16代目スレ 2007/03/17
イェーガー家
ルル「ヴィレアム様ヴィレアム様、ちょっとよろしいかしら?」
ヴィレアム「ハザリアの妹か。珍しいな」
ルル「実は、兄は私をボアザン貴族と政略結婚させるつもりのようでして、
私とアオラ様の仲を引き裂こうとしているのです」
ヴィレアム「引き裂くもなにも、なにも始まってないと思うけどな」
ルル「ついてはお願いがあるのですが・・・」
ガラッ
ハザリア「うぉーい、邪魔するぞ」
ヴィレアム「なんだよ。今チューニング中なんだ」
ハザリア「そろそろルルめの政略結婚の準備に入らねばならん。
ついてはバランガの弟が邪魔なのだが、まだ実力行使でどうこうするほどの段階ではないと見た。
そこで、ルルめがバランガ弟の嫌いなタイプであると吹き込むことにしたのだ!」
ヴィレアム「なんて底意地の悪いことをするんだ、お前は」
ハザリア「貴様、長いことバランガ家の隣で暮らしているのだから、
バランガ弟の好みくらい知っているだろう。
ひとつ教えてはくれないか」
ヴィレアム「ま、俺もアオラのことは赤ん坊のころから知っているからな。
そうだな。あいつはまず、異星人が嫌いだ」
ハザリア「ほうほう。このご時世に異星人が嫌いとは頭の固いやつだ」
ヴィレアム「それから、男性同士の絡みを妄想するようなタイプも嫌いなはずだ」
ハザリア「ふむふむ。ルルめが男性同士の絡みを妄想する変態だと吹き込んでやればよいのだな」
ヴィレアム「えーと、あと。
胸は大きさが第一で形のいいのは大嫌いなはずだし、
サークルの会計を担当するような計算高いタイプも嫌いなはずだ」
ハザリア「・・・ほほぅ」
ヴィレアム「あとは、たしか、上品な喋り方には虫唾が走るといっていたし」
ハザリア「ああ、もうよいもうよい。つまらん、くだらん。
『お次はツインテールが嫌い』とでもいうつもりだろう」
ヴィレアム「うわ、バレた」
ハザリア「ルルのやつめ、『まんじゅう怖い』で俺をはめようとはいい度胸だ。
その蛮勇だけは評価してやろう。
よかろう。ここはひとつ、この兄も、小粋な報復をしてやろうではないか」
ヴィレアム「・・・おい、あんまやりすぎるなよ?」
バルマー寮 夜10時
ルル「は? 認める?」
ハザリア「考えてもみれば、
貴様を嫁にやりでもしたらボアザンとの友好関係にヒビが入りかねんからな」
キャクトラ「ハザリア様は、なぜそうもボアザンにこだわるのですか?」
ハザリア「やはりこういうものは、当人同士の意志というものが重要だ。
もはや兄はなにもいわん。
疾くバランガの家に行き、思いの丈を存分に告げてくるがよい」
ルル「好機! 今こそが好機ですわ! 風水的によい流れがびゅんびゅん来てますわ!
この勢いに乗って今こそ本懐を!」
ハザリア「おいキャクトラ、ちょっと来い。ルルを送ってやってくれ」
キャクトラ「は、私がですか?」
ハザリア「ウム。責任持って我が妹を送り届けるのだぞ?」
バランガ家 夜11時
アオラ「え? ハザリア先輩が送り出してくれた?
そりゃあまずいよ。あの人がそんなこというなんて、内心メチャクチャ怒ってるんだよ。
部屋になにかされないうちに、戻った方がいいって」
ルル「・・・はあ。アオラ様がそうおっしゃるのなら」
バルマー寮 夜12時
ハザリア「黙れ、黙れよ!
いやしくもこの
ハザリア・カイツ! 一度送り出した妹を、ハイそうですかと受け取れるか!
いいからもう一度行ってこい!」
ルル「はあ」
バランガ家 夜01時
アオラ「いやいやいやっ! いよいよまずいよ!
ぜったいなにか企んでるって! すぐ帰んなって!」
バルマー寮 夜02時
ハザリア「ふざけるな貴様ぁっ!
貴族から出戻りがあったと知れれば、もはやバルマー全体の面子にかかわるわ!
いいから、行けといったら行け!」
~~~~路上 早朝6時
ルル「あ~ん、もう! 夜が明けてしまいますわぁっ!
結局一晩中歩き回って、脚がクタクタです!
いったい、どうなっているんですの!?」
キャクトラ「ええと、あのぉ、ルル様。
おそれながら、ハザリア様の奸計にまんまとはめられたのではないかと」
ルル「なにをいうのですキャクトラ!
なぜ私が兄上ごときに!」
キャクトラ「実は『権助提灯』といって、
二軒の間をひと晩中行ったり来たりする落語がありまして・・・」
ルル「あ、ああああ、兄は、いつもそうですわ!
どんなトラップにかけても平然と起き上がってきて!
そうやって私を嘲っているんですのよ、あの男は!」
キャクトラ「取りあえず、私は帰って寝てもよろしいですか?」
最終更新:2010年01月18日 03:44