啄木鳥しんきのデビュー作にして、『テイルズオブ』シリーズ初の漫画化でもある記念すべき作品。
PS版が元になっている作品ではあるが、シナリオや
キャラクターの生死が大きく異なる事で有名。
特にあるキャラクターが生存していた事や、ゲーム版では裏設定に留まっていた「真の黒幕」の登場に驚いた人も多いだろう。
連載には、ナムコから協力を受けており、掲載内容は大半がチェックを受け許可を得た上で連載されていた為、実質的にナムコ公認作品と言っても過言ではない。
『デスティニー』の派生作品で特に評価が高い。PS版をプレイした人なら、是非一読をオススメする。『デスティニー』の世界が更に広がる筈だ。
連載当初からオリジナル展開が多かったがナムコから監修・情報提供があったため、公認されていたが一番の問題だったのが6巻の内容だったとされる。6巻の発売が2001/2/8で『テイルズオブデスティニー2』の発売が間近だった事もあり、豊田淳氏は原作と同じ結末でラストを迎えるよう要求していたようである。しかし啄木鳥氏がリオンを生存させたいと申し出て猛反発。何度かの交渉の末に啄木鳥氏の熱意に負け豊田氏が折れたという異例の事態となったとの事(この件は2019年12月に豊田氏のインタビュー記事が記載されている)。この事から6巻の33話・34話は原作と大きく変わっているのでお勧めしたい部分である。
この漫画の一件でゲームのコミカライズ化はむしろゲームとは異なる展開にした方が受けがいいのではないかという意見が出てきた(実際に原作準拠にし過ぎて話題にならなくなったり打ち切りになったテイルズの漫画作品は多い)。直近では『
テイルズオブクレストリア咎我人の罪歌』がこの作品とよく似た手法を取っている。
2巻の帯ページにはスタン役の関智一氏が「ウソみたいな話ですけど、これを読んでから胃腸の調子がすごくいいです!!」、ルーティ役の今井由香氏は「これを見て、ちょっと自分の人生が変わりました」と語っており、両者とも啄木鳥氏のイラストと
ストーリー制作に「癒し」を感じていたようである。
ストーリー構成は1巻~2巻半ばまでがセインガルド編、ファンダリア編。2巻後半から3巻前半までがフィッツガルド編。3巻後半から4巻前半がアクアヴェイル編。4巻後半から6巻が天上編となっている。カルバレイス編はカット、また言及はされなかったが2巻まででグレバムとの決着をつけたのは打ち切り対策と思われる。
原作とのリオンの結末に関する相違点に関しては、「デスティニー2と辻褄が合わなくなるけどいいのか」という続編との繋がりがなくなる点が多少疑問視されたものの概ね肯定的に受け止められており、10話ぐらいからリオン生存のフラグを張り巡らせていたこともあり「作者がリオンを大事にしているのは伝わったからやりたいようにさせてあげればいい」という意見が多かった。6巻のあとがきにてヒューゴが「うん、うん。でもいっぱい迷惑もかけたね」と完結を迎えた感想を述べていたがおそらくリオンとリオンの関係者の大幅改変のことを言っていたのだと思う。