久保の仕事始め

15代目スレ 2007/01/01

スーッ パシッ
クォヴレー「これは?」
イングラム『デザートイーグル50AE。知ってっかぁ、ニキータ?
 こう、細い腕でバキューンてよ、可憐でカッコよくてハードだったよなぁ?』
クォヴレー「弾数は」
イングラム『ちぇっ。ほら、MAC10も付けるから』
クォヴレー「小さいな」
イングラム『うるさいよ!』
クォヴレー「ディストラには」
イングラム『わかってるって。寝かしてある。
 さっきまでオセチ作ってて、あいつも疲れてるだろうしな』
クォヴレー「いや、今回の標的は人間サイズばかりだからな。
 あいつを連れて行っても、騒ぎが大きくなるだけだ」
イングラム『悪いな、正月から』
クォヴレー「かくし芸大会までには帰るさ」

 引き金を引く。撃鉄が倒れて撃針後部を打つ。雷管が爆発し、発射薬に点火する。
 弾頭はライフリングに沿って回転しながら銃身の中を突き進み、やがて銃口から吐き出される。
 考えても見れば単純な機構だ。しかし、たったそれだけで人は死ぬ。
 銃弾が飛び交い、空薬莢はカラカラと音をたててコンクリの上を転がる。
 血が煙となって舞い上がる。
 硝煙の臭い。血の臭い。もうなにも臭わない。嗅覚が麻痺してしまう。
 こういうときに恐ろしくなる。銃が自分の一部なのか、自分が銃の一部なのか。
 また、引き金を引く。

ゼラド「あれぇ~、お兄ちゃんはぁ~?」
イングラム『かくし芸大会までには帰るってさ。さ、羽根突きでもしようぜ』

 食らった。脇腹。血がぼとぼとと重い音をたててコンクリに落ちる。
 肋骨を持っていかれた。視界がかすむ。意識がかすむ。
 動きが止まったところに、もう一発食らう。
 身体の末端が冷え始める。身体が死ぬ準備を始めている。
 そろそろ頃合いだと、脳の底でささやく声がする。
 ここが死に場所か。悪くないと思い始める。

ゼラド「早く帰ってこないかなぁ~。お兄ちゃん」

 頭の中にあの顔がよぎる。まだ死ねない。
 マガズィンを入れ直す。引き金を引く。撃鉄が倒れて撃針後部を打つ。雷管が爆発する。
 マズルフラッシュの向こう側で、すすり泣くような銃声が連なる。
 済まないな。口をついて出たのは、誰に向けるでもない謝罪だった。

クォヴレー「今、帰るからな」

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最終更新:2010年02月17日 00:09
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