チョコレートの材料が消えた

16代目スレ 2007/02/04

ゼラド「レイナー、チョコの材料が届いたみたいだよー!」
ゼフィア「量が多いのでうちの倉で保管しておいた。
 放課後、各自取りに来るがいい」
レイナ「あ、はーい」

ゾンボルト家
ゼフィア「・・・・・・ム?」
レイナ「どうかしたんですか?」
ゼフィア「鍵が、あかない」
ゼラド「あ、あれ見て! 窓が開いてる!」
レイナ「まさか、泥棒?」

アイミ「チョコレートの材料が盗まれたんだって?」
スレイチェル「父上のところに注文したものか」
ルアフ「兄貴、ちゃんと戸締まり確認したのかよぉ~」
スレイチェル「本当に鍵がすり替えられているのか?
 もう一度確認してみたらどうだ」
ルアフ「うむぅ~、やっぱりあかないなぁ~。
 変だな。一緒にしてある家の鍵なんかは大丈夫なのに、なんで倉の鍵だけ?」
ルアフ「さぁさぁどうするんだいレイナ。チョコレート盗難事件発生だよ?」
レイナ「どこから湧いて出た」
ルアフ「え~、だって、事件あるとこに探偵ありっていうじゃない」
レイナ「事件が起こったとたんに現れたあんたが怪しい。さっさと白状しなさい」
ルアフ「イヤイヤ、レイナは知らないんだよ。
 探偵が事件現場に居合わせるんじゃない。事件の方が探偵のいる所を選んで起こるのさ」
レイナ「やっぱあんたのせいじゃない!」
ルアフ「ぐむぅ~。とりあえず目先の事件をどうにかしようよぉ~」

ゼラド「どうしようレイナぁ。きっともうチョコレート、盗まれちゃってるよぉ」
レイナ「盗まれたとしたら、あの窓からかしら。
 でも、あの高さと大きさじゃぁ」
スレイチェル「ただの泥棒の仕業だろう。高さはロープを遣えばどうにでもなるし、
 大きさの件は、たまたま体格が小柄だったか、仲間内の小柄な人間を共犯に使ったか」
レイナ「いいえ。たしかにただ盗むだけなら、誰にでも犯行は可能よ。
 でも、今日ここにチョコレートの材料があることを知っていた人間はどれだけいるの?
 先輩、普段この倉に価値のあるものでも置いていましたか?」
ゼフィア「いや、せいぜい冷凍したマシンセルを置いていた程度だ」

レイナ「最後に倉の戸締まりを確認したのは」
ゼフィア「今朝、学校に行く前だが」
レイナ「ここにチョコレートがあることを知っている人は?」
アイミ「昨日、わたしたちが晩ご飯を食べてるときにトロンベの人が配達に来たから」
イルス「あたしやアイミ、それにゾンボルト家の人間は全員知ってるはずだよ」
ゼラド「あたしは放課後に先輩から聞いたんだけど」
ルアフ「ふぅむ。なるほど。犯人はここにチョコレートがあることを知っていた。
 さらにあの窓の大きさを考えると、かなり小柄な人物ということになるね。
 少なくともレイナにはムリだねぇ。あっはっはっは」
レイナ「うるさい! でも、となると」
アイミ「なに?」
イルス「おいおいぃ~。あたしたちを疑っているのかぁ?」
レイナ「イエ。おそらく、アイミやイルス先輩に疑惑を向けることこそが、犯人の狙いなのよ」
ゼラド「それって?」
レイナ「ただ盗むだけなら、鍵をすり替える必要なんかないわ。
 いいえ、そもそも鍵はすり替えられてなんかいない。これはゼフィア先輩による自作自演なのよ!」

ゼフィア「なんだと、俺がなぜ、そんなことをすると」
レイナ「ゼフィア先輩は常々、風紀委員として校内にチョコレートが持ち込まれることを面白く思っていなかった。
 そこへ来て今年は自分の家の倉がチョコレートの置き場所にされたものだから、
 チョコレートが盗まれたことにして、バレンタインの妨害を謀ったのよ」
イルス「おいおい兄貴~。ヒドいことするなぁ~」
ゼフィア「バカな。鍵は本当にすり替わっていて」
レイナ「鍵はいつもどこに置いていたんですか?」
ゼフィア「いつもの習慣で右のポケットの中に入れていたが」
レイナ「盗まれた覚えは?」
ゼフィア「そんな隙を見せた覚えはない!」
レイナ「だったらますます、犯行はゼフィア先輩にしか不可能になる・・・!」

ゼラド「えぇと、レイナぁ」
レイナ「は、なによ!?」
ゼラド「そのぉ、犯人、わかっちゃったんだけど」
レイナ「申し訳なさそうにいわないでよ! 逆に傷つくから!」

ゼラド「まず、みんなの証言が全部本当のことだったって考えるの」
レイナ「ゼフィア先輩がいった、鍵はすり替わっていないっていうこと?
 そんなの、犯人なら偽証するのが当たり前じゃない」
ゼラド「鍵に触ったのがゼフィア先輩だけだっていうなら、それでも成り立つけどぉ」
イルス「あたしも確認したなっ」
ゼラド「でも、ゼフィア先輩から鍵をスリ取れる人なんか、ほとんどいないでしょ?
 それこそよっぽど動揺してるときじゃないと。
 そうすると、ゼフィア先輩が最初に倉の扉を開こうとした時点では、
 鍵もすり替わっていなければ、鍵がかけられてもいなかったということにならない?」
レイナ「そんなバカなこと!」
ゼラド「まず扉を内側から押さえつけて密室だと思わせといて、
 動揺が起こったところを見計らって窓から倉庫を抜け出して、
 こっそりゼフィア先輩の鍵をすり替えておいたんだよ、きっと」
レイナ「なるほど、それなら誰にでも犯行は可能になるわね」
ゼラド「それはそうなんだけど。
 ねぇ、読書感想文を書くときに、登場人物の気持ちになってみなさいって教わったでしょ?
 だからわたし、犯人の気持ちになってみたんだけど。
 そうするとね、『鍵がすり替わってるってみんなが信じてる』っていうことを、
 この目で見ないと不安で仕方がなくなるんだよ」
レイナ「じゃ、まさか」
ゼラド「もう一度確認してみたらっていわずには」
スレイチェル「もういい、ゼラド。
 友に疑惑の目が向かい始めたときから、名乗り出ようと思っていたところだ」

ゼフィア「スレイチェル、なぜお前が」
スレイチェル「友よ、お前に性別イグニションの気持ちはわかるまい。
 私はな、バレンタインデーが嫌いなのだ。
 あぁ、たしかに私はチョコレートを渡せるし、受け取れる。
 しかし私は性別イグニションだ。どこまでいっても、本当の意味でバレンタインデーに参加することはできない。
 そうだ。私は憎い! バレンタインデーが憎いのだ!」
ゼラド「立ってください、スレイチェル先輩」
スレイチェル「フフ。銀河警察にでも突き出すか」
ゼラド「ううん。チョコレートの作り方を教えてください。それが罰です」
スレイチェル「残酷だな、ゼラド」
ゼラド「先輩のチョコレート、わたしは好きですよ」

ルアフ「性別イグニションの悲劇、か」
レイナ「本人の気持ち次第でどうとでもなる問題だと思うけど」
ルアフ「ゾウリムシには性別がたくさんあるらしいよ?」
レイナ「そのトリビアが、なんの救いになるっていうのよ」

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最終更新:2010年01月18日 03:34
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