23代目スレ 2008/03/26(水)
【道ばた】
もっそもっそもっそ
イングレッタ「あら」
ユウカ「ジャージの上からウェディングドレスを羽織るなんて、
なかなかパンクなファッションなのね」
イングレッタ「魔法にかけられて、ウラヤスから追放されてきたのよ」
ユウカ「なら、サイクロップスを捨てて離婚弁護士をハントしないと」
イングレッタ「あいにく、ミュージカルは趣味じゃないの」
ユウカ「それでウラヤスからパージされたのね」
イングレッタ「あなたは、いつも凝った服装をしているのね」
ユウカ「パンクとはファッションよ。
サウンドで定義づけようとするとあまりにもアバウトだから、
カリスマのシドからして作曲はしても演奏はしないようなひとだったから、
なにがパンクかといえば生き様そのものを指すしかないのよ」
イングレッタ「その、全身からジャラジャラぶら下がっているチェーンは、武器にでも使うの」
ユウカ「ノン、これは、やけに傷付きやすいハートを守るための、そういわばメイル」
イングレッタ「あなたも、戦っているのね」
ユウカ「そう、リアルと、そしてライフと」
イングレッタ「難儀なものね」
【ブティック】
ユウカ「チェック柄のミニスカートにロングティーシャツ、
足元はショートブーツにして。
サイズは、あたしより少し大きめがいいでしょう」
イングレッタ「スカートは少し気に入った」
ユウカ「ノン、動かないで」
イングレッタ「なぜ耳に氷嚢をあてるの」
ユウカ「大丈夫。あたし、ピアススタジオで働いてたことある」
イングレッタ「そうね。どうせすぐ埋まるだろうけど、一度くらいあけてみるのいいかもね」
ユウカ「アウッツ!」
イングレッタ「どうかしたの」
ユウカ「重い・・・、ピアスガン持ったとたん、急に肩が重くなった。
ノン、この感覚、非科学的な」
イングレッタ「ほどほどにしておきなさい」
【マンション】
ミツハル「ふぁ~、おや、イングレッタさん、いらしてたんですか。
連絡してくだされば一席設けるのに。
あ、でも僕はいま、徹夜明けでグッタリ来てるので、ちょっと日を改めていただけませんか」
イングレッタ「わらしべ長者という話を知っている?」
ミツハル「ええと、物々交換を繰り返して、一本の藁を家だか蔵だかにするおとぎ話ですよね。
それがなにか」
イングレッタ「この服を、もっといいものと交換しなさい」
ミツハル「珍しく血飛沫飛んでるようなティーシャツ着てると思ったら、それもらい物なんですか。
しかしですねえ、ご覧の通りここは男のひとり暮らしでして。
申し訳ありませんが、やはり日を改めて」
イングレッタ「なら、このクローゼットはなに」
ミツハル「あっ、いけません、いけません! そのクローゼットは!
なんであっさり鍵があいちゃうんですか!」
イングレッタ「あるじゃない、いろいろと」
ミツハル「それは! それはカンベンしてください!
そのグリッターサンダルはチアリーダーのジェニファーの!
そのカットソーは銀行員のアイクちゃんの!
そのネックレスはスポーツインストラクターのツバサちゃんの!
そのパディントンはチャンジャ屋のヨナちゃんのぉ!」
イングレッタ「一途なのか気が多いのか、はっきりしなさい」
ミツハル「真剣でしたよ! ひとりひとりに対して、僕は常に真剣でしたよ!
真剣だったのに、真剣だったのにっ!」
イングレッタ「自業自得としかいいようがないわね」
ミツハル「イングレッタさん! 目にもとまらぬスピードで着替えたその装いは・・・!
紐緒さん! 僕の紐緒さんだ! 紐緒さん、いまこそ世界をーっ!」
イングレッタ「わたしは紐緒さんじゃないし、紐緒さんもあなたのものじゃない」
ドカッ
イングレッタ「じゃ、もらっていくわよ」
ミツハル「あーあ、そういえば紐緒さんもミラさんもすでに年下かぁ。
思えば遠くに来たものだなぁ」
【雑居ビル】
イングレッタ「交換なさい」
マーズ「来るトコ間違ってんじゃねーの?
マーズピンクだったらドーゲンザカのほー行かねーと」
イングレッタ「そうね」
マーズ「あー、待って待って。女モンなら、ねーこともねーのよ。
えっとね、えっとね!
エプロンでしょ! 割烹着でしょ! 三角巾でしょ!」
イングレッタ「ごめんなさい。
そんなに目をキラキラ輝かされても、わたしはあなたの期待に応えることはできない」
マーズ「えー」
【マンション】
イングレッタ「交換なさい」
レタス「ほぼ初対面だと思うのですが、なんですかそのふてぶてしさは」
イングレッタ「わらしべ長者というおとぎ話があって」
レタス「そうはいわれましても、
わたくしの部屋はご覧の通り、パンストと下剤が大量にあるばかりで」
イングレッタ「気味の悪い部屋ね」
レタス「アクセサリーの類でも、よろしくて?」
イングレッタ「構わないけれど」
レタス「では、お手を拝借」
イングレッタ「50円玉? たしかに穴はあいてるし、わたしの指は細いけど、
そんなものが通るわけがない」
レタス「通りましてよ」
イングレッタ「あら」
レタス「さらに、一瞬手をかざして。はい、指輪に早変わり」
イングレッタ「50円玉の外縁部にリングがはめてあったのね。
コインを指に押しつけるように見せかけて、リングだけをはめた。
さらに手をかざしているうちに台座に宝石をはめて、
あたかもコインが指輪に早変わりしたように見せかけているのね」
レタス「マジックの種は、わかっても黙っておくのがマナーでしてよ」
イングレッタ「マジック用だけあって、デザインがちゃちね」
レタス「そうはいわれましても、困りましたわね。
あとは、わたくしがコロニーの学校に通っていたころの制服ぐらいしか」
イングレッタ「それでいい」
レタス「いいのですの? いっておきますが、かなりダサめの制服でしてよ?」
イングレッタ「構わない」
レタス「好みのよくわからないお方ですのね」
最終更新:2009年10月17日 14:43