リコーダー消失事件


14代目スレ 2006/10/15(日)

ゼラド「あれ? ない」
ルナ「ヌ? わたしもだ」
レイナ「え、リコーダーを盗まれたの!?」

ヴィレアム「なぁ、高校の音楽でリコーダーって使うか?」
キャクトラ「さぁ。美術選択なのでなんとも」
ヴィレアム「それより、どうして俺たちは問答無用で縛られてるんだ?」
キャクトラ「美術選択だけに、かなり芸術的に縛られていることはわかる」
レイナ「黙んなさい! 犯人はアンタたちでしょう!?
 まったく、いくら血迷ってもリコーダー盗むとは思わなかったわ!」
ゼラド「待ってよレイナ、決めつけちゃダメだよ!」
ルナ「そうだぞ。第一、キャクトラがわたしのリコーダーなど盗んでも、なんのメリットもないではないか」
ゼラド「そうだよ!」
レイナ「後ろで泣いてる二人が、なによりの証拠だと思うけど」

ラミア「いや、事件はそんなに簡単なことではない」
ゼラド「どうしたんですか先生! そんなに青ざめて」
ラミア「先生のピアニカも、盗まれた・・・」
レイナ「先生、勉強に関係ないもの学校に持ってくるのやめてください」
ラミア「たしかに教壇の下に作った金庫の中にいれておいたのに」
レイナ「教壇を勝手にカスタマイズするのもやめてください」
ラミア「ただのピアニカじゃなくってでございましてよ?
 ホースで吹くやつじゃなくて、こう、手で構えて行進とかできる最高級の」
レイナ「やめてください。ピアニカの詳細なんか知りたくありません」

ラミア「二人とも、私のピアニカに手を出したからには、覚悟は完了しているのだろうな」
ヴィレアム「だから、知りませんって!」
ルナ「ついさっきの、体育の授業前までにはたしかにあったのだがの」
レイナ「着替えは、女子が更衣室で、男子は教室だったわね。
 そしてあたしたちが帰ってきたときには、すでにリコーダーはなかった。
 つまり犯人は、男子たちの中にいる!」
ヴィレアム「待て待て! 体育の授業中、教室は無人だったんだろう!
 その間、いくらでも外部からの犯行が」
レイナ「墓穴を掘ったわね。体育の授業開始直前、あんたとキャクトラは用具の整理と称して
 他と別行動していた時間があったっていう証言はすでに取れているのよ。
 つまり、あんたたちはそのときに」
キャクトラ「待て! 我々は二人だけでいたわけではない!」
トウキ「うん。俺もいたよ」
キャクトラ「しかもトウキ殿は、我々が用具を整理していた間、数分間姿を消していた」
クリハ「トウキくんに罪をなすりつけるなんて、キャクトラくんてそういう人だったのね!」
キャクトラ「わたしはただ身の潔白を証明しようと。姫さま、そんな目で見ないでください!」

ゼラド「レイナ! 目撃者を見つけたよ」
ルサイケ「・・・・・・教・・・・・・図書・・・・・・誰・・・・・・いな」
ゼラド「この学校の校舎はコの字型になってて、図書室とこの教室はちょうど真向かいにあるでしょ。
 ルサイケちゃんはついさっきまで図書室で本の整理をしてたけど、
 体育の授業中、教室に出入りした人は見えなかったって!」
レイナ「じゃ、トウキにも犯行は無理?」
ヴィレアム「グラウンドから3階にあるこの教室まで、往復で5分はかかるだろ。
 トウキが俺たちの前から姿を消してたのは、ほんの一分足らずだ」
レイナ「その一分足らずの間、トウキはなにをしてたのよ」
トウキ「更衣室を覗いてた」
レイナ「先生! ここに犯罪者がいます!」
ルアフ「なるほど。体育用具置き場からほど近い場所にある、更衣室という名のプレハブ小屋なら、
 ものの一分で行き来することができる。しかし、その間に鮮やかに覗きを終え、何食わぬ顔で戻ってくるとは。
 イヤイヤ。トウキくん、君の大胆不敵さには脱帽するよ」
レイナ「どっから湧いて出た!?」
ルアフ「だってレイナが僕の後を継ぐようなことしてるからぁっ!」
レイナ「継ぎません! あっち行って!」

レイナ「じゃあ、持ち物検査をしましょう。
 男子たちが着替えのために入ってから、今までに教室を出た人はいないわね?」
ゼラド「そっか。犯人は、まだリコーダーを持ってるはずなんだ」

ゼラド「トウキくんは、握力鍛えるやつと、バイト情報誌だけかぁ」
ルナ「教科書がないではないか」
ゼラド「ハザリアくんは、ホビーヤーパンと、演劇論の本と、素組みしただけのジュデプラ」
ルナ「なにを持ってきておる!」
ゼラド「シュウヤくんは、下着と、下着と、下着と・・・」
レイナ「先生! ここに不審者がいます!」
シュウヤ「ククク・・・、男性用と女性用と性別イグニッション用です。すべて新品ですよ。
 よろしければどうぞ」
ルナ「なるほど、これが性別イグニッション用の下着か。ちょっとした衝撃だの」
ゼラド「なんか、感動だねぇ」
レイナ「そんな感動、あとにしなさい! それよりも最重要容疑者の二人よ!」

ゼラド「キャクトラくんは、教科書と筆記用具だけかぁ」
ルナ「実に面白みのない荷物だな」
キャクトラ「なんか、すみません」
ヴィレアム「な、もういいじゃないか」
レイナ「いいことないでしょう。次はヴィレアムの荷物よ」
ヴィレアム「待て、やめてくれ!」
レイナ「そんなに慌てるなんて怪しいわ。みんな、押さえつけて!」

ルナ「教科書にノート、筆記用具、体操着。なんだ、なにもないではないか」
ゼラド「待って。よく見れば鉛筆一本一本にまで、ちゃんと名前が書いてある!
 しかも、明らかにお母さんが書いたふうな・・・」
レイナ「うわぁ、ちょっと引く」
ヴィレアム「そういうこというだろうから! やめろ! 『こいつマザコンだ』的な目で見るな!」

ルアフ「どうするんだい、レイナ。これはミステリーだよ。決めぜりふとか必要だよ?」
レイナ「急に出てきたあんたも怪しい。持ち物を出して」
ルアフ「え、僕を疑うの! そんな悲しい娘に育てた覚えはありません!」
レイナ「みんな、押さえてて」
ルアフ「やめろ、やめるんだ!」

 カラン

ゼラド「リコーダーだ」
レイナ「この、クソ霊帝がぁっ!」
ルアフ「違うよ! 盗んだんじゃないよ、それは!」
ゼラド「これ、わたしのじゃないよ」
ルナ「というか、『Reina』と名前が書いてあるぞ」
レイナ「あんたは! まさか実の娘のリコーダーを!」
ルアフ「違う違う! 誤解だよ!」
ゼラド「これ、新品だよ。レイナのリコーダーはちゃんとあるんでしょ?」

ルアフ「だって、レイナは小学校のころのリコーダーを未だに使ってて・・・。
 それがあんまり哀れだったから、僕がこっそり新品を買って取り替えて、びっくりさせようと」
レイナ「紛らわしいことしないでよ!」
ゼラド「レイナは物持ちがいいから」
レイナ「やめてよ! 心温まる目で見ないでよ!」

ゼラド「教室の中も探したけど、これといって隠すようなところはなかったよね」
ルナ「うむ。あとはこの、教室の後ろにずらっと並んでいる蝋人形くらいか」
レイナ「先生! この蝋人形ずっとあるけど、なんなんですか!
 なんかちょっとずつ増えてるような気がするし!」
ラミア「知らん。お前たちこそ、掃除の時間になぜ捨てなかった」
レイナ「だって、蝋人形って燃えるゴミなのか燃えないゴミなのかいまいちわかんないし」
ラミア「蝋っていうくらいだから、燃えるんじゃないのか?」
ゼラド「でも、なんか捨てたら呪われそうで怖いし」
ルナ「バラバラにして捨てるのも、ちょっと精神力のいる作業だからな」
クリハ「この際だから、片付けちゃいましょ。トウキくん、手伝って」
トウキ「うぃ」
ラミア「そろそろ授業も始めないとな。リコーダーのことは忘れて、教室移動に入れ。
 犯人探しは、帰りの会のときにでもやろうじゃないか」

帰りの会
レイナ「帰りの会なんて、今までやったことなかったじゃないですか!」
ラミア「さあ、女子たちは『先生男子にスカートめくられました』的なチクリを忌憚なくあげるがいい」
レイナ「趣旨が変わってます!」
ゼラド「レイナ、大変だよ! 保健室に・・・」

マリ「それは奇妙な光景だった。一糸まとわぬ蝋人形が一体、保健室の中央に忽然と立っているのだ。
 ふくよかな両の乳房に深々とリコーダーを突き刺され、桃色だが生気のない唇にはピアニカがめり込んでいた。
 全身を楽器におかされてなおも無表情で立ち続ける蝋人形には、一種猟奇的な美しさがあるのだ。
 気のせいか悲しみをたたえているような物言わぬ瞳は、これから始まる惨劇を予言しているようであった」
レイナ「マリ、怖いから変なモノローグ付けないで」
ゼラド「ルサイケちゃんが保健室に来たときに見つけたんだって」
レイナ「待って。蝋人形の足元に魔法陣みたいな模様が。
 こんなことをするのは、まさか」
ゼラド「ううん。ルサイケちゃんじゃないよ」
レイナ「でも、これだけの証拠があるのに」
ゼラド「犯人わかっちゃった。リコーダーの魔術師の正体は」
ラミア「先生のピアニカも忘れてもらっちゃ困る」
ゼラド「えっとじゃあ、リコーダーとピアニカの魔術師は」
レイナ「魔術師はどうしても必要なの!?」
ゼラド「正体は」

回答は少し後

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ゼラド「犯人はクリハ、あなたね」
クリハ「え、なにを証拠に! だいたい、わたしがリコーダーなんか盗んでなにを」
ゼラド「ルサイケちゃんに聞いたわ。
 胸の大きな人が口に付けたものを、胸の大きな人形に突き立てるっていうこれは、胸を大きくするための魔術儀式ね」
クリハ「それだけじゃ理由にはならないわ。胸のない人間なら、ほかにいくらだって」
ゼラド「ううん。これは、あなたじゃないと不可能な犯行なのよ」
クリハ「わたしは、あなたたちと一緒に更衣室で着替えてたじゃない! 犯行は不可能よ!」
ゼラド「そう。だから共犯がいたのよ。トウキくん、あなたね」
トウキ「俺の持ちの物に、笛はなかっただろう?」
ゼラド「おそらく、あなたがリコーダーを盗んだのは体育の授業開始直前、教室移動のごたごたの中ね」
トウキ「へへへ。あり得ないぜ。俺は身一つで体育の授業を受けてたんだぜ?
 体操着の下にリコーダーやピアニカを隠してちゃできない動きだったってことは、男子たち全員が証人になってくれる」
ゼラド「簡単よ。あなたは、盗んだ楽器をいったん体育用具置き場の中に隠した」
トウキ「そんなもん、用具の出し入れしてるうちに見つかっちまうじゃないか」
ゼラド「だからあなたは用具整理に参加した。そして楽器を回収して、まだ更衣室で着替え中のクリハに渡したのよ。
 荷物が多い女の子なら、バッグの中に楽器を隠しておくくらいわけないもんね」
クリハ「ゼラド、あなたの推理には穴があるわ。
 レイナが男子にしか持ち物検査をしなかったのは、たまたまじゃないの。
 もしも女子にも疑いが向けられたら、あっさり犯行がバレちゃうわ。
 そんな危ない橋、誰が渡るっていうの?」
ゼラド「そのための蝋人形だった。そうでしょう」
クリハ「くっ!」
ゼラド「儀式に使うための蝋人形は一体あればよかった。
 それが複数、それもずっと教室に放置されていた理由はなに? 中に楽器を隠すためよ。
 廃棄された蝋人形を調べれば、楽器を隠しておけるポケットのようなものが付いていたことがわかるはずよ。
 もっとも、あなたはすでに処分してるだろうけど。
 儀式に必要な小道具を、そのまま隠し場所に使うなんて、巧妙な犯行だったのね、クリハ。
 人形がだいぶ前から置かれていたのは、リコーダーと蝋人形を別件だと思わせる演出だった。
 近寄りがたい、不気味な蝋人形をチョイスしたのも、うかつに手を触れられないようにするためね。
 みんなが嫌がる中で、あなたは蝋人形の片付けを買って出て、楽器を回収して儀式に移った。そうね?」

クリハ「全部あなたの想像よ! 証拠がないじゃない!」
ゼラド「さっき、リコーダーからあなたの無乳痕が見つかったそうよ」
クリハ「そんな! わたしはあのとき、ちゃんと手袋をして!」
トウキ「クリハ、もうよせ!」
クリハ「あ・・・」
ゼラド「残念よ、クリハ」

クリハ「・・・いつから」
ゼラド「トウキくんが覗きをしてたって聞いたとき、あなたがなにも反応しなかったときから違和感は感じてた」
クリハ「フフ、日ごろの行いが災いしたのね」
ゼラド「なんで、こんなバカなことを」
クリハ「バカなことなんていわせない! 最低でもDはないと、トウキくんが!」
ゼラド「バカッ! そんなことをして、トウキくんが喜ぶとでも思ってるの!?」
トウキ「そうだ。どうしてもっていうから手伝ったけど、クリハ、お前に乳は必要ないんだ!」
クリハ「フフフ。ずるい人。ずるくて、残酷で、そして愛しい人・・・!」
トウキ「一緒に罪を償おう」
クリハ「フ、フフ・・・、わかってた、わかっていたのよ、わたしには!」

ルアフ「クリハの乳は人生と似ている。どちらも虚しいからだ」
レイナ「場を混乱させただけのくせに、なにカッコつけてるの」

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最終更新:2009年10月17日 11:33
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