ハーレム騎士志望


28代目スレ 2009/03/27(金)

 【フューリー月面共和国 官邸】
シャナ=ミア「まぁまぁ、あのちっちゃかったルナ姫が、大きくなったこと」
ルナ「母上が急遽ギャンドラー対策会議に出席することになりまして、
 代理に参上しましたご無礼をお許しください」
シャナ=ミア「子供がそのようなことを気にするものではありませんよ。
 克夜、克夜、おふたりを控え室までご案内してさしあげなさい」
克夜「は」

 【控え室】
克夜「やあ、マクレディ君、久しぶりだね」
キャクトラ「たしか、紫雲克夜さん」
ルナ「いつの間にか見なくなったと思っておったら、月にいたのか」
克夜「そうなんだ。あの日、ヤツらは突然やってきて」
キャクトラ「涙?」
ルナ「何を泣いておる」
克夜「ティクヴァー姫、ついてはお願いがあるのですが」
ルナ「なんだ」
克夜「僕を召し抱えてはいただけないでしょうか」
キャクトラ「紫雲さん! 突然なにを言い出すのです!」
克夜「待ってくれマクレディ君! 勘違いして欲しくはない!
 痩せても枯れても紫雲家長子! 姫と名の付くものに毛先ほどの興味もない!」
ルナ「毛先ほども!?」
キャクトラ「それはそれで無礼な!」
克夜「一週間ほどしたら、
 『妾はもう飽きたのじゃ』とかいって放逐してくれればいいんです」
ルナ「なにがしたいのだ」
克夜「僕はですね、とにかくもう、この月面都市から逃げ出したいんです」
ルナ「フューリーは概ね平和な自治をしておると聞いておるが」
キャクトラ「なにか問題でも?」
克夜「痩せても枯れても紫雲家長子、
 スパロボ史上もっともギャルゲといわれた男を父に持って生まれてきたからには、
 お父さんに負けない、立派なハーレムを築かねばならないと考えています!」
ルナ「捨ててしまえ、そんな義務感は」
キャクトラ「紫雲さん、そういうのは、騎士道不覚悟などにならないのですか?」
紫雲「騎士とは! 大いに決闘し、大いに議論し、大いに御婦人と恋をする!
 僕のバイブル『三銃士』にもそう書いてあります!」
キャクトラ「『三銃士』に書いてあるのなら仕方がない!」
ルナ「それは、フランスの相当ろくでもない時代の騎士道ではないか」
克夜「でも、ここ月面都市でハーレムを作るのは至難の業!
 絶望的といってもいい」

キャクトラ「なにか問題でも?」
克夜「うちのお父さんの幼馴染みでありながら、
 幼馴染みだった過去をキレイさっぱり忘れられていて、
 あれ、それ全然馴染んでなかったんじゃないかといわれる、
 スパロボ史上もっとも意味のない一枚絵こと、
 フューリー月面共和国代表シャナ=ミア様が、
 『近頃ますますお父上に似てきましたわね』とかいって、
 僕のことを女の目で見てくるんだ!」
キャクトラ「それはまた」
克夜「いかにぱっと見は若いとはいえ、
 お父さんの幼馴染みはやっぱり幼馴染み。
 オールドミスは年を経るほどオールドミス。
 手の甲に浮かび上がった血管や、首筋の皮膚のたるみを見るに付け、年齢を感じずにはいられない!
 痩せても枯れても紫雲家長子! おばさんは無理だ!
 マクレディ君、君も男として生を受けたからにはわかるだろう!」
キャクトラ「申し訳ありませんが、外交上の問題でコメントは控えさせていただきます」
克夜「一度は地球に逃れたものの、フューリア聖騎士団精鋭部隊の手によって強制送還され、
 棋士修業の名目で半軟禁の毎日なんだ。
 このまま正式な騎士の位でも授かろうものなら、
 僕の青春はこの暗く冷たい月面都市に閉じこめられてしまう。
 お父さんを越えるハーレムを作るなんて夢のまた夢!」
ルナ「いいから月におれ」
克夜「あの年老いた姫君の慰み者になれというんですか!」
ルナ「そこまで大事にされているなら、
 私がいったくらいでシャナ=ミア代表はお主を手放さぬだろう」
克夜「それじゃあ、僕のハーレム願望はどうなります!」
ルナ「捨ててしまえ」

???「私にいい考えがある」
キャクトラ「あなたは!」
克夜「我が師アル=ヴァン!」
アル=ヴァン「我が愛弟子克夜よ、早速だが1万円ほど貸してくれないか」
克夜「我が師アル=ヴァン、おろし金で顔を洗ってきてください」
アル=ヴァン「騎士は国家の財産。
 そうおいそれと受け渡しのできるものではない」
克夜「そんな殺生な!」
アル=ヴァン「しかし、ひとつだけ手がないでもない」
克夜「というと!」
アル=ヴァン「デュエロだ!」
克夜「おお! 姫君と姫君互いの騎士を戦わせ、
 勝った方が負けた方の騎士を引き取ることが出来るという儀式ですね!
 上流階級のしがらみで雁字搦めの人生を送る姫君にとって、デュエロはただひとつ手に入れられる自由!
 ゆえにその決定にはいかなる姫君も逆らうことが出来ないという、あの!」
キャクトラ「そこまで熟知しているのなら、なぜ自分で思いつかなかったのです」
克夜「では、デュエロでマクレディ君が僕に勝てばよいのですね!」
キャクトラ「お待ちください! 紫雲さん、あなたは騎士でありながら八百長をしろというのですか!」
克夜「痩せても枯れても紫雲家長子!
 ハーレムも作れずに月面都市で灰色に痩せて枯れていくことに比べれば、
 一度の負けの屈辱くらい甘んじて受けようではないか!」
キャクトラ「なんと堂々たる態度でハーレム願望を語る方でしょう!」
ルナ「一応、いうだけはいってみるが、私ははっきりいってまったく乗り気ではないぞ」

 【会談の間】
シャナ=ミア「は、デュエロを?」
ルナ「はあ、名高いフューリア聖騎士団と、こちらのキャクトラとで。
 あの、気が進まないのなら断っていただいて結構なのですが」
シャナ=ミア「いいでしょう。わたくしも久しぶりに克夜の勇ましい姿を見たいものです」
ルナ「あの、ほんと、無理には」
シャナ=ミア「勝負は剣術でよろしいですわね?
 では克夜、武具の準備をしていらっしゃい」
克夜「は」

ルナ「あのぅ、ほんの余興で、その、騎士のやり取りであるとか、そういうのは」
シャナ=ミア「まあ、ルナ姫。デュエロの決定に逆らうのはわたくしの名誉に関わります。
 克夜は年若く、いまだ准騎士とはいえ、次代のフューリーを担う猛者。
 負けるつもりはまったくありませんわよ」
ルナ「いや、あの」
シャナ=ミア「騎士キャクトラ、あなたも正々堂々と戦いなさい」
キャクトラ「あの、私はまだ正式な親衛隊では」
 コソッ
シャナ=ミア(ただし、あなたが勝つようなことがあれば
 バルマーからの人造トロニウムの輸入は差し止めますわよ)ボソッ
キャクトラ「なっ!? シャナ=ミア殿! いまなんと!」
シャナ=ミア「誰か、誰か。騎士キャクトラに武具の世話をしてさしあげなさい」

 【控え室】
キャクトラ「私は、いったいどうしたら」
ルナ「そう難しく考えることはあるまい。
 克夜はああいっておったが、シャナ=ミア殿も克夜に危害を加えようというわけでなし。
 大方、単に大事にされているだけのことを大袈裟に考えているだけだろう」
キャクトラ「しかし、私が勝ってしまった場合、人造トロニウムの輸入が!」
ルナ「では、お主は負けるつもりなのか?」
キャクトラ「バルマーの利益を考えるのなら」
ルナ「負ければどうなるのかは、わかっておるのか」
キャクトラ「私めがフューリーに下れば済むまでの話」
ルナ「お主は、それでよいのか!」
キャクトラ「バルマーのことを考えれば」
ルナ「たわけっ!」
キャクトラ「はっ!」
ルナ「お主のことなど知らぬ!
 私は外に出ておるから、さっさと武具を着けてしまえ!」

 【決闘状】
シャナ=ミア「では、両者開始線へ」
キャクトラ「は」
シャナ=ミア「克夜、必勝を祈願して接吻を授けましょう、こちらへ」
克夜「もったいのうございます」
シャナ=ミア「遠慮することはありません、さ、これへ」
克夜「いや、ほんと、あの、もったいないので」
シャナ=ミア「恥ずかしがることはないでしょう」ぐいぐい
克夜「我が師アル=ヴァン! 5000円払いますから!」
アル=ヴァン「両者、開始線へ!」
シャナ=ミア「あん、急ぐことはないのに」

アル=ヴァン「では、開始!」

 チャリーン! チャリーン!
キャクトラ(しかし、私はどうすればよいのか)
克夜「どうしたマクレディ君、剣先が鈍っているぞ」
キャクトラ(復興中のバルマーにとって、フューリーは重要な貿易相手!
 機嫌を損ねるわけにはいかない!
 しかし負ければ、私は姫さまの元を去らねばならない!)
克夜「痩せても枯れても紫雲家長子!
 幼心に『月謝1万5000円は高いなあ』と思いながら、
 新聞配達などしながら一生懸命我が師アル=ヴァンより剣術の指南を受けてきた!」
キャクトラ(搾取されている! この方、幼少時より搾取されておられる!)
克夜「ただし、やはり小学生に1万5000円の月謝は高かった。
 この克夜、手加減のやり方ばかりは自信がない」

 チャリーン!
キャクトラ「くっ、剣が!」
克夜「残念だマクレディ君。どうやら、君では僕を負かすことはできないらしい」

 チャリーン!
克夜「かくなる上は、一蓮托生。
 君を負かし、灰色の月面都市への道連れにしようか。
 なに、そう悲観することはないよ。
 僕には、大食らいな妹がふたりいる。
 ひょっとしたら、君は妹たちの気に入るかもしれない」
キャクトラ(くっ! 負ける? 負けるのか、私は!)
克夜「剣を拾いたまえ。せめて、恥ずかしくない勝負をしようじゃないか」

ルナ「キャクトラーっ!」

キャクトラ「姫さま!」
ルナ「わっ、私はお主の負ける様など見たくない!」

キャクトラ(キャクトラ・マクレディ
 お前は何者だ! 姫さまに仕えるものだ!
 ここで負ければ、姫さまの元を離れねばならない!
 それでよいのか!)

キャクトラ「姫さま!」
ルナ「な、なんだ」
キャクトラ「すべては、姫さまの御心のままに!」

 チャリーン!

アル=ヴァン「勝負あり!」

 【宇宙港】
シャナ=ミア「なにをしているのです、騎士キャクトラ。
 頭をお上げなさい」
キャクトラ「しかし、ご無礼をば」
シャナ=ミア「なにをいっているのですか?
 真剣勝負の結果に、無礼もなにもないでしょう」
キャクトラ「あの、貿易の件なのですが」
シャナ=ミア「ほほほほ。生真面目な従者をお持ちですのね、ルナ姫。
 代表とはいってもつまるところは営業部長のようなもの。
 その一存で外交をどうにかする権限などあるわけがないではないですか」
キャクトラ「では、なぜあのようなことを」
シャナ=ミア「少し妬ましくなっただけです。
 ルナ姫、わたくしも、あのような騎士が欲しくありました」
ルナ「シャナ=ミア殿」
キャクトラ「あのぅ、それで、紫雲さんのことは」
シャナ=ミア「克夜もまだ17歳。いつまでも暗い月面都市にいるわけにもいかないでしょう。
 克夜、地球に行っていらっしゃい。
 そして、逞しくなって戻っていらっしゃい」
克夜「は、シャナ=ミア・エテルナ・フューラ代表閣下。
 この克夜、地球に骨を埋める覚悟で」
シャナ=ミア「逞しくなって戻っていらっしゃい」
克夜「地球に骨を埋める覚悟で」

アル=ヴァン「さ、乗りなさい。私が地球まで送っていってあげよう」
克夜「我が師アル=ヴァン」
アル=ヴァン「我が愛弟子克夜よ、タクシー代に3万5000円払ってくれ」
克夜「我が師アル=ヴァン。砂漠でラクダに逃げられてください」

 【宇宙船の中】
克夜「さらば月面! さらば年季の入ったオールドミス!
 妹たちよ! 兄は頑丈な嫁を2、3人作って戻ってこよう!」
ルナ「この者は、今すぐ宇宙に蹴り出した方がよいのかもしれぬ」
克夜「ルナ姫、それは名案であります。
 そもそもの始まりはお母さんたちがロボットに乗ってお父さんたちの目の前に落ちてきたことから。
 なれば、痩せても枯れても紫雲家長子!
 いままた、燃えさかる宇宙船に乗って、
 父親が残した財産で細々と暮らしている御婦人宅の庭先に落下していくことを、
 どうして恐れましょうか!」
ルナ「ひとりで勝手に落ちろ」
キャクトラ「あのぅ、紫雲さん。
 紫雲家は、いつ痩せたり枯れたりしたのですか」
克夜「紫雲家というか、うちのお父さんは朝が来るたびに痩せて枯れてる」
キャクトラ「ああ、なるほど」

アル=ヴァン「ふふふ、我が愛弟子克夜よ、楽しみにしているぞ。
 お前が、地球で痛い女に引っかかって痛い目に遭うことをな!」
克夜「我が師アル=ヴァン。心霊スポットで淫らなことをしてください。
 開始5秒でジェイソンの標的になってください」
キャクトラ「あなた方の師弟関係がよくわかりません」

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最終更新:2009年10月17日 14:51
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