バイバイタイムダイバー

15代目スレ 2006/11/27

店主「悪いね。うちも経営苦しくてさ」
ヴィレアム「あざーす」
キャクトラ「あざーす」

居酒屋
ヴィレアム「あーあ。最後の固定収入だったんだがな。明日からどうしようか」
キャクトラ「友よ。やはり、今時流しのギター弾きで食べていくのは難しいのでは」
ヴィレアム「レラは大手バンドに引き抜かれて上手くやってるみたいなのにな」
キャクトラ「年収がすごいことになっているそうだ、友よ」
ヴィレアム「いいなぁ、いいなぁ」
キャクトラ「すいません、ハイボールおかわり」

ヴィレアム「高校出てから何年経つ? なんか、ろくなことがないよなぁ」
キャクトラ「友よ。お前はてっきり軍に入ってPTパイロットになるものだとばかり思っていたが」
ヴィレアム「だって、定職に就くのってダルいじゃないか」
キャクトラ「友よ、いっそ清々しいぞ」
ヴィレアム「お前こそ、バルマーで騎士かなんかになるもんだとばかり思ってたぞ」
キャクトラ「やめてくれ。あのことがあって以来、姫さまとも顔を合わせづらくなってしまったからな」
ヴィレアム「お互い、いろいろあったよなぁ」

ヴィレアム「な。クォヴレーさんていただろ?」
キャクトラ「懐かしい名前だな」
ヴィレアム「最後に会ってから、何年経ってるかな」
キャクトラ「さぁ。いつものように並行世界に旅立ったのを最後に、ふっつり現われなくなってしまったから」
ヴィレアム「そうだ。きっとそれなんだよ!
 俺たち、クォヴレーさんにちゃんとバイバイいえてないじゃないか。
 それが胸のしこりになって、何事にも正面から向き合えなくなってるんだよ!」
キャクトラ「おぉ! その発想の仕方こそ諸悪の根源だと思わない意気やよしだ、友よ!」

山中
ヴィレアム「大学中退して家からも飛び出したと思ったら、こんな山中でなにやってるんですか」
ゼフィア「修行だ。俺は、もう一度自己を見つめ直す必要が」
キャクトラ「ここで自給自足の生活をしているのですか?」
ゼフィア「いや。月に1、2度イルスかスレイチェルが生活費を持ってきてくれるから、
 その金で買い出しに行っている」
ヴィレアム「ニートじゃないですか!」
ゼフィア「違う! 断じて違う! 俺は生活のために安易に自分を売り物にするようなことはせず、
 己が本当にすべきことはなにかと」
ヴィレアム「ニートはみんなそういうこというんです!
 さ、山降りましょう! その様子じゃゼフィア先輩もろくなことないんでしょう?
 俺たちと一緒に、なんとかしましょうよ!」
ゼフィア「帰れ! お前たちと行くつもりもない!」
ヴィレアム「それじゃ、ニートのままでいいんですか!?」
ゼフィア「なるほど、俺の人生は間違っているかもしれない。
 だからといって、泣き言をいうつもりはない。帰れ!」
キャクトラ「あのぅ。それでは、クォヴレー殿の居場所に心当たりなどありませんか?」
ゼフィア「知らん。耳の広いやつなら、心当たりがあるが」

食堂
レイナ「美味しかったわよ、おじちゃん。今月の『OG線沿い隠れ家風グルメ』で取り上げるから楽しみにしててね」
ヴィレアム「まさかお前がミニコミ誌を出してるとはなぁ」
レイナ「あら、久しぶりね。いまなにしてるの?」
キャクトラ「特になにもしてはいない!」
レイナ「あ、そうなんだ・・・・・・」
ヴィレアム「ジャーナリストになって社会の巨悪を暴くんだと息巻いてたお前がその体たらくだ。
 やっぱりお前も、ろくなことがないみたいだな」
レイナ「なによ失礼ね! そりゃぁ、高校時代の夢とは違うかもしれないけど、
 ちゃんと自分で選んだ道だし、やりがい感じてやってるんだから!」
キャクトラ「友よ、どうしよう。少し鼻白む思いだ」
ヴィレアム「ひるむなキャクトラ! なぁ、それじゃお前、クォヴレーさんの居場所に心当たりないか?」
レイナ「さぁ。でも、知ってそうなヒトには心当たりあるわよ」

カメラスタジオ
カメラマン「はい、それじゃ10分きゅうけーい」
マリ「あざーす」
ヴィレアム「まさかお前が、グラビアアイドルになってるとはなぁ」
キャクトラ「その胸はどういうことになってるんですか」
マリ「胸のことでユスリに来たなら事務所通してくれ。
 勝手に暴露しようたって無駄だからな。半ばそれをネタにして商売しているんだ」
ヴィレアム「やめてくれ。そんな話聞きたくない」
キャクトラ「実はクォヴレー殿の居場所について、あなたの中のレビ殿がなにか知っているのではないかと」
マリ「・・・レビ? あぁ、レビね」
ヴィレアム「うわ。思い出すのに数秒かかってる」
マリ「ずいぶん前に成仏したと思うが。それがどうした」
キャクトラ「なんの感傷もない口調だ、友よ!」
ヴィレアム「じゃあ、クォヴレーさんのことは置いておいて。
 なあマリ、お前も俺たちと来ないか? こんな仕事、好きでやってるんじゃなんだろう?」
マリ「見くびるな。たしかに今はグラビアの仕事くらいしかないが、
 ゆくゆくは舞台にも出て、女優としてやっていくんだ。事務所ともそういう話になっているんだ。
 騙されてないぞ! わたしは断じて騙されてない!」
キャクトラ「友よ。なぜだろう。涙が止まらない」
マリ「でも、お前たちと同じでふてくされてるやつになら思い当たりがあるぞ」

劇場
ハザリア「なんだ、本番中に」
ヴィレアム「え、本番中なのか!? 明らかに観客より舞台の人間の方が多いじゃないか!」
キャクトラ「シモキタシティで小劇団をやっているとは聞いていましたが」
ハザリア「黙れ、黙れよ! 難癖を付けに来たのか!
 貴様らもヤツらと同じか! 難癖を付けるしか能がないのか!?」
キャクトラ「あぁ、学生時代に賞を取ったのはいいが
 受賞後一作目で早くも酷評の嵐にさらされた結果が、これなのか」
ヴィレアム「エイスさんが嘆いてると思うぞ」
ハザリア「黙れ、黙れよ! ヤツの名など出すな!」
キャクトラ「この方はこの方で、なにやらあったらしい」
ヴィレアム「なぁ、俺たちと一緒に」
ハザリア「帰れ、帰れよ! 痩せても枯れてもこのハザリア・カイツ
 高貴でない振る舞いをするほどには落ちぶれておらぬわ!」

居酒屋
キャクトラ「友よ。他の皆は、なんだかんだといいながら各々納得の行く人生を送っているようだ」
ヴィレアム「お前、クォヴレーさんにちゃんとバイバイいいたくないのかよ!」
キャクトラ「それはそうだが」

ゼラド「あー、いたいた! 二人とも、久しぶり!」
ヴィレアム「ゼラド!?」
キャクトラ「しかし、妙に若いような」
ゼラド「あ、うん。わたし、今タイムダイバーだから。みんなとちょっと時間の流れ方が違うんだよね」
キャクトラ「そうか。夢をかなえられたのだな。おめでとう。
 友よどうした? 眩しいものを見るように目を押さえて」
ヴィレアム「いや、なんでもない。でも、そのタイムダイバーが俺たちみたいなダメ人間に何の用なんだ?」
キャクトラ「友よ、自虐的になって傷つくのは自分だけだ友よ」
ゼラド「実はわたし、ちょっと前まで次元怪獣q3y9p%geio;h@brhoと戦ってたんだけど。
 その影響で、何人かの人生に影響が出ちゃったみたいなの。
 特にヴィレアムくんとキャクトラくんに出た誤差はかなり大きくて。
 それで軌道修正に来たんだけど」
ヴィレアム「次元怪獣q3y9p%geio;h@brhoだって!? やはり」
キャクトラ「友よ、一瞬で記憶した上に滑らかに発音して見せる滑舌たるや凄しだ!」
ゼラド「じゃ、行こうか」
ヴィレアム「ちょっと待ってくれ。俺たちがそのまま別の並行世界に行ってしまうのか?
 そんなことしたら、その並行世界にいる俺たちとかち合ってしまうんじゃないのか?」
ゼラド「ああ、大丈夫大丈夫。並行世界はお兄ちゃんの専門だから。
 わたしはね、再構成モデル宇宙が専門なの」
ヴィレアム「再構成モデル宇宙?」

キャクトラ「宇宙は無数の要素が寄り集まり、常に分解と再構成を繰り返しているという考え方だ。
 この場合、我々が無職であるという要素だけが破壊されて入れ替わり、ほかはなにひとつ変わらない世界が再構成されるということだろう」
ゼラド「うんそう。今からちょっとこの宇宙を破壊して、もう一度作り直すから」
ヴィレアム「破壊だって! そこまですることは」
ゼラド「え、でも。みんな気付いていないだけで一秒に数万回は起こってることだよ?」
ヴィレアム「理屈はわかるけど、やっぱり罪悪感があるよ。
 俺がこうなった原因は次元怪獣q3y9p%geio;h@brhoのせいかもしれないが、
 その後の選択は俺が自分の頭で考えてやったことだ。
 それで上手くいかないからって、宇宙を滅ぼしてしまうなんて」
ゼラド「ヴィレアムくんたちがそれでいいなら、わたし、行くけど」
ヴィレアム「ああ。いいたくないけど、バイバイだ」

ヴィレアム「行ったか」
キャクトラ「ゼラド殿。目が輝いていたな」
ヴィレアム「さて、俺たちも行くか」
キャクトラ「どこへだ。友よ」
ヴィレアム「ハローワークだよ」
キャクトラ「はなからそうしろという話だ、友よ」

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最終更新:2010年02月17日 00:11
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