カイツ兄妹の看病稽古

15代目スレ 2006/11/26

ルル「わかりませんわ。どうしてアオラさまは、ああも姉君と仲がよろしいのでしょう。
 妹は兄を、弟は姉を、亡き者にできる機会を虎視眈々と狙うのが正しい肉親のありようではないのですか!」
ハザリア「貴様、あまり自分を基準にものを考えんほうがよいぞ」
ルル「黙らっしゃい黙らっしゃい!
 ときに兄上、ルルは看病の稽古をしたく思います。
 今すぐ具合悪くなってルルに看病されなさいませ」
ハザリア「フハハハハ。みすみす寝首をかかせてやると思うな!
 貴様こそ、この兄がねんごろに介護してやるから、今すぐ具合悪くなれ」
ルル「まあ、異なことをおっしゃいますのね」
ハザリア「フハハハハ。しゃらくさいわ!」

キャクトラ「それで、私はなぜ寝かされているのですか」
ハザリア「間を取って、貴様が具合悪いということになったのだ!」
ルル「さあ、苦しみに寝汗をかきながら、うわごとでヴィレアムさまの名前を呼びなさい」

ルナ「…うむぅ。どうも気分が優れず、起き上がれん。
 これ、キャクトラ。キャクトラやい」
ハザリア「やかましいぞ! キャクトラが具合悪いという設定で寝ているのだから、静かにしていろ!」
ルナ「なんと。キャクトラまで体調を崩しておるのか?」
ハザリア「いや。体調はまったく崩しておらん。
 しかし具合悪いということにして、我ら兄妹が看病することにしたのだ」
ルナ「…どうやら、思ったより重症のようだ。お前がなにをいっておるのか皆目わからん」
ハザリア「そうか。なら邪魔にならんように静かにしていろ」

キャクトラ「あのぅ。私はどこも悪くないので、もう起き上がってもいいですか?
 それから、額に載せるならタオルはしぼってください」
ルル「まぁ! 看病とはなんと難しいものでしょう!」
ハザリア「フフフ。破壊と創造を司る我ら兄妹。
 こと治療とか看病とか片付けとかいうものとは無縁で育ってきたからな!」
キャクトラ「いつそんなものを司るようになったのですか。
 あと、いい加減後片付けの習慣を付けてください」
ハザリア「ひとつ、失敗を恐れないチャレンジ精神で看病に臨もうではないか!」
ルル「まぁ! 兄上のそのポジティブシンキング、いつか誰かの身を滅ぼすと思いますわ!」
キャクトラ「開放してください! お願いします!」
ルル「あらあら。黙っていても介抱してさしあげますのに」
キャクトラ「誰か、誰かぁっ!」
ルル「まぁ。患者はかなりの興奮状態のようですわ」
ハザリア「うむ。ルルよ、リンゴをスッてくるのだ。
 エイス叔父はいっていた。『風邪のときにはリンゴをスルのが一番だ』と!」
ルル「リンゴを…、スル? 兄上、果物をスルとは、いったいどういう意味なのですか」
ハザリア「わからぬ。スルというくらいだから、きっとこう、
 何者かの懐から、気付かれないようにそぅっとリンゴを抜き取って来いということだろう」
ルル「なんと! それでは、まず懐にリンゴを入れて歩いている人間を見つけねばではないですか!」
ハザリア「フフフ。地球の医学とは、なんと奇っ怪なのだ!」

ルナ「おい。どうにもフラフラしてきたのだが、体温計はどこへ行った?」
ハザリア「ああ、そんなもの、居間の戸棚の中に入っているから好きなだけ咥えていろ。
 俺たちの邪魔をするな」

キャクトラ(…逃げなくては、…命にかかわる!)

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最終更新:2010年02月17日 00:12
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