ミズル中学校入学前夜


25代目スレ 2008/09/08(月)

 【ミズル中学校入学前夜】
ミズル「学ランだ学ランだ~。
 ねえ、裏側にドラゴンの刺繍とかしていい?」
デスピニス「いけませんよ、ミズルさん」
ラウル「ミズル、ちょっとこっち来て座りなさい」
ミズル「え、なに? すでに裏ボタンを全部金バッヂ風に変えたことについてのお説教?」
ラウル「そんな地味な制服改造については父さんなにもいわないから。
 なあミズル、お前も明日から中学生だ。
 ついては、我が家の秘密を教えておこうと思う」
ミズル「フィオナ叔母さんは、実は父さんの姉じゃなくて妹だったこと?」
ラウル「いや、それはべつに秘密にしてないから。
 なあ、うちは親戚っていったらフィオナのとこくらいで、妙に少ないだろ?」
ミズル「戦争で全員亡くなったんでしょ?」
ラウル「まあ、そう話してたけど、本当は違うんだよ」
ミズル「フィオナ叔母さんがおっぱいないから勘当されたの?」
ラウル「そんなことで勘当なんかされないから」
ミズル「じゃあなんで縁切られたの?」
ラウル「縁切られた前提で話をしないでくれ。
 なあ、うちで使ってるネオ・エクサランスだけど、
 ネオって付いてるからにはプロトタイプがあるはずだぐらい考えたことあるだろ」
ミズル「ううん、べつに」
ラウル「考えてくれよ。絵もいいけど、もう少し稼業に興味持ってくれよ」
ミズル「なんとなくカッコいいからネオって付けてるだけだって、フィオナ叔母さんがいってたよ」
ラウル「たしかにそう説明してたけど、本当はあるんだよ、プロトタイプが」
ミズル「ねえ、学ランのウェストのとこ、ちょっと詰めていい?」
ラウル「もうちょっと興味持ってくれよ。
 その、オリジナルのエクサランスなんだけどな、時流エンジンっていう特殊な動力を積んでて」
ミズル「磁流って、なんだか肩こりに効きそうだね」
ラウル「磁力じゃなくて、時間の流れをエネルギーにする動力でな。
 おれのおやじ、つまりお前のおじいちゃんが基礎理論を作って
 ラージが完成させたんだけど、たまにタイムマシンとして作用することがあったんだよ」
ミズル「へえ~。じゃ、父さんたちはほんとは平安時代のひとかなにかなの?」
ラウル「なんで過去から来たことになってるんだ。
 そうじゃなくてな、父さんたちの場合、なぜか異次元を渡って来ちゃって」

 ガタガタガタガタ
ラウル「おい、どうした?」
ミズル「父さん、うち、倒産するの?」
ラウル「いや、しないよ? 儲かってはいないけど、家族で食べてく分には充分だよ?」
ミズル「だって、だって、善人すぎて人間味が感じられないってご近所でも評判の父さんが」
ラウル「父さん、近所でそんなふうにいわれてたのか?」
ミズル「そんなこというなんて、
 なんかもう、これから『さあ異次元に帰ろう』とかいって、クスリどっぱー入れたグラス出しそうな事情があるとしか」
ラウル「そんな状況には追い込まれてないよ?」
ミズル「ぐすっ、ぐすっ、父さん、家計が苦しいなら、おれ進学なんかしなくていいよ。
 駅前で似顔絵でも描いて家計助けるよ」
ラウル「そんな悲壮な決意かためてくれなくていいから!」
ミズル「だってそんなタイムマシンとか、父さんおかしくなっちゃったとか」
ラウル「済まなかった! ウソ! ウソだから!
 お前があんまり中学入学で浮かれてるから、父さんちょっとからかっただけなんだ!」
ミズル「なぁんだ。父さん冗談下手なんだから、ヘンなこといわないでよ」
ミズホ「じゃあ、制服はあんまり改造しないで入学式に行くのよ?」
ミズル「は・・・・・・?」
ミズル「ねえミズル、あなたはどうしてお母さんの顔見るたびに5秒くらい『誰だっけ』みたいな顔するの?」

ラウル「どうしよう、全然信じてくれない。
 小学校で『うちの両親は異次元から来たんだ』なんて言い出したらイジメにあうと思って黙ってたのが不味かったかな」
デスピニス「べつに時流エンジンのことを知らなくても死にはしないし、
 どちらかというと知らない方が安全ですから、あのままでいいのじゃないでしょうか」
ラウル「デスピニスのことは単なる戦災孤児だと思ってるらしいしなあ」
ミズホ「それより、あの子の中でわたしはどういう位置づけなのかしら」

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最終更新:2009年10月17日 14:46
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