31代目スレ 2010/7/7
アル=ヴァン「尻でも、出してみようかな」
克夜「我が師アル=ヴァン、頭にオルゴンクラウドでもわいてしまったのですか?」
アル=ヴァン「我が愛弟子克夜よ、
聞けば、
クォヴレー・ゴードンは幼いころから手塩にかけて育てた
ゼラド・バランガ嬢から『お兄ちゃん』と呼ばれて慕われているという。
私には、そういういいエピソードがないな、と思ってな」
克夜「しかし我が師アル=ヴァン、こんなところで尻を出したところで、
僕が蹴りを入れるだけでいいエピソードにはならないと思いますよ」
アル=ヴァン「蹴るのか! 弟子が! 師の尻を!」
克夜「蹴りますよ、そりゃ。
我が師だって目の前に蚊が飛んでたらパンッてやるでしょう」
アル=ヴァン「師の尻を蚊呼ばわりとは、さすが我が愛弟子だ」
克夜「我が師アル=ヴァン、なぜ急にいいエピソードなど求め始めるのですか」
アル=ヴァン「我が愛弟子克夜よ、
師は、はっきりいって女子高生に『お兄ちゃん』と呼ばれたい!」
克夜「我が師アル=ヴァン、職質されてください」
アル=ヴァン「我が愛弟子克夜よ、師だって、お前達兄妹のことをずいぶん面倒見てきたはずだ!」
克夜「ひとんちの兄妹の面倒見ている暇があったら自分の家庭を顧みてください、我が師アル=ヴァン」
アル=ヴァン「師は、もうDVに怯えながら暮らすのは真っ平ご免だ!」
克夜「我が師アル=ヴァン、
しかしあなたの行方を訊かれるたびにカルヴィナさんに引っかかれるのは僕なのですよ」
アル=ヴァン「なんとしてでも、いいエピソードを身に付けなくては」
克夜「我が師アル=ヴァン、ひとの話を聞いてください」
【克夜のアパート】
克夜「うへえ、我が師アル=ヴァンから絵はがきだ。
なになに?
『我が愛弟子克夜よ、師は道場を開いた。
お土産を持って見に来い。いいお土産を持って見に来い。
麗しい師より』だって?
お土産っていわれてもなあ、あ、これでいいか」
【木造平屋建てアパートの前】
克夜「おかしいな、何度見ても、この住所には木造平屋建てアパートが一軒あるきりだ。
まさか、これを道場と言い張るほど我が師アル=ヴァンもアホではあるまい」
アル=ヴァン「待っていたぞ、我が愛弟子克夜よ」
克夜「アホだった」
アル=ヴァン「それで? お土産は? お土産は持ってきたのだろうな」
克夜「うへえ、やっぱりいるんですか」
アル=ヴァン「いるよ、いりまくるよ、師はこれだけを楽しみに今日まで生きてきたのだ」
克夜「じゃあ、はい」
アル=ヴァン「・・・・・・」
克夜「・・・・・・」
アル=ヴァン「嫁からの年賀状ってお前・・・・・・」
克夜「ヘコみすぎです、我が師アル=ヴァン」
アル=ヴァン「嫁の連絡先ってお前・・・・・・」
克夜「いい加減カルヴィナさんに連絡取ってくださいよ」
アル=ヴァン「さ、道場に入るがよい」
克夜「師のくせにいっちょ前にスルースキルを発動させないでください」
【木造平屋建てアパートの中】
克夜「我が師アル=ヴァン、道場といっても、これはなんの道場なのですか」
アル=ヴァン「もちろん剣術道場だ、我が愛弟子克夜よ」
克夜「我が師アル=ヴァン。
これはどう見ても剣術道場というより怪しい新興宗教の道場です」
アル=ヴァン「開けば都というではないか、我が愛弟子克夜よ」
克夜「いいません我が師、こんな道場が上手くいくはずがありません」
アル=ヴァン「しかし我が愛弟子克夜よ、
この道場が成功しないということは、昔お前のお父さんに借りた8万円を返せないということだぞ」
克夜「我が師アル=ヴァン、そんなことより昔僕から巻き上げた2万5000円をいまのうちに返してください」
アル=ヴァン「まあ聞け、我が愛弟子克夜よ」
克夜「話をはぐらかさないでください、我が師アル=ヴァン」
アル=ヴァン「師は、この道場をティーンの女子限定の道場とし!
キャッキャウフフと慕われたいと考えている!」
克夜「我が師アル=ヴァン! それを聞いたからには黙って帰るわけにはいかなくなりました!」
アル=ヴァン「フフフ! 協力してくれるか、我が愛弟子克夜よ!」
克夜「否! この道場を奪い取り、我がハーレム建設の礎とする!
たとえあなたを倒してでも!」
アル=ヴァン「いったな、我が愛弟子克夜よ!
しかし、弟子が師に勝てるものか!」
克夜「勝つとも! いい加減、あなたとの因縁も切りたいと思っていたところだ!」
アル=ヴァン「さらっと師弟の縁を脅かす男だ、我が愛弟子克夜よ!」
克夜「行くぞ、我が師アル=ヴァン!」
アル=ヴァン「くらえ、月面文化アタック!」
克夜「むぐっ!」
アル=ヴァン「騎士道精神の重みを知れ!」
克夜(くっ・・・・・・! さすが、イヤイヤながら我が師と呼ぶべき男!
グ=ランドンとの最終決戦のさなか、援軍に来たはいいがまったくやる気のない出現位置で
ものの役に立たなかっただけのことはある!)
アル=ヴァン「総額10万5000円の必死さを知るがいい!」
克夜「くっ、いいオッサンとは、10万5000円でここまで必死になれるものなのか!?」
アル=ヴァン「さあ我が愛弟子克夜よ! 師の偉大さを知るがいい!」
ガンッ ガンッ ガンッ
克夜「くっ、一撃一撃が重い! そして端々がオッサン臭い!
やはり、若作りしてはいても40過ぎのオッサン!
加齢臭は隠せないか!」
アル=ヴァン「クォヴレー・ゴードンだって戸籍上は40過ぎのオッサン、
条件はおなじはず!」
克夜「なぜだ、なぜこのオッサンは、自分とゴードン氏を同等に考えられるんだ!」
ガンッ ガンッ ガンッ
アル=ヴァン「フフ、成長したな我が愛弟子克夜よ、師は嬉しいぞ」
克夜「僕を差し置いてハーレムを建設しようとなどするからです、我が師アル=ヴァンよ」
アル=ヴァン「しかし我が愛弟子克夜よ、お前は私には勝てん!」
克夜「なんだって?」
アル=ヴァン「いかに剣技を磨こうとも、お前にはそれを活かす決め技がないからだ!」
克夜「なっ!」
アル=ヴァン「このまま剣を打ち合わせていれば、ジリ貧になるのはお前の方だ!」
克夜「くっ、ならば!」
アル=ヴァン「なに、克夜、それは!」
キィィィィィィィィィン!
アル=ヴァン「オルゴンソードFモードの構え!」
克夜「こうなったからには、もはや手はこれしかない!」
アル=ヴァン「この期に及んで、私の剣をパクるつもりか、我が愛弟子克夜よ!」
克夜「我が師アル=ヴァン、月謝1万5000円であなたから教わったすべてを賭けて、あなたを倒す!」
ヴァアアアアアアン!
克夜「くっ」
アル=ヴァン「フフフ」
克夜「・・・・・・やはり」
アル=ヴァン「ここは退こう、我が愛弟子克夜よ」
克夜「我が師、なぜ」
アル=ヴァン「見てみたくなったからかな、お前のハーレム建設の夢の行く末を」
克夜「我が師アル=ヴァン!」
アル=ヴァン「必ず作れよ、ハーレムを!」
克夜「待って、待ってください我が師アル=ヴァン!」
アル=ヴァン「まだ私を師と呼んでくれるか、我が愛弟子克夜よ」
克夜「2万5000円を、2万5000円を返してください、我が師アル=ヴァン!」
アル=ヴァン「さらばだ、我が愛弟子克夜よ!」
克夜「アル、ヴァァァァァァァン!」
ガラッ
マーズ「ね、ちょっと、表の『アル=ヴァン道場』ってなによ、
この物件、事務所とかには使っちゃなんねーって契約書に書いてあったでしょーが」
アル=ヴァン「さらばだ我が愛弟子克夜よ! ここの家賃は頼んだぞ!」
克夜「アル=ヴァァァァァァァン!」
【後日 学校】
ランディ「それで、どうしたんだよ」
克夜「取りあえず我が師に住所が出来たことをカルヴィナさんにチクッておいた」
ランディ「わかってたよ、お前にハーレムなんか作れっこないってことは」
克夜「我が師アル=ヴァン、克夜は、きっとお父さんに勝とも劣らない立派なハーレムを建設してみせます!」
ランディ「奥さんに住所知らせただけでアル=ヴァン故人扱いかよ!」
最終更新:2010年12月23日 13:57