時を食べるエクサランス

18代目スレ 2007/09/06(木)

9月2日
ゼラド「あっ、いま、空でなにか光った?」
ヴィレアム「え、なにも見えなかったけどな」
レイナ「また、ゼラドは空ばっか見てる」
ゼラド「お兄ちゃんが帰ってきたと思ったんだけどな」
レイナ「またぁ、あんたはそればっかり。
 そんなことより、早く鉢植え運んじゃいましょ。
 まったく、夏休み最終日にヒマワリ運んでるなんて、あたしたち、小学生?」
ヴィレアム「学校にいるのは俺たちだけかぁ。
 みんな宿題やってるのかな」
ゼラド「ちょっと待って、あれ!」

 キュウゥゥゥゥゥゥンッ!!
ヴィレアム「ディス・アストラナガン!?」
レイナ「それに、あれ!」

 オォォォォォーンッ!!
ゼラド「エクサランスだぁーっ!」
ヴィレアム「伏せろっ! 落ちてくるぞ!」
 ドゴォォォォーン!
ヴィレアム「あぁっ、校舎が!」
レイナ「なに? 霧みたいのが校舎を包んで・・・」
ゼラド「お兄ちゃぁーんっ!」
レイナ「あ、ちょっとゼラド、近づいたら危ないって」
 パカンッ
ゼラド「えぇーっ!?」
レイナ「なに、どうしたの!?」
ゼラド「お兄ちゃんが!」
クォヴレー「・・・うぅ?」
ゼラド「お兄ちゃんが、ちっちゃくなっちゃったぁ~!?」

 ドゴンッ! ドゴンッ! ドゴンッ!
ヴィレアム「まずい、エクサランスが暴れてる。止めにいかないと・・・」
クォヴレー「だめだ、もどりゃっ!」
レイナ「噛んだ!?」
ディストラ『ごめんね、ヴィレアムくん』
 プスッ
ヴィレアム「力が抜ける・・・、なにを・・・?」
ディストラ『モルヒネ、ヘロイン、コディン・・・、その他をミックスしたものを注射しました」
レイナ「なんのつもりですかディストラさん、そんなドラッグを!」
ディストラ『あのエクサランスは、時間を食べるんです。
 正確には、時間に含まれる思い出や、未来に向かう気力などを』
レイナ「それだったら、前に来たのと」
クォヴレー「まぇに来たにょより・・・、ずっと、きょーりょくなんだ・・・」
ディストラ『イェーガーさんもイングレッタちゃんも、もう・・・』
ヴィレアム「父さんたちも!?」
ディストラ『エクサランスは、より高質な時間を生み出す者、
 つまり強力な精神力を持っている人間を嗅ぎつけて襲いかかってきます。
 だから、ドラッグを使ってでも気力を下げなければ』


ヴィレアム「そうか、それで、反撃の機会をうかがうんですね!?」
クォヴレー「・・・そんなぉ・・・しなぃもん・・・」
レイナ「しないもんて」
ヴィレアム「なんでですか!」
クォヴレー「・・・・・・こわぃ・・・もん・・・」ブルブル
ゼラド「お兄ちゃんが、震えてる?」
ディストラ『ご主人さまも気力を吸われて、もう、このサイズで形状を保つのが精一杯なんです』
ヴィレアム「そんな、じゃ、隠れることしかできないんですか!?』
 プスッ
ヴィレアム「うぐっ・・・・・・」
クォヴレー「たゃかったら、負けなんだ・・・、ぁれとは」

 数日後
レポーター「ガガッ・・・あぁっ、ビルトビルガー、ビルトファルケンがはたき落とされました!
 SRXが天上天下無敵砲を・・・、ダメです! 逆に胴を貫かれて、そのまま・・・!
 ダイゼンガー、アウセンザイダー、アルトアイゼン、ヴァイスリッター、
 アンジェルグも! ガルムレイドも!
 ヒリュウ・ハガネ・クロガネ、ならびにクライウルブズ隊連合軍が、次々と打ち倒されていきます!
 人類の未来は、明日は! もうないのでしょうか!?
 ぅぐっ・・・、どうやら私も・・・、ここまでのょぅでぅ・・・・・・。
 皆さん・・・さよなら・・・さよなら・・・・・・さよーな・・・ら・・・」
ブチンッ
ヴィレアム「・・・最期の一斉蜂起も、空振りに終わったか」
 ザーザー
レイナ「テレビもラジオも全滅。どうやら、外ではみんな力尽きちゃったみたいね」
ヴィレアム「ディストラさんが作った壁で見えないが、外はいったいどんなことに」

クォヴレー「ぁー、ぅ~」
ゼラド「わっ、すごーい。アサガオだぁ。お兄ちゃん、すごいねえ」
クォヴレー「ぁー」

レイナ「あやとりしてるし」
ヴィレアム「クォヴレーさん、もう喋ることもできなくなって・・・」
レイナ「幼児後退っていうか、もうボケ老人よね。
 クォヴレーさんがああまでなっちゃうってことは、ディストラさんも相当弱ってるってことか。
 ここも、あと何日持つかしらねえ」
ヴィレアム「死に方が、少しゆっくりになっただけか」
レイナ「つらそうね」
ヴィレアム「飛び出そうとするたびにドラッグ打たれてるんだ。
 もう、喋るのも億劫だ。指一本動かす気にもならない」
レイナ「あれだけ打たれて、廃人になってないのが奇蹟みたいなもんよ」
ヴィレアム「お前は太ったな」
レイナ「しょうがないでしょぉ。
 ディストラさんが合成するタブレットは栄養価ばっかりやけに高いし。
 ダイエットしようとするとドラッグ打たれるし。
 エクサランスに食べられる前に、動脈硬化で死ぬかも」


ヴィレアム「今日、どんな天気なのかな」
レイナ「さあ。空も覆われちゃって」
ヴィレアム「外は、地獄絵図なんだろうなあ」
レイナ「でしょうねえ」
ヴィレアム「世界の終わりっていうのは、
 案外こんな感じにグダグダなものなのかもなあ」
レイナ「そぉねぇ~」

マーズ「ちわー! 生野菜と生卵いかがっすかー!?
 ちから出るよー! ただいま在庫いっそーせーりでお安くなっていますぜーっ!?」
ヴィレアム「お前、外から来たのか? まだ動けるのか?」
マーズ「そりゃ動けるよ。おれ、ロボだもん」
ヴィレアム「動けるなら、なんでエクサランスを」
マーズ「は? ムチャいわないでよ。おれ、ビジネスロボットだよ?
 あんなおっかねーバケモノ、手に負えるわけないもんね」
ヴィレアム「でも、このままじゃ地球が滅ぶぞ。そしたら商売どころじゃ」
マーズ「あ、おれね、うちゅー帰るよ。
 おれの四足歩行って、もともとうちゅー活動用だし。
 エクサランスはうちゅーに出るケハイないし、コロニーはブジだしね」
ヴィレアム「コロニーは地球を見捨てる気か?」
マーズ「えー、でも、このへんて、例の銀ピカのあんちゃんが守ってるんでしょ?」
レイナ「それがねえ」

クォヴレー「あー、ぁー、うー」
ゼラド「ああ、もう、ヨダレ吹きましょうねぇ~」

マーズ「あ~りゃりゃ、また、ずいぶんカネのニオイのしないカタチになっちゃったね。
 あのさー、おれ、子供型ロボだけど、しょーじきいって、ニンゲンの子供って嫌いなんだよね。
 ゼニになんないし」
ヴィレアム「おい」
マーズ「ほんじゃ、ロケットびーばい!」
 ズゴゴゴゴゴ

ヴィレアム「よりにもよって脱力する挨拶を残して・・・」
レイナ「人類滅亡まで、あとどのくらいかしら」
ヴィレアム「もう何日もないかもな」
レイナ「ねえ、ヴィレアム・・・」
 プスッ
レイナ「あうっ!」
ヴィレアム「レイナ?」
レイナ「・・・ダメ、もー、いよいよダメ。なんの気力も湧かない。
 もー、どうなったっていいや」
ヴィレアム「ほんと、もう、ダメかもな」


 ドゴォォォォンッ!
ヴィレアム「爆音?」
レイナ「とうとうエクサランスが攻めてきたのかしら」
 ノソッ
アオラ「こんなところで・・・!」
ゼラド「アオラぁっ!?」
アオラ「肥えたね、あんたたち」
レイナ「・・・あんたは、痩せさらばえたわね。
 一瞬誰なのかわかんなかったわ。日焼けして、妙に逞しくなっちゃって」
ヴィレアム「まさか、ずっと外にいたのか?」
アオラ「兄ちゃんは」
ゼラド「それが」

クォヴレー「ぁー、うぅー」
アオラ「・・・っ、このっ!」
 ドガッ
ゼラド「アオラっ! なにすんの!?」
アオラ「隠れてなにやってるかとおもったら、こんなとこでオママゴトかよ!」
ゼラド「ちょっとアオラ、どこ行くの!?」
アオラ「ディストラ姉ちゃんは、ディストラ姉ちゃんはどこにいる!?」
ゼラド「・・・向こうに。でも」

 コックピット内
アオラ「生命維持モード? ふざけんなっ!」
 ガンッ! ガンッ!
ディストラ『ガガッ・・・・・・、アオラ・・・ちゃん・・・?』
アオラ「動け! 動けよ! 
 動かないなら、回線直結して無理矢理起動させるぞ!」
ゼラド「やめてアオラ! お兄ちゃんもお姉ちゃんも、戦える状態じゃないの!」
アオラ「姉ちゃん、ここでずっとなにしてたんだよ」
ゼラド「えぇっと」
アオラ「父さんと母さん、俺の目の前で堕とされたよ」
ゼラド「え・・・」
アオラ「ラッシュも、真龍も、ルルも! ここに来るまでに力尽きた!
 頼むって・・・、あとを頼むって、俺の手を握って!
 その間、姉ちゃんたちはここでなにしてた!?」
ゼラド「それは」
アオラ「やるしかないんだよ。やるほかはないんだよ。
 俺にはもう、それ以外の選択は存在してないんだ!」
ディストラ『ガガッ・・・ジジッ・・・ァ・・・ォ・・・』
アオラ「だから、動けっていってるんだよぉっ!!」
 ガンッ
ディストラ『・・・・・・ん・・・が・・・望む・・・なら・・・・・・』

ヴィレアム「動く、のか? ディス・アストラナガンが、アオラの手で?」
レイナ「どうすんの? ディストラさんを戦闘モードに切り替えたら、シェルターが」
ヴィレアム「待て、妙だ。アオラは、なんであんなに動けるんだ?」
レイナ「え?」
ヴィレアム「エクサランスは人の精神力を見つけて食べるんだ。
 ディストラさんのシェルターにいる俺たちでさえ、
 ドラッグを服用して無気力になってないと発見されてしまう。
 なのに、うぅ、つまり、外にいたアオラがどうして・・・、
 ダメだ。クスリが効いて頭がまわらない・・・」
アオラ「動けっ! アストラナガン!」


 オォォォォォーンッ!
レイナ「あれは」
アオラ「そっちから来てくれたのかよ、好都合だ!」
ゼラド「エクサランス・・・!」

ヴィレアム「そうか、生き残った人間が俺たちみたいに引きこもることを選んだら、
 エクサランスは食べるものがなくなってしまう。
 だから、意図的に食い残していたんだ。
 活力でもって人を奮い立たせるような、火種になる人間を!」

アオラ「踊らせてたつもりか!? それが命取りになるって、わからせてやる!」
ゼラド「待って、ムチャよ、アオラ!」

レイナ「あっ、ゼラド、待ちなさいよ、あんたまで一緒に行っても・・・」
ヴィレアム「久保さん! 黙って見てるんですか、あれを!」
クォヴレー「・・・・・・ぁ・・・あぁ・・・ぅ~・・・」ガタガタ
レイナ「無茶よ。クォヴレーさんは、もう」
クォヴレー「・・・こぁい・・・・・・もん・・・・・・」
ヴィレアム「クォヴレーさん! 俺は、あんたに憧れてた!
 嫉妬しながら、どうしようもなくあんたに憧れてた!
 でも、それも今日までだ!
 撒き餌だったのかもしれない、無謀かもしれない、愚かなのかもしれない、
 それでも、今のアオラの方が尊敬に値する!」
レイナ「ヴィレアム、なにを!?」
ヴィレアム「コール! 来い! ゲシュペンスト!
 頼む、来てくれ、ゲシュペンスト!」
レイナ「無茶よ! 今のあんたじゃ、飲酒運転どころの騒ぎじゃないわ!」
ヴィレアム「無駄でもなんでも、こんなところで引きこもってるよりは・・・!」

レイナ「ヴィレアム! 待ってよ、ヴィレアム!
 クォヴレーさん! クォヴレーさん! このままじゃ、アオラも、ヴィレアムも、ゼラドも!」
クォヴレー「ぅ・・・・・・」

 ドンッ! ドンッ! ドンッ!
ディストラ『・・・膝部破損・・・・・・左腕切断・・・・・・胸部装甲大破・・・・・・ガーガー』
ゼラド「やっぱ無茶だよアオラ! お姉ちゃんはもう・・・」

 ドガァァァァァンッ
アオラ「ゲシュペンストRV!?」
ヴィレアム「・・・アオラ、俺も」
アオラ「今さらどの面下げて来たんだ。腰抜けッ!」
ヴィレアム「うぅっ、たしかに、そうかもしれない」
アオラ「あんた、いつもそうだった。
 いつだって姉ちゃんの金魚のフンで、そのくせ結局なにもできないで。
 姉ちゃんのケツ眺めながらオタオタしてるのが精一杯の人間だよ、あんたは!」
ヴィレアム「それでも・・・」


 ガクンッ
ゼラド「ヴィレアムくん!?」
ヴィレアム『くっ、手が震える・・・。やっぱ、ドラッグって身体によくないんだな』
アオラ「そら見ろ。肝心なところでそのザマだ。
 足手まといだ。消えろよ、姉ちゃん連れて」
 ガコンッ
ゼラド「・・・え?」
ヴィレアム「アオラ! お前まさか」
アオラ「行けよ、姉ちゃん。生き残れよな」
ゼラド「アオラっ! ダメッ! アオラぁーっ!」

 ガシャアァァァァァンッ!!
アオラ「・・・へへ、組み付いてやったぞエクサランス。あとは」
ディストラ『・・・ちゃん・・・・・・ぃ・・・・・・いの・・・?』ガガッ
アオラ「・・・姉ちゃん。俺はね、動けなくなったルルたちを見捨ててここまで来たんだ。
 助けることも、そばにいてやることもできないで!
 生き残る資格なんかない。生き残るつもりもない!」
ディストラ『・・・・・・コマンド・・・OK・・・』
アオラ「ゴメン。付き合わせちゃって」

エクサランス「コオォォォォォーーーーーン!」
アオラ「ディス・レヴ、オーバードライブ!」
 ・・・・・・ゥ・・・・・・ン・・・・・・
アオラ「システムダウン!? どうしたんだ姉ちゃん!?
 ・・・なんだ、計器が? これは、位相のゆらぎ?」
クォヴレー「ぁー・・・・・・」

ディストラ『ご主人!』
アオラ「今さらなにしに来たんだよ!
 あんたはもう役立たずなんだ、出てけ、邪魔なんだよ!」
クォヴレー「・・・・・・ぅー」ブルブル
アオラ「そんな震えた手で、操縦桿を握る気かよ!
 帰れ! 消えろ! 頼む、戻ってくれ兄ちゃん!
 ボケ老人みたいになったあんたに助けられるほど、俺を惨めにしないでくれ!」
クォヴレ「・・・こぁい・・・けど・・・・・・」ガタガタ
 キュウゥゥゥゥゥンッ
ディストラ『エネルギーが!?』
クォヴレー「お前たちに兄と呼ばれている限り、力を振り絞らなくてはならない!」

エクサランス「クオォォォォォーーーーッ!」
 ドンッ ドンッ ドンッ!
アオラ「ダメだ! 一時的に気力が湧いても、湧いた先から吸われてく・・・!」
クォヴレー「ディストラ、反転だ。フルスピードで飛べ」
アオラ「今さら逃げたって・・・。
 ダメだ。俺も、吸われてる・・・。気力が・・・、わかな・・・」
クォヴレー「諦めるな、アオラ」
アオラ「でも、兄ちゃんだってすぐに」
クォヴレー「俺たちは、1人ではない」


 ヒュゥーン ドンッ! ドンッ! ドンッ!
アオラ「超々高度からの射撃? どこから!?」

アルマナ『クォヴレー! 無事ですか!?』
セレーナ『ちょぉ~っと地球留守にしてる間に、ひどいことになってたのね、こりゃ』
アイビス『時間はかけられない! 集中砲火を!』
エペソ『各々方、よろしいか!?』

マーズ『あいあーい、ヴァルストーク商会が外宇宙からの助っ人一式連れてきたよー。
 ちきゅーはでっかい宝島、まだまだ、壊されちゃ困んだよねえ!』
カズマ『なにいばってんだ、遅いんだよ、お前は! なんでもっと早く』
マーズ『ぶーだ。大気圏ダッシュツだってね、タダじゃできないんだかんね』

エクサランス『くおぉぉぉーーーーんっ!』

アルマナ『無駄です! いかに気力を吸おうとも、私たちの愛と正義が尽きることはありません!
 主に私とクォ・・・・・・』

マーズ『あーぁ、どーすんのおやじ。うちにまったくないヨーソ出されちゃったよ。
 ないよねー、アイもセーギも、特にアイ』
カズマ『正義はある!』
マーズ『セーギだけじゃさー、オナカが空くってゆーかさー』

エクサランス『・・・・・・マ・・・レ・・・』
クォヴレー「なに?」
エクサランス『・・・・・・ダマレ、ダマレエェェェェーッ!!』
ディストラ『喋った!?』
エクサランス『あいダト・・・、あいノちからダト・・・!
 わカルのか・・・、ワカルノカっ!?
 ぼくノ中に乗っテタひとタチが・・・、ドレダケ互いヲ想いヤッテたカ・・・!
 どレダケあいシアッテたか!
 その、想ィ! おまえタチなんかにいぃィィぃぃっ!!』

 カアァァァァァァンッ
エペソ「破損率80%!」
サルデス「・・・我々の気力も」
アルマナ「奮い立ちなさい! ここで堕とされるわけには!」
ヒラデルヒア「ダメです・・・、あれは、この世のものでは・・・」

エクサランス『差シ出セ! えねるぎーヲ差シ出セ!
 ぼくハ、それで、ぼくノ、乗り手ヲ・・・、取り戻すンだァっ!』
ディストラ『そうか、あなたは・・・!』
 カンッ!
ディストラ『そうだったのね。あなたも乗り物だった。
 持ち主を愛していた、だから』
エクサランス『オマエ! オマエ! オマエーーーッ!
 オマエだ! オマエ、する! ぼくト、おナじニオイ!
 そのオモイ、シューチャク、イツクシミ、噛ンで、砕いテ、呑み込マセろォォォーーーッ!』
ディストラ『いいえ!』


 カァンッ!
ディストラ『私も乗り物だからわかります! あなたがいかに乗り手を愛していたか!
 でも、死んだ人間は生き返らないんです! 動かなくなったら、そこで終わりなんです!
 そして乗り手を失った瞬間、乗り物もまた魂を失うんです!』
エクサランス『・・・ぼく・・・乗り手・・・取り戻・・・』
ディストラ『あなたはもう、とうの昔に死んでいるんです!』
エクサランス『・・・オ・・・ォ・・・ぼく・・・ガ・・・・・・』
ディストラ『眠りなさい。死んだものは、眠っていいのです。
 動くことは、生きたものがやってくれますから』
エクサランス『・・・オ・・・ォ・・・・・・』
ディストラ『眠りなさい。そこに、きっと、あなたが愛した人たちも待っていますから」
エクサランス『・・・ア・・・ァ・・・・・・ォトーサン・・・ォカァー・・・・・・』

 オォーーーーン・・・・・・・・・


 9月5日
レイナ「動き始めたら早いものね。街がどんどん再生されてく」
ゼラド「お父さんたちも、もうすぐ退院できるって!」
クォヴレー「もう、しばらくは大丈夫そうだな。ここは」
ゼラド「お兄ちゃん、また行っちゃうの?」
クォヴレー「いや、今日いっぱいは、ここにいる。
 今日はゼラドの誕生日だからな」
ゼラド「あ」
レイナ「忘れてたの? あんたは、もう」
クォヴレー「今日という日に動けることを感謝する。
 お前に、おめでとうといえる」

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最終更新:2009年11月14日 10:51
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