ルルの幼少時

16代目スレ 200/02/11

 幼い頃は病弱でして、しょっちゅう伏せっていたものです。
 兄が外に遊びに出ている間、私はといえば家の中で天井を睨んで退屈をしのいでいるば
かりでした。

「また寝ているのか。まったく母上方も忙しいというのに、
 貴様はとんだお荷物だな」

 全体私の兄という人物は傲慢な性格で、幼い頃よりおおよそ優しい言葉というものをか
けてもらった覚えがありません。

「兄上は外で遊んでいればよいでしょう。私などに構うことはないのです」
「気に食わんな。自分はいつ死んでも構わんという口調だ」
「いっそ早く召されれば楽になれると思うことはあります」
「不快だ」

 吐き捨てるような口調は、兄の癖でした。

「叔父上のことを知っているか。感情を廃して生きることを宿命付けられていた叔父上は、
 一頃毎日のように死ぬことを考えていたそうだ。
 それでも生き続けていたのは、我々の父上がいたかだら。
 同じ遺伝子を持ちながら感情豊かに育つ父上を横目に、
 いつ、どうやって殺してやろうと算段を立てているうちに、自殺のことなどふいと忘れ
てしまったそうだ。
 憎悪が叔父上の命を繋げたというのだから、わからないものだろう。
 貴様も、いっそ誰かを憎めばどうだ。案外病気のことなどコロリと忘れてしまうかもし
れん。
 そうだな。さしあたって、近場にいるこの兄でも憎んでみるがいい」

 ええ、その通りです。
 その日以来私は兄の暗殺計画を立てることに没頭するようになり、いつの間にやら病の
ことなど忘れてしまいました。
 結果的には、兄のいうとおりになったわけですわね。
 は? 兄のことでございますか。ええ、それはもう私は兄想いの妹でありますから、今
もあのときの言葉には忠実に従っておりますとも。
 は、まあ嫌ですわ。感謝など、そんな。

「とりあえず、そこで埋まってるハザリア先輩を掘り起こしてもいいかい?
 うちの庭で死なれちゃ迷惑なんだよ」

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最終更新:2010年01月18日 03:37
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