ラキアの涙


28代目スレ 2009/03/04(水)

コンコン ガチャ
ラキア「まだ・・・起きてる?」
ラッシュ「姉さんか。どうした?」
ラキア「シュバルツバルトさんもう来ないんだね」
ラッシュ「何言ってんだよ?明日には来るよ。イグニス伯父さんも言ってただろ伯父さんは・・・」
ラキア「相変わらずウソが下手なんだから、小さい頃から変わらないね、ラッシュは。
 くだらない悪戯をしてウソをついて誤魔化そうとして、すぐにバレてお母さんに怒られて、シュバルツバルトさんに慰められてた。
 あの頃とぜんぜん変わってない」
ラッシュ「・・・」
ラキア「なんとなくそんな気してたんだ。来ないんじゃないかって。
 あの人にもう会えないんじゃないかって」
ラッシュ「姉さん・・・」
ラキア「私ね、シュバルツバルトさんのこと好きだったんだ」
ラッシュ「オレだって伯父さんのことは・・・」
ラキア「一人の男の人として好きだったんだ。
 小さい頃体が弱くてベットの上から見える窓の景色が私の世界のすべてだった。
 世界がそれだけじゃないって教えてくれたのがシュバルツバルトさんだった。
 ベットの上であの人の見てきた色んな世界の話を聞くのが大好きだった。
 元気になったら連れていってあげるって私の頭をクシャクシャになでるあの人の大きな手が好きだった。
 高校生になって色々あって元気になって約束通り一緒に世界を見て回った。
 いつの間にか恋してた」
ラッシュ「姉さん・・・」
ラキア「マイクル・ゼーバッハ」
ラッシュ「え?」
ラキア「あの人の本当の名前。
 一週間ぐらい前、いつもみたいにふらっと南極に帰ってきたの。
 その時にね、教えてくれたの。
 それだけ告げて去っていこうとするあの人を私は呼び止めたの。
 そのまま行かしちゃうと、もう会えない気がして。
 それで抱きついてキスをして好きだって告白したの」
ラッシュ「・・・」
ラキア「優しく私の手を振りほどいてあの人は行っちゃった。
 初めてのキスだったんだ、でもフられちゃった」

その日オレたち姉弟は夜が明けるまで伯父さんとの思い出を語りあった。

オレはクォブレーさんと戦うことを決めた。

真龍が聞いたら怒るだろうけど、初めてのキスの味をオレは覚えていない。
オレが薄情な人間だからなのか、キス以上のことをその後いっぱいしたからなのかはわからない。

仇討ちとは違うと思う。そういう感傷からじゃあないと思う。
今やっておかないと一生前に進めないような気がするから戦う。

姉さんの初めてのキスの味は焦げた肉の味で、伯父さんはもういない。

オレは姉さんにクォブレーさんと戦うことを告げ、OG町に戻った。
姉さんは何も言わなかった。


ルサイケがナヴィアちゃんのお店にバイトに行く途中、クォブレーさんにボコボコにされているラッシュくんを見た。

ルサイケの住む町の男の子はだいだい高校生ぐらいになるとタイムダイバーに挑むようになる。
ビアンのおっちゃんは「つーかぎれー」だと言う。
メカギルギルガンおじいちゃんは「はしかみたいなもの」だと言う。

ラッシュくんはルサイケのいっこ下の後輩だ。
ラッシュくんはゼラドちゃんの弟といっしょにドウジンシを作っている。
年二回は出番があるルサイケにはとてもうらやましい設定持ちだ。
ラッシュくんはこの町の高校生には珍しい彼女持ちで非ドーテーだ。

ラッシュくんはクォブレーさんにボコボコにされた。
この町の男の子はタイムダイバーに挑むけどそのために体をきたえたり、格闘技を習ったりはしない。
だからタイムダイバーにボコボコにされる。

殴り合ってもお腹がすくだけでそんなことをする奴はバカだとルサイケは思う。
でも、真龍ちゃんに肩をかりて立つ顔をはらしたラッシュくんはすごくいい顔をしていた。

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最終更新:2009年10月17日 14:55
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