18代目スレ 2007/08/17(金)
山中
キャクトラ「友よ釣れたか友よ」
ヴィレアム「・・・いや」
キャクトラ「友よ早くするのだ友よ。
せっかくのイワシカレーにイワシが入る前に冷めてしまうではないか」
ヴィレアム「イワシ入れようとしてたのかよッ!?
いいか、川にイワシは泳いでないんだ!」
キャクトラ「地球ではそうなのか」
ヴィレアム「
バルマーではどうなんだよ!?」
レラ「・・・・・・さっ・・・・・・あ・・・・・・の・・・・・・?」
キャクトラ「『さっき雨が降ったからではないのか?』
ええ、そうですね。なにしろひどい雨でしたから。
地震もありましたし、魚は川底に逃げているのかも」
ヴィレアム「なあ、なんでレラを連れてきたんだ?
ここまで登ってるくるのにほとんどお前におぶさってきたし、
今だって雨が上がったばっかりだっていうのに日射病寸前じゃないか」
キャクトラ「友よなにをいうのだ友よ。
バンドにはチームワークが重要なのではないか。
なのに友と来たらいまだにレラ殿とろくに会話もできない様子だから」
ヴィレアム「会話できてるお前の方がおかしいんだよ」
レラ「・・・・・・・・・・・・」
キャクトラ「さあ、早く魚を釣るのだ、友よ」
ヴィレアム「おい! いま、レラがなんかいっただろ!
お前、都合のいいとこだけ通訳してないか!?」
ヴィレアム「あ~あ、しかし、釣れないなあ」
ゼラド『川が増水してて危ないから離れた方がいいよ』
ヴィレアム「うん、そうかもしれない。
え、あれ? ゼラド?」
ゼラド『うん、ゼラドだよ』
ヴィレアム「なんでこんなところに。
あれ? 妙に目線の位置が高いような」
ヴィレアム「ぎゃああぁぁぁぁぁぁっ!」
キャクトラ「友よどうした友よ。
大声を出してもカレーは完成しないぞ」
ヴィレアム「足が! ゼラドの足が!」
キャクトラ「『ゼラドの足なら日に百回はチラ見してるのに、
この上まだ幻覚を見るのか』
まったく、レラ殿のいうとおりだぞ友よ」
レラ「・・・・・・・・・・・・!」
ヴィレアム「おい! レラはほんとにそんなこといってるのか!?
もの凄い勢いで首ぶんぶん振ってるじゃないか!
お前、通訳の名を借りて好き勝手なこといってないか!?」
キャクトラ「異なことばかりいう友だ」
ヴィレアム「ないんだよ、ゼラドの足が!」
ゼラド『あ、キャクトラくん、レラちゃんも』
キャクトラ「友よなにをいっているのだ友よ」
ヴィレアム「見えてないのか!?」
レラ「・・・・・・の・・・・・・い」
キャクトラ「レラ殿も『そんなものは見えない』とおっしゃっている。
レラ殿に見えないものが私に見えるはずがないだろう」
ヴィレアム「そんな、なんで」
キャクトラ「友よ、ちゃんと帽子をかぶっていないから白昼夢など見るのだ」
レラ「・・・・・・むぎ・・・・・・い」
キャクトラ「『お前麦わら帽子をかぶると田舎の純朴な青年みたいだな』ですか?
ははは、そんなに似合っていますか」
ヴィレアム「和むな! 白昼夢なんかじゃない、ゼラドは、たしかにここに!」
ゼラド『ねぇ~、川辺は危ないから、離れた方がいいよぉ~』
キャクトラ「すると、足のないゼラド殿がこの周囲を漂っているというのか?」
レラ「・・・・・・・・・の・・・」
キャクトラ「『いいにくいことだが、
ゼラドはすでに死んでいて幽霊がさまよっているのではないのか』
レラ殿はこういっておられるが」
ゼラド『えぇ~、わたし、死んじゃってるのぉ~?』
ヴィレアム「でも、幽霊だっていうなら俺に見えてレラに見えないなんておかしくないか!?」
レラ「・・・・・・・・・」
キャクトラ「『ゼラドはなにかいっていないか』
レラ殿はこう尋ねておられます」
ヴィレアム「ああ、さっきから、『川から離れろ』って」
レラ「・・・・・・・・・」
キャクトラ「『ゼラドは増水した川に落ちて水死してしまったのかもしれない』
なるほど」
ゼラド『ねえ~、わたし、ほんとに死んでるのぉ!?』
ヴィレアム「そんな結論をあっさり出すな!」
ゼラド『えぇ~っと、よく覚えてないんだよねえ。
気が付いたら山の中にいて、ヴィレアムくんたちを探さなくちゃって思ってたの』
ヴィレアム「よし、こういうときはハザリアに・・・。ダメだ。圏外になってる」
キャクトラ「たとえ繋がっても役には立たないだろう。
ただでさえ炎天下だというのに、雨が上がったばかりの、この不快指数。
あの方が外に出たがるはずがない」
ヴィレアム「クソッ、あのモヤシッ子め!」
レラ「・・・・・・・・・なら・・・・・・い・・・・・・」
キャクトラ「『水死して幽霊がさまよっているなら、死体を見つけて供養しないと、
ゼラドはこのまま成仏できない』
なるほど、それは無惨なことです」
ヴィレアム「すでに死んでる方向で話を進めようとするなぁっ!」
キャクトラ「とにかく、川を調べてみよう」
ゼラド『えぇっ! 川はダメだよ!
なんでかわかんないけど、近づいちゃダメなような気がするの!』
ヴィレアム「近づくなっていってる」
レラ「・・・・・・が・・・・・・い・・・・・・・・・る」
キャクトラ「『逆らわない方がいい。下手なショックを与えると悪霊化するおそれがある』
レラ殿はこういっておられるが」
ヴィレアム「なら、いったん街に降りよう!
そうすれば、ゼラドがどうなってるのかわかるだろ」
キャクトラ「いや、待て。それでは」
ヴィレアム「まだなにかあるのか」
キャクトラ「カレーはどうするのだ」
ヴィレアム「持ってけばいいだろッ!」
山道
キャクトラ「さ、レラ殿。お気をたしかに。
下りは転びやすいですから、お気を付けて。
私? 私はダメですよ。カレー鍋を持っていますから、おぶってはあげられません」
レラ「・・・・・・り・・・・・・か・・・・・・」
ヴィレアム「なあ、よくわかんないけど、レラは
『私よりカレーが大事なのか』って抗議してないか」
キャクトラ「ははは。友はまだまだレラ殿検定の修行が甘い」
ヴィレアム「いつの間にそんな検定が発生しちゃってるんだよ!」
ゼラド『でも意外だなあ。キャクトラくんといるのはいつものことだけど、
ヴィレアムくん、レラちゃんとも仲良かったんだ』
ヴィレアム「いや、その、いろいろあるんだよ」
キャクトラ「友よ、あれを」
ヴィレアム「山崩れ? さっきの雨でか。
クソ、道がふさがってる。仕方がない、迂回しよう」
キャクトラ「悪路を歩くと、カレーがこぼれないか心配だ」
ヴィレアム「捨てちゃえよ、そのカレー」
キャクトラ「友は私になにをいうのか!?」
山道
ヴィレアム「ゼラド、道がぬかるんでるから、気を付けろ」
ゼラド『大丈夫だよ。わたし、足ないし』
ヴィレアム「・・・あ、・・・うん」
ゼラド『ひかないでよぉ~』
キャクトラ「友よ、端から見ていると大変不審だぞ。
おや、なんですレラ殿。裾を引っ張ってはいけませんよ。
カレーがこぼれてしまうではないですか」
レラ「・・・・・・・・・!」
キャクトラ「は? 熊ですか? ええ、この状況で熊になど出られたら」
ガサッ
ヴィレアム「熊だぁーッ!」
ゼラド『あ~、そいえばトロンベさんとこで熊料理出してたっけ。
ここで獲ってたんだぁ』
ヴィレアム「舌なめずりをするなゼラドッ! 逃げるんだ!」
ダダダダダダッ
レラ「・・・ハァ、・・・・・・ハァッ」
キャクトラ「レラ殿! 無理をなされてはいけません!
死んだフリです! 死んだフリをするのです!
私はカレーを死守いたしますから!」
レラ「・・・・・・! ・・・・・・!」
ヴィレアム「おい! よくわかんないけど、レラは猛抗議してないか!?」
キャクトラ「ははは。友もやるではないか。
レラ殿検定3級レベルだ!」
ヴィレアム「なんでお前試験官になっちゃってるんだよ!?」
ゼラド『ヴィレアムくん、レラちゃんと確実に仲良くなってきてるね!』
ヴィレアム「ああもう! あっちもこっちも!」
道路
ヴィレアム「よし、街が見えたぞ」
キャクトラ「カレーもいい具合に熟してきている」
ヴィレアム「カレーのことはどうでもいい。
あれ、ゼラド? どこへ行った、ゼラド?」
キャクトラ「友よ、あれを!」
ゴゴゴゴゴ・・・・・・
ヴィレアム「
ディス・アストラナガン!? 久保さんか」
クォヴレー「・・・いたか。ゼラドのいうとおりだな」
ヴィレアム「ゼラド? 久保さんもゼラドに会ったのか!?」
クォヴレー「歯を食いしばれ」
ヴィレアム「え、あ?」
ドゴッ
病院
キャクトラ「つまり、我々が山に入った直後、川にドラゴノサウルスが出たと。
我々が地震だと思ったのは、ドラゴノサウルスが暴れたものだったのですね」
レラ「・・・・・・は・・・・・・が・・・・・・」
キャクトラ「ゼラド殿は山に入った我々を捜そうとして、増水した川に流されてしまった。
クォヴレー殿に救助されて命に別状はなかったものの、意識不明に陥っていた。
それが、突然目を覚まし、我々の居場所を口にしたと」
レラ「・・・・・・は・・・・・・か・・・・・・」
キャクトラ「『ヴィレアムが見たと主張していたゼラドは、
生き霊のようなものだったのかもしれない』ですか。なるほど」
レラ「・・・・・・んで・・・・・・だけ・・・・・・」
キャクトラ「『でも、なぜヴィレアムにだけゼラド殿が見えたのか』ですか?
はて、それはちょっと、わかりませんが・・・」
ルナ「キャクトラー! この馬鹿者!
雨だというのに山になど入りおって! どれだけ」
キャクトラ「姫様!? なぜそのようなお顔を?
あぁ、レラ殿、どこに行かれるのですか、レラ殿!」
ルナ「この、バカ者ーっ!」
レラ「・・・・・・ばー・・・か」
最終更新:2009年11月14日 10:49