クトゥルー神話(Cthulhu Mythos)

(用語)

概要

1920年代を中心に活躍したハワード・フィリップス・ラブクラフト(Howard Phillips Lovecraft:略称 HPL、H.P.ラブクラフトとも記される)の「宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)」を基とした、シェアードワールド作品群。共通した魔導書などのアイテムや、クトゥルーなどの神(に匹敵する魔物の存在)への言及などが特徴。

ラブクラフトは、生前は何とか食っていける職業作家であったが、まだ未分化だったSFとホラーを重ね合わせたような内容を、難解な単語を列べて「科学論文のような小説」といわれる作品をつくっていった。そして彼の作品に惹かれた他の作家たちと、文通を通じて一つのサークルをつくっていた(ラブクラフト・サークル)。その中には、後年「サイコ」などのホラーを書くロバート・ブロックや「蛮人コナン」なおを書いたロバート・E・ハワードなどがいた。

ラブクラフトは、自身の小説を一つの体系の中に位置づけられるものとし、共通の神に匹敵するような魔物が跳梁跋扈する宇宙と、それらの気まぐれにも過ぎない行いで起こる恐怖を描いた。さらにおぞましい宇宙人や未来から来た生物の恐怖、それらを記載する「魔道書」などを考案した。そしてサークルの「内輪受け」としてお互いが考えた「神」「魔道書」を作品の中に共通して取り入れるようにし、仮構の「神話」を構築した。特にこの神話を代表する構造をもった作品が、ラブクラフトの中篇小説「クトゥルーの呼び声」で、以降この作品に登場?する神「クトゥルー」をとって「クトゥルー神話」と呼ぶようになった。

1970年代のリバイバルにより、「クトゥルー神話」が注目されるようになり、アメコミに用語などが使われるようになった。
またTRPGでケイオシアム社が「クトゥルー神話」を扱った作品(およびクトゥルー神話のフィクション)を出し、広く影響を与え、日本でも「魔装機神デモンベイン」(美少女のアル・アジフというぶっ飛びものの設定)や「這いよれ!ニャル子さん」(美少女体のニャルラトホテップ)という作品が描かれるようになった。現在、ホラーネタのトップがゾンビで、次が「ネクロノミコン」ではないかと思われる。

神話群の存在

神(旧神、旧支配者)

  • 神あるいは神に近い能力を持つ魔物のこと
  • DC: アザトース(アース2に登場)、クトゥルー(スワンプ・シングで言及)
  • マーベル: 主にロバート・E・ハワードの作品群で言及が多く、そこから派生したものが多い。シュブ=ニグラス、シュマゴラスなど。また旧神の考え方を取り入れており、クトン、ドゥーマムー、ヌルなど独自の神がいる。

魔道書

その他

  • DC: 「アーカム・アサイラム」は神話に出てくる架空の街「アーカム」を連想させる(DCの「アーカム・アサイラム」は人名からきている)
  • マーベル: いくつかの神話作品が翻案されており、ラブクラフト当人も登場する
  • ダークホース: ヘルボーイで、「H.P.L.は正しかったのさ」と言われており、全体に神話を取り入れている

トリビア

  • 後のDCの名編集者ジュリアス・シュワルツは、ラブクラフトが、定席にしていた「ウィアード・テールス」誌から相当の書き直しを命じられ、グタグタになったときに、ラブクラフトのエージェントとして活動、「狂気の山脈にて」と「超時間の影」の二作を「アスタウンディング・ストーリーズ」で出版に成功している。ただし、この時も編集者から相当手を入れられている。



最終更新:2021年08月05日 10:20