぅぅぅん

ディストラ「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!」
キャリコ「お~、量産型νガンダムだ」
ヴィレアム「これは大変いい機体だった。
 攻守共にバランスが取れ、なによりも出力が安定している」
ディストラ「わぁぁぁ~ん! なんですか、それは!
 攻守のバランスはともかく、出力の安定しなさっぷりでは定評がある私へのあてつけですか!
 騙されちゃダメです、そのコは怖い機動兵器です。
 核融合炉積んでるんですよ! 青っぽい機体色して、飛んだ人類を焼く憎しみの火ですよ!」
キャリコ「なに? ヴァルク16号ちゃんは量産型νガンダムにトラウマでもあるの?」
ディストラ「ヴァルク・ベン呼ばわりをやめてください!」
キャリコ「量産型νガンダムのエンジンもさあ、新型のエコ量子波動エンジンに換えちゃえば?
 今だったらエコポイント付くし」
クォヴレー「エコポイントか」
ディストラ「エコポイントがそんなに重要ですか、私よりも!」

 【バランガ家 台所】
ディストラ(フー、フー、落ち着きましょう、落ち着くのよディストラ。
 落ち着いて、負の無限力を輪廻させるのよ。
 ディス・レヴを外されれば、機動兵器として破格の戦闘能力を失う。
 無力で、男性の腕力に抗うことの出来ないただの女になるのよ。
 よし、いいわよディストラ。気分が明るくなってきた。
 私はメイド、ただのメイドになるの。
 朝はご主人様にお茶をお出しして、お昼のためにお弁当をお渡しして、
 ご帰宅までに美味しい晩ご飯をたっぷり用意しておくの。
 そして夜は、この身を尽くして精一杯のご奉仕をして差し上げるのよ。
 いったい、なんの不満があるっていうの?
 そう、さしあたっては・・・・・・!)

ゼオラ「あら、ディストラさん、どうしたの?」
ディストラ「えっ、そのぅ、晩ご飯の準備をしちゃったりなんか」
ゼオラ「あらあら、そんなのいいのに。
 私がやるから、ディストラさんは居間でテレビでも観ていて」
ディストラ「いえっ、お世話になってるのに、そんなわけには。
 それに、そのぅ、私、メイドですし」
ゼオラ「でも、いつも並行世界のお仕事で疲れてるでしょう」
ディストラ「疲れてません。まったく疲れてません! ですから居間には」
ゼオラ「ディストラさん」

ディストラ(ハッ! これは、この、ゼオラさんの目は!
 主婦だ! 台所は主婦の戦場、余人が立ち入ることを許さないと宣言する主婦の目だ!
 私は、立ち入ってはいけない領域に足を踏み入れてしまった!)
ゼオラ「ディストラさん?」
ディストラ「申し訳ありません、私、わたし!」
ゼオラ「ディストラさぁ~ん?」

ゼラド「あれ、お姉ちゃんが出てったみたいだけど」
ゼオラ「うん、料理しようとしてたみたいなんだけど、
 またまな板ごと切られちゃ敵わないと思って止めたのよ。
 なんだか思い詰めてたみたいだし、悪いこといっちゃったかしら」

 【学校】
ディストラ(ネガティブになっちゃダメよディストラ。
 いま出来ないことは、明日できればいい!
 だって私は自分を信じているもの! 
 自分を信じて『夢』を追いかけていれば、夢はいつか叶うもの!
 だからジェグナンさんのところに紅茶を教わりに行ったんだし、
 でも考えてみたらその前に『竜巻亭』をやんわり追い出されたし。
 そうよ、練習、練習よ。
 多くを積み重ねる、筋力を、疾さを、持久力を、経験を!
 すべては、メイドの務めを果たすため・・・・・・っ!)

 【翌日 学校】
ゼラド「え~! 調理実習、中止なんですかぁ?」
ラミア「ああ、なんだかわからないが、調理室が空間ごとすっぽり消滅していてな」
ルアフ「こんな事件があっちゃ、例の次元兵器撤廃法案は早めに制定されちゃいそうだねえ」

ゼラド「お姉ちゃん、昨日帰ってこなかったけど、どこ行っちゃったんだろう?」

 【ヘルモーズ】
アルマナ「まったく、私がたまたま、公務を割いて深夜の校舎を徘徊し、
 日々ルナが生活している場の空気や、ルナが日々座っている椅子の匂いが香っていなければ、
 どうなっていたことか」
ディストラ「深夜にたまたまいったいなにをしていたのかはさておき、ご迷惑をおかしました、ぐすっ」
アルマナ「なにを泣いているんですか?」
ディストラ「だって、だって、次元兵器が撤廃でアルマナ様がチェンジチェンジで、
 私はビーフストロガノフ作ろうとしたら調理室を消滅させるようなダメな機動メイドで」
アルマナ「なぜよりにもよってビーフストロガノフをチョイスしたのかはともかく、
 ディストラさん、私はべつに、あなたを政治的に消そうと思って次元兵器撤廃を宣言したわけではありません」
ディストラ「だってだって、ご主人様はアルマナ様はメールのやりとりを。
 おそらく引くくらいのデコメびっしりで」
アルマナ「クォヴレーが意外にデコメを駆使してくる点はともかく、
 我がバルマーは復興当初、ほかに売るものがなかったため、
 仕方なくディーン・レヴの劣化版を量産して各国家に売っていました。
 ところがそれが、いつの間にか国家間の緊張を産み出す原因になってしまったのです。
 私の目的は、不要な緊張を捨て去り、より友愛に満ちた銀河連邦を構築するためです。
 どこの国家にも所属していないあなたをどうこうする権利など持ち合わせていません」

ディストラ「そんな、申し訳ありません。私、アルマナ様のそんな深いお考えもわからず」
アルマナ「あなたには、引き続きクォヴレーに仕えてもらいます」
ディストラ「はい! この身の全性能をかけて!」
アルマナ「具体的には、機体色が微妙なオレンジ色で、
 ツイン・ホイール・バスターが必殺技な状態で」
ディストラ「それ、ヴァルク・ベンじゃないですか!」

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最終更新:2009年10月17日 14:40
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