31代目スレ 2009/12/24
【OG駅】
ハザリア「おぉ、帰ってきた帰ってきた」
キャリコ「今回も大冒険でしたねえ」
マリ「まったく、なにがエジプトだよ。お前とは金輪際遠出なんかしないからな!」
シーン
キャリコ「しかし閑散とした駅ですね。いつもこうなんですか」
マリ「いや、いつもはもっとひといますよ」
ハザリア「たまたまエアポケットに入っただけだろう」
キャリコ「よりにもよってクリスマスにひとがいないって、都市として問題じゃないですかぁ?」
マリ「だからって駅にひとっこ一人いないっていうのも珍しいよな」
シーン
マリ「おい」
ハザリア「なんだ」
マリ「商店街にまでひとっこ一人いないっていうのは、ちょっとおかしすぎるんじゃないか」
ハザリア「クソッ! そういうことか!」
マリ「なにかわかったのか!?」
ハザリア「全員で、俺を置いて野球観戦に行ったに違いない」
マリ「なんなんだよ! お前のその、時々見せる野球への執着!」
ハザリア「こうしてはいられん。すぐさま後を追わねば!」
マリ「かき入れ時に、商店街が丸ごと野球観戦なんかするわけないだろ!」
キャリコ「坊、マリ嬢! 大変ですよ、ちょっと来てください!」
ハザリア「なんだなんだ」
キャリコ「いくら待っても次の電車が来ないんですよ。
駅員さんだって一人もいないし」
ハザリア「ちぃ、どれだけ大規模な野球を観戦しに行ったのだ」
マリ「ひとまず野球のことを忘れようよ!」
キャリコ「ケータイも繋がんないし、
なんか私ら、この無人都市に閉じこめられちゃったような感じですよ」
【ダテ家】
マリ「シチューだ。まだ温かい。うん、間違いなくラト母さんの味だ」
キャリコ「どの部屋見ても、誰もいませんよぉ~」
ハザリア「テレビも映らぬか。つまらんところに来てしまったものだ」
マリ「なんでお前は我が物顔で茶の間でふんぞり返ってるんだよ!」
キャリコ「我々がいない間に、中性子爆弾でも撃ち込まれましたかね」
ハザリア「生物だけ潰すというアレか」
マリ「そんなの撃ち込まれてたら、電車が通ってるわけないだろ!」
ハザリア「通ってないではないか」
キャリコ「バスもクルマも、一台も通りませんねえ」
マリ「とにかく、情報がないと始まらないよ。徒歩でもいいから町を出よう!」
【
OG町の外れ】
マリ「あたっ!」ゴン
ハザリア「なにをやっておるか」
マリ「なんか、見えない壁があって、この先に進めない」
ハザリア「なにをバカなことを」
マリ「じゃ、お前行ってみろよ」
ハザリア「あたっ!」ゴン
マリ「そら見ろ」
ハザリア「すると、なんだ。我々は、この無人の都市に取り残されたということか」
キャリコ「わかりました。おじさんも空気読んでドロンします」
マリ「なんの空気を読むつもりなんですか!」
キャリコ「いやぁ、誰もいないとなると、
誰かしらがアダムとイブにならなくちゃじゃありませんかぁ~!」
マリ「キャリコさん、なにをいってるんですか、キャリコさーん!」
キャリコ「おじさんはひとまず、町の反対側まで行ってみますんでー!」
マリ「行っちゃった」
ハザリア「なるほど、食い物に不自由はしないようだ」むしゃ
マリ「なんでお前はハム食べてるんだよ!」
ハザリア「そこのスーパーから持ってきた」
マリ「ちょっと待てよ、店員がいたのか?」
ハザリア「おらん」
マリ「じゃ、お前、ドロボーじゃないか!」
ハザリア「まず、腹ごしらえだろう。そして、情報の収集だ」
【
バルマー寮】
マリ「電気もガスも来てないみたいだな」
ハザリア「誰もいないなら、それは電気もガスも水道もダメだろう」
マリ「夜になったら、マズいな」
ハザリア「毛布ならあるぞ」
マリ「あってどうするんだよ!」
ハザリア「食材はあっても、火がないのではしょうがない。生かじりと行くか」
マリ「うちに行こう。さっきあったシチュー、覚める前に食べちゃおう」
【道ばた】
マリ「ああ、寒い。ほんとだったら、今ごろゼラドんちのパーティに」
ハザリア「なに、俺は聞いておらぬぞ」
マリ「なんでいちいちお前にいわなくちゃならないんだ」
ハザリア「どいつもこいつも俺を除け者にしおって!」
ぴた
マリ「おい」
ハザリア「なんだ」
マリ「ここ、学校の前だよな」
ハザリア「道順が変わっておらなかったらな」
マリ「じゃ、なんで学校の代わりにピラミッドが建ってるんだよ!」
ハザリア「ふぅむ、見事に勾配60度の真正ピラミッドだ」
マリ「お前! エジプトから妙なもの持ち帰ってきてるんじゃないだろうな!」
ハザリア「ウム、王の間に転がっていた石をひと欠片」
マリ「税関はなにやってたんだ!」
ハザリア「王の間にあったものは、覇王たる俺にこそ相応しい」
マリ「行くぞ! どうせあのピラミッドに妙な仕掛けがあるに決まってるんだ!」
【ピラミッドの中】
ハザリア「フム。いいホコリと砂の香りだ。
思い出す。
重震のマグナス氏と初めて会ったのも、あの砂埃吹きすさぶエジプトであった」
マリ「金輪際、お前をエジプトには行かせない」
ハザリア「おお、ピラミッドパワーが立ちこめておる。
この空気! この闇こそ俺に相応しい!」
マリ「いいから、さっさと石を元あった場所に戻せよ!」
ハザリア「ああ、うるさいな」
がこんっ!
どさっ!
【地下洞窟】
マリ「またこれだ! お前と一緒だといつもこれだ!」
ハザリア「フム、しかしおかしいな」
マリ「なんだよ」
ハザリア「このミズゴケは、OG町付近にしか生息していないものだ。
どうやら我々は、幻の続きに来たわけではないらしいな」
マリ「わたしたちの学校の地下に、もともとこんな洞窟が開いてたっていうことか?」
ハザリア「風があるな。奥に繋がっておるようだ。行くぞ」
マリ「ああ、なんでよりにもよって、こいつの側にこんなの作っちゃったんだ、地球は!」
【洞窟の奥】
マリ「扉だな」
ハザリア「比較的新しい。フム、ここ200年といったところか」
マリ「あけられるか」
ハザリア「20 4 14 14 23 15 13 8 25 15・・・・・・。
ゲマトリアの数秘法か。鼻歌交じりだな。
天を見よ、か。やってやろうではないか」
ガラガラガラガラッ!
マリ「落盤!?」
ハザリア「なんということだ!」
マリ「お前、なにしたんだ!」
ハザリア「イースター島のモアイ像! エジプトのスフィンクス!
イギリスのストーンヘンジ! インダス式紋様に、ナスカの地上絵!
なんだこのチャンポンは!
素晴らしくない! 恐ろしく素晴らしくないぞ!」
マリ「なにやってんだ、速く逃げるぞ!」
ハザリア「認めぬぞ、こんなものは、地球文明ぇーっ!!」
【グラウンド】
マリ「ハァ、ハァ、学校も元通り、なんだったんだ、あれはいったい」
ハザリア「気に食わぬ、あんなものは気に食わぬぞ」
マリ「なぁ、あれはひょっとしてさ、地球文明の元になった」
ハザリア「そんなものは許さぬ。
地球文明の素晴らしさは、ひとつの惑星には治まりきらぬほどの多種多様さではないか。
単一のルーツを持つなど、醜いわ!」
マリ「そういうの隠しときたいから、お前を選んだのかもな、あれも」
ハザリア「フン、この学校には、栄えてもらわぬとな。
永久に、あの醜悪な遺跡を隠しておくためにだ」
マリ「無人になった都市にわたしたちだけが存在を許されてたのは、
遺跡からのメッセージかなんかだったのかな
ハザリア「あるいは」
マリ「なんだよ」
ハザリア「よそう。貴様がおるのでは、俺の内的宇宙との見分けがつかぬわ」
マリ「なにいってるんだ、お前」
ハザリア「黙れ、黙れよ!」
ゼラド「あっ、マリちゃんとハザリアくんだ。おーい、メリークリスマス!」
マリ「おい、ゼラドがいるぞ」
ハザリア「どこへなりとも勝手に行け。俺はもう少し、ここにいたい」
マリ「ヘンなヤツ」
最終更新:2010年12月23日 13:34