タカヤ~人生反転パチンコ~


30代目スレ 2009/10/28(水)

レタス「ここ最近、妙な噂を聞きますの」
タカヤ「絶対ろくな噂じゃないし。
 いま地方公務員試験の勉強中だから、あとにしてくれないかな」
レタス「あなたの手は、なんのために付いているんですの?
 リスクを恐れて動かないなんていうのは、年金と預金が頼りの老人のすることでしてよ!
 しかし、持たざるもの、若者がそれじゃ話にならないじゃない・・・・・・っ!
 若者は・・・・・・、つかみに行かないとダメなんですのよ・・・・・・!」
タカヤ「アマミユウキさんぶるなよ」
レタス「それはそうと、ここ最近ゾンボルト先輩がパチンコ屋に入り浸っているそうなんですの」

 ざわ・・・・・・っ

タカヤ「なにバカなこといってるんだ。ゼフィア先輩に限ってそんな」
レタス「わたくしだって、まさかとは思っているんですけれど」
タカヤ「ははは、いいよいいよ、行ってみよう。
 いたとしても、誰かパチンコ屋に出入りしてる生徒に注意してるだけだって」

 【パチンコパーラー】
 ざわ・・・・・・ ざわ・・・ざわ・・・・・・

ゼフィア「よし、メギロート大量発生演出に入った」
タカヤ「・・・・・・ゼフィア先輩」
ゼフィア「ム、ナンブか。少し待っていろ。
 いま第3地獄トロメアに突入するところだ」
タカヤ「なに、がっつりハマってるんですかっ!?」
ゼフィア「心配するな。俺は運否天賦で打っているわけではない。
 現在、すべて飲まれた時点での総回転数が845、
 大当たり1回分を1550個とすると、6.2k分が845/(6.2×(4+3)+1)。
 つまり1000円あたり19の回転数が見込めるわけで」
タカヤ「こんなところで無駄に理系の才能を発揮してる場合ですか!
 なにかサラッといってましたけど、いまいくら飲み込まれてるんですか!?」
ゼフィア「投資額の増減などに心揺らされてはならぬ」
タカヤ「揺らさなくちゃダメですよ、間違いなく!」
ゼフィア「計算は完璧なのだ。
 あとは、西の方向に向かって人差し指と薬指を擦り合わせ続ければ、必ず・・・・・・!」
タカヤ「わけのわかんないオカルト必勝法が出てきちゃってるじゃないですか!
 やめてください! その手を止めてください!」

 ぐにゃぁ~

ゼフィア「・・・・・・ここで、9kの追加投資」
タカヤ「負けましたよね。負けましたよね、いま!
 やめてください、なに財布出そうとしてるんですか!」
ゼフィア「止めてくれるなナンブ、もはや退路はない!」
タカヤ「パチンコ屋出ればいいだけの話です!
 レタスさん、レタスさん! 手を貸してくれ! ゼフィア先輩が明らかにおかしい!」
レタス「わたくしの細腕で、その方をどうにか出来るはずないじゃないですの」
タカヤ「ちくしょう、ペガスーっ!」

ペガスという名のラダム獣「きしゃー」
タカヤ「助かったよペガス」
レタス「まだ飼ってたんですの、そのラダム獣」
タカヤ「なんとか、ゼフィア先輩をラダム樹の中に封じ込めたよ」
レタス「素体化しますわよね?
 長時間放っておくと、ゾンボルト先輩がテックセット可能になりますわよね?」
タカヤ「でも、やっぱりおかしいよ。
 あの真面目なゼフィア先輩が、あそこまでパチンコにハマるなんて」

ハザリア「どうやらこの『ぱちんこ最終地獄ジュデッカ』、
 ただのパチンコ台ではないようだな」

 ワタシト ジュデッカニ ミイラレタラ オワリダヨ
 ちーん、じゃらじゃらじゃら

タカヤ「お前までなにやってるんだ!」
ハザリア「カネを入れ、この丸っこいのをなんとなくいじっているだけという単調な作業・・・・・・っ
 そして、パチンコ屋独特の・・・・・・騒音っ、・・・・・・淀んだ空気・・・・・・っ!
 たまに来る・・・・・・、小当たり・・・・・・、大当たり・・・・・・、・・・・・・演出!
 あふれる・・・・・・っ ドーパミン! 快楽物質! 
 奪われる・・・・・・! 正常な判断力・・・・・・っ!」

 ざわ・・・・・・!

タカヤ「それただのパチンコ依存症だろ!」
ハザリア「まあ、頭の硬い人間ほど逆にはまりやすい遊戯だ。
 俺はもう飽きた。最終地獄演出も見たしな」
レタス「ただ演出が見たいだけ・・・・・・っ!
 唾棄・・・・・・! 典型的な甘打ち・・・・・・っ!」
タカヤ「レタスさん、それもういいから」
ハザリア「まあ、ハマるべき人間がハマっているだけなのだが。
 この台は、たまたまなのか意図的なものか、妙な音を出しておるわ。
 ほれ、中央線の発車メロディを聞いていると死にたくなってくるという都市伝説があっただろう」
タカヤ「催眠効果のある音波が出てるってことか?」
ハザリア「中央線の件はあくまで都市伝説だが、
 どこぞの軍部でそのような効果をもたらす音響兵器を研究しておるという噂は聞いたことがあるな」
タカヤ「まさか、町のパチンコ屋でそんな軍事実験を・・・・・・」

 ざわっ・・・・・・

レタス「眉唾物の都市伝説はともかく、
 つまりゾンボルト先輩はカイツさんを補導に来て、
 ミイラ取りがミイラになったということですの?」
ハザリア「いや、俺の前に」

 ざわっ・・・・・・

ミスティリカ「いやぁぁぁぁぁっ! なによこの樹は!
 樹木のくせにわたしのゾンボルト先輩を陵辱するなんて!
 そんな、そんな、羨ましさにメガネ曇るじゃない!」
タカヤ「ミスティリカさん」
レタス「あなたは、たまには未成年らしい振る舞いが出来ないんですの?」
ミスティリカ「あら、レタス先輩。
 だって・・・・・・曇るじゃないですか・・・・・・、メガネ・・・・・・っ!
 こんな・・・・・・パチンコ屋なんて卑しい場所に出入りする・・・・・・卑しいわたし!
 そんなわたしを・・・・・・注意しに来たくせに・・・・・
 逆にパチンコという沼にはまり・・・・・・っ 堕落していく姿・・・・・・っ!」
タカヤ「どうやら、出ているようだな・・・・・・。
 妙な喋り方をさせる音波・・・・・・、圧倒的音波も・・・・・・っ!」

ミスティリカ「わかりましたわ、ゾンボルト先輩!
 これは、あなたがパチンコをやっている間、わたしは駐車場で茹だっていろというプレイなんですね!
 ああ、限界まで水分を搾り取られながらゾンボルト先輩を待ち続けるわたし!
 最高にメガネ曇るじゃない!」
タカヤ「ミスティリカさん、ちょっと、あの」
レタス「あの方にまっとうな判断力を期待するのは、まったく無駄な行為でしてよ」
タカヤ「レタスさんも、なんで同級生から先輩呼ばわりされてるんだ」
レタス「拒否・・・・・・、断固拒否・・・・・・っ!
 反吐にも劣る事情なんて・・・・・・、絶対に説明したくなくってよ・・・・・・!」

 ざわ・・・・・・
タカヤ「でも、なんでそんな危険な台が町のパチンコ屋に」
レタス「まさか、敵性宇宙人による草の根作戦なのでは」
ハザリア「それと関係あるかどうかはわからぬが、あそこで縛られておるのは」

 ざわ・・・・・・、ざわ・・・・・・っ

アーク「ねえ教えて・・・・・・あるがまま生きていけるなら・・・・・・、
 銀河に広がる奇蹟集めて・・・・・・、乗り越えてみたいよ・・・・・・」

タカヤ「誰も彼もなにをやってるんだ、一体」
レタス「肉体的には不死身でも、財布の中身は有限だったのですね」
ハザリア「いやいや、よく見ろ、このパチンコ屋、
 『パチンコパーラー最上』という名前ではないか」

 ざわ・・・・・・っ

タカヤ「ほんとになにをやってるんだお前は!」
アーク「俺だって、こんなことになるとは思わなかったんだよ!」
タカヤ「町中で音響兵器の実験するなんて!」
アーク「それは違ぇよ! ウチにそんな技術ねぇもの。
 俺はただ、『パチンコは儲かる、儲かったら社内の人間にもきっと認められる』
 っていわれて、パチンコ事業部設立しただけ!」
タカヤ「明らかな詐欺に引っかかってるじゃないか!」
アーク「だって、俺・・・・・・なんていうか・・・・・・わかってきちゃったんだ。
 俺みてぇな勉強もダメ運動もダメなやつが浮かび上がろうと思ったら・・・・・・
 これはもう・・・・・・どこかで一発当てるしかないって。
 でなきゃ・・・・・・風穴なんかあくもんか・・・・・・!
 スレに・・・・・・入っていけねえ・・・・・・!
 突破口だったんだよ・・・・・・、このパチンコ屋は・・・・・・、俺にとっての・・・・・・!」
タカヤ「結果、この惨状だってことはわかってるのか!」

 ガチャガチャガチャ ガチャガチャガチャ ガチャガチャガチャ

マーズ「おめーの席、ねーから!」
アーク「は?」
マーズ「じゃっ」
アーク「待て待て待てぇっ! 俺の席がねぇって、それどういう意味だ!」
マーズ「どーもこーもあるかべらぼーめ!
 パチンコなんてバカな産業に手ぇ出すボンボンに用はねーってよ!
 まったく、おれにゃーなかなかオモチャ部門寄こさねーくせに、
 くだんねー詐欺にひっかかりやがって!
 おれぁーいまから最上重工の従業員組合に掛け合って同意書をもらってくる!」
アーク「失脚か!? 俺をリアルに失脚させる気なのか!?」
マーズ「あったりめーだべらぼーめ!
 無能な経営者ほどの悪党がいるもんか、資本主義的によ!」」

 ガチャガチャガチャ ガチャガチャガチャ ガチャガチャガチャ!

アーク「タカヤ! タカヤ! このロープを外してくれ!
 でねえと・・・・・・、なくなる・・・・・・っ、俺の居場所・・・・・・っ、本当に・・・・・・っ!」
タカヤ「そもそもお前、なんで縛られてるんだ」
レタス「タカヤさん、このロープ、少しおかしくてよ」
タカヤ「なんだって?」
レタス「解けないんですの・・・・・・。
 わたくしはマジシャン・・・・・・、当然、ロープマジックは体得しております・・・・・・。
 結び方には一般人を遙かに上まわる手技を持つ、このわたくしにも・・・・・・!」

 ざわ・・・・・・  ざわ・・・・・・

???「はっはっは、当然です。
 軍隊式の捕縛術が、たかがマジシャン程度に解けるわけはないでしょう」
レタス「なんですって!?」
タカヤ「あなたは」
ハザリア「たしか、南雲裕一郎。
 反乱行為を働いてスパロボ学園の学園長を解雇された男か」

南雲「そして、あなた方はどうやら『ぱちんこ最終地獄ジュデッカ』を
 音響兵器だと思っているようですが、実際には違います。
 彼の中にあるギャンブルへの情熱を吸い取って、
 ホールに充満させる装置なんですよ」
アーク「えぇっ!? 吸われてんのぉ!? おれのギャンブルへの情熱!」

タカヤ「あなたは、自分なりの正義のために反逆を計画したって新聞に書いてありました。
 そのあなたが、どうしてこんなことを!」
南雲「私の信念は、ある一生徒によって砕かれたよ。
 スパロボバトルでなら、兵器によらない平和的な戦いが出来るとね。
 私は彼に共感し、そして彼の思想をさらに発展させた。
 そう、あらゆる人間がパチンコにハマれば、もう誰も戦争をしなくなるとね」
タカヤ「なんてダメな方向に発展させてしまったんだ!」
レタス「たしかに、戦争はなくなるかもしれませんが」
ハザリア「その前に地球の経済が破綻するな」

南雲「さあ、パチンコをやりなさい子供たち。
 存分に夢を追いかけてくれたまえ!
 私は、その姿を心から応援するものです・・・・・・!」

ハザリア「独善家め。おいナンブ、あの男、案外貴様と気が合うかもしれんぞ」
レタス「付き合うことはなくってよ、タカヤさん。
 パチンコのごときは、しょせん最終的には店側が設けるためのカネ食いマシーン。
 そこには・・・・・・ありません!
 麻雀やカードゲームにある・・・・・・駆け引きも・・・・・・、読み合いも・・・・・・っ!
 ただただ・・・・・・、単調にタマと運を使い果たしていくだけの遊戯・・・・・・っ!
 ギャンブルとしては下の下の下・・・・・・っ! そんなものに」
タカヤ「いや、そういうわけにはいかないよ」

 ざわ・・・・・・

レタス「タカヤさん!」
アーク「そうだよ! この上ギャンブル熱まで吸われちまったら、
 俺、俺、ほんとになんの取り柄もないやつになっちまうよ!」
レタス「あなたにはハナからなんの取り柄もないじゃないですの!」
アーク「ひでぇこといわれたよ!」
ハザリア「ギャンブルをやるロクデナシがギャンブルをやらないロクデナシになるだけだ」
アーク「うぅ・・・・・・、誰もが俺の心の核心を抉りに来る・・・・・・。
 世界に57億の民がいるんなら、57億の孤独があって、そのすべてが癒されないで死んでいく!
 孤独のまま・・・・・・、孤立のまま消えていく・・・・・・!
 57億の孤独!」

タカヤ「アークだけじゃない。
 ラダム樹に封印したゼフィア先輩もこのままじゃ素体化しちゃう。
 いくら今日が曇ってるっていっても、長時間駐車場のクルマの中にいたら、
 ミスティリカさんだって脱水症状で危ないことなる」
ハザリア「ラダム樹は貴様がやったのではないか」
レタス「全員自業自得もいいとこなのだから、放っておけばよいでしょう」
タカヤ「俺がそういう人間じゃないって、レタスさんは知ってるんだろ」
レタス「ウッ・・・・・・」

 ざわ・・・ ざわ・・・ ざわ・・・

タカヤ「学園長、いや元学園長か。
 勝負するよ、俺はここでパチンコを打つ。でもパチンコに飲まれたりなんかしない。
 パチンコに勝った上で、あなたへの闘争心を忘れない。
 パチンコさえあれば人間が平和になるっていうあなたの思想を、
 俺は身をもって撃ち貫く!」
ハザリア「バカな! 店主相手にパチンコ勝負を挑むなど!」
レタス「カードメーカーとカードゲーム対決をするごとき行為でしてよ、それは!」
南雲「はっはっは。思った通りだ、タカヤ・ナンブ君!」
タカヤ「俺の名を?」
南雲「軍隊時代、ナンブ中尉とはよく麻雀をしたものだ。彼は、弱かったけれどね」
タカヤ「あなたは知らなかったんですよ。
 父さんの・・・・・・勝ち方を・・・・・・っ! ベッドするに値する・・・・・・戦場を・・・・・・!」

 ざわ・・・・・・ ざわ・・・・・・
    ざわ・・・・・・

 コツ コツ コツ
タカヤ(レタスさんはいった。
 パチンコには、麻雀やポーカーみたいな駆け引きがないって。
 それは正しい。
 パチンコに勝負があるとしたら・・・・・・、それは打つ前・・・・・・っ!
 台選び! 設定の甘い台を見つけることこそが肝要!
 挑むも挑まないもない。パチンコは最初から、パチンカーと店側との勝負なんだ・・・・・・!
 店側が最終的に利益を上げるためには、客に飴を与える必要がある。
 そしてこちらは、鞭を受けずに、飴だけを噛み砕く・・・・・・っ!)

レタス「タカヤさん、これを」
タカヤ「これは?」
レタス「かっ、勘違いして欲しくなくってよ!
 最近では、大当たり回数や確率、レギュラー回数までネットで見れるのでしてよ!
 わたくしがこのサイトに入会しているのは、あくまでも自分の利益のためで・・・・・・」
タカヤ「女子高生がそんなサイトに入会してる時点でどうかと思うけど、
 ありがとう。参考にさせてもらうよ」

タカヤ(レタスさんには悪いけど、このデータは参考にしかならないな。
 結局のところ、データはデータでしかない。
 俺が勝負を受けた時点で、元学園長は設定を最悪に厳しくしている可能性が高い。
 勝てる確率は、限りなくゼロに近い・・・・・・っ。
 分が悪い! あまりにも分が悪い賭け・・・・・・っ!
 ふふ、でも、なんでだろう。
 心臓が・・・・・・っ、熱い・・・・・・っ、バーナーで焦がされているように、ヒリついてる・・・・・・っ)

 ざわ・・・・・・ ざわ・・・・・・

タカヤ「この台にするよ」
レタス「それは!」
南雲「『ぱちすろベーオウルフ』か。
 パチスロ機ならギャンブル熱の注入から逃れられると考えているなら、残念だ」
タカヤ「いや、なんか、台のデザインが気に入ったから」

レタス「思いっきりオカルト打ちじゃありませんの!」
ハザリア「ちっ、あやつの悪い癖だ。
 普段はギャンブルなど嫌いだというくせに、土壇場でギャンブラーになりおる。
 長生きはせんな」
レタス「元々、こういう陰謀系のヤマはあなたの範疇ではありませんの?」
ハザリア「俺が異星人だということを忘れたのか。
 地球のロクデナシがろくでもない遊びにハマってろくでもないことになろうと、
 俺の知ったことか。地球人の中で処理するのだな」
レタス「人でなし!」
ハザリア「それにな、俺はあやつの勝負を見るのが、なかなか嫌いではない。
 貴様もそうなのではないか?」
レタス「知りません、そんなこと・・・・・・っ!」

 ざわ・・・・・・ ざわ・・・・・・ざわ・・・

タカヤ(レタスさんのデータによれば、
 この台は売り上げが立ちやすい分、平均設定も高めに設定されてる。
 大当たりを出すなら、ハイスペック機の高設定を狙うしかない・・・・・・っ!)

 ざわ・・・・・・っ

ハザリア「すでに3時間経過か」
レタス「タカヤさん、一度も席を立っておりませんけど」
アーク「なあ! この3時間で、ひとっぱしり100均行ってハサミかなんか買ってきて、
 俺縛ってる縄切っちまうわけにはいかなかったの?」
レタス「あ」
アーク「なにその、『存在自体忘れてた』って顔!?」
ハザリア「ここまで、チャムさん当たり、M950マシンガン換装、WS版ヒートホーン演出か」
レタス「勝っているといえばいえますが、小当たりばかりですのね」
ハザリア「そんなことより、あやつは小便とか行かなくていいのか」
アーク「はいはーい! 俺、ションベン行きたぁーい!」
ハザリア「お」
アーク「なんでまた『存在自体忘れてた』って顔になるんだよ!
 数秒間で何回俺の存在忘れるんだよ!」
ハザリア「貴様がおらんで困った局面というのが、ここ半年ばかり1度もなかった」
アーク「そんなことないよぉー! 一服の清涼剤として機能するよぉー、俺!」
レタス「うざ」
アーク「ボソッとなにいってんの!? なあ、冗談抜きで頼むよ。
 急がないと、うちのオモチャ部門がいよいよあの多脚型ロボに持ってかれる!」
ハザリア「なるほど」
アーク「『その方が従業員にとって幸せなんじゃね』みたいな顔をするなぁ!」
レタス「しかし急がなければ、
 ラダム樹に取り込まれたゼフィア先輩がテックセット可能になってしまいましてよ」
ハザリア「むぅ、その前に、駐車場で蒸し焼きになっている陵辱メガネが干からびてしまうやもしれぬ」
レタス「タカヤさん! 勝負をあまり急がず、それでいて一定の時間内に勝ってくださいまし!」
アーク「俺を解放しようって気には微塵もなんねえのかよ!」

 パパパパパ
タカヤ(くっ・・・・・・、3連マシンキャノン当たり、しかもGBA演出か。
 ここまで、すべてが小当たり。
 イラつくな、こういうのは)

 ハァー ハァー ハァー

タカヤ(ダメだ。落ち着けタカヤ・ナンブ。
 店側の思うつぼ・・・・・・。
 『小当たりが続けば、いつか勝てる』・・・・・・、
 そう思わせて、ヌルヌルとパチンコを続けさせることこそが、元学園長の魂胆・・・・・・っ!
 呑まれるな・・・・・・っ!)

ハザリア「せっ・・・・・・!」
レタス「せっ・・・・・・!」
アーク「せっ・・・・・・!」

タカヤ(なんだ? みんな、なにをいってるんだ?」

アーク「っせ!」

タカヤ(『押せ』、押せだと・・・・・・?
 祭りのかけ声にも似たあれは、単なる囃子言葉ではなく、要求―――!
 押せ! 俺に、このスロットボタンを押せっていうのか!)

アーク「なにやってんだ、押せぇーっ!」
レタス「いまなら勝っているのでしてよ!」

タカヤ(そうだ、いまなら勝ってる。
 小さく勝って、勝負を切り上げる。
 仕事帰りのサラリーマンなら・・・・・・、その勝負の仕方は正解・・・・・・っ!
 でも・・・・・・っ、でも・・・・・・っ!)

 ボロッ

タカヤ(うぅっ、なんだ。突然、意味不明の涙・・・・・・。
 意味不明の涙が溢れて溜まらない・・・・・・!)

レタス「タカヤさん?」
タカヤ「・・・・・・さない」
レタス「エッ!?」
タカヤ「押さない・・・・・・! 俺は、押せても・・・・・・、押さない・・・・・・っ!」
ハザリア「なにをいっておるか、たわけぇっ!」
タカヤ「小勝ちじゃ・・・・・・、小勝ちじゃダメなんだよ・・・・・・。
 一発を・・・・・・、一発を当てない限り、パチスロで勝っても・・・・・・勝負に負けることになる・・・・・・っ!」

南雲「なんだ、失望したな。
 結局彼は、装置がばらまくギャンブラー熱に侵されているんだ」
レタス「黙りなさい!」
南雲「なっ!?」
レタス「タカヤさんが、タカヤさんがなぜ涙を流しているのか、あなたにはわかりませんの!?
 あなたの装置も、アークさんのギャンブラー熱も関係ない。
 分の悪い賭けに挑む、彼が否定し続けてきた父親の、キョウスケ・ナンブの生き様をっ!
 いままさに自分がなぞっている!
 混乱して、悔しくて、でも少しだけ嬉しくて、それであのひとは涙を流しているんですのよ!」
南雲「ナンブくん、君の息子は・・・・・・っ!」

 ざわっ!

タカヤ(自分より他人の方が自分のことわかってるって、シャクなものだな。
 ふふ、恨むよ父さん。俺は、間違いなく父さんの子みたいだ・・・・・・っ!)

 ざわっ!

アーク「来たぁっ!」
レタス「アルトアイゼンが青くなっての、リボルビング・ブレイカー演出!」
ハザリア「いや、しかし」

タカヤ(軍資金が、もうないか・・・・・・。
 ごめん父さん。俺は、土壇場でケチな男おばさんだったよ・・・・・・)

 ガッ

南雲「なっ!?」
タカヤ「レタスさん!」
レタス「この貸し、10分3割複利を付けていただきましてよ」
タカヤ「やめろレタスさん! 君までこんな勝負に乗ることはない!」
レタス「あなたの事情など、知ったことではなくってよ。
 たかがマジシャン程度と、あの男はわたくしをそう呼んだのですよ。
 黙っていられるはずが、ないじゃないですの!」

 チャララララーン

ハザリア「確変に入ったな。おい独善者。逃げる準備をした方がよいのではないか?」
南雲「はっはっは。そんな必要はない。
 彼らは、結局ギャンブル熱から逃げられなかったんだ。
 どんなに巧言を弄しても、パチスロ台の前にいる以上、真実は明白・・・・・・っ!
 どうあれ、私の勝ちと言うことだ」
ハザリア「まだわからぬか、この独善者め。
 相手のルールに乗らないのがゲーム理論の基本だ。
 そして、貴様もあやつも、等しく独善者だ。
 この勝負は、はなから勝負になっておらぬ」

 じゃらじゃらじゃら
レタス「出る・・・・・・出る・・・・・・、あぁ、いっぱい!
 法悦! ・・・・・・垂涎の至福! すぐにドル箱を・・・・・・!」
タカヤ「いや、レタスさん、耳を塞げ!」
レタス「えっ?」

タカヤ「もううんざりだこんなことはぁーっ!」

 ビリッ
南雲「ウッ!?」
タカヤ「損だ得だ、カネだ資産だ、そんな話はもうっ・・・・・・!
 そんなことを話せば話すほど・・・・・・、
 俺たち浅ましく醜く・・・・・・、はい回っている・・・・・・
 この釜の底を・・・・・・!」

 ビジッ! ビジッ! ビジッ! ビジッ!
南雲「なに、なにが起こっている!?」
タカヤ「損得に振りまわされば振りまわされるほど、
 血道を上げれば上げるほど、その互いに貶め合う仕組みを考えたヤツがほくそ笑む・・・・・・!
 悔しくないのか・・・・・・! 悔しく・・・・・・っ!」

 パンッ! パンッ! パンッ! パンッ!
南雲「バカな、装置が爆発している!
 あの子の絶叫が、そうさせているのか!?」

ハザリア「フハハハ! これが音に聞くマイクブレイカーか! いい声量だ!」
アーク「あのーっ! 俺、縛られてて耳塞げねえんだけど!
 ちょ、マジ鼓膜破れそうなんだけどぉーっ!?」

 ざわ・・・・・・

南雲「うぅっ!?」
タカヤ「ゼロ距離、穫りましたよ。ここから打ち貫かれる自信がありますか」
南雲「なるほど」
タカヤ「約束は守りましたよ。俺は、最後まであなたへの闘争心を失わなかった」
南雲「しかし、君は身体の中に巡る感情に支配されているんだ。
 そんなのじゃダメだ。なあ、そうだろう?」
タカヤ「純情なんかじゃない。争うことも、避けられないってことくらいわかってる」

 【外】
南雲「私は、ナンブ中尉との麻雀勝負で負けたことはなかったよ。
 しかし、それは、私が彼から敵とすら見なされていなかったということなのだね」
ハザリア「連絡はした。じき、スパロボ学園の人間が貴様をとっちめにくる」
南雲「そうか。彼らには、いつも迷惑をかける」
タカヤ「南雲さん。俺は、あなたの理想が全部間違ってるとも思わない。
 でも、空想ばかり描いても進めないとも思う」
南雲「それでも私は、兵器によらない戦いの方法を模索し続けるよ」
タカヤ「俺は俺で、信じていますよ。奇蹟ってあると思うから。ねえ、そうでしょう?」

タカヤ「けっこう儲かったな。
 よし、これはヘソクリにして、毎日の野菜を少しだけ豪華にしよう」
レタス「結局、あなたは男おばさんじゃなりませんの」
タカヤ「あ、レタスさん。10分3割複利だったよね」
レタス「べつに、いま返してくれなくてよくってよ」
タカヤ「待ってくれよ、そんなこといって、利息を膨らませるつもりじゃないだろうな」
レタス「そっ、その通りでしてよ!」
タカヤ「カンベンしてくれよ。払えるうちに払っておきたいんだ、俺は」
レタス「誰が、おカネで払えといったのでして?」
タカヤ「え?」
ペガスという名のラダム獣「きしゃー」

ハザリア「で、このラダム樹というのはどうすればよいのだ。
 フツーに火を放てばいいのか?」
アーク「いつまで俺を縛っとくんだよ!
 しかも、なんでラダム樹の横に移動させられてるんだよ!
 火か! 火を放つつもりか! ラダム樹もろとも俺を焼き払うつもりかぁっ!?」
ハザリア「どうせ死なんのだからいいだろう」シュボッ
アーク「ジッポーをしまえぇっ!?」

 【グレーデン家】
ミスティリカ「あぁ、もう何時間クルマの中に密閉されているのかしら。
 とうに脱水症状を起こしてるはずなのに、
 メガネもここもこんなに曇ってるわたしって、なんて最低な屑なのかしら」

ミズル「マーくーん、おれのクルマに、なんかコワいひとが乗ってるー」
マーズ「こらー! 出てこーい! 降りろー!
 ミズッちゃんのクルマにヘンな染み作ったらショーチしねーぞ!」

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最終更新:2009年12月17日 02:56
ツールボックス

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