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テラカオスバトルロワイアル外伝
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戦乱 その忌むべき者より、世界を救え(後編)

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「これは……」

同刻――新宿区のとある洋服店。
そこでは一人の男が紳士服を漁っていた。
男は通称、混沌の騎士と呼ばれる存在……だった。
先の大規模な戦闘で騎士の証である鎧は完全に破壊されており、服も全て散っている。
洋服店に来たのだからいい加減に服を着ているかと思いきや、まだだ。
サイズが合わない、黒と白のバランスが取れた服がない、漆黒色の服があっても余計な刺繍(不純物)が入っている……
などなど、何かと理由をつけては服を選び続けているのだ。つまりはまだ全裸である。これでは騎士ではなく変態である。
そんな混沌の騎士の手が、ようやく止まった。と言っても、満足のいく服が手に入ったわけではない。

(この強大な力、脱衣の戦士のものでも、ブロントと呼ばれた光の騎士のものでもない……
 くく……全くこの世界は面白い。あれほど強者と出会ったというのに、まだ我の知らない強者がいるとは……)

遠方から感じた力の波動を感じ取った混沌の騎士は、無意識のうちににやりと笑う。
その笑みは、飽くなき力への渇望と全てを飲み込む混沌の名にふさわしいものがあった。
だがその笑みは一瞬で消え去り、表情は僅かに焦りが混じったものに変わっていく。

(魅力的な力、それ程遠い場所ではないだろうが……この状態で向かえば、喰われるのは間違いなく我の方だ。
 口惜しいが、一度この辺りから離れるべきだが……何処へ向かう?)

混沌の騎士は服の選別を切り上げ、デイバックから地図を取り出して頭を捻る。
彼が選択する行動は、逃走だった。
万全の状態の彼であれば、むしろ嬉々として力の溢れる場所に向かったことだろう。
だが現在の彼は全裸である以上の問題として、全身の深刻なダメージがあった。
見た目にはそれほど重傷ではないのだが、それは混沌の騎士が自らの持てる力全てを身体の維持にまわしているためだ。
剣を振るうことはできるが、まだ闇の雷を飛ばしたりすることはできない。

(彼らと戦ったのは渋谷……炎の鳥と光の騎士が逃げ去った先は少なくともこの新宿区ではないはずだ。
 それに脱衣の戦士の安否確認のために渋谷に戻った可能性もある。
 となるとここを含め渋谷の周囲の地区は危険。残るは豊島区、文京区、千代田区あたりか……)

混沌の騎士が気にかけるのは、ブロントと妹紅、そして喋る魔剣だ。
彼らもまた素晴らしい力の持ち主であり、狩りたい獲物ではあるのだが、それもやはりこの傷が邪魔をする。

(脱衣の戦士よ、貴様に言った言葉は訂正せざるをえないようだな。
 貴様の命を賭した最後の一撃のおかげで、我は馳走にありつけないどころか無様に逃げ回る羽目となってしまったよ。
 ああ、全くもって口惜しい。だが……この傷が癒えた暁には……)

再び残虐な笑みを浮かべたかと思うと、混沌の騎士は地図をしまい一応の目的地を目指して歩き始めた。
結局服は選ばずに全裸のままで。

【新宿区・洋服店前/一日目・夕方】
【混沌の騎士@カオスロワオリジナル】
【状態】:全裸、ダメージ(大)、疲労(小)、全身の至る所に割け傷、全身血まみれ、左の頬に打撲の痕
【装備】:グラットンソード
【道具】:基本支給品一式、(ランダム品0~2)
【思考】基本:優勝し、記憶を取り戻す
0:ブロント、妹紅、謎の強者に注意しつつ豊島区、文京区、千代田区のいずれかに逃げる
1:バトルロワイアルを楽しみつつ、光の力も手に入れていく
2:エクスカリバーの捜索
3:光の使い手(ミクトラン)を警戒。いずれ力を奪う
4:油断と慢心も程ほどにしておく
5:余裕があれば自分好みの服を探す
東京タワーより、なんらかの力を奪ったかもしれません
※しばらくの間、闇の力が使えませんが時間が経てば使用可能になります



さらに同刻――新宿区・スタジオアルタ前。
そこには、二人の少女が――いや、一人の少女と少女だった肉塊がいた。

「カ……ナ……?」

絞り出すようにかろうじて二つの音を口にする少女は千秋。南家の三女だ。
そしてその目の前に無惨な姿で転がっているのは、彼女の姉である夏奈だった。
仲良し姉妹の平和な日常を取り戻そうとしていた千秋にとって、最も見たくなかった姉の屍だった。
生前通りの姿ならまだよかった。だけどこれは違う。
上半身の骨が滅茶苦茶に砕かれて、片手の先が強引に引き千切られていて、そして首から上がなくて。
でもでも首輪の爆発で死んだわけでもなくて、苦悶の表情を浮かべたままの首がすぐそこに転がっていて……

「おい……なにやっているんだカナ……? またいつもの悪ふざけか……?
 やめろって、状況が状況なんだぞ……? そんな悪趣味な悪戯、姉様も怒るに決まってるだろ?
 怒った姉様は怖いからな……仕方がないから私も一緒に謝ってやるよバカ野郎……
 なあ……だからさ、カナ……早く起き上がってくれよ……早く……早く……ッ!」

涙をぼろぼろと零しながら、千秋は姉であったものをゆさぶり続ける。
その身体はとうに冷え切り、胴体と首が離れてしまっているのだ。誰がどうみても、死んでいるし助からない。
彼女もそれはわかっている。わかっているが、認めたくない。
自分と姉妹のあの日常が、もう戻ってこないのだということを認めたくない。

「なんでだよ……! 私が、カナが、姉様が! 一体何をしたっていうんだ……!」

嗚咽に混じる、圧倒的な怒りの感情。それに応える者はいない。

『■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!!!』
「ひっ!?」

代わりに、おぞましい咆哮が辺り一帯に響いた。
あまりの出来事に瞬間姉の死を忘れて両手で耳を塞いだにもかかわらず、千秋は強烈な頭痛と寒気に襲われた。
発生源は……かなり近い。

「う、後ろから……?」

この世のものとは思えないその咆哮に、千秋は振り向く。
その視線の先には、暗くなってきた空には、何かがいた。いや、それだけではない。

暗雲を切り裂く、見たこともないような稲光。それにぶつけられる、眩い閃光。
直後、轟音と共に発生する爆発。新宿のビル達がその余波で軋み崩れていくのがこの距離でもわかる。
今度は空に灼熱の炎が発生し、影を飲み込んだ。かと思えば、影が灼熱を突き破りもう一方の影に飛びかかった。

「バケ……モノ……?」

映画の中でしか見たことのないような爆発や、ビルの崩壊。
夏奈の死とあわせて、これも夢なのではないだろうか? いや夢であって欲しい。

「あいつが……あいつらがカナを……!?」

だが、悲しいことに千秋はそれを現実と受け止めてしまった。
昨日までの千秋なら夢かもしれないと考えたかもしれない。
だが彼女は、すでにディアボロモンという凶悪なバケモノをその目でしっかりと見てしまっている。
さらに殺した杉下右京のデイバック内に潜んでいた鎧のバケモノ、そして自分が持つ光線銃。
幼い身ながら、千秋はこの世界の異常性に一定の耐性ができているのだ。
幸か不幸か、それにより彼女はおそらく姉を殺したであろうバケモノへ怒りの感情を向けるのであった。

こんな惨い殺し方、人間に真似できるわけがない、つまり姉殺しの犯人はバケモノなのだから。



「が……っ!」
「うくっ……!」

一方は防壁越しでも強烈な蹴りを受け、もう一方は死角からの触手に吹き飛ばされ、
荒れ果てた大地に、二人の人間の姿をした者が叩きつけられる。
激しい攻防の応酬は、再び痛み分けとなったのだ。

禍神と防衛システムの戦いは、まさに死闘というにふさわしい。
短時間で新宿の町並みは破壊し尽くされ、あちこちから火の手が上がっていた。
そして、壊滅的な被害の元凶である二人もまた相当の傷を負っている。

「おの、れ……! いい加減に死ぬがいい……!」

禍神は何度目かもわからなくなってきた触手の攻撃を再び繰り出す。
だがその本数は、機皇帝に斬られ、信長に斬られ、そして防衛システムに斬られ、激減してしまっている。
攻撃には使用しないが、身体の方も相当数の拳打と脚撃を受けた影響でボロボロだ。
防御形態で回復を何度も行ってきたが、それでいてこれほどのダメージ。
頼みの綱の超回復を制限され、さらに距離があけば防御を貫く破壊の光でその身を焼かれる。
もはや禍神も、いつ攻撃形態をとり、いつ防御形態をとればいいのかわからず、その戦術を完全に崩されていた。
それ故に、焦りが生じ始めていた。

「お断り、します……!」

禍神の触手を、防衛システムは右手の光剣でなぎ払い、同時に後ろへと跳んだ。
今まで拳打を打ち込んできた左腕は、もはや動かない。焼け爛れ、凍りつき、雷撃の痺れも残っているためだ。
禍神の攻撃は想像を絶する激しさであり、また近接攻撃がメインの防衛システムとは対照的に広範囲遠距離攻撃が多かった。
下段、足下より巻き起こるは、炎海と雷砲、氷嵐。
中段、長い触手髪から繰り出される、高速の8連打撃と周囲をまとめて切り裂く剛斬。
上段、帽子より噴出される、灼熱、氷河、稲光。
狂ったかのような怒涛の攻撃の嵐を、剣で切り裂き、盾も持たない左腕でガードし続けたのだから当然の結果といえる。
片腕を封じられ総合火力が低下してしまい、さらに相手は再生能力持ち。このままではどちらが敗北するかはすぐわかる。
それ故に、焦りが生じ始めていた。

(はやく……)
(勝負を決めなくては……)

そして、両者は同じ結論に達した。

本来であれば、この戦いは禍神の勝利で終わっていただろう。
いかに防衛システムでも、禍神のカオステンタクルを受ければただでは済まないのだから。
だが、禍神はすでにその必殺の一撃をクライシスの皇帝に使ってしまっていた。これは禍神にとっては痛手だ。
さらに、本来の巨体の姿を失い、人間の姿になってしまったことも。
これは防衛システムにも言えることだが、彼女の場合は逆にこれを生かしている。
人間の姿を嫌い、また不慣れな禍神に対して、防衛システムは人間の姿を受け入れ、さらにいえば本来の姿も人型。
この違いが、最も大きいだろう。
兵器庫の異名を持つ通り、元々防衛システムはその全身が攻撃の手段となっている。
そこに、彼女がかつて人間から受けた攻撃を模倣した強烈な体術の数々を加えるのだから、人間の肉体を最大限利用した攻撃といえる。
対する禍神は攻撃の全てを触手と属性魔法に頼りきり、人間の肉体を利用した攻撃方法を一切使用できなかった。
つまり触手や魔法を防がれた場合、身体はがら空きであり、必要以上に攻撃を食らってしまう。
人間の足を使った咄嗟の回避術や見切り技も同様だ。逆の防衛システムの攻撃命中率と回避率は高い。
それでいてなお、禍神が防衛システムに遅れをとらないのは、その強靭な生命力と過剰な攻撃能力のおかげである。

だが、拮抗する二人の戦いにも、ついに終わりの時が訪れる。


「ならば……これで決めます!
 異界の神よ、私の力を、人間が編み出した切り札を……受けてみるがいい!」

(疾い!?)

光剣を構え、先に動いたのは防衛システムだ。
しかし、その速度は重傷の身とは思えない程に速く、自身に近づく者全てを捉える禍神の眼でも、全く追えなかった。


そして


「な……が……ぁ……!?」

次に禍神が目にしたのは、自分の身体に刻み込まれた、3本の線。
右への斬り払い、そのまま左下への斬りおろし、そこから返す剣で再び右への斬り払い。
回避不能の光速剣。禍神が呆然とその傷を眺めている間に、やがてそこから鮮血が飛び散った。


防衛システムは、禍神の背後に立っていた。
彼女は、かつて受けた人間の最強剣の一つ、相手に終の字を刻み付ける奥義を、見事に再現してみせたのだ。
確かな手ごたえがあった。


「――――――――ッ!!?」


それは、自分にも。
遅れて気がつく。自分の身体の異常。
先程までは存在していなかったはずの……『12本』の線に。

勿論、その線から溢れ出すのは……鮮血だ。

「がはっ……は、ははは! 見事に我が罠にかかったな……!」
「罠……ですって……!?」

血を撒き散らしながらも、禍神は歓喜の笑い声をあげる。
その頭部の帽子は……いつの間にか、防御形態となっていた。

「我が防御形態は、再生能力と防御能力だけではない……! 反撃能力も使えるのだ……!」

名状し難き障壁――それが禍神が隠し持っていた秘策だった。
その効果は、自身が受けた傷を4倍に増幅して相手に返す物理カウンター。
禍神は戦いの最中、防衛システムの攻撃で防御形態の防壁を貫通できるのは、溜めが必要な砲撃しかないことを見抜いていた。
そして、自分がそうであるように相手もまた早く決着をつけたい、そのために大技を使ってくるであろうことも。
いくら絶大な威力を誇ろうと、やってくるのは斬撃、突撃、壊撃のどれかとわかっていれば、あとは楽だ。
防御形態の自分は物理攻撃のダメージを受けにくいのだから、障壁を張って待つだけでいい。
それだけで相手は沈み、自分は立っていられる。
全ては、禍神の作戦。

「これが……人間の及ばぬ、神の知恵。
 黄泉の国に旅立つ前に、憶えておくがいい。戦いにおいて、先に切り札を見せてはならぬということをな……
 もっとも……我が、世界樹以外の相手にここまで手こずるとは思わなかったが……」
「これが……神の力……」
「まさに文字通り、我が力をその身に刻み込んで果てることとなったな? にんげ――」




「それが切り札なら、私の勝ちです」


勝利を確信し、ゆっくりと背後に振り返ろうとしたその瞬間に、かけられた声。
それを聞いた瞬間、禍神の総身が無意識のうちに震えた。
人間に恐怖を与える象徴である神にあるまじき、芽生えてはならない、かつての悪夢をも上回る恐怖の感情。

「なん……だと……!?」
「今のを防がれるどころか、返されるというのは予想外でしたが……
 私がかつてに負った最悪の傷は、古代全身鎧と6個の勾玉で武装した人間による七支斬……!
 人間より力の劣る私の攻撃の4倍返しが……耐え切れないわけがないでしょう……!」

ぎこちなく振り向いた禍神の視線の先には。
両腕を広げ、巨大な紋章を展開する防衛システムの姿。
左腕を強引に動かしている痛みか、あるいは今のカウンターによる痛みか、どちらにせよ苦悶の表情を浮かべている。
だが今の禍神にとって、それはどうでもよかった。それ以上に、紋章にそれぞれ集まる光に眼がいった。

「さっきの剣は『人間の』切り札の一つにすぎない。そして……『私の』力は、切り札は、まだ使っていない……!」

紋章に、青白い光が収束されていく。
だがそれはまだ本命ではない。光に共鳴し、紋章中心部で生まれるのは、紅蓮の業火。
禍神には止めるという考えが思いつかないし、止められるとも思えなかった。
耳障りな膨大な力の収束音は、死へのカウントダウンにしか聞こえない。

「――スターバスター――発射ッ!!!」

カウント、ゼロ。
爆音と共に防衛システムの切り札、星砕きの業火が発射された。

「―――――――!!!」

禍神に迫り来る、絶望的なまでの光と熱。炎であって炎ではない、破壊の象徴。
もはや禍神に余裕は微塵もない。
以前部下の報告にあった、5人の人間が連携して行うというスターバスターとはまるで別物だ。
神としてではなく、一人のの生物として、その本能が告げた。

これは、食らってはいけないと。

神の威厳も恥も何もかもを投げ捨てて、禍神は全身全霊の防御を試みる。
強固な防御形態の防壁を全身に張り巡らせ。
その上から名状し難き障壁を重ねて。
普段から撒き散らしている赤い霧をカーテン状の壁に作り変え。
傷ついたその身体全体から恐ろしい瘴気を迸らせて。

かつてない、禍神渾身の四重結界。



結界と業火がぶつかりあい











結界は耐えるということを全くせずに、一瞬で蒸発した。



「ぅ……く……」

壁にめり込むように張り付いていた防衛システムは、ようやくそこからの脱出に成功した。
彼女にとってもスターバスターは諸刃の剣。
本来の機械の身体でさえ、撃てば凄まじい反動が来る攻撃なのだ。
人間となり、人間と同じ体重となってしまった今の彼女では、撃った瞬間後ろに吹き飛ばされ叩きつけられてしまう。
通常時ならそれでもまだ問題はないが、流石にこの傷で撃つのは堪えたらしい。

「いっ……くぁ……に、人間の身体にも、不便なところは、あるんですね……」

光剣を杖代わりにし、よろよろと立ち上がった防衛システムは、前を見る。
そこには、もう何も残されていなかった。

「ギリギリでしたけど……なんとか倒せた、みたいですね……
 よかった……はやく、リンに知らせてあげましょう。信長とも、合流できたでしょうか……?」

【新宿区・更地/1日目・夕方】
最終防衛システム@サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY】
【状態】全身裂傷、全身打撲、左腕極度重傷(自然治癒不可)、大疲労、魔法少女(?)、人間への恐怖(若干緩和)
    スターバスター10時間使用不可
【装備】スターバスター、振り下ろし、踏み潰し
    ○変化、○ダウン、○消滅、カレイドセイバー(空き)  
【道具】基本支給品一式、スタバのコーヒー×2
【思考】
基本:主催者の排除
0:リンやルカ達との合流。合流後はできれば休んで傷を癒したい
1:未知の世界の強敵を警戒しつつ、首輪解除の方法を探す
2:白い生物(キュゥべえ、名前未確認)を警戒
【個人制限・特殊能力】
004「人間っていいな?」参照
※コロッケの効果時間は不明



その頃、禍神の危機から逃れた信長は……

「ここ、どこじゃ!?」

迷子だった。

【新宿区・???/1日目・夕方】
織田信長実在の人物
[状態]ダメージ(小)、中疲労
[装備]羽柴秀吉の剣
[道具]基本支給品
[思考]
基本:KAITO達を救い、主催を討つ。
 0:ワシ、もしかしてまだピンチ?
 1:リン達と合流したいが……
 2:KAITOとその家族とそいつらのマスターを探す。
【備考】
※KAITOと同じ世界(=VOCALOIDはロボット)から参戦です。
※KAITOのマスターで、他のVOCALOIDとそのマスターのことも知っています。
鏡音リンのことを、自分のいた世界と同一人物だと思っています。



「が…………ご……」

地面を這いずる何かがいた。喉を焼かれ、喋ることもままならぬ存在が。
全身焼け焦げ、爛れ、さらに下半身と右腕を失い、かろうじて繋がっているのは左腕と頭部のみ……
焼け切れた髪から妙に磯の香り漂う――そう、昏き海淵の禍神はまだ生きていた。
深手を負い、さらに反動の影響で、本来であれば必中のスターバスターもわずかに軌道がずれてしまっていたのだ。
そして禍神も、自分の結界が耐え切れるなどとは最初から思っていなかった。
あの暴力的な光と熱の収束を感じたその時から、足に力を込めていたのだ。
そう、最も嫌う人間の足に、横に飛んで逃げるために力を込めた。
その結果、身体のほとんどを焼き尽くされたが、辛うじて本体のついている頭部は助かった。
これはもう蒸発してしまったが支給品のブーツのおかげでもあるだろう。
さらに、申し訳程度にくっついている左腕には、デイバックがしっかりと握られていた。
禍神は、まだ諦めてはいない。

(まだだ……! 我が深淵の供物と、支給品があれば、必ずや奴を……!)





「よう、お前か……? バカ野郎なバケモノ野郎は……?」

そんな禍神に、底冷えするかのような声がかけられた。

(人……間……!?)

予期せぬ来訪者は、人間の少女だった。
しかしこの人間は、明らかに異質、異常。
ルカという女とも、皇帝とも、リスとも、将軍とも、先程の女とも違う。
焦点のあっていない虚ろな瞳に見下ろされた禍神は、それこそ名状し難い感覚に襲われた。

(一体、この人間は……)
「おい、私が聞いているんだから答えろ。お前か? お前がカナを殺したのか?
 お前が、お前が私の大切な世界を、私の大切な南家を、壊したのか? 姉様も、殺すつもりなのか?」

禍神の返事を聞かずに、人間の少女――南千秋――はひたすらに喋り続けた。
そして……

「そーなのか、そーなんだな? これ以上、私の世界は壊させない。
 大丈夫だ、そう、この南千秋が最後まで生き残れば問題ないんだ。優勝すれば、カナが笑って帰ってきてくれる。
 でも私の世界にバケモノも邪魔な人間も必要ない。広い世界はいらない。カナと姉様さえいてくれれば、それでいいんだ。
 だから……」
(なっ……!?)

千秋が、禍神の頭に光線銃を押し付けた。

「死ね」

禍神の脳裏に、防衛システムの言葉が蘇る。
――人間は時に神を討つ――?
――家族と世界を天秤にかけて家族を選んだ――?

――馬鹿な、馬鹿な馬鹿な馬鹿な――
――こんなことが、あってたまるものか――
――星の海を巡り、世界樹と悠久の時を戦い続けてきたこの我が、神が――
――人間の、それもこんな小娘に討たれるなど、あってはならな――!!!

躊躇いなく至近距離から発射された光線は、地面を這い蹲っていた存在を、炭へと変えた。

「カナ、仇は討てたのか? こいつだったのか? それとも別のバケモノか? それともまさか人間なのか?」

虚ろな表情のまま、千秋は禍神だったものの手からデイバックを奪い取った。
もはやそこには、かつての南千秋の面影など存在しない。
ここにいるのは、ただ家族との日常を取り戻したいだけの――
純粋無垢にして狂気に染まった、哀しき少女ただ一人。

程なくして、彼女は再び姉の死を実感するだろう。
もう一人の姉は呼ばれないで欲しいと願いながら、千秋はその運命の時を待つ。

【一日目・放送直前/新宿区・新宿駅】
【南千秋@みなみけ
【状態】精神極度不安定、中疲労
【装備】スーパー光線銃@スクライド、毒入りヤクルト3本@カオスロワ
【道具】基本支給品一式×3、不明支給品0~1、脱衣拳の不明支給品1~3(確認済み)、禍神の支給品(ランダム品0~2)
【思考】
基本:優勝して夏奈を蘇らせ、みなみけ三姉妹の日常を取り戻す
0:ディアボロモンを倒せそうな参加者を探す。弱そうな参加者は殺害し支給品を奪う
1:真正面から殺しはしない。幼い外見を利用する。
2:せめてハルカは無事でいて欲しい
3:夏奈を殺した奴は同じ目にあわせて殺す
4:もう片方のバケモノも殺す
5:阿部高和を警戒

【昏き海淵の禍神@世界樹の迷宮Ⅲ 星海の来訪者】 死亡確認

※少なくとも新宿区全体に禍神の咆哮と戦闘音が響き渡りました
※ジェットブーツは消滅しました


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